ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
「げふぁ!?」
ベルが吹き飛ばされた。吹き飛ばしたのはリューだ。
「申し訳ありませんクラネルさん。やはり私はやりすぎてしまう」
「い、いえ………
やりすぎないようにと注意しやりすぎるリューと、治す前提でやりすぎるところから修行とするリリウスならリューの方がまだ優しい。
回復魔法があるからって容赦ないんだ、あの人。リューも回復魔法前提なところはあるけど。
「リュー、ベルをいじめちゃ、めっ!」
と、リューとベルの間に割り込む小さな影。かわいらしくも美しい顔立ちは
「ち、違いますウィーネ、私は………」
「むー!」
そんな怪物がぷりぷり怒った幼女のように頬を膨らませ、リューはアワアワと慌てる。その様子を思わず笑ってしまうベルをリューは睨んだ。
「大丈夫だよ、ウィーネ。リューさんは僕を鍛えてくれただけだから」
「うう? 鍛える?」
「そう。強くなるために戦い方を教えてくれてたんだ」
「そう、なの?」
うん、とベルが頷くとウィーネと呼ばれた怪物………
「ごめんね、リュー………」
「…………ええ、はい。謝罪を受け入れます」
リューはそう言うとウィーネはぱぁ、と笑みを浮かべる。
自分の非を認め謝罪する。少なくともリューの故郷の同族達には出来ない事だ。やはり『彼女達』は純粋だな、とそう思う。
だからこそ隠し事に引け目を感じるわけだが。
「ええ、本当に心苦しかった」
「でも隠してたんですよね? ね?」
「ね〜?」
「リ、リリ………その辺に…………」
そして現在、リューはリリに詰められていた。よくわかっていないノエルも真似する。
「いいえベル様。もっと反省させるべきです、ここまでのことを、リリ達が無関係なら隠すのは仕方ないとしても、せめてウィーネ様の時に教えるべきでした」
場所は20階層。中層と呼ばれる冒険者がまあまあ来る階層で、しかし冒険者に知られていない未開拓領域。
ヘファイストス、タケミカヅチ、ミアハなど信頼できる神々にウィーネについて相談したり、ダンジョン探索したりと色々して何の情報も得られなかったのに、まさかリューが全部知ってた。なんならアストレアとその眷族全員も知ってた。
アストレアは用事があるからと来なかったが、ヘスティアに嘘をつきたくなかったのだろう。
「
人と変わらぬ理知を持ち人の言葉を話し、地上は人に対して敵意ではなく情景を持つ
他に知る神々はヘルメス、ウラノス、そしてガネーシャ、そしてソーマ。ギルドが命じ【ガネーシャ・ファミリア】に
「でも兄様も知ってたんですよね?」
リリが一番不機嫌な理由はそこだろう。兄との秘密があるのがムカついているのだ。
「リリスケって、やっぱ相当なブラコンだな」
「リリはブラコン?」
なぁに、それ? と首を傾げるノエルにヴェルフは忘れろ、と答えを濁した。
「兄様がよくダンジョンに籠もる時は彼等と?」
「ん〜。私もできれば一緒にいたいのですが…」
リリの言葉にむむむ、と唸るハーピィ。名をフィア。聞けば、彼女こそリリウスと最初に接触した
「リリウスは特に強い同胞達を連れ潜るのです」
つまり実質的なリリウスのパーティーメンバーが
「リド様達より強いのですか?」
この中でも特に強いリド、グロス、レイ、ラーニェ等は明らかに第一級。それよりも上ということだろうか?
「一人は我々より劣っていますが……あ、でも速いですよ。強さというより、やる気ですね。リドやグロス達はリリウス達曰くれべるろくらしいです!」
オラリオでも最強候補に挙げられるレベルだ。Lv.7が増えたことで挙げられる最低限の値と言えるが、それでもオラリオにおいてすら規格外の領域。
「それ以上が兄様と………」
言葉を交わせるとは言え、そんな規格外の怪物が兄と。やはり人類である以上思うところがあるリリ。
「わかります。ずるいですよね!」
プンプンとご立腹なフィアはバサバサと翼を羽ばたかせる。
「私もリリウスと一緒にいたいです! 私が最初に仲良くなったのに!」
「…………フィア様は、兄様が好きなのですか?」
「はい、大好きですよ! リドもレイも、口ではああいうグロスやラーニェもリリウスが大好きです!」
そういう意味ではないのだが……しかしそれはそれとして兄は
「私達が地上に出たいといったその日、リリウスはそのまま地上につれて行こうとしてくれたのですよ」
「え、それは………」
「はい。無理ですよね!」
それくらい、お馬鹿なフィアだってわかる。
「でも、フェルズやウラノス様、エウロペまで無理だって思ってることを、彼は無理と思わないんです。私達も人類も、リリウスにとっては同じなんです」
それがたとえ、幼少期過ごしてきた環境により人と怪物の境界が曖昧になっているだけだとしても。
「当たり前のように私達が地上にいていいって言ってくれるリリウスが、皆大好きなんです。リリウスは、暖かくて、太陽みたいな子なんですよ!」
「………………………そうですか」