ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
Q.そういえば、そもそもリリウスは子孫をのこせるのだろうか?
たしか、老廃物やトイレに行かない体質?状態だから、出せないのでは?
A.残せます。
リリウスの体は取り込んだものをロスなく利用しているだけなので生物としての機能はちゃんとあります。だから汗もかくし身長も同世代に比べると低いけどちゃんと伸びてた。
ただし発情しない限りはそういったホルモン分泌は余分と判断しているので、その気にならなきゃ悟り開いた坊主レベルで反応しない。だからアフロディーテとも風呂入ってた。
つまりリリウスが子孫を残すには一定の好感度を持つ相手が必要。
「「「「ああぁぁぁぁああああ! 好きぃ………愛してるって言わなきゃ………殺すぅ!!」」」」
「くらいなさーい! このサイコクレーム(クソデカ感情)をーーー!!」
と、暴れていた推しピ亡者達とアスフィもすぐに鎮圧された。
「「「「どうして………どうしてぇぇ…………あたしを受け入れてよぉぉ……!」」」」
異口同音。一つの生き物であるかのように同じ言葉を残し気絶していく亡者達。きゅう、と倒れる彼女達に重傷者はいない。
リリウスはノソリとソファの下から這い出してキョロキョロと周囲を確認する。Lv.4はいなかったが、Lv.3の冒険者達も暴れ、店はボロボロ。
「すやぁ……………」
暴れてスッキリしたアスフィは酒瓶抱えて寝てる。
「【
「いや、違う──」
「あれは年中働かされる
「こわぁ………やっぱりうちのヘイズよりやばい………」
で、その結果が笑えない結末。
砕けた壁の向こうから月の光が辺りを優しく照らす。
「今度、【
「私は何度か誘ってるけど、忙しくてまたの機会にってしか言われてないよ」
アリーゼとアーディはアスフィに同情した。
「勝負私達の勝ちよね!」
そして空気を読まない我等がアフロディーテ。
「空気ガン無視で何を言ってる」
「この状況で勝敗なんて………完全に有耶無耶になったと思うんだけど………」
「最後の方は【
「あたしを巻き込むんじゃねえよ」
「優勝は、【アフロディーテ・ファミリア】に決定〜♪」
アフロディーテの言葉に眷族達がクラッカーをパンパンと鳴らす。
「「「FOOOOOOO〜〜〜!! ドンドンパフパフ☆」」」
「いやこっちの話聞けよ」
当然アフロディーテが人の話を聞くわけがない。
「【
と、神っぽく感謝するアフロディーテ。
「こちらも貴重な経験ができたよ……だが、店は悲惨なことに」
「【フレイヤ・ファミリア】の皆も、よく健闘されました。都市最強の貴方がたと戦えて、誇りに思います」
「「「「店の状況ガン無視すんな」」」」
「そう!! 私達の勝利ってことはつまり!!私達は【フレイヤ・ファミリア】よりつおい! ああ、なんて気分がいいのぉ〜!」
威厳タイム終了。
「ま、悔しかったら今度はそっちから殴り込みに来なさい? リベンジマッチなら受けてあげる! 私達はここで失礼するわ! 決して店の弁償代を払いたくなくて敗北も引き分けも認めないわけじゃないんだからね!」
全部語るじゃんこのおバカ。語るに落ちるってレベルじゃない。
アフロディーテはそのまま逃げ出す。
「じゃあねフレイヤの眷族! 追ってくるんじゃないわよ!」
「「「アデュー☆」」」
取り残される【フレイヤ・ファミリア】と気絶した客、場の混乱に困惑していた客を逃がしていたアリーゼ達とフィン。
「ところで今さらだけど、このお祭り騒ぎはいったい何だったんだい?」
「みなまで聞かずとも分かるだろう…………ただ、女神の暇つぶしに巻き込まれただけだ」
「ふふ、楽しかったですね皆さん♪」
と、シルは本当に楽しそうに笑う。
「とりあえず、私達も帰る?」
「…………………用がある」
と、リリウス。用? と首を傾げるアーディ。
「ここは女の子達が笑顔になる店なんだろ?」
今日一日笑顔になれない女の子達が居たのをリリウスは知っている。
「やっと終わった………あの脳筋共…………片付けも手伝わないで」
「空が、白いですねヘイズ様………」
「あ、そろそろ『洗礼』の時間」
ロナとイルデの言葉に『
しかも回復が遅いだの、料理を早くもってこいだの文句を言われるのだ。マジでぶっ殺してやろうか彼奴等。
「いえ、まあ………あんな奴等でも等しくあの方の所有物。どんなにムカついても…………ええ、どんなにムカついてもあの方の為にある在り方を否定はしませんが」
だがこちらも尊重してやってんだから向こうも尊重しろと思う。思うだけでなく口にも出したが強さだけで上に立ち忠誠も尊敬も向けられないあの猪では役に立たない。
「……………?」
と、ホームの前に人影を見つけるヘイズ。
「…………どうも」
【
「……何か御用で?」
並べられると言っても、比肩するとは言い難く。何ならアミッドのレベルがあと2つほど低くてようやく比肩すると言えるような互いの実力。自分以上の
「昨夜リリウスがやってきて、今日一日この場の『洗礼』を手伝うように、と」
「………………は?」
「『あの店は女の子を笑わせなきゃいけないらしい』とのことですが…………あの、リリウスも働いていたという噂は本当だったですか?」
爪の垢を煎じて猪にぶっかけたくなってきたがすぐに首を振る。なるほど確かに、【ディアンケヒト・ファミリア】は別段敵対派閥というわけではない。
敵対関係とも言える【ロキ・ファミリア】と懇意であるが製薬・治療系派閥が有力な派閥に依頼を出すなどよくあること。だが………
「お気遣いは結構。我々には女神より任された使命を果たすという誇りが………」
「後何故か、『豊穣の女主人』のシルさんが『皆さん、ちゃんと休んでくださいね☆』と………」
「晩餐まで休憩しますよ、皆さん!」
「「「「はい! ヘイズ様!」」」」
「何者なんですか彼女」
「寝すぎた…………」
月はすっかり昇り、深夜。久々の休日を完全に寝て過ごす『
流石に料理まではお願い出来ないだろう。というか聖女の料理とか絶対健康面のみを考えた入院食だろう。
まあ今回ばかり文句を言われるのは仕方ないと起き上がり、ふと首を傾げる。そういえば何で起こしにこないのだろうか?
「起きたか」
『
「今日一日何も食ってないだろうから、食いやすいキチュリにした」
と、
ホクホクと湯気が立つ粥を前に『
「スパイスが苦手ならキールもある」
米を牛乳で煮込み甘く味付けした粥だ。こちらもいい匂い。
「どうして…………」
「お前には借りがある」
「? 6階層の事ですか? あれならあの方が貴方への謝罪と………」
怪物祭にてモンスターを街に放ったフレイヤへの報復だったらしく、フレイヤ自身がドロップアイテムやダンジョンの採取物を奪われたこと、眷族達がボコボコにされたことを不問としている。そりゃ確かに酷使されたが、実は普段より楽だったり正直いい気味だとも思った。
「違う。ベヒーモス」
「……………ああ」
そういえばアミッドと二人がかりで癒していたっけ。まあ結局、ソーマが器を更新させることで適応させたのだが。
「それにあの店は女の子が笑わなきゃならないらしいし。お前達笑えてなかったろ?」
「………ところでこの壁は」
「おとなしく食えって俺の命令無視したから凍らせた」
「つまり、この人達に料理を作ったと?」
そのうえで半分以上は満足して部屋に戻ったということ。ヘイズはリリウスの両手を己の両手で包む。
「【フレイヤ・ファミリア】の団長になってください。貴方ならあの猪をやれます」
「え、やだ」