ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
幕間って事で皆が見たい時を渡る獣。
作者も書きたいしね。
アルフィア。
【ヘラ・ファミリア】所属のLv.7。7年前の大抗争にてオラリオに甚大な被害を齎した覇者の1人。
大抗争の際が24歳で、ゼウスとヘラがオラリオの次代への踏み台になったのがそこから8年前。
つまりゼウスとヘラが健在な時点でアルフィアは最高でも16歳のLv.7。字にすると改めてすごいな、と十歳でLv.6になりその翌年にはLv.7になったリリウスは思っていたが、どうも更に幼い。
もちろん
初対面の相手にそんな事を言われ、いい気分がするわけもなく11、2歳程のロリフィアは不快そうにリリウスを睨む。
初対面の怪しい者を見る目。当然と言えば当然で、そもそもアルフィアがリリウスに向けた優しさは死した妹と同じ髪の色に、自身等の未熟さが生んだ時代に子供が英雄候補へと至らざるを得なかった罪悪感があったから。
妹も健在で黒竜……それこそ3大
「おい、なんだその顔は…………」
「………………あー」
ひっどい顔だ。知り合っても居ない彼女に、不審な目を向けられただけなのに。
「……………お前が、母親に似てたから」
「私が子を産んでいるように見えるか? それ以前に、私が男と子をなすように見えるか?」
これは怒りだろう。そもそも病弱な彼女達姉妹が子を宿したところで産めるかも分からず、なんなら子にも『病魔』が受け継がれることを恐れている節があったアルフィアに、それは不快だ。
「…………ごめん」
「………いや、私の方も八つ当たりだった」
素直に傷つき素直に謝る。怖れられるか羨まれるか、基本的にそれしかないアルフィアには新鮮で、髪の色も相まり妹を思い出してしまう。
「………その母は?」
「死んだ……………」
アルフィアが目を見開き、すまないと口を開きかけるもリリウスはいや、と続ける。
「…………俺が殺した」
そこだけは隠したくなかった。リリウスの言葉にアルフィアはしばしリリウスを眺める。
「…………すまない」
「なんで謝る」
「それを望んでいなかった事ぐらい、顔を見れば解る」
「……………」
「だから、すまない」
何とも言えない沈黙が流れる。静寂を好むアルフィアも流石にこの沈黙は望まない。パン、と響く柏手の音。静寂を吹き飛ばす音にアルフィアは初めて感謝をした。
「それじゃあ、お互い様ってことにしましょう」
「……………ああ」
「…………」
デメテルの提案にコクリと頷く2人。
「…………アルフィアだ」
「……………」
因みにデメテルには未来から来たことは言っている。そんな彼女に本来の名前は隠すように言われた。いずれ産まれるリリウスがいるからだ。
「…………」
今更ながら偽名を決めていなかった。知り合いの名前………も未来に産まれる。なら二つ名やスキル?
「………マクール」
最終的に思い出したのは英雄フィアナの父親の名前。
「それじゃあマックちゃん、アルフィアちゃんの荷物持ちをしてあげられる?」
「…………………」
早速デメテルに略された。
何故か銀髪の
「いや、神デメテル、私は別に………」
「駄目よお。最近物騒だもの、女の子が1人で帰るなんて」
そういえばこの時代、
「…………いいのか?」
アルフィア程の強者なら確かに命を狙われるだろう。リリウスなら大概の相手は殺せるが、それはアルフィアの成長の機会を奪いかねない。
「マックちゃんは今の時代を知るべきよ」
「……………今の時代」
「また浮気をしたな! 許さないんだからね、ダァァァリィィィィン!!」
「どうして私だけを見ない! 何故他の女を見る! 私だけで満足しないいい!」
「浮気したな浮気したなウワキシタナアアアア!!」
純白の花嫁衣装のような
「…………これが今の時代」
「【
「「「げぇ!? アルフィア! ぎゃあああああ!!」」」
「「「こ、この小娘え!
響く鐘の音が第一級を蹂躙する。今のアルフィアは恐らくLv.4程度だろうに。
「くっ、だがダーリンが止まった!」
「今のうちに監禁して調教して私以外目に映らないように!」
「逃さないよぉ、旦那様ぁぁ…………」
明らかに耐久に優れたドワーフの男すら気絶しているのにエルフの少女が幽鬼のようにゆらりと立ち上がる。
そのまま女達は男達を連れて行く。
「…………これが今の時代」
「…………………」
もう一度呟くリリウスにアルフィアは無言だ。と、リリウスは不意に振り返る。獅子色の髪を持つ手足の長いドワーフが怒り心頭の表情でやってきて口を開こうとし………
「がふぁ!?」
音速の
ドワーフの種族的耐久、上級冒険者としての『耐久』は灰髪の魔女が放つ無言の腹パンに何の意味もなさず突風に煽られたボロクズのように吹き飛んでいく。
「下品なクソガキめ。あの子の食事を運ぶ途中に絡むなと何度言えば分かるのか……相変わらず喧しく喚きおって」
「口を開く前に吹き飛ばしていたが」
「存在が五月蝿い」
「おう、理不尽」
これが今の時代。
「狙っていたのは俺だと思うが」
「? 私の前で五月蝿くしたのは変わりない」
理不尽の化身か?
そうこうしている間に【ヘラ・ファミリア】のホームに着いた。門番にアルフィアと歩いていることに驚かれた後新入りか尋ねられたので否定しておく。
「いい機会だから覚えておけ小僧」
「俺の方が年上………」
「【
「神々の言う地雷原に飛び込むような趣味はない」
「飛び込まずとも向かってくる場合もある」
「? よく分からないが、分かった。気をつけるよ。ありがと、アルフィア」
リリウスがアルフィアを見あげながら微笑む。アルフィアの母性ゲージがギュンと上がった。
去り行くリリウスの背中を見送り、門番はアルフィアに振り返る。
「…………貴方、男の影を見ないと思ったら年下少女趣味だったの?」
「彼奴は私より年上だし、後男だ」
「え、男の娘なの?」
と言うかここに来るまで明らかに他人に興味でもないかのように無表情だったくせに、なんで自分にはあんな人懐っこい笑みを向けるのか。
そう、それだけだ。気紛れな猫が懐いてきたみたいなそんな感覚に違いないのだ。
リリウスは期間限定ジャガ丸くんを食べていた。未来では見たこともない味なので買ってみたのだ。
その周りにはリリウスを勧誘しに来て見事に振られ、面白半分に実力行使に出させた神の命に仕方なく従いボコボコにされた眷族とゴミ箱に頭から突っ込まれた神々。
「次はこの白玉入りジャガ丸くん小豆バター味を30。持ち帰りで」
「へい!」
そろそろ帰らないとデメテルも心配するだろうからリリウスは持ち帰りにして帰路につく。その間もモグモグ食べている。と………
「ぷぎゅ!?」
「…………」
曲がり角から飛び出してきた少女とぶつかった。ジャガ丸くんを持っていたから速く動くわけには行かなかったのだ。少女は大岩にぶつかったように弾かれリリウスは小動もしない。
「ちょっともう! なんなの、ちゃんと前を見て歩きなさいよ! 男の人って一つの方向も見れないの!」
【ヘラ・ファミリア】の
デメテル曰く【ヘラ・ファミリア】の多くの眷族が
そのためヤバいと有名なヘラの眷族にも毎回手を出し浮気する。1000年間続く風習のようなものだとか。この女も浮気の被害者にして残虐処刑の加害者なのだろうか?
「悪かった。立てるか?」
と、リリウスは手を差し出す。間違いなく血縁関係は一切ないのは匂いで解るが、それはそれとして妹に似ている。後妹を忘れても無意識に年下に優しくなっていたクセは簡単に消えない。
「………………」
少女は差し出された手をジッと見つめる。リリウスが首を傾げると少女の顔がボッと赤く染まった。その手を受け取り立ち上がるが、とても嫌な予感がする。
「……て………れた」
「………………?」
「手を差し伸べてくれた手を差し伸べてくれた手を差し伸べてくれた手を差し伸べてくれた手を差し伸べてくれた手を差し伸べてくれた手を差し伸べてくれた手を差し伸べてくれた手を差し伸べてくれた手を差し伸べてくれた手を差し伸べてくれた手を差し伸べてくれた手を差し伸べてくれた手を差し伸べてくれた手を差し伸べてくれた手を差し伸べてくれた手を差し伸べてくれた手を差し伸べてくれた」
「……………」
リリウスは無意識に一歩後退ると同族の少女はズイと2歩迫る。
「あ、あのすいません…………突然、変なことを聞きますけど」
「………………」
「子供は、何人欲しい?」
「…………………………………………………………………………え?」
「私は四人欲しいんです。男の子が一人、女の子が3人。あ、勘違いしないで欲しいんですが男が嫌いってわけじゃないですよ? あはは、なんか言い方ちょっといやらしいですね。その、私って男家族で育ってきたので女の子が沢山の家庭に憧れているんです。あ、もちろん名前は2人で決めましょう。私はフィアナ騎士団から名前を取るのがいいと思うんですよ。将来とても強くなると思いませんか? それでペットを飼うんです。犬が二匹がいいなあ。知ってます? フィアナ騎士団の前身、フィアナの父マクールは2匹の猟犬を飼っていたって逸話があるんです。英雄じゃないからあまり知られていない事ですけど。あ、ごめんなさい、実は私結構神々の言うオタク? なところがありまして。あ、その、勘違いされないように先に言っておきます。そのさい知り合った方がいるんですけど別に彼とは全然そういう関係にはなってないですよ? もちろん勘違いなんてしないで私を信じてくれるって信じてますけど愛に障害はつきものなんて言葉私嫌いで、やっぱり事前にそこそこ仲のいい男性の知り合いが居るって伝えてないで後で勘違いなんて私、嫌ですもの。これまで付き合った男達も居ますけど、今思えば浮気ばかりで本気で愛してくれない人達を本気で愛する必要なんて無かったですよね。彼はそういう仲になってないから、今でも友達として過ごしています。本当にただの友達ですよ? 貴方にも仲のいい女の子ぐらい居ますよね? ああ、もちろん私は勘違いなんてしませんよ。でも名前ぐらいは覚えておきたいな。貴方みたいなステキな人に雌豚どもが発情しないわけないもの。安心して、貴方は優しくて冷たく出来なくても私が対処します。もちろん平和的に。優しい貴方が例え厭らしく発情した淫乱な雌豚でも女性が傷付くのを良しとするわけないではからね。大丈夫、私はあなたをちゃんと理解しています。これって愛の力ですよね? 愛の力なんです。愛って素晴らしいんですよ。主神様も言っていました。主神様は悪い噂も多くて怖いイメージも持たれていていますし実際そのとおりなんですけど、愛する
ニコリと、とても美しい笑みを浮かべる。
「貴方の名前、教えてください」
「ひぃ………」
名前も知らない相手に赤裸々に愛を語ったのか、と突っ込もうとしたリリウスの口から漏れたのは弱々しい声。
未知の存在にリリウスは初めて恐怖を覚えた。