ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
「はー、怖かった〜」
アフロディーテは嘆息する。アレスを釣る囮になったアフロディーテだが、ヘスティアと話しているところに遭遇したアレスは何故かヘスティアを誘拐。恩恵を得た馬に乗り駆け抜けていった。
アフロディーテではなくヘスティアを攫うという突然の事で反応が遅れ逃げられてしまった。ついでに馬もマリウス・ウィクトリクス・ラキアの愛馬で何気にLv.4。『敏捷』だけなら第一級とためを張る。
何処ぞの馬鹿がオラリオ外の邪神に売っぱらった宝玉の胎児を、成体ではないとは言え倒した結果だ。何気にオラリオの外の勢力の一部の試練となってたりするのだ。
馬の主であるマリウスも、オラリオの中だろうと希少なLv.4。途中、戦場で男を貪る気だったアマゾネスに追われてた。哀れ。
その後ダンジョンから戻ってきたリリウスはアレスがヘスティア返還の要求に『アフロディーテとの婚約』を入れたので天に届く光の柱を立てに行こうとしたがアフロディーテに止められた。アレスは馬鹿だがラキアと言う大国を纏めるちょっとすごい神なのだ。馬鹿だけど。
馬鹿だけどいなくなるとラキアに残る従属神達が内乱ごっこしたり侵略競争したりと手が付けられなくなる。大事な部分を3度言い聞かせたアフロディーテによりアレスは送還を免れた。
その後はベルとアイズ、アスフィ、リリウスでアレスの指定した場所に向かうもアレスは馬鹿なのでモンスターの出没するベオル山地渓谷を指定して、案の定雨の中襲われてた。
混戦のなか、ヘスティアが崖に落ちベルがヘスティアを追い、アイズも崖から飛び降りた。
リリウスも後を追おうとしたがアスフィに止められた。前回邪竜の咆哮により集められた竜達により生態系の変わったベオル山地のワイヴァーンの群はラキアの兵やアスフィだけでは荷が重いからだ。
雨で濡れた渓谷で兵を気絶させるのも危険なのでモンスターを瞬殺して縛りあげオラリオに連れて帰った。
そこには鬼が待っていた。
鬼のような形相でブチギレたヘファイストスだ。元とは言え眷族のヴェルフを狙われ、ヘスティアを攫われ、しかもヘスティアは行方不明。
リューやリリ、ヴェルフがいるから無事なのは分かるがヘファイストスはリリウスが思わず木の上に逃げるほど怒気を放っていた。
捕まった分際でアフロディーテを見た瞬間駆け落ちを提案するアレスにヘファイストスは更にキレ、リリウスもブチギレた。アフロディーテはトラウマを思い出しガタガタ震えていた。
「まあ、ヘスティアもヘスティアの子も無事戻ってきたけど」
「そう……」
アフロディーテの言葉にホッと安堵するハルモニア。ベルが崖から落ちたと聞いた時からハラハラしていた。
「でもそっか、ベル………アイズと…………いいなあ」
ポツリと呟くハルモニアにアフロディーテはお、と反応した。
「でも、これで帰れるの?」
「戦争が終わった後も残党が野盗になってたりするからそれの処理が終わってからね」
「もう宿代残ってなくない?」
「馬鹿ねハルモニア」
「なに、なにか考えでもあるっていうの?」
「美男美女が揃っているのよ? なら、やることは一つ! お酒飲ませて話させてお金を毟り取る!」
「それ【フレイヤ・ファミリア】がやってる」
「……………パードゥン?」
「ぱ、なに?」
神の言葉はたまに分からない。
時を少し遡る。
アレスを捕らえ、残党狩りを【ロキ・ファミリア】に任せたフレイヤは早速退屈していた。
そんな折、オッタルが持ってきたのはギルドからの奉仕活動の通達。残党狩りに参加しないなら、と送られてきた。
冒険者のイメージを守りたいギルドとしては、特に恐れられている【フレイヤ・ファミリア】にこそ慈善活動を行ってほしいのだが、当然フレイヤは無視しようとした。が、ふと思いついた。
「慈善活動………社会貢献…………あったわ! 面白そうなこと!」
オッタルは思った。これは、「死ねよオッタル」と言われる案件。
「「「死ねよ、オッタル!!」」」
「で、ここがフレイヤのやってる店ね」
アフロディーテは目の前の店を見てふーん、と呟く。元々買い手がつかなかった元酒場の空き家を改造したようだ。
恐る恐る入っていく女性達とゲンナリ出て行く女性達。一応満足そうなのも居る。
「ハルモニアは連れてこないのか」
「ハルモニアはまだ早いわよ。もっと大きくなってからね」
過保護。
アフロディーテはさて、と扉に手をかけようとしたその瞬間だった。
「引き止めないでください! このままじゃ殺される〜!」
「ぬぎゃ!」
勢いよく飛び出してきた女性に跳ね飛ばされるアフロディーテ。女性の正体はアスフィだ。
「あっ、すいません!? 大丈夫ですか?」
「ちょっと! 何処見て歩いてるのよ! って、あら? 確か、ヘルメスの
「ア、アフロディーテ様!? ええええええ!? 厄介ごとのおかわり!?」
つまり店の中は厄介なことになっている、と。まあ【フレイヤ・ファミリア】だし。戦い以外に能がないというか、戦いに全てを注ぎ込みすぎたというか………女神の事以外特に考えず、毎日闘争を捧げる。そんな連中がやる店がうまく回るとは思えない。
「フレイヤが
と、得意気なアフロディーテ。対して店員達の反応と言えば…
「「「「………低能、下品、そしてうざい」」」」
「フレイヤ様と同じ『美の神』を名乗るの………ほんとやめてほしいなって………」
「うるせえ女はそれだけで要らねえ」
「結論を急ぐな。上辺のみで判断するのは愚物の所業。内面にはまだギリのギリで取り返しが利く
言いたい放題である。
「ちょいちょいちょーーい!!! 美の神に向かってなんて口利いてるのよ、この顔面だけ
「「「「はぁ?」」」」
本気の殺気を飛ばしてきたのでリリウスが殺気を返す。
「あ、チビネコ」
「殺すぞクソチビ」
「ああ? やってみろや怠慢ニャンコ」
リリウスとアレンを見てアフロディーテが仲悪いの? とアスフィに尋ねる。アスフィは無言で頷いた。
「つーかなんだ、いきなり話しかけてきやがって」
「この前お前の妹と歓楽街行ったから、つい」
「死ね」
神速の銀槍。片手で掴まれ、そのままアレンごと持ち上げ床に叩きつけるリリウス。
「あらら、喧嘩ですか? 駄目ですよ皆さん」
と、シルが現れた。
「──!」
シルの姿を見たアフロディーテは目を見開く。
「いらっしゃいませ、アフロディーテ様、リリウスさん」
「………はぁ? 何をしているわけ?」
「雇われ店長です♪」
「…………ああ、そういう遊びってわけね」
胡散臭いものを見る目でシルを見ながら、一先ず納得するアフロディーテ。
「? お二方は、お知り合いなのですか?」
「知らないわよ、こんな『街娘』。初めて見たわ」
アスフィの言葉にアフロディーテは興味なさそうに返す。シルはニコニコ微笑んでいる。
「つい最近もこんなやりとりがありましたね〜。ね、リリウスさん?」
リリウスは興味なさそうに折れた銀槍をボリボリ食べていた。