ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか?   作:超高校級の切望

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何が出るかな宝箱(ゴブスレコラボ)

 他2人はなかなかいい出会い。そちらの最強は運がないね、《真実》の男神はウラノスにそう言いました。

 

 ウラノスは黙り込みます。

 

 闇派閥(イヴィルス)討伐に向かえば階層主級の異端児(ゼノス)と出会い、都市の外に出れば古代の怪物達と戦い、聖地に向かえば神擬きと戦うことになるリリウスを、運が良いとはとても言えないからです。

 

 こんなんで攻略できるかな? ほら、さっそく宝箱。彼は攻略アイテムを拾えるかな?

 

 おっと、罠が発動した。

 

 

 

 

「冒険者たる者宝箱を放置するわけには行きませんが、斥候(スカウト)技能を持っている者は………」

 

 剣聖曰く冒険者の常らしい。オラリオの冒険者には良く分からない文化だ。要するにレアモンスターを見つけたらドロップアイテム目当てに戦うみたいな話だろうか?

 

「とりあえず開けてみるか」

「あ! 駄目です、毒針が飛び出してきたりするんですよ!?」

「バキボリ…………宝箱が開けにくくなるだけじゃねえか」

「? 食べ物が入っていたんですか?」

 

 何かを噛み砕いているリリウスに受付嬢は首を傾げる。リリウスは宝箱を覗き込む。

 

「これは、服?」

 

 リリウスが着るには大きく、剣聖が着るには一部が小さい。というか明らかにこの中にある人物にサイズがピッタリで、なんならちょうど彼女の服はボロボロである。

 

「……………え」

 

 

 

 

 

「着替え終わりましたけど、何でこんな服が」

「神の出目、らしい」

 

 何故オラリオの服なのかはリリウスも知らないが。

 

「でも何でしょうこの服、着たことはないけど馴染むというか」

「オラリオのギルド職員の服」

「リリウスさんの街の………どうりで」

 

 世界は違えど冒険者を支える立場の組織の服。似たりよったりということだろう。しかし何故服?

 

 神の振るサイコロ次第で決まるのが宝箱の中身もと言うなら、これはアタリ? それともハズレ?

 

 多分神々の遊び心というやつだろうが、神が面白がるならアタリなのか、それとも神が面白がるだけで何の意味もないハズレなのか。

 

「宝箱………見つけたら開けるか」

「ええ、でも………」

「冒険者としてその心意気は正しいかもしれませんが、やはり斥候(スカウト)技能がないことには…………いえ、そんな事関係無しに開けまくる者もいますが」

 

 何処か疲れたように言う剣聖。大方彼女の仲間なのだろう。だが恐らくそれで失敗したことはない。

 

「早速見つけた」

「気をつけてくださいね」

「まあ、この世界基準の罠なら大丈夫だろ」

 

 リリウスの最も優れた能力値(アビリティ)は『耐久』。即死効果の魔法とて魔力を喰らうリリウスには効果が薄い。

 

 リリウスは宝箱をあけた。おっと残念、ミミックだ!

 

 宝箱に化けていたミミックは触手を伸ばし小さな体を捕まえる。タコのように、或いはイソギンチャクの様に冒険者を取り込んでしまった。

 

 ムチャグチャと響く咀嚼音に慌てて駆け寄る剣聖と受付嬢。しかしミミックの触手は力なく地面にたれてやがてドロリと不定形に崩れる。

 

「ゴクン………」

 

 リリウスは飲み込み、唇の周りについた血を舐め取る。どうやら逆に捕食していたらしい。

 

「こういう事があるから、宝箱には細心の注意を払わなくてはなりませんよ」

「分かった」

 

 ギルド職員として冒険者の間違いを正そうとする受付嬢。その言葉にリリウスは確かに頷いた。頷いたのだが………

 

 

 

「今度は爆発………」

 

 毒ガスだったり火炎だったり………最初の宝箱を除いて全部罠が発動した。

 間違いなく神の出目のせいだろうが、神はサイコロを振っても出目は操作しない。そういう場所で、そういう方面にしか目が出ないのはリリウスの運だろう。

 

「…………今回は宝入りだ」

 

 無傷のリリウスは宝箱の底にあった鉄板を外す。巻物があった。

 

巻物(スクロール)ですね。使い切りですが、魔法が使えるアイテムです。どんな魔法かは、鑑定してみないとわかりませんけど」

「………………」

 

 リリウスはじっと剣聖を見る。

 

「私はできません。私の仲間なら可能ですが」

「そうか………」

 

 ウラノスから聞く限りこちらの神はあちらの神々に比べればかなり公平(フェア)。攻略のヒント、アイテムなんかを必ず用意するはずだ。

 

 リリウスは不意に振り返ると巻物(スクロール)をしまいながら宝箱を投げつける。山の奥で悲鳴が聞こえ、ぞろぞろと人影が現れる。

 

「敵だ」

闇人(ダークエルフ)!!」

「ゴブリンもいるな」

 

 闇の中から現れたのは黒衣に身を包んだ褐色肌のエルフの集団。向こうの世界の混沌に与する者共だったか。

 

 一人でも多く殺したいのか戦闘能力のない受付嬢を狙い、飛来する短剣は剣聖が全て叩き落とす。

 

「!!」

 

 ならばと魔法を行使しようとしたダークエルフの首が宙を舞う。

 首を切り落としたのはリリウス。地面に着地しながら()()()()()()()()()()

 

「アルナスル…………」

 

 呪道具(カースウェポン)。リリウスの生命力を喰らう弓は対価に応えるように光の矢を生成する。

 

 一射必中。1本の矢が放たれるごとに、遠くで詠唱をしていたダークエルフの命が一つ消える。全滅にはさして時間は掛からなかった。

 

「…………良く気づけましたね。気配を完全に隠していて、私でもこちらに殺気を向けるまで気づきませんでした」

「匂いがないからな」

「?」

「そこだけぽっかり匂いが消えてる。匂うな、匂いがないって………」

 

 匂いというのは情報の塊だ。そしてゴブリンは鼻が利く。

 

「…………匂い消しじゃ不安だな。やはり匂いは紛れるに限る」

 

 と、リリウスはゴブリンの死体の腹を裂く。

 

「あ、あの………何を?」

「連中は匂いに敏感だ。特に女の匂い……それを消す」

 

 そう言って受付嬢を見るリリウス。意図を察した受付嬢は顔を青くする。

 

「あ、あの。でもほら、匂い消しも」

「それで俺が見つけたばかりだ」

 

 剣聖はいい。戦えるからそのまま餌にしても問題ない。受付嬢には戦う力がない。

 助けを求めるように剣聖を見る受付嬢だが、女として気持ちは分かりつつも非戦闘員の安全を少しでもあげるのは彼女も賛成なのか目を逸らされた。

 

 

 

「うぅ、臭い………」

「そのうち慣れる」

「匂いを嫌がって脱ごうとしてたのに………」

「胃酸の匂いと一緒にするな」

 

 特にリリウスはとても鼻が良いし。と、また宝箱。早速開ける。足元が光り、リリウスが消えた。

 

「転移のトラップ!?」

「このダンジョンの宝箱全部罠がついてるんですか!?」

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