ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
やっぱりリドさん達、強い。それがベルの感想。
リヴィラの街を襲撃した『武装したモンスターの群』即ち
派遣されたのは【ガネーシャ・ファミリア】で、討伐ではなく
ギルドが取れる最低限の案だったのだろう。フェルズはベルに同行させ
そしてベルが18階層にたどり付き、人と怪物の争いが始まり、リドはもう関わるなとベルを帰そうとした。それでもついていこうとしたベルにリューが渡したのは
【アストレア・ファミリア】でも攻略不可能と判断された魔窟にて、ベルは
団長ディックスの扱う
後は単純な強さの問題。
「がぁ………クソ!」
「ウィーネの石を、返してください!」
ヴィーヴルの紅石。奪われるとヴィーヴルは凶暴化する。それは
体躯が肥大化し、足は溶けるように竜の尾となり本来の
今もなお己の破壊衝動と戦うウィーネを救うためにベルはディックスへ歩み寄る。
「そんなに欲しけりゃ、くれてやるよぉ!」
「!?」
ディックスはウィーネの紅石を投げ捨てる。下の階層へと続く縦穴に向かう紅石をなんとか受け止めるも落ちそうになり、しかしリドが慌てて掴む。
ディックスはフリー。
「気に入らねえが………ああ、あのクソ神の言う通りに動いてやるよ! 【迷い込め、果なき
「あ、あああああ!?」
再び放たれる
ウィーネが見せられたのはベルの幻。地上へと続く一本道へ進むウィーネを慌てて追いかけるベル。
竜種のポテンシャルを持つウィーネはそのまま地上へとその姿を晒してしまった。
地上ダイダロス通り。
フィンは【ロキ・ファミリア】を布陣させていた。
情報はないままリヴィラの襲撃を
残念ながら現れたのは怪物であったが。
竜の尾と翼と、醜悪な『女』の上半身を持つ怪物。その怪物から人々を守ろうとするフィン達より先にたどり着いていた冒険者。
先を越す冒険者に驚きつつもフィンは槍を放つ。怪物も相対する冒険者も反応出来ない閃光の如き投擲。
モンスターの皮膚を容易く貫き振り上げられていた左手を壁に固定する。
ただの槍。しかし大型級のモンスターの体は一瞬浮かび上がり槍が刺さった壁に叩きつけられた。
「…………ぁ」
冒険者は絶望したような表情でこちらを見る。彼については知っている。
何かと都市を騒がす有名人。異界の精霊騒ぎでは世話になったベル・クラネル。何故彼がここに?
「……………っ」
「……………」
そして何故
「団長………あのモンスターは」
「額の
疑問はあれど今は優先事項がある。住民を守るためにもモンスターは殺す。
「…………ベル?」
アイズはベルを見ながら、少し前を思い出す。
ダンジョン帰り、何やら悩んでいる様子のベルを見つけたアイズは話を聞いてあげることにしたのだが、その時ベルに問われた。
『アイズさんは、モンスターに生きる理由があったとしたら………僕達と変わらない感情を持っているとしたら、どうしますか』
何を言っているのか分からなかった。
モンスターは世界の『毒』。多くの命を奪い涙を流させる『害』であり、滅ぼすべき『悪』。
だからアイズは怪物を殺すと、そう答えた。
どうして今、そんなことを思い出すのだろう。
何か………何かが決定的に食い違う。そんな予感。目の前にいるベルが自分の前から消えてしまうような………。
「ちょっと、何よあれ」
「ア、アルゴノゥト君………?」
その光景にティオネとティオナが困惑する。
「儂の目の錯覚か、あれは」
ガレスもううむ、と唸る。
「フィン………」
「………どういうつもりかな?」
リヴェリアはフィンに尋ね、フィンも答えが出ない。
ベルは武器を構える。モンスターに向かってではなく、フィン達に向かって。
人が、モンスターを庇っている。【ロキ・ファミリア】の登場に歓声を上げていた迷宮街の住民達も困惑の声を上げた。
(………何を、してるの?)
少年が怪物を、
何もつけていない左手の薬指の付け根に締め付けられる様な痛みが走る。
「なんのつもりだ………」
一歩踏み出そうとしたベートへの返答は、魔法。
「………ああ?」
後に神々は語る。この日、この時、この場所こそが転機。
英雄は零落し、愚者が生まれた瞬間であったと。
「この、ヴィーヴルは…………僕の獲物だ! だから、手を出すな!」
「フェルズ、聞こえるか?」
『リリウス!』
階層主を殺し生み出されていた竜の群を全滅させ、魔界を超え通信が戻る。
「状況は?」
『…………ベル・クラネルが……【ロキ・ファミリア】からウィーネをかばった。民衆にも見られてしまった………っ、待て! リド!』
「…………」
忙しそうなので通信を切る。リド達も動いたようだ。
リリウスはヴリトラの頭の上で地上を見る。
【ロキ・ファミリア】相手にリド達………数次第なら負けはしないだろうが、勝てもしないだろう。いたずらに傷つくだけ。
「…………【
溢れ出す膨大な魔力。世界の法則を歪める魔なる法が顕現する。
「【
頭上に乗るリリウスの魔力から、リリウスが先を急ぐのを感じ取ったヴリトラは身を捩る。
何度でもリリウスと殺し合う為に蘇る
以前手にしていたただただ熱量を上げた末に放つ『死の光』は生まれ直したことで今は失っているが、貫通力は前世に迫る。
吐き出される熱線が複数の階層をぶち抜き赤いマグマが飴のように形を歪め雨のように降り注ぐ。
「【
マグマの熱を一切気にせずリリウスの詠唱は続く。
「【
未だ続く、超長文詠唱。膨大すぎる魔力はとうとう重力すら歪め宙に浮くリリウスをヴリトラは器用に頭に乗せ地上へ向かう。
「【
「【サンサーラ・マンダラ】」