ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
IFリリウス
賢者リリウス
フェルズがアーデ兄妹を保護した世界線で生まれるリリウス。
Lv.4の
発展アビリティは神秘、魔導、鍛冶。
夜遅くまで本を読み普段は『速読』の効果が付与された眼鏡をしている隈付き眼鏡っ子(♂)。
本来の才能をいかんなく発揮してモンスターのドロップアイテムを使い第一級に匹敵するフレッシュゴーレムとか造りまくる(一体約12億ヴァリス)。一人で勢力を作り出せると警戒されてる。夜蛾学長みたい。
資金は動くアポロン像とか造って稼いでる。ロキにメイドゴーレム造った時はロキが眷族にボッコボコにされた。
この世界では異端児そのものが強化されないがアイテムが充実している。
「何でも力で解決する
こちらの世界ではアレンよりヘディンと仲が悪い。
世界に反発するだけの小賢しい
常に命の危険に晒されずとも、そこそこ理不尽な目に遭っていた彼は謙ることはしなかった。
蛮勇でも勇気でも誇りでもない、ただの諦めたように下を向く同族を内心で見下し自分は違うと思い上がるただの傲慢。
村がモンスターに襲われた時、自分より小さな女子供、何時もいじめてくる悪ガキどもを助けたのだって勇気よりもただ自分は失敗しないと言う勘違いから。
千の知識はモンスターの前で役に立たず怪物の爪牙が迫る中、彼を庇ったのは彼が普段情けないと見下していた両親。
怪物の前に立ったその姿に少年は確かな『勇気』という希望の光を見た。
少年は故郷と姓を捨てた。
親からもらったディムナの名を姓とし、同族の言葉で光を意味するフィン。
多くの同胞に希望を見せるために。同胞達に自分達ならやれるのだと証明になるために。
しかし誰よりも早く彼に追いつき、誰よりも速くフィンを追い抜き昔日の英雄達に追いついたのは光など届かぬ暗闇の中で藻掻いていた同胞。
彼の闇を払ったのは勇者という光ではなく多くの人々。【
「リリウスに動きはないか………」
一度監視を撒いたらしいが、それも仕方ない。Lv.7に匹敵するモンスターが姿を隠している以上幹部を動かせず、反発すれば殺されるなら敵意は持てても敵対行動に移れない程度の団員が望ましい。
実際リリウスは監視を放置している。その気になれば何時でも逃げられる檻は単なる住処で、何時でも撒ける監視員はその辺の鳴く虫………。
絶対強者故に足下に目を向けない。その慢心を利用する………。
「………という前提を理解されているんだろうな」
その上で慢心でもなくリリウスは【ロキ・ファミリア】を脅威に思っていない。なんならリリウスも言っていたがいずれ来る竜の谷攻略の味方として一応は見ている。
拒むならそれでいいが、手を取るなら組む気はある。その程度の認識。油断ではなくそれだけの差がある。
「各班情報収集を行いつつ警備を徹底させろ! 『武装したモンスター』は必ずこのダイダロス通りに現れる、特に隠し通路に目を光らせろ!」
リリウスが一度
あの後、大蛇が通ってきた穴が修復されていたのを確認した。おそらく
その詳細を既に調べたであろうリリウスなら問題ないと判断するだろう。
そして、モンスターの地上進出の際リリウスは遅れて現れた。別行動していたのなら、モンスター達は『鍵』を持っている可能性が高い。
故にフィンはモンスターを捕らえるように動く。
偽の情報には惑わされず、適切に動く。その姿に団員達は安堵する……………一部を除き。
「………………」
リヴェリアはフィンの命を受けながらも普段のように『言う通りにすれば』という安堵が浮かばぬ団員達の顔を見つめていた。
ベル・クラネルと話してきたフィンの顔はやはり優れない。
あの時ベルがフィンに話を持ちかけていたら、人目がなかったら、フィンはベルと対話していただろう。
そして有益な情報を聞き出して
そうならなかったのはベルが『愚者』を選び、しかし『愚鈍』に支配されなかったから。
その姿を、フィンは眩しいと思ってしまった。
意図も打算もなく、助けを求める声に手を伸ばせるベルが………ただ言葉が通じるからと手を取れるリリウスが。
ベルを否定する子供に対してベルを擁護してしまう程に。
「武装したモンスター…………
仮眠から目覚めたフィンにそう問いかけるリヴェリア。ガレスも黙ってフィンの
「それは、モンスターと手を組むという事かな?」
「それは
フィンの探るような言葉をリヴェリアは否定した。
モンスターに対する偏見………というのもある。いやそれは偏見なんてものではなく人の本能に近いだろう。
言葉が通じる。爪牙を向けない………その程度で手を取る理由になる程浅い溝ではない。だが………
「リリウスの手を取るか、だ………」
「【
「だが結果的にモンスターと手を組むことになる。それは不可能だ」
その事実は首輪となる。
リリウスはともかくウラノスは利用する。
「…………恐らく私は昔、理知のあるモンスターを見ている」
リリウスがLv.4へと至った試練。Lv.3でありながらLv.6とされる『水辺のアンフィス・バエナ』との戦闘の末気絶し落下したリリウスを地に降ろしたハーピィ。今思えばあの不自然な行動は、あのハーピィに理知があり人と歩みたいという願いがあったからだろう。
しかしそれだけで救うと考えるほどリヴェリアは夢を見ないし、そうなら彼等の存在はもっと早く公になっていた。助けるだけの理由があった…………それこそ、知り合いだったから。
「推測だが、知り合ったのはディース姉妹による誘拐………そこから助けたのか、逃げた後かは知らないが」
フィンがヴァレッタを釣るつもりで囮にし、予想しなかったディース姉妹の介入により餌だけ奪われたあの事件。
リリウスが拷問の末髪の色素と痛覚を失ったあの時に………人に利用され人に嬲られた彼を救ったのがモンスター。
「あの時か…………謝罪の時にもう少し詳しく聞いておくべきだったかな」
「無理じゃろ。あの頃お前嫌われとったし」
「というかお前、謝罪など口実で
「…………………」
事実だ。
更にいえば探ろうとしたあの時の言葉選びからして、リヴェリアの推測は当たっているのだろう。
攫ったハーピィが
モンスター達は同胞に文字通り噛み付いたリリウスを許し、手を取り合ったことになる。それは人間よりも余程………とそこまで考え首を振る。
それは危険な考えだ。通じ合えるモンスターの存在など知れば、死ぬのは優しい人間からだ。
「何よりモンスターと手を組むなんて、他の団員が認めるか?
リリウスなら「うるせえ従え」で済むだろう。世界を敵に回し従わせるだけの戦力と、ウラノスという権力があちらにはある。だが勇者たるフィンに怪物と手を組む汚名を被る余裕はない。
「まあ…………どのみち納得出来ない者も現れてしまったが」
比較的に新しい団員はレフィーヤ等を含め仲間をモンスターに殺された経験がない者も居る。モンスターへの忌避感はあれど、
恐らくは敵意の有無。本来モンスターが人類へ向ける敵意が忌避感の正体で、あのモンスター達にはそれがない。
若い団員の何人か、そして死者を出さなかった
あの場にいて気絶しなかった者だけではあるのは幸いか。いや、蛇竜の咆哮に耐え意識を保ち、かつ若い才能持つ者達が揺れているのだから不幸か?
だが少数派の彼らの意見は切り捨てても問題ない。
揺れこそすれ、彼等とて本気でモンスターと手を取り合えると思うわけがない。
人とモンスターとはそういうものだ。覆せる筈のない悠久の争いの歴史。
神を憎むダンジョンが生み出した人を殺す為の怪物と、数千年間殺され続けた人類。人々の怪物への忌避をどう消し去る?
「団長………」
と、その時報告が入る。リリウスの動きに変化があったらしい。
「…………
ダイダロス通りから離れるように、それでいて人の目から隠れるような動きを『釣り』だとフィンは推測する。そのうえでその気になれば
「モンスター達は
「………………いいんだな? フィン」
「リヴェリア………別に無理強いはしないよ。リリウスと………あのモンスター達と敵対したくないなら──」
「卑怯な言い直しをするなフィン。問題ない………」
あえてリリウスの名を出してからモンスターの方と手を組むと言い直すフィンにリヴェリアが呆れるように睨む。
「【ロキ・ファミリア】の
それは派閥団員のためでもあり、付き合いの古い友人のためでもある。事実として足並みを乱すわけには行かないから心より先に道理で動いてくれる。
「すまないね…………」
それが【ロキ・ファミリア】の在り方。穿った見方をすれば、仲間の名声すらそれを纏めるフィン・ディムナという『英雄』を高める為の道具。
無理強いはしない。本気で彼らの為に奔走する。だが
ベル・クラネルのあり方は尊い。
リリウス・アーデの進む道は眩しい。
いっそ二人のようになれたら、そう思う。
それでもそれはこれまでの
何よりあの時、両親の墓に誓ったあの日を裏切る。
過去に縛られた子供に、それを否定する『勇気』はなかった。
「いいの、リリウス? ダイダロス通りにいかなくて」
リリウスを腕に抱えながらイスカは尋ねる。
表向きにはオラリオに隠れたモンスターの捜索という形で行動している【アストレア・ファミリア】だが、その実は
リリウスは
「クノッソスには近づかない。それが条件だからな…………エピメテウスを潜らせようかと思ったが、言葉の裏をかくのは好かねえ」
俺は入ってないよ、と自分と同じような事が出来るエピメテウスを送るのは、なんか卑怯だ。そう思い行動するのはリリウスが
タナトスが人類の生き方にまで意見し、こうじゃないと楽しめないとか言う愉快神なら心置きなくぶっ飛ばせるのだが………。
「リリウスってばちょろいものね」
リリウスは自分に敵対し攻撃してくる全てが嫌いで、裏を返せば余程歪んだ好意でもない限り自分を好きな相手を結構簡単に好きになる。アリーゼは神からチョロインという言葉を教わっていた。
「ベルとリド達が上手くやる。やれねえならその時は鍛え直す」
「お手柔らかにね…………」