ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
「それじゃあ、話を聞いてくれるわね♪」
「さりげなく発散される『神威』。この神、マジにゃ」
放たれる神の気配。下界に住まう、神により生み出された全てを支配する絶対的な
されど一度怒り力を振るえば世界を荒廃させる格の高い神威は第一級冒険者すらその場から動くことを許さない。例外は『神殺し』を取り込んだリリウスぐらいだ。
「だから大マジよ。とある筋からの情報によれば、フレイヤはカジノの秘宝を持って催しに参加するらしいの。あの子、いっつもバベルに引き篭もりでなかなか出てくることもないから………」
「? ほう………んむ」
リリウスが何かを言いかけたがデメテルが野菜スティックを口に含ませる。コリコリと人参が口の中に消えていく。
「ほう?」
「何でもないわ」
アイズが首を傾げるが、デメテルは笑顔で答えを隠す。『あれ』はフレイヤとは関係ない、そう扱うということだろう。
リリウスはきゅうりをポリポリ食べながら黙っておくことにした。味付けはデメテルの畑で育てられた大豆で作った味噌に、デメテルが育てた雌鳥が産んだ卵で作ったマヨネーズを混ぜた味噌マヨだ。そこらの高級料理より美味い。
「ちょうどいい機会だし、ここで私の『復讐』を………」
「もうはっきり復讐って言ってるしー! 絶対に関わっちゃいけない案件にゃ! デメテル様は分かってないにゃ! 第一級冒険者がゴロゴロいる派閥にケンカを売るのがどういうことか!」
「普通に考えて、無謀すぎますね」
「自殺志願者。私の【ファミリア】は2秒で制圧される自信がある」
クロエ、命、ナァーザ達弱小派閥は顔を青くして答える。2秒とは大きく出たものだ。1秒もかかるまい。
「問題ねえ」
「「「え?」」」
と、リリウスの言葉に視線が集まる。
「……問題ない」
「……………あ、ホントだ。問題ないにゃ」
「こんなに小さいのに世界最強だもんね。ベルの師匠でもあるんだっけ? こんなに小さいのに」
「………………」
ナァーザが頭を撫でようと手を伸ばす。ガブリと噛まれた。
「っ!!」
「駄目よ、食事中のリリウスちゃんの頭を前から撫でようとしたら」
「獣か何かなのかな」
デメテルの美味い野菜を食っていたから特に美味くもないナァーザの指はすぐ解放された。そのまま残りの野菜スティックをシャクシャク食べ始める。今度は大根だ。たらこマヨで味付けしている。
「それにリリウスちゃんは最終手段。何も、正面から戦うわけでもないのだし。無謀という言葉は、無思慮だから無謀というの」
「………策があると、言うのか?」
「そうでなければ、こんなスペシャルなメンバー集めはしないわ。貴方達なら出来る。いいえ、貴方達にしか出来ない! これは、
「「「………………」」」
叫ぶデメテルに対してやはりやる気が上がらない様子の三人娘。
「イエスマーム。サーイエッサー、オーイェー」
「お前はどんな洗脳を施されたんだ。あと恐らく、その言葉遣いは間違っている………」
「大丈夫よ。皆ならチョチョイのチョイだから。というわけで、これは選んでおいたから♪」
「これは、水着?」
と、デメテルは命達に何かを渡す。水着だ。神々が地上にもたらした『神器』の一つ。神々の娯楽と欲に犯された者達がケモミミカチューシャやストッキング、ブルマにスパッツ、セーラー服等を3種の神器と時に血で血を洗う戦争に発展する程争いながら、必ず組み合わせの中にある。
「当日、女の子は『水着』じゃなきゃ会場に入れないらしいの♪」
「「「はっ?」」」
「カジノの中でナイトプールも開くんですって。面白いドレスコードよね〜」
それ、十中十でフレイヤの水着をみるのが目的なのでは?
「えっ、ええええええ!?」
「わっ、私も着ろと言うのか!? ついこの間ロキに着せられたばかりだぞ!」
「イグザクトリィ! 王族の誇りだとか体面なんてクソ喰らえよ!」
この場にエルフがいたら気絶しそうなことをハイエルフに言うデメテル。まあリヴェリアも王族として掲げるそれを常々疑問視した末に家出したわけだが。
「やめろー! 胸囲的な格差でミャーを虐げるのはー! ミャー以外全員おっぱい大きいにゃー!!」
マジ泣きだった。
「ナァーザちゃん以外は美乳だから大丈夫よ! それに、貧乳もステータス!」
「うるせぇ!」
「私、
「「イッツ・ブーメラン。ヒュー」」
「だからどんな洗脳を施されたんだお前達は」
とにかくまずは訓練を始めることになった。
「水着に対する羞恥心を消さなくっちゃね♪」
「何をなさるおつもりですかあああああ!?」
「心配ないわ命ちゃん。全員、水着を着るのだもの。貴方は一人じゃない」
「パリパリ」
リリウスは大変だな、コイツ等もと言う様な視線を女達に向け、ふと気付く。今デメテル、『全員』って言ってなかったか?
「なかなかのカード捌きね」
「ま、カジノに潜入するならこれくらいは出来にゃいとね」
赤いメイド服風の水着に着替えたクロエが配ったカードはエースのスリーカード。
「これは……」
「まさか、狙って出したのですか!?」
水色のメイド服風水着に白衣のナァーザと赤いフロントビキニの命が驚愕する。文字通り、言葉通り彼女達のレベルでは目に見えなかったらしい。
「当然にゃ、これくらいは朝飯前にゃあ。ほら、さっさと読み解くにゃ」
「読み解く?」
「カードの役、記号、数字、並びから意思を伝えるの」
「そ、そんなこといきなり言われても」
「じゃが丸くん、小豆クリーム味を人数分買ってくる」
黒のビキニにアウターを着崩し、黒い色ガラスの眼鏡を付けたアイズが読み解く。
「え?」
「それだけにゃ?」
「えっと、立て替えとくね」
「上出来にゃ」
何をどう読み解けばここまでの情報量を得られるのか。ただアイズが食べたかっただけでは?
「デメテル、これ、これでいい?」
と、扉が開きリリウスが入ってくる。
ふわふわもふもふの髪は特殊な香油と熱を出す特殊な
体のラインを隠すフリルのついた白のワンピースタイプの水着に、花畑を思わせる透かし編みのアウター。顔の一部を隠す花模様の眼帯。
全員ピシリと固まった。
「完ぺきよリリウスちゃん。最後に、その場でクルって回って」
「? こうか」
くるりと回るとアウターとフリルがふわりと広がり、遅れて髪がサラリと流れる。
「……………ありにゃ」
クロエは暗殺者時代の目つきに戻りグッと親指を立てた。彼女はショタコンなのだ。
「次はちょーっと恥じらいを入れてみるにゃ。具体的には水着のフリルをたくし上げて──ギニャア!?」
流石に見過ごせなかったのか全員に蹴り飛ばされた。
「と言うかなぜ女装」
「リリウスちゃんは有名人だもの。どうしても目立っちゃうわ。種族と性別を偽れば、まあ気づかれないでしょう」
「これはこれで人目を集める気がするニャア」
「でも、リリウスさん、すごくかわいい」
「実力に反して、やはり華奢で小柄だな…………だからこそ違和感がないが」
ちなみに、実はリリウスは妹よりも少し背が低かったりする。
「あ、これ映像を記録する
「!? デメテル様、それ、ミャーにも!」
「ええ、あげるわ」
「貴方が神か」
「そうよ」
彼女は大地を司る
「でも俺は」
「俺? 駄目よリリウスちゃん。いいえ、【
「…可愛い女の子………リリはとも………リ…………ん〜? リウはともかく、アイズ様はそのままなのでは? ………あ、にゃあ」
「大丈夫。普段の彼女が身に着ける筈のない大胆な水着にサングラス。更にあの娘には風貌だけじゃなく雰囲気を変えるよう徹底させた。度重なる訓練で仕込んだ動作と口調、ついでに化粧。もう既に【
普段のアイズを知る者程惑わされる。
「覚えておきなさい。女はいくらでも、化ける。これでどんな男でも悩殺よ」
「「化ける、悩殺!」」
ナァーザと命が聞き入っている。
「結構仲いいにゃ、おミャー等。あと今回は悩殺する必要ないにゃ」
「前置きが長くなっちゃったけど、準備はいい、貴方達?」
その言葉に全員がデメテルの言葉を待つ。デメテルは満足そうに頷く。
まず、下層は一般客用のカジノとして当日も開店している。催しはVIP客だけが最上階のルームに招かれ執り行われる。
VIPルームに至る経路は外壁や窓を含め全て【フレイヤ・ファミリア】が押さえていると見ていいだろう。
外から侵入しようとすれば即捕縛される。
彼らの干渉を受けずに済むのは正規ルート。すなわち
まず行うのは下層の警備装置の解除。無効化した後、デメテルと護衛が最上階に向かう。
その際クロエとナァーザはスタッフとして潜入。客に気を使いすぎたあまり、そちらが緩くなっているらしい。後アイズも飛び入りの踊り子として一応カジノ側として行動する。
「何か質問はある?」
「簡単に言うが、その解除が最も困難なのではないか?」
「まあにゃ。VIP客だけに渡される『鍵』がなきゃエレベーターは動かない仕組みにゃ。『鍵』自体が
今回登録されてる魔力はカジノのオーナー。しかし、実はデメテルは既に手に入れていた。手際がいい。
連絡用にもって来たリヴェリアもびっくりな
「なら、楽勝ってこと?」
「いや、一つだけ面倒が残ってる。デメテル様………【
VIP客の水着は全てカジノに登録されている。違う水着を着てるとエレベーターには進めない。水着のデッサンはカジノが保管していて少しでも疑わしいと通れないそうだ。
「現地調達が最も確実ということか。面倒だな」
「デメテル様サイズの水着が、そう簡単に見つかりますかねえ…………にゃ」
「大丈夫よ。その辺りの目星は、ちゃあんとつけてるから」
その目星の女性の名はボインヌ。女神も羨む体型の女貴族だ。