ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
全ての流れを掌握し、流し、あるいは利用する。
回避に回れば雑兵に捕らえること叶わず、攻撃に回れば、耐えることを許さない。
「無論、お前達は雑兵ではないか」
「…………なんだ今の」
攻撃がすり抜けたかと思ったら斬りかかられていた。
打撃が当たったはずなのに感触は泥沼に突き立てかのように手応えがなく、軽く腹に足を添えられていた後ろの仲間が吹き飛んだ。
「おおおお!!」
「ああああ!!」
双剣使いと槍使いの一撃。リリウスは双剣を右手と左手で受け止め、槍を肩で触れる。
双剣の勢いはピタリと消え、ギャギンと槍が強い力で弾かれる。
「…………斬れたか」
流しきれず掌から滲む血。背後から迫る気配の薄いダークエルフの
空気は殆ど動いていなかったが……………魔法やスキルではなく技術。大したもので、しかしリリウスの技量は
一切空気を揺らすことなくダークエルフの背後に移動する。速さも相まり、なのに空気は動かず、リリウスを見失うダークエルフ。
尋常ではない力で蹴り飛ばされたダークエルフは血を吐き出しながら笑う。リリウスの足に鎖が絡みついていた。
「沈め!」
身長差ゆえに背を蹴るためには跳ばなくてはならず、宙にいたリリウスは勢い良く地面に落ちた。
「げふ、痛い…………酷い。許さない…………」
ダークエルフの
因みにこの呪詛、心の傷にも有効で浅ましきダーリンは全身の穴から血を流し地面に半分ぐらい埋まり………後日事情を知らない一般人がその後を目撃してオラリオに怪談話が増え…………ることはなく、『ああ、また【ヘラ】か』と流された。
「この、痛み………軽く、20倍、動けるなんて、思わ………」
ムクリと起き上がるリリウス。知ってたとばかりに迫る【ゼウス】の眷属。縛っても罠に閉じ込めても当たり前のように追ってくる相手と普段追いかけっこしているだけあり、経験が違う。
「攻撃が通る! さっきまでの動きは出来てねぇ!」
「その重さ、そうそう耐えられるものじゃねえだろ!?」
「……………軽い」
ドワーフの槌を蹴り上げる。勢いをそのまま回転しながら浮き上がり、大剣使いの大剣を踏み砕き腹に掌底。文字通り重さの増した一撃が叩き込まれた。
「…………今、私を軽いって…………
「っ!」
ゾアッとリリウスはその場から離れる。
下手な発言も出来ないのか【ヘラ・ファミリア】の前では。
「っ!」
空へと逃げたリリウスはしかし直ぐに別の気配に気付く。この匂いは……
「アルフィア!? 貴方、いつの間にそんなスキルを!?」
「
成る程、覚えたなら使える訳だ。いや、そう簡単に使えてたまるかと思いつつ、防御体勢。
「【
防御不可能の音波攻撃。魔法を食らうスキルを持つリリウスをして、内臓が揺らされる感覚を味わう。逆に言えばそれだけ。僅かにうっ、としたリリウスに向かい突き進む斬光。
「畳み掛けろ!」
迫る斬光、魔法の雨。まだ肉体が重い。魔法の効果は依然健在。
迫りくる魔法と斬光をまともに受けるリリウス。集団とはいえ、同格でもない相手にここまでの傷を負うことになるとは。
「これが俺達だ」
「……………………」
「陸の王を討ち、海の覇王を沈め、隻眼の黒竜を滅ぼす。他でもない、俺達が成す」
本当に、彼等以外なら誰が出来るんだって、そう思う。成る程、健在なら恐れて
そう素直に思う程に彼等は強く……………そして、
「今が昔ってのもあるが…………それでも想定している
そう言えば聖地の浄化は黒竜討伐の後に二大派閥で成される予定だったか。黒竜討伐の試練を超えて向かうのだから、黒竜以上の脅威と判断しているのだろう。
今のエピメテウスの在り方を知った上で、聖地にてエピメテウスに勝るつもりなのか。
「…………黒竜も、英雄も………舐めすぎだ、