ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
神の鏡。
下界にて神の力を使うことを許されぬ神々が扱う例外的な神の力。
事前に申請しウラノスの許可のもと行使される千里万里を見通すそれは、オラリオにて
各派閥の主神の下、拠点で観戦する者。酒場などで酒の肴に楽しむ者。街角で待ち合わせ、眺める者など様々。
リリウスは
「絶望的だな」
そう呟くのは団長のチャンドラ。Lv.5のヒュアキントス率いる【アポロン・ファミリア】の数は百数名。対する【ヘスティア・ファミリア】は移籍のLv.2が1人。一時移籍のLv.3、Lv.2、Lv.6が1人ずつ。それから都市外の助っ人が1人。
「【疾風】は確かに強いがなぁ、今回は攻城戦。守りが有利だ」
ちなみにメンバーはヴェルフ、リリ、命、リューだ。移籍メンバーの4分の3が一時移籍。ただしリューはアリーゼに『なんならそのまま籍入れちゃいなさい』と親指を立てて見送られている。
「お、さっそくリリルカが城壁を破壊したな」
「ノエルは上位精霊だからな。大精霊に及ばずとも、あの程度の城壁訳はないか」
氷の投擲槍が城壁を穿つ。
大精霊の生み出した魔法の槍は氷獄を生み出し眷属達を氷漬けにする。
一応
「飛び出してきたな」
「虫みてえ」
エピメテウスの言葉にリリウスは生野菜についていた芋虫を食いながら呟く。チャンドラはその例えはどうなんだと思った。
「あれは、魔剣か?」
「クロッゾの魔剣だな」
それをエルフのリューが使っているのだから面白い話だ。
精霊の力らしいが、恐らくは初代クロッゾに力を与えた精霊は鍛冶を司る神の分身だったのだろう。
「この助っ人、強いな」
と、チャンドラが呟く通り都市外からの助っ人も活躍していた。フードで顔は見えないが、何者だろうか? と、魔法が掠めフードが取れる。
「…………セレニア?」
【ロキ・ファミリア】ホーム『黄昏の館』にてベートが助っ人の素顔に立ち上がる。
「セレニアちゃんって、ヴィーザルの所の?」
「意識不明から回復したとは聞いていたが……………強いね。Lv.4………5は目前かな」
「………………なんで戻ってきやがった」
フィンが素直に賞賛するがベートは苦々しげに顔を歪める。
「まあ、君のためだろうね」
ギロリとフィンを睨むベート。
「勝手、などと言ってやるなよベート。それは君にも言えることだ」
「あいつと同じ事言いやがって………」
「ここまでは順調ですねえ」
と、輝夜。まあLv.6に上位精霊がおり、クロッゾの魔剣まで用意しているのだ。その殲滅力はオラリオでも中堅以上と言っていいだろう。
「そうね、ここまでは」
アリーゼはベルの【ファイア・ボルト】で吹き飛ばされた塔を見つめる。無詠唱だった。神々はさぞ興奮していることだろうが、
瓦礫の山から炎が噴き出す。
噴火の如き業火は、時間も相まりアリーゼにも匹敵する。
「こういう言い方はあれだけど、地上の昼なら、【アポロン・ファミリア】は最悪【
「【燃え尽きる翼。届かぬ
追いつけぬ、と思った。辿り着けぬと心が折れかけた。
それだけの力を見た。遥かなる高みを目にした。
「【心捉える挫折の迷宮。太陽を眺めるだけの出口なき塔】」
心の中に湧く嫉妬心。輝く炎を前に己の矮小を知り、神が白い英雄を欲した気持ちをほんの一瞬でも理解出来るかもと思い怒りを向け、そんな不甲斐ない己を憎んだ。
「【
「【光明よ再び我が目に映れ。
仮令いかなる強者だろうと、アポロン様の隣りに立つのは私だ。太陽神の隣りで守り続ける。あの日、醜く疎まれていた自分を美しいと手を差し伸べてくれたその日から、そう決めたのだ。
「長文詠唱!!」
いまだ続く詠唱にリリは顔色を変える。
近づけまいと放たれる炎は恐らくは魔法ではなく《スキル》。兄の雷に近いものだと推測出来る。
つまり奥の手は、この業火以上。
「【空を渡り荒野を駆け、何物よりも
おまけにこちらの詠唱を邪魔する攻防一体の炎。本人もLv.5とは思えぬ動きでリュー本人と切り合う。
「【星屑の光を宿し敵を討て】!!」
先に詠唱を完成させたのはリュー。緑風を纏った無数の光弾が浮かび上がる。
「【ルミノス・ウィンド】!!」
「【燃える翼を携え至れ
「……………あの姿」
「…………似ているな」
神の鏡に映る炎の戦士を前にリリウスとエピメテウスは声を漏らす。
業火を纏うその姿に、二人は過去を幻視する。
「あの時のリリウス」
「あの時のエピメテウス」
「「……………ん? いや、お前だろ」」