ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか?   作:超高校級の切望

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エイプリルフール Fate/Zero

 聖杯戦争。七人の魔術師が七騎のサーヴァントを従え万能の願望器、聖杯を求める戦争。

 

 選ばれる七騎のサーヴァントは、英雄と呼ばれた一騎当千の強者(つわもの)達。人理に刻まれた彼等をそのまま召喚など出来るわけもなく、故にクラスという枠組に刻む。

 

 剣士(セイバー)槍兵(ランサー)弓兵(アーチャー)騎兵(ライダー)暗殺者(アサシン)魔術師(キャスター)狂戦士(バーサーカー)

 

 そして、召喚の際、詠唱を加えることでバーサーカーを狙い召喚する事ができる。

 

 間桐雁夜はバーサーカーを召喚するよう命じられた。

 

 本来家から逃げて、魔術師としての修練も積まずに過ごした彼はとある理由で参戦を決意するもマスターとして選ばれるかも怪しい。

 

 故に間桐の外法…………蟲による改造を行い、寿命を大幅に削り急拵えの魔術師と運用する。それでも急造。魔術師として未熟な彼が呼び出せる英霊もさぞや弱体化することだろう。

 

 故に狂戦士(バーサーカー)。理性と引き換えに力を引き上げる。代わりに魔力が食われ、雁夜の命を大きく削るだろうが、雁夜も雁夜の祖父たる臓硯も気にしない。

 

 触媒は()()()()()。英雄殺しの特性は、成る程聖杯戦争にて有利に運ぶだろう。

 

 そして、呼び出されたそれは…………。

 

「………………ああ?」

「こ、子供!?」

 

 白い髪の子供。目付きが悪いが、男にも女にも見える中性の美を持つ幼子。とても英霊には見えない。

 全盛期、或は逸話に影響され召喚される事もある英霊は老人にと呼ばれる年齢で死んでいたとしても若い姿や、子供の姿で現れるのはない話ではないが、それにしても…………。

 

「カカカカ。残念じゃなのぉ、雁夜、英霊一騎、まともな形で呼び出せぬとは」

 

 全盛期で呼び出すことはできず、幼少期の逸話がある英霊をその時に召喚した、とでも思ったのか臓硯は嘲笑う。バーサーカーはジッと臓硯を見つめ、次に雁夜を見る。

 

「……………ムカつくなこの爺」

「は?」

 

 瞬間、魔力が持っていかれる。体内の蟲が雁夜の肉を食い荒らしその激痛が意識を闇へと沈めた。

 

 突然の事態に困惑するも雁夜の無様を嗤う臓硯の後ろには、人間には反応すら許さぬ速度で牙が迫っていた。

 

 

 

 

 冬木市のコンテナターミナル。

 そこに集うは4騎の英霊。

 

 セイバー、ランサー、アーチャー………そしてあろうことか、己の真名を名乗るライダー・征服王イスカンダル。

 

 英霊とは逸話の具現。その死に様はそのまま弱点となる。そうでなくても、例えばケルトの英雄ならゲッシュについて知られるだろう。

 

 故に聖杯戦争において真名を隠すのは鉄則だというのに堂々と名乗るのは馬鹿なのか大物なのか。

 

 尤も、王を名乗るその態度はアーチャーを不愉快にさせたようだが。

 

 もとより戦っていたのはランサーとセイバー。そこに割り込み、部下になれなどと言ったのだ。戦士としてこれ以上の侮辱はあるまい。

 

 アーチャーは自分以外に王を名乗る者がいることが気に入らないようだ。

 

 ならば何処の王か問うイスカンダルに顔を見ても解らぬ相手に生かす価値などないと虚空より2つの宝具を取り出すアーチャー。と、不意にその場の英霊達が同じ方向に振り返る。

 

「!?」

 

 ズン、と空から降ってきた何かがコンテナを大きく歪める。

 

 それは子供の姿をした英霊。口に咥えていた浅黒い肌の指をパキパキ噛み砕きながら飲み込み、サーヴァント達を見つめる。

 

「あれは、どう見てもバーサーカーだな……………」

「このような子供が…………?」

「人食いか………」

「……………ほう?」

 

 三者三様に警戒する中、アーチャーだけは面白そうにバーサーカーを見る。バーサーカーもまた、この中で一番警戒するに値するとでも言う様に他の英霊を無視してアーチャーを睨んだ。

 

()()()が…………誰の許しを得て(おれ)の庭に入り込んだ!」

 

 言葉とは裏腹に笑みを浮かべながら放たれたアーチャーの宝具。音速を容易く超えた超兵器の飛来。轟音と共にバーサーカーは爆炎に包まれた。

 

「……………やったのか?」

 

 煙が晴れると、仰け反るバーサーカー。此方かでは良く見えないが、顔面に突き刺さっているように見えたウェイバーはポツリと呟く。が…………バキンと金属を捩じ切るような音が聞こえた。

 

「……………!」

 

 ガバッと姿勢を戻すバーサーカー。宝具はその顔に傷一つ付けることなく、歯で受け止められていた。

 

「歯ぁ!?」

 

 鋭い牙のような歯に傷一つない。それどころか、罅割れているのはアーチャーの宝具。バキリボキリと細かく砕かれ、バーサーカーの口へ消えていく。

 

「ほ、宝具を…………」

「食べてる…………?」

 

 人の身では傷一つ付けること叶わぬであろう英霊の武器をあろうことか噛み砕き飲み込むバーサーカーにウェイバーとアイリスフィールは目を見開く。

 

「雑種が! 我が宝物は貴様には過ぎた餌だ!!」

 

 アーチャーの叫びと共に現れるは無数の宝具。増殖する宝具、ではない。一つ一つ形が違う。剣、槍、鎌、短剣、弓、斧、騎槍、果ては杖まで。

 

 その一つ一つが間違いなく一級品の宝具。それらが雨のように降り注ぐ。

 

 破壊の暴風雨。並の英霊など容易く消滅させる絶死の暴乱。対するバーサーカーは、真っ先に迫る槍を掴み取り、次に迫る剣を上に弾く。

 

 次々に迫る他の武器も同様。数多の武具と撃ち合い槍に亀裂が生じると重力に引かれ落ちてきた先程打ち払った武具の一つを手に取り槍は口に放り込む。

 

 手に持つ武器を変えて、先の焼き回し。

 数分か、数秒か。耳を塞ぎたくなる爆音の雨音が止む。

 

 墓標の如く突き立てられた数多の宝具の中央で、バーサーカーは砕けた斧を飴細工を貰った子供のようにボリボリと噛み砕いて食べていた。

 

「遠坂時臣のサーヴァント…………優秀なマスターに、潤沢な資金で手にしたであろう触媒。備えに備えた聖杯戦争の優勝候補、ね」

()()()!?」

「バーサーカーじゃないのか!?」

 

 斧の持ち手を飲み込み、バーサーカーが()()()

 

「成る程、()()()

 

 先の光景を見た誰もが耳を疑う。圧倒的な破壊力。無限を思わせる宝具の雨。この聖杯戦争においても、間違いなく優勝候補に違いないアーチャーを相手に少年の姿をしたサーヴァントは弱者と見下す。

 

「どんな上等な聖剣魔剣も使い手が未熟なら鈍らにも劣る。ましてただ闇雲に投げるだけなら、猿の真似して糞でも投げたほうがまだ意味がある」

 

 傲りではなく、まさに実践してみせた幼い英霊は嗤う。

 

「降りてこい。アーチャーなら、近接で挑めば子供に負けてもまだ言い訳が立つだろ?」

「吠えるな、小僧。お前程度が俺と同じ土俵に立とうなどと、不遜も甚だしい。そも、我が庭に勝手に侵入し、まずは謝罪の一つでもしたらどうだ」

「我が庭ぁ? はは、笑わせる。この星は一度だって一つの王の下に統一されたことなんざねえだろ。そんな行き詰まり、世界が認めるものかよ」

「俺の国が行き詰まりと?」

「なら、お前の国は今の時代も残っているのか? 桜に観光させるから参考に名を教えろ」

 

 『不遜な外来種』であり、『興味を引く強者』である少年の言葉にギルガメッシュは青筋を立てながらも笑う。

 

「よかろう。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。故に、この一度で記憶しろ! (おれ)こそが──ッ、時臣ぃ!!」

「アーチャーが消えた!?」

 

 怒りに顔を歪めたかと思うとアーチャーの姿が消えた。魔力の反応が完全に消えた。令呪で転移させられたのだろう。

 

「…………まさか本気で真名を名乗る気だったのか? そんな馬鹿が一つの聖杯戦争に、二騎も?」

「む?」

 

 もう一人の馬鹿(イスカンダル)に視線を向ける少年。イスカンダルはその少年の視線に首を傾げた。

 

「ふむ、坊主。貴様も我が軍門に加わらんか?」

「…………ザルドに匂いが近い…………? お前、ゼウスの関係者か」

「おお! その通り! 我が祖はヘラクレス、即ちゼウスの系譜なり!」

「ああ、()()()ではそういうのがいるんだったな…………」

 

 と納得をしながらも釈然としないといった様子の少年。

 

「それで? 剣も槍も使っていたが、話せるということはキャスターか?」

「真似事も出来なくはないが………チマチマした作業は向かねえよ。俺はバーサーカーだ」

「しかしこうして話せているようだが?」

「ああ、こうしてお前等と話せる時点でそもそもが狂ってるからなあ」

「で、返事は?」

 

 バーサーカーはふむん、と首を傾げる。ひょっとしたらマスターと連絡を取っているのかもしれない。

 

「…………ザルドを知っているか?」

「さっきも呟いておったな? 察せるに、そのザルドとやらは余と同じゼウスの系譜か?」

「………………」

 

 ならば、そのザルドとやらの知り合いらしいバーサーカーはギリシャの英霊?

 

「焦らすなバーサーカー。貴様は、我が軍門に下り共に覇道を歩むか、否か!?」

「……………断る」

 

 と、バーサーカーは何処からともなく漆黒の剣を取り出す。

 

 宝具………!

 

 それを瞬時に理解する。それだけの威容を剣から感じる。

 

 まるで巨大な竜に睨まれたかのような威圧感。

 

「この場でお前等全員殺して、あの金ピカを殺す。それだけだ」

「待て、バーサーカー」

「? 命乞いか?」

「そうではない。セイバーと私の決闘の続きを認めてほしい」

 

 と、ランサー。

 何の戯言かと思えばセイバーも驚いていたが、直ぐに視線だけで認めろと訴えってくる。

 

「まあい…………あ、何マスター? 遊ぶな? 遊んでねえよ」

 

 と、バーサーカーが肩に飛んできた虫に向かい話す。マスターと話しているらしい。

 

『ランサーよ、バーサーカーと共にセイバーを討て』

 

 不意に聞こえてきた声にランサーが空を見上げバーサーカーが振り返る。

 

『バーサーカーのマスターよ、一先ず休戦と行こうではないか。まずは手負いのセイバーを──』

「わっ!!」

「「「──────!?」」」

 

 唐突にバーサーカーが吠えた。あまりの声量にマスター達は顔を歪める。

 咆哮は砲弾となりコンテナを吹き飛ばしながら突き進む。

 

「次は当てるぞ、ランサーのマスター。ヴリトラの時もそうだがなぁ、強いなら兎も角弱い奴に割り込まれても鬱陶しいだけなんだよ」

「言うではないか坊主! だが、その通り!」

「うるせえな。ガネーシャかお前は」

 

 豪快に笑うイスカンダルにバーサーカーは眉間にしわを寄せ睨む。ヴリトラにガネーシャ? 彼はインドの英雄? しかし、先程ゼウスと……。

 

「ランサーのマスターよ、これ以上ランサーを辱めると言うなら、我等二騎、セイバーに助力しランサーを討つ」

「? 別に助力しなくてもいいだろ。セイバーが狙いなら、余計なこと言わせなきゃいい」

「そうは言うがなぁ、一度横槍が入りそうになった決闘を続けさせるのはあれだろう?」

「騎士の誇りってやつか? 俺には分からねえなあ」

「では何故ランサーのマスターを脅す?」

「いちいち騒がれるのは鬱陶しいのは知ってるから」

 

 そう言うとバーサーカーは霊体化して消えた。

 

 

 

 

「バーサーカー! 何で彼奴等を仕留めなかった!? お前は強いんだろ!」

「うるせえ」

 

 間桐邸、帰ってきたバーサーカーを批難する雁夜だったが脛を蹴りつけられた。

 

「そもそもお前の願いは叶ってんだろうが。桜は救った、お前達の中の蟲も、()()()()()【ティアードヴェール】で治した。これ以上は余剰だ」

「……………………」

 

 『治療』の際の血涙、鼻血、失禁を思い出す雁夜。銀の髪の治癒師は聖なる泉の様な、激痛の地獄を生み出していた。

 

 桜は毒で神経を麻痺させ痛みを完全に消してから治療してたのに。あの泉、あらゆる異物を消し去れるが出力を調整出来るらしい。バーサーカーの神経毒の方があの蟲共より遙かに上。己を苦しめた悍ましい間桐の非道な術は、英霊には些事らしい。

 

「蟲蔵に戻る。何かあったら呼べ」

 

 バーサーカーはそう言うと蔵へ向かう。

 

 彼の宝具の一つとして、万物を喰らい魔力に変換する物がある。魔力に乏しい雁夜がバーサーカーを維持できる理由はこれだ。

 

 臓硯の蟲のように魔力を含む肉は特に栄養になるらしい。後アーチャーの宝具も。

 

「お前って魔力を相当使うんだな。バーサーカーだしなぁ」

「お前が魔術師として最低ランクだからだろ。いっそ桜に令呪移せ」

 

 その方がまだ戦える。そう言うバーサーカーに雁夜はふざけるなと叫ぼうとして………。

 

「バーサーカーが、私のものになるの?」

「桜ちゃん!?」

 

 死んだ目がまだ死んだままの桜だが、この時はとてもキラキラしていた。虫を踏み潰しながら「助けに来たぞ」と言われたのが余程心を震わせたらしい。そりゃそうだ、まだ子供だもの。

 

「冗談だ。そもそも願いあるのか?」

「……………………えっと、遊園地」

「今度、行こうか」

 

 と、雁夜。

 

 そうだ、桜ちゃんは普通の女の子だ。魔術の世界に関わる必要なんてない次女。それなのに、こんな目に遭った。葵さんから離され、葵さんも悲しむ。全部、全部アイツのせいだ! 遠坂時臣ぃ!

 

「えい」

「がぁ!?」

 

 反対の脛をバーサーカーが蹴った。激痛に蹲る雁夜の後頭部をグリグリ踏みつける。信じられるか? このサーヴァント、鉄板仕込みの靴裏でマスターの頭を踏むんだぜ?

 

「何でもかんでも遠坂時臣ぃ、に出力すんな。蹴って踏むぞ」

 

 もう蹴ってるし踏んでるのにこの台詞である。理不尽の化身か?

 

「だ、が………だけど、全部彼奴のせいじゃないか!」

「……………」

 

 バーサーカーが怒ってる、と桜は思った。

 

「あの時、葵さんは幸せそうだった。だから信じた! 俺は間違った、譲るべきじゃなかった! もう間違えない! だからそのためにも聖杯を………!」

「聖杯を手に入れて? 何を願う」

「……………え」

「遠坂葵を未亡人にして、遠坂………ら、り?」

「凛」

 

 桜がバーサーカーに耳打ちした。

 

「遠坂凛の憧れを殺して悲しませるなんざ、聖杯に頼るまでもなく出来る。相手は落伍者のお前でも魔術は使うと思ってる。決闘の約束してから、お前が銃で背中から一発。これで終わり。遠坂時臣は死ぬ。で? その後は? 皆幸せ? んなわけねぇだろ。遠坂葵は悲しんで遠坂姉は泣いて、お前が恨まれて終わり。そもそもお前、家から逃げといて何で女は連れて行かなかった? 家に嫁がせたくないから譲ったんなら家から逃げる時に連れて行ってもいいだろうが。要するに選ばれないことが解ってたんだろ? 桜を救う? 遠坂葵の笑顔を取り戻す? 遠坂時臣には出来ないと決めつけて、自分はやったと優越感に浸りたい………いや、それすら無理か。劣等感を拭いたいだけだろ。そこまでやってスタート地点にしか立てねえくせに何偉そうに命令してんだ魔力吸い尽くしてまた木乃伊にしてから殺すぞ」

 

 すっごくスラスラ言葉が出ていた。引っ込み思案の自分には出来ないことだ、と桜は憧れの目を向ける。もうこの子、バーサーカーなら何をしても喜ぶんじゃないかな。きっとウンコと言っても好感度が上がるぞ。

 

「俺は、俺……はぁ…………ぁ………!!」

「雁夜おじさん、泣いちゃった………」

「泣かせとけ、こんな便所に染み付いたウンコカス」

「ウンコ……」

 

 桜の好感度が上がった。

 

「何で、こんな奴に桜ちゃんが…………!」

「知るか。桜、言っとくけど俺には妻達がいるからな」

 

 

 

 

 時間は数日前に遡る。

 

 宝具の一つを解放したバーサーカー。魔力を食われビクビク痙攣する雁夜を嘲笑う臓硯を黒い髪となったバーサーカーが喰らいつく。

 

 毒が流し込まれるも、数匹の虫が死ぬのみ。

 

「カカカカ。無駄じゃ無駄じゃ、と言っても獣には解ら──」

「そこか」

 

 虫の群の中に手を突っ込み一匹の虫を取り出し口の中に放り込む。猛毒の唾液がゆっくり、丁寧に、時間をかけて溶かし、ドロドロのそれを飲み込んだ。

 

 

 

 

 さて、その後バーサーカーは雁夜から流れてくる記憶の内人妻に関する部分は無視して、桜を助けに行った。

 

 そして聖杯の知識に従い病院に運んだ。()()()()使()()()が、雁夜が極度の栄養失調であることに代わりはない。内臓も弱ってるので、そういうのは病院に任せることにした。ていうかちゃんとした医療機関に任せないと妻に怒られる。

 

 彼の派閥の神々からして基本的に妻が強いのだ。

 

「…………お兄ちゃん、髪の毛、雁夜おじさんとおそろい」

「ん?」

「お兄ちゃんも蟲蔵で変わっちゃったの?」

「──────」

 

 バーサーカーはヒョイ、と桜を抱え上げると病院から移動した。目指す先は、蟲蔵。桜は顔を青くする。

 

「あ、あの………ごめ、ごめんなさい…………ごめん、なさい!」

 

 怒らせたと思った。また戻されると思った。

 どうして? だって、助けてくれるって………怒らせたから? 一緒にしたから?

 

 と、怯える桜の前でバーサーカーは蟲を踏み潰す。主を失い統率の取れなくなった蟲は覚えのある匂いを貪ろうと迫り、雷に神経を焼かれる。

 

 ピクピク痙攣する蟲を拾い、バーサーカーはグチャリと噛み千切る。

 歩き食い。歩くたびに虫が死ぬ。

 

「良いか桜。ここにいるのは、ただの虫。踏めば潰れて、握れば潰れる。お前よりもずっと弱い………それでも怖いなら、俺が全部食ってやる。覚えとけ、俺は、最強なんだ」

 

 

 

 

 

 街の海魔を氷人形に対処させながら街を歩くバーサーカー。キャスターとして現界していたなら違ったのだろうが、やはり出力や規模が落ちている。

 

 まあそもそも、仮に()()()出身だったとしても全盛期の姿で召喚されること自体が相当なイレギュラーなのだが。きっと人理そのものの危機レベルじゃないと無理。

 

 そんなふうに街を探索していると、ライダーに呼び止められた。何でも聖杯問答とやらをするから来いとのことだ。

 

 王の器とやらを試すらしい。城に向かったらセイバーのマスター…………の()()()()()女がヤケに絡んできた。

 

 何でも白髪の子供に娘を重ねてしまうのだとか。

 

 

 

 

 

「俺は王じゃないけどな。お、この酒なかなか美味い」

 

 ライダーが用意した酒を一口で安酒と断じアーチャーが取り出した酒を飲むバーサーカー。

 

「ふっ。貴様の故郷には、これほどの酒はなかったか?」

「は? あるが? 我が父神の酒こそ世界一だが?」

 

 と、バーサーカーも酒を取り出す。匂いだけで人間の意識を酩酊させかけるほどの極上の酒。アーチャーは献上することを許すと言えば、下賜してやるとバーサーカーが煽る。

 

「父神なぁ、となるとお前さん半神の類か?」

「まあ神の血を宿した結果最後には()()なったから便宜上父と呼んでるが…………そうすると母親が二人増えるんだよなあ。彼奴一人で……あ、でも父神と呼んでたら夫婦みたいだから怒られる?」

「複雑なようだなあ。お前の真名はさっぱり分からん」

「ふん。貴様の浅慮な知識でその小僧の正体にたどりつけるものか」

「お前も俺がどっちから来たのかは知ってても何処から来たかは知らねぇだろ。その目に映らねえもん、俺」

 

 偉そうに、とバーサーカー。アーチャーとあまり仲良く出来ないようだ。

 

 その後各々聖杯に何を求めるのかと話し合う。

 アーチャー曰くこの世の全ては自分の物なので、求めるまでもなく自分の物。盗人どもへの誅伐らしい。

 

 イスカンダルは受肉。己の肉体を以て世界に覇を唱えるらしい。世界征服するのは自分であって、断じて盃などではない。

 

 アーチャーは気に入り手ずから殺すと決めた。

 

 セイバーは故国の救済。滅びをなかったことにするという。これにアーチャーは笑い出し、イスカンダルは呆れた。

 

 国に己を捧げるのが王とするセイバーと、国が王に捧げるとする2人の王。バーサーカーは王じゃないから関係ないと酒を注ぐ。

 

「バーサーカー! 貴方はどうだ、この暴君達を王と認めるのか!?」

「俺に振るなよ…………認めない。何故ならお前等も俺も、等しく死者だ。死後に新たな王を仰いだところで導かれもしない。滑稽なだけだ」

「余は受肉するつもりだがな」

「ふん。死んだ程度で威光を示せぬと? 侮りすぎだぞ小僧」

「では、貴方にとっての王とは何だ!?」

「知るかよ。俺の故郷にゃ王はいねえ………必要なかった。まあ別に、追い詰められる国に必要なのは救国の王で、余裕がある国には覇王がいりゃいいんじゃねえの? 生きる国も時代も異なるのに、王の在り方を一つと決める方が馬鹿らしい」

 

 唯一永遠の王を名乗るアーチャーはピクリと肩を揺らす。

 

「俺がガキの頃欲しかった王ならセイバー。大人になった頃欲しかったのはイスカンダル。だがそれは、ガキが大人になったから現実を見たとかじゃねえ、そういう環境だっただけだ。ところでこの酒誰も手を付けねえの?」

 

 バーサーカーとアーチャーの酒により手付かずになったイスカンダルが持ってきた酒樽。バーサーカーは飲みたいようだ。が……

 

「ううむ、しかし客が増えたようだな」

 

 アサシンが現れた。

 

「まだ居たのか」

「っ! お前も、アサシンが沢山いるの知ってたのか!?」

「俺たちの近くに現れるたびに食ってたら現れなくなった」

 

 因みにコンテナターミナルでバーサーカーが食ってたのもアサシンだったりする。

 

 アサシンは包囲陣を敷き、イスカンダルの酒の誘いを断りイスカンダルの宝具『王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ)』により蹂躙された。

 

 砂漠という軍勢の心に刻まれた固有結界と、イスカンダルに忠義を誓った過去未来問わぬ、或は何時かの何処かで行われた聖杯戦争で増えたやもしれぬ英霊の軍勢。

 

 しかも配置を決められる。開けた平野に立ち尽くす暗殺者に勝ち目はなかった。一番でかいのだけはリリウスにこっそりつまみ食いされていた。

 

「おおい、貴様の食ってる腕、余の敵ではないか?」

「もぐもぐ。いいだろ別に、勝敗は変わらない。もぐもぐもぐ」

 

 指が覗いている。

 その光景にウェイバーは吐きそうになってた。

 

「まったく、卑賤なことだ。そのような腐肉を喰らうなど」

「王にゃ解らねえだろうよ。俺は何でも食って生きてきた。アサシンの魔力も俺の中。弱い戦士で強い王、強き王にして征服者、理想を求める者にして強き王………サーヴァントとして弱体化した身には余る。しっかり備えないとな」

 

 あくまでも、サーヴァントという枠組に押し込められているから。本来なら自分が上であると、バーサーカーは言い切ってみせる。

 

「ま、そこの王がいうように俺は余所者だからな。この星を砕かない程度には加減して相手してやるよ…………尤も、軍勢の世界、蔵の奥の奥で埃被ってそうな剣に、そっちの()()()()の中のとか、本気出しても大丈夫そうな気もするが」

「ふん。貴様が抜くに値するかは、これから見定めることだ」

「無論、余は本気で挑むぞ。ところで、お前は聖杯に何を願う?」

「王の問答じゃなかったのかよ」

 

 と、バーサーカーは面倒くさそう。とは言え自分も3人の答えを聞いたわけで………。

 

「ない」

「無いこた無いだろ? お前さん、なら何故聖杯戦争に呼ばれた」

「俺が聞きてえよ。言ったろ? 俺がこうしてお前達の前にいることそのものが狂ってんだよ」

 

 本来は決してありえぬこと。理そのものが狂っている。故に狂化は評価規格外( E X )

 

「そもそもオリジナル(おれ)は人間の作った生半可な願望器なんざなくても自分で願いを叶える」

「ではマスターならどうだ?」

「マスターの願いも叶ってる………というかあれで満足してねえなら殺すし、聖杯戦争に参加する理由はまあ、戦いだな」

「そんな理由で、我が望みを踏み躙ると?」

 

 セイバーがバーサーカーを睨むが、イスカンダルとアーチャーは気にしていないようだ。

 

「よかろう! その障害を打ち破らねば我が願いを叶えられぬと言うなら、越えるまでよ!」

(おれ)の庭に無断で入り込み不敬を働こうと、盗人でないのならば(おれ)を興じさせれば見逃してやろう」

 

 

 

 

 

 キャスターがなんかデカいタコを召喚した。

 他の英霊が苦戦しながら討伐しようとする中、バーサーカーは無限に再生するタコを食って、倒そうとしてない。

 

 途中アーチャーが放った4本の宝剣の内1本が巻き添え範囲で来たので食った。

 

「もぐ、味が薄く? マスターが死んだか」

 

 と思ったらイスカンダルの砂漠にタコごと転送されてた。

 

「おう、見ないと思ったら中に居たのか。食われたのか?」

「内臓食ってた」

「……………そうか」

 

 イスカンダルも返答に困っていた。とは言え、もう大して足しにならなかったので都合がいい。

 

「軍勢を引かせろイスカンダル。結界だけは保て」

「何をする気だ?」

「殺し尽くす」

 

 瞬間、空間が軋む。余波だけで数多の心象を固めた世界に亀裂が走る。

 

「壊しちまったら…………まあ許せ。『神域へと至る絶技(ブラフマーストラ)』!!」

 

 巨大怪魔を消し飛ばし、イスカンダルの結界を解けば剣を振り上げ固まるセイバー。腕の傷は治ったらしい。

 

 

 

 

 イスカンダルも逝った。アーチャー………英雄王ギルガメッシュと戦い敗れ、残るは3騎。

 

 バーサーカーは特に何をするでもなく間桐の屋敷にいた。

 

「バーサーカーは行かないの?」

「イスカンダルが死んだしな………」

 

 セイバーとアーチャーも、何やら因縁を作っているらしい。バーサーカーはアーチャーとだけだし、アーチャーが生き残ったら回復した後相手してやればいいだろう。

 

「まあお前の親父の為にアーチャーに負けるのもいいが」

「………………」

 

 キュッと服の裾を掴み見上げてくる桜。アーチャーに勝ちを譲るということは、この世界から消えるということ。

 

「解ったよ。ちゃんと勝つ。お前の親父のサーヴァントなんざ、ぶっ飛ばしてやるよ。いいんだな?」

「うん。やっちゃえ、バーサーカー」

 

 


 

 その後色々あって冬木市が燃えた後、どうせ分身だからと留まったバーサーカーことリリウス・アーデは子供に甘いのでアイリスフィールが気にしていた娘を助ける手伝いとかした。

 

 バーサーカー陣営が手を組まないのでアイリは誘拐されず、時臣の死も被せられない。ただ時臣の死を本気で悲しむ葵に雁夜が面倒くさいことにはなる。

 

 第5次に召喚されたライダーと相性は悪くない。妹属性だからね、ライダーは。バーサーカーも怪物になり得た可能性もあるし。なんなら本人が気にしてないけど民衆に怪物とされた時期すらあるし。

 

 

 

サーヴァント・バーサーカー ???

 

異界より来た現れるはずなき英雄の影。本人は叶うならキャスターかライダーとして召喚されたかったらしい。

 

宝具一部

 

狂餓禁食(プレータ・ナンディン)』ランクB++

 

生前のスキルが逸話系の宝具として変質した形。【天喰餓鬼(マハーグラハ)】の特性も引き継ぎ、汎ゆる物を喰らい魔力に変換する。本来消費コストの高いバーサーカーでありながらマスターの負担を大きく下げる。

 

獣王の衣(ベヘモット・カシャーヤ)』ランクA+

 

数千年英雄に討たれず、数多の英雄を毒殺した英雄殺しの獣の衣。ランクB以下の宝具を無効化する。

その特性から神造武器による攻撃は無効化、古い英雄の宝具ほど威力を下げる。近代に近いA級の宝具を使おう。

例外はゼウスの系譜。

 

神域へと至る絶技(ブラフマーストラ)』ランクA+→EX

 

本来の宝具の威力を落として放つ。本気で放つと名前が変わる。

記憶では完全に極めた後に全力で放った相手は父を名乗る不神者だけらしい。

 

 

スキル一部

神性(B)

神の血を宿し、いずれ至る途中の姿。

 

怪力(A)

怪物の特性もあるからね。

 

紅顔の美少年(C)

モテるよ。

 

狂化(EX)

そもそもこの世界にいること自体が狂っているため、その判定は評価規格外。ただし居ることが狂っているのであって本人に狂気がないので能力に変動のない完全なる飾りスキル

 

魔力放出(雷)A

それそのものが宝具に匹敵する威力を持つ。

 

人間関係

 

間桐雁夜

◆マスター。ウジウジして鬱陶しい、救うと言いながら殺すことしか考えてない。何もしないくせに幸福を求め、苦難の先に見返りが必ずあるべきと宣う男。

◇サーヴァント。なのに言う事全然聞かない。はっ、これがバーサーカーってことか? 悪口がスラスラでてくるな此奴。

 

間桐桜

◆保護対象。或は怪物に成り果てていたかもしれないのを見抜いており、思うところはある。

◇助けてくれた人。強い人。一緒に居て欲しい。

 

間桐慎二

◆ワカメ

◇チビ

 

ライダー(staynight)

◆妹属性のせいかついつい可愛がる。

◇美味しそう。

 

 

イスカンダル

◆うるさい筋肉。ガネーシャかこいつは。

◇ちっこいのに大した戦士。

 

ウェイバー

◆将来苦労しながらも何も見捨てず進みそうだな。

◇なんかヤバイ奴。

 

 

アーチャー

◆弱い戦士で強い王。オラリオに王は居ないので敬い方なんざ知らない。宝具は美味い。

◇小生意気な外来種。多少神の後押しこそあれど試練を乗り越えその座に至ったことは褒めてもいい。だが宝物は食うな。

 

時臣

◆ヒゲ。

◇何故落伍者があそこまで強力なサーヴァントを?

 

 

セイバー

◆リオン達に似てる。幼少期に此奴がいれば何が変わったか?

◇戦士。幼いからといって侮るのは侮辱に当たる。

 

切嗣

◆ロリコン。世界が平和になった姿を想像できないくせに進むアホ。

◇警戒対象。マスターを狙うのが確実。

 

アイリ

◆幼女なのに母で脳がバグりそう。

◇白い髪の子供なのでついついイリヤを思い出す。

 

 

キャスター

◆全自動無限タコ製造機。雁夜がもうちょいマシな魔術師か、他のサーヴァントが弱かったら存在を知られた時点で食ってた。

◇芸術を理解しない愚か者。

 

龍之介

◆お前は死のうか。

◇材料は集められないし、殺さないように気をつけてた皆を治して逃がすし、これが人間のやることかよお!

 

 

アサシン

◆水で薄めた麦粥

◇捕食者

 

綺礼

◆筋肉

◇もし契約して幼少期の記憶見たら笑みを浮かべる。

 

 

ランサー

◆フィンの物語の、フィアナ騎士団か……

◇一戦交えてみたかった

 

ケイネス

◆知らん。誰それ。

◇落伍者には似つかわしくないサーヴァントだ。

 

 

生前(?)関連人物

 

父神

とある酒の神。厳密に彼の息子というわけでないが、その座に至る過程は彼の血を受けてなので便宜上そう呼んでいる。親子仲は悪くない。

他、二柱の女神の血も受けているがそのうち片方と夫婦だとからかった神々を2人でボコボコにする。

 

父を名乗る不神者(ふしんしゃ)

お前、俺と似てるなあ。ひょっとして俺の子供じゃないか? お前はスーリヤ殺してみたいか?

エイプリルフール、皆が見たい嘘は?

  • バーサーカーリリウス(/Zero)
  • 英雄派リリウス(ハイスクールD×D)
  • 冒険者リリウス(このすば)
  • 死に戻らないリリウス(リゼロ)
  • 魔物リリウス(ガッシュ)相棒エピさん
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