ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
「手を組むこと自体は問題ない。元より俺一人で救える数は決まってるし、守る気になる奴等だって別に多いわけじゃない…………ただ、俺が守りたい奴等がほかを守りたがる奴等ばかりだからな」
と、アミッドやフェルズを見るリリウス。
「これは俺の私見だが、あの迷宮の主は攻略されること自体はそこまで拒絶的じゃない」
罠を突破し、呼び込まれたモンスターを倒し、情報を持って地上に戻る……おそらくそれだけなら問題なかったろう。迷宮とはそもそも踏破されていくものだ。
ただしリリウスの様に回り道が面倒。階段遠い。と、迷宮である事を否定する様なやり方はアウト。
「お前達が迷宮を破壊せず攻略していく分には迷宮の機能以上の横槍は入らない。ただまあ、迷宮修復が可能になった今自壊のリスクは下がってるかもな」
とは言え、【ロキ・ファミリア】が内部を見た際にもまだ壊れたままの場所があるらしく相当魔力を消費する魔法のようだ。後魔法減衰の石板は当然治ってない。恐らくは今でも最終手段のはずだ。
「だろうね。僕等が
攻めあぐねている、そう見せなくてはならない。それはただ攻略するより困難だろう。だからこそ戦力がいるわけだが。
「迷宮の主が生きている間は俺やヴリトラ、エピメテウスみたいに迷宮壊せる奴等はなしだ。タナトスとそういう契約をした」
「律儀に守るのか?」
「だって問題ないだろ?」
人造迷宮は【ロキ・ファミリア】達が攻略するのだから。
「………………っ」
「どうした?」
「此奴、憧れてることを隠さなくなったから素直に照れておるわい」
「………………そうなのか」
どういう反応をすればいいのかわからないリリウスは取り敢えずそう返す。
「問題となるのはその下。正体不明の竜だな」
「竜?」
「メレンで消えてたリヴァイアサンの頭蓋骨使ったであろう、漆黒種…………」
ベヒーモス同様、蘇りし海の覇王。それがいると予想している。
「突入の時期が知られてでも、オラリオから住民を避難させるべきだ」
「それは、そうだね…………よりによってリヴァイアサンか」
「ドロップアイテムの一部だからベヒーモス程の復活ではないと思うが………」
それでもあの時のベヒーモスは魔石を分け子を産み弱体化していた。それと同格だった怪物の
「あれは俺が殺す。向こうもその気のようだしな………」
しかしベヒーモス・オルタナティブに始まりアンタレスにクランプス。漆黒のバロールに邪竜カドモスと、近年漆黒種が多くないだろうか。まあ漆黒のバロールはこいつのせいなのだが。
「帰る………」
リリウスはリヴァイアサンの相手をする。それ以外に関わることはないと黄昏の館から出ていった。窓から。
「…………しかし、本当によかったのかフィン。怪物共と手を組む。首輪になると言ったのはお主じゃろう」
「それを神ウラノスが利用するなら………その時はそうだね。神意だって超えてみせるさ」
きっとそうでもしなければ英雄になどなれはしないのだから。
「それに同胞の子供の夢を邪魔するのもよくないだろう?」
「むぅ……」
「彼は怪物達の王を名乗った。王を名乗る以上、民を守るよ。半端に名乗ったりはしないさ」
リリウスが彼等の『王』を自称するなんてらしくない真似をしたのは、彼等を守ると決めたからだろう。同時に王は導く。人類共存を掲げる方針から逸れる者を抑えるのも彼がやる。
「ま、そこは人類最強の英雄様に任せるか………」
「違うよ、ガレス。英雄である前に彼はまだ子供だ。正しい道を進んでいても、何処かで間違うかもしれないまだまだ学ぶ事の多い子供なんだ」
「だからきっと、『そこ』に至るまでに僕等大人も頑張らないといけないんだよ」
強さに憧れた。自分を曲げず進む姿に憧れた。もう隠す気もないし、今更それを否定する気もない。だけど憧れるだけで本人を見ない、なんて真似をする気もない。
「頑張ろう。最強派閥なんて、重いものを背負ったんだからさ」
「そうだ…………」
ヒョコ、とリリウスが再び窓から入ってきた。
「ど、どうしたのかな?」
「心の方は進んだから、器も進め。というわけで………」
ヒョイとフィンを持ち上げるとそのまま出ていった。
「………………え、誘拐?」
ダンジョン39階層。深層最初の安全階層にてリリウスは
「
と、リリウスの髪が金に染まり額は翡翠。気のせいか輪郭に丸みができたような。つまり女らしく見える。
「何を…………?」
「
と、リリウスから放たれるそれは神威。下界でとある少女のみが一部の神にしか知られず発現した『変
溢れる神威にダンジョンが震える。地面がひび割れ、怒れる独眼が姿を現した。
「ほら」
リリウスが投げ渡すはバロルソラス。禍々しい気配を放つ
「じゃあ、頑張れ」
「──────え?」
「ゴアアアアアアアアアアア!!」
階層を震わす方向が響き、独眼がフィン達を睨む。その瞬間に迫る死の光。
漆黒のバロールが小人の勇者の前に壁として呼び出された。
某白兎「………慣れますよ」