ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか?   作:超高校級の切望

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GW特別編 中編

 与えられた兵士は小人族(パルゥム)ばかり。

 それも、自ら志願した者達ではなく、王命により集められた者達。嫌がらせのためだけに、戦う意志も力も無い者達を送るか…………。

 

「わ、我々はどうすれば…………」

「待機」

 

 若くして騎士となったマクールよりも年上の小人族(パルゥム)が問いかける中、マクールの命令は一つだった。困惑する騎士団員を置き去りにマクールはモンスターの群へと駆ける。

 

 愛犬のブランもスコローンも老いて走れぬので、支給された馬だ。調教に苦労した。

 

「ピギィィィィッ!!」

 

 豚のような無き声とともに振り下ろされる棍棒。だが、地面を叩くだけ。ギョロリと魔物の瞳が馬を追うが、背中にマクールの姿がない。

 

 トン、と頭に突き刺さる槍。それがその魔物の最後。

 背後から迫る魔物に対して、槍を振るい血を飛ばす。一瞬怯み、その僅かな隙に胸に槍を突き刺した。

 魔物の持っていた棍棒だけが残り、それを蹴り飛ばす。

 

 何匹か巻き込まれ、立とうとした瞬間目にしたのは小さな死神。胸の中の石が砕かれる。

 

「ブゴオオオオオオ!!」

 

 群れのボスが怒りの咆哮を上げ迫る。魔物共は時折同族同士で殺し合うことがあり、魔物を喰らった魔物はより強くなる。

 この群れのボスはその手の個体。故に、己と同じ大きさの相手ばかり相手してきた。

 

 後せいぜい人間や獣人の兵士達。自分の半分の大きさもない小人族(パルゥム)との戦い方など知らない。

 棍棒を振り下ろすも地面は血に染まらず、後ろから聞こえた音に振り返ろうとして、空が見えた。

 

「…………?」

 

 足が動かない。そのまま地面に倒れたモンスターの胸に馬の蹄が叩きつけられた。

 膝裏を槍で突かれたモンスターは立ち上がることもできずに灰へと還った。

 

「…………すげぇ」

 

 小人族(パルゥム)の誰かが呟いた。頭目を失い混乱する魔物を狩る同族の姿に、希望が宿る、羨望が灯る。ああなりたいと、理想を持たせる。

 

 

 

 

「帰るぞ」

 

 と、兵士達にそれだけ言うマクール。

 マクール騎士団と言えば聞こえは良いが、団員達はマクールの手足にまとわりつくために用意された存在。

 

 死んだら死んだで王より与えられた騎士を〜、とほざくに違いない。居るだけで邪魔。しかし殺したり追い出したり死なせたりすれば王家がうざい、まさに置物。だが……………

 

「ま、待ってくれ! あ、ください!!」

「……………」

「ど、どうしたら俺達も、貴方みたいに戦えますか!?」

「…………………はぁ?」

 

 

 

 

 

 仲良くするつもりなど無かった。彼等だって良い迷惑だろう。王に選ばれた騎士などと言われ前線に立たされるのは。

 

 そもそもマクールは現状に抗わず受け入れたくせに不平不満だけは一丁前な同族を好まない。というか嫌いだった。だから、鍛えてくれと言い出した同族に滅茶苦茶困惑した。

 

「それで私のところに来た、と。ふっ、知己に頼られるというのは悪くない」

「なんだその喋り方。ふざけてんのか?」

「騎士団団長として下手な言葉遣いが出来るか!」

 

 ふと別の席を見ればバリファも本を読みながら言葉遣いの練習をしている。

 

「ああ、物語の英雄ってのはやたら言葉が達者っだったな。なんだ? そのうち『神々よ、我が英雄神話をご笑覧あれ』とかいうのか?」

「言わんし、字が絶対に違うだろ!?」

 

 馬鹿にされるタイプの『しょうらん』だ絶対。

 

「おっほん! とにかく、助言がほしいなら私から言えることは一つ、鍛えてやればいいだろう……」

「………………」

「お前の勇姿に憧れて、そうなりたいと願った。ならば鍛えてやればいい」

「だが、俺には妙な予言もある」

 

 『誓の剣』と呼ばれる王の剣がある。それは言葉の通り『誓約(ゲッシュ)』を刻ませる天授物(アーティファクト)だ。

 騎士団団長は全員、ゴォールもマクールも『誓約(ゲッシュ)』………契約とは名ばかりの呪縛が刻まれている。

 

 ただ一方的に剣の所持者に都合の良い命令を強制できるその剣を持つコーマック王が、5つの小国をまとめ上げ大国の王となった。どのような手段を使ったかなど、解りきった事だ。

 特にコーマック王が小国の一つの姫に懸想していたことを思えば大国が生まれた理由は………。

 

「予言か………」

 

 マクールがこの国の成り立ちに対して推測していたが、ゴォールの呟きに正気に戻る。

 『お前達の誓いを述べよ』と言われゴォールが述べた『誓約(ゲッシュ)』は『王家への忠誠と精進』。マクールは『国を守る』と言うもの。その際に予言が授けられた。

 

「『守ろうとした者達、尽く守ることが出来ない』……だったが。むしろ、だからこそ鍛えたらどうだ?」

 

 その手で助ける事が出来ないならば、彼等自身が己を守れるようになれば良い。

 

「先に知れてよかったではないか。これで備えることが出来る」

「先に知る、ねえ…………予言と予知の違いも解らねえのか」

「む?」

「予知ってのは未来を知ることで、予言は未来を言うことだ。同じようでも違う。例えば、俺が今からてめぇに林檎を投げると言って実行すればそれは予言だ」

 

 英雄の一助となる精霊ならばいざ知らず、マクールは神が授けた天授物(アーティファクト)とやらを信用していない。コーマック王の元に落ちてきたのが良い証拠だ。過ぎた力に振り回される人類をゲラゲラ笑う神が落としたに違いない。

 

「つまり、どういうことだ?」

「『誓約(ゲッシュ)』により知りたくない未来を知るんじゃなく、()()()()()()()()()()()()()()()()………俺は少なくとも、あれはそういう類のものだと思っている」

「か、神々が人類に与えてくれたものだぞ?」

「だから何だ? 人間に誓いを強制させる剣が、どう世界を救う」

 

 いっそコーマック王も哀れな男だ。器に見合わぬ夢を抱き、器を見合わぬ『力』を得たばかりに大国の王になれてしまった。あれは歴史に名を残すだろう。人類の足を引っ張った愚王として。その滅びる様を天から授けた神はゲラゲラ笑うに違いない。

 

「まあ、仮にそうだとしても、未来を知るのも未来を決められるのも、結果は同じだろう」

「……………」

「だがまあ、変わったな」

「………あん?」

 

 ゴォールの言葉に首を傾げるマクール。

 

「マクール、人と獣の違いは何だと思う?」

「知らん」

「少しは考えんか…………」

 

 考える素振りもなかったマクールであった。

 

「私は、未来を見ているかいないかだと思っている」

「未来?」

「獣はその時その時を懸命に生きるだけ。せいぜいが明日を思えば良いほうだろう。だが人は、遥かな未来を思う」

「お前も英雄になりたいとか言ってたな」

 

 言われてみれば昔のマクールなら妙な予言がされたとしても気にしなかっただろう。そもそも小人族(パルゥム)を守ろうとする様になると思ったりもしない。

 

「今日の飯の為についてきたお前が、今は未来を考えている。お前は変わった。俺は、それが嬉しいのだ」

「………」

 

 

 

 

 ずっと一人で生きていた。その内猟犬が二匹出来て、英雄に憧れる馬鹿に誘われて騎士になり、小国時代からの貴族や騎士共の嫉妬を買い役立たず共を押し付けられた。

 

 だけど何時しか、ただ後ろで震えているだけだった同胞達は1人、また1人と槍を手にその背へとついていく。何時しかマクールは正しく騎士団の団長となっていた。

 

 

 

 

「最近ますます成果を残しているようだな。コーマック王国に2つの騎士団ありと、民が褒め讃えているぞ」

「なんだ、自慢か?」

 

 コーマック王国の両翼たる騎士団は、最早小国時代の歴史ある騎士団などではなく新規精鋭のゴォール騎士団とマクール騎士団の2つだった。今でこそ統合したばかりで周辺国の救援要請もないとはいえ、何れは他国にも名を知らしめるだろうと国民達は期待していた。

 

「だが、負けんぞ? この国一の騎士団は、このゴォール騎士団だ! なんせ俺は、お前より未来を見ているからな。この滅びゆく世界に、我が名を残すと! 俺が生きた証を世界が滅ぶその時まで刻みつけるのさ!」

「世界を救う気もねえ英雄様とはお笑い草だ」

 

 未来を見るものが勝つというのなら、滅びゆく世界と割り切ったゴォールでは大した英雄にはなれまい。まあマクールとて救われた世界などイメージしてないが。

 

「今だけ英雄になっても、俺達のガキが死ぬかもしれねえのに、薄情なもんだ」

「ふん。どうせ俺は相手はおらん」

「バリファなんてどうだ?」

「そういう話は下世話だぞ。だいたい、それを言うならお前だって」

「ああ、俺の子供なら今度産まれるぞ?」

「………………え?」

 

 遠くで聞き耳を立てていたバリファやダイール達も固まる。

 

「お、お前、妻がいたのか!?」

「まだ結婚はしてないがな………酒によった勢いで」

「お前…………」

 

 性欲があったのか、と戦慄するゴォール。三大欲求の内性欲を食欲に切り替えていたかと思っていた。

 

「…………よく、わからん。いや、俺の子が生まれるということは解る。だが………親になるのが想像できん」

 

 マクールの父もまた、マクールより弱いとは言え『凶猛の魔眼』を持っていた。結局モンスターに挑み、何匹も殺して最後には数になぶり殺された。

 母親は父を追って自殺。それ以来一人で生きてきた。親というものは、子にどうすれば良いのかが解らない。

 

 

 

 

「マクール様………!」

 

 家に戻ったマクールを出迎える小人族(パルゥム)の少女。名をサーバ。銀色の髪を持つ美しい小人族だ。

 元々は小姓(ペイジ)だったが、甲斐甲斐しくマクールの世話を焼き、酒によった2人はそのままやることやって子供を作った。

 

「また腹が大きくなったな」

「この子が元気に育ってくれている証です」

 

 そう言って愛おしそうに腹を撫でるサーバ。あの腹の中に、自分達の血を継ぐ赤子が居る。

 

「…………」

 

 無意識に目を押さえた。祖父は別に魔眼を持っていなかった。絶対に血縁に宿るわけではないのだろう。

 だが、マクールは父から魔眼を受け継いだ。ならば、この目が赤子に受け継がれない保証はない。

 子を作る気などなかったのに…………酒、飲むのやめようかな。

 

「………腹以外、痩せたか?」

「そうでしょうか?」

「……………西街の女は、死んだらしい」

 

 以前妊娠していた女だ。

 

「子供を生むというのは大変なことですからね。しっかり食べて、栄養を取りませんと。私達はあっさり死んでしまいます」

「なら、子供なんぞ産まなきゃいい。まずはお前が生き残らなきゃ話にならん………」

「嫌です。産みます」

 

 顔も名前も知らぬどころか、顔も名前もまだない我が子を庇うように膨らんだ腹を抱きしめるサーバにマクールはやはり理解出来ぬと虚空を見つめる。

 自分の命より優先するなど、彼には理解出来ない。

 

 野の獣も育ちの悪い子供は切り捨てるし、子育てをしない動物を同じ檻にいれるとそもそも子供を認識出来ず殺す事もあるという。

 

「俺はまだ獣なのかもな…………」

「? 貴方はヒトですよ」

 

 お酒でも飲みすぎましたか? と訝しむサーバ。

 

「産まれてくる子も人の子です。私と貴方が、生きた証………」

「生きた証………ゴォールも言ってたな。そんなものを残して、何になる。永遠に生きられるわけでも、永遠に残るわけでもないのに」

「繋いでいくことに意味があるのです。生きた証を託すことに意味があるのです。今は解らなくても、何れ貴方にも解る時が来ます」

 

 と、サーバはマクールの手を取り己の腹に添える。トクンと腹が動く。

 マクールが指に力を込めれば、今にも潰してしまえる儚い命。

 

「だからどうか、この子が産まれるまで私を守ってください。この子が産まれたら、この子を守ってください」

「無理な相談だ。俺が守ろうとした者は、守ることが出来ない………まあ、俺より弱いが騎士団の連中に守るように言っておく」

「もう…………」

 

 2人のやり取りを見守る年老いた双子の猟犬は、クァ、と欠伸をした。

 

 

 

 

 カンカンと鉄を打つ音が響く。緊急事態を報せる音だ。モンスターの襲撃。

 民は街の奥に避難し、騎士達は城壁に集う。よくある光景。ただ一つ、違うのは………。

 

「ピィイイイイ!!」

 

 群れの中に、これまでの群れの長よりも強大な個体が居た。

 

「漆黒の毛並みに、角…………カルノノスだ!!」

 

 数多の城壁を砕き、騎士を、戦士を蹄で踏み砕き、あるいは角で貫く名持ちの魔物。騎士達を薙ぎ払いながら城壁へと突っ込んでくる。

 

「くそ! ダイール、他ドワーフ! 盾を構えろ!」

「「「おう!!」」」

 

 ゴォールの言葉に同胞(ドワーフ)に鍛えさせた鋼鉄の盾を地面に突き刺し構える。カルノノスについてきた角が剣のような鹿の魔物なら30匹程度同時に突っ込んでも跳ね返せる自信があった。

 

 だが、カルノノスは纏めて吹き飛ばした。

 

「ダイール!!」

 

 突進を止めた。他の国の騎士団や傭兵達には出来なかった快挙だ。だが、二度目は無理だ。

 ブルブルと首を振るカルノノスは地面に横たわる骨の折れたドワーフを一瞥した後、興味を失ったように人の住処である街を守る城壁に視線を向ける。

 

「くそ! 行かせるな!!」

 

 ゴォールが駆け出すが、遅く。カルノノスは既に走り出した。もう止められる者は居ない。

 城壁の上から矢を射る兵士達も慌てて逃げ出し…………

 

「ピィ!?」

 

 カルノノスが、城壁にぶつかる前に吹き飛ばされた。

 目の良い者達はギリギリ見えた。体高が8メドルはある巨大な魔物を、子供ほどのサイズしかない騎士が槍で殴って吹き飛ばした。

 

「遅れた」

「マクール! 何だ、その頭のたんこぶは!? どうして濡れてる!?」

「サーバが苦しんでたから腹の子なんてどうでもいいからなんとかしろと産婆共に言ったら、サーバが桶をぶん投げてきた」

「……………そ、そうか」

 

 マクールはカルノノスを睨む。先程まで騎士達などまるで相手にもしていなかったカルノノスが、警戒するように地面を踏みしめ唸る。

 

「妻が苦しんでるんだ。クソ王め、休みを寄越したくせに………」

「お、おい…………?」

 

 マクールの紅い瞳が、さらなる紅を帯びる。

 

(くそ)が!!」

 

 地面を砕くほどの踏み込みで駆け抜ける2匹の獣。決着は一瞬。

 カルノノスの頭部と背中が消し飛んだ。

 

「……………え」

「い、一撃?」

 

 群れのボスを失い混乱する鹿の魔物達も、戦場を駆け抜ける風により次々と灰へと還っていく。

 

「!! なにをしている! 残党を討て!」

 

 ハッと正気に戻ったゴォールの号令に慌てて騎士達が魔物達へ殺到する。決着はすぐついた。

 

「勝鬨を上げろ!!」

「「「オオオオオオオオオ!!」」」

 

 マクールは直ぐ様踵を返した。そういえば子供が産まれそうなのだったか。

 

「ダイール! 無事か!?」

「っ! ああ、死んではいない。しかし、大したもんだな我等が団長は………」

「私は………何も出来ていない」

「何をいうか、お前の指示がなければ、もっと被害が増えて、最悪城壁も突破されていた」

 

 ダイールは大したものだ、とゴォールの背中を叩いた。

 

「騎士達よ! 最大の功労者を讃えよ!」

「っ!!」

 

 別の騎士団の団長が叫んだ。途端に、騎士達は各々の得物を天に掲げその名を叫ぶ。

 

「「「マクール!! マクール!! マクール!!」」」

 

 称えられるのは、ここには居ない小人族(パルゥム)の勇士。ダイールは仕方ないと肩を竦めた。

 

「奴め、いいとこ取りを。まあ、子供が産まれるらしいからな………」

「……………ああ、そう……だな」

「ゴォール?」

 

 

 

 

 

「サーバ!」

「……………お引き取りを。私はこの子の父を待っています」

 

 病室に飛び込むと赤子を抱いたサーバがジロリと睨んできた。まだ怒っているようだ。マクールはすごすご病室から出ていく。

 

 暫くすると産婆が出て来て、肩を叩き中に入るよう促す。

 

「…………サーバ。俺は………」

「………解っています。顔も知らぬ我が子より、私の方が大事だったと。そういうことでしょう? 全く貴方は、情緒はまるで子供なのですから」

 

 呆れたように、まだ少し怒っている声色のサーバの言葉につい先程国すら滅ぼす怪物を一撃で消し飛ばしたマクールは怯む。

 

「これが、この子の顔です」

 

 差し出された赤子を恐る恐る受け取る。

 

「………猿のようだ」

「ええ、しかし直ぐに目鼻もはっきりしますよ」

「………そういうものか」

「そういうものです」

 

 と、赤子が手を伸ばしてきた。

 

「お、おい! 動いた!!」

「動きますよ。生きているんですから」

「……………」

 

 片腕で支え、反対の手でそっと触れようと指を伸ばす。虚空を彷徨っていた小さな手がマクールの指を掴んだ。

 

「……………名前」

「はい?」

「この子の、名前は………?」

「フィアナ…………この子はフィアナ。貴方と私が生きた証」

「俺の生きた………フィアナ…………フィアナ!!」

 

 そっと指を放させ、両腕で抱きしめる。まだ、良くわからない。だけど、これはきっと大事なものなのだろう。

 

 

 

 

 

「予言の(とき)は過ぎた。これで、問題はあるまい」

 

 コーマック王の言葉に家臣達は返答に迷っていた。やがて視線が集まったのは、肥満の老人。マルディだ。

 

「え、ええ………しかし、国民が納得するかどうか」

「ここは余の国だ。なぜ、そこに住まわせてやっている民の声に余が従わねばならぬ」

「い、いえ! そのようなつもりでは…………!」

「ならば文句はないな? 妻を、最愛を……余の后を迎えに行く!!」

 

 

 

「うふふ。ねえ、私、もうすぐ后になるのよ?」

 

 深い森の中、美しい女は幼子がぬいぐるみに語りかけるよう()()に語りかける。

 

「その国には、貴方と同じ小人族(パルゥム)が居て、騎士をしているの! 誇り高き騎士、勇猛な王の槍!」

 

 ()()は、しかしぬいぐるみなどではなく、きっとこの世のなによりも悍ましい所業を形にしたもの。

 

「ああ、私、そんな騎士様に会いたいの! これから王様の后になるのに、顔も知らぬその方を想うだけで体が熱くなるのよ!」

 

 発情した娼婦のような甘い声。とろける様な毒の匂い。悍ましき蜘蛛は、()()()()()()()()()()()()に語りかけていた。

 

 

 

 

 

「聞いた、エイネーお姉様? コーマックの偉大な騎士」

「聞いたわミルクラ。小人族(パルゥム)なのでしょう?」

 

 また、別の場所。姉妹のように良くにた二人の女がキャッキャッと若い町娘のようにはしゃいでいた。

 

小人族(パルゥム)の騎士様なんて、初めてだわ!」

「きっと可愛らしくて、素敵な方よ!」

 

 愚王、毒婦、そして魔女。悪意は静かに動き出していた。

 

 


 

 

マクール

『フィアナ騎士団』前身の『マクール騎士団』団長にして、『凶猛の魔眼』の現所持者。意志の力だけで魔眼の力を抑え込んでるちょっと凄い人。使っていれば一夜で国を滅ぼす程の力を得るが現状では大きく弱体化している。

髪は本来茶髪だったが幼年期瞳のせいでまともに眠れずストレスを溜め込み白髪となっている。

 

 

サーバ

マクールの妻。体が弱く、自分の身を自分で治そうと薬学を学んでおりマクールに助けられて以来『マクール騎士団』の小姓(ペイジ)兼薬師をしていた。

マクールはお互い酔った勢いで行為に及んだと思っているが、実は蟒蛇。

 

 

 

エイネー、ミルクラ

変態姉妹。

フィン・マックールについて調べてたらおもしれー姉妹がいたのを見て指が勝手に動いた。

 

 

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