ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか?   作:超高校級の切望

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名探偵VS元賢者とその他

「御用ニャ、御用ニャー!」

「は? なんだ、お前………」

 

 チョコの匂いがする男達の元へ二人の猫人(キャット・ピープル)が現れる。

 

「もうネタは割れてるニャ! おミャー等が、チョコを渡していた自称チョコの美少女精霊ニャ! 誘拐罪に加えて、詐欺罪ニャ!」

「「ちげーよ! 美少女も自称してねえよ!」」

 

 とんでもない冤罪である。

 

「なんだよ、チョコの精霊って!? もう訳がわからねえよ!」

「何が悲しくて同じ野郎にチョコを配らなきゃいけねえんだよぉ!」

「おお、頷かざるを得ない魂の雄叫び。こう言ってるけど、どうするニャ、アーニャ?」

 

 クロエは一応問う。まあ、答えなんて決まっているだろうが。

 

「黙れニャ! 悪党は決まって同じ事を言うのニャ! ミャーの目はお見通しニャ!」

「ゴリ押し探偵やべー。普通の悪党より遥かにヤベー」

 

 ある意味澄み切りすぎて何もかも素通りしそうな瞳で何を見通すというのか。

 

「取り調べしてやるニャア!!! さっさとその証拠(チョコ)を渡すのニャー!」

「「ああ!?」」

 

 シュバ! とLv.4の中でも兄を追いかけ続け速度に特化したアーニャの俊足が第2級冒険者の反応速度を超えてチョコを奪い取る。

 

「パクリ!」

「こ、これは!」

「「美味いニャ!!」」

 

 そのチョコは美味だった。

 甘く蕩けて、仄かな苦みもアクセント。

 

「こいつはもっと詳しく調べなきゃダメニャー!」

 

 その味にクロエが突っ込みを放棄した。

 

「残りのチョコを寄越すニャー! モグモグ」

「「あああああああああ!? 俺達のチョコがああああ!!」」

 

 となれば止められる者などこの場にはおらず、チョコは二人の口に飲まれていく。

 

 

 

 

「「「……………………」」」

 

 モンスターの視力と聴力でその惨劇を少し離れた場所から眺めるレイ、ウィーネ、フィアは唖然とその光景を眺める。

 

「もっと調べるニャー!」

「そのチョコ寄越せニャー!」

 

 当然ではあるがフィア達がいた階層。つまりチョコを貰った冒険者達が多くいる階層。標的には事欠かない。

 

「「うわ、なんだ此奴等!?」」

「「逃げろ! 逃げてくれええ!? チョコを取られるぞ!」」

「ヒョイ、パクッ! 美味い!!」

「ムシャムシャ! 美味い!」

 

 必死な叫び虚しくチョコは奪われた。

 

「「ってうわあああああああああああ!? おいコラよせヤメロっああぁぁーーーーー!!?」」

「次の獲物ニャー!」

「こんなんじゃ、まだまだ証拠が足りないのニャー!」

 

 チョコを求め2匹の(ケダモノ)がチョコの匂いを追っていく。即ち………

 

「…………………………冒険者が、次々と襲われていく」

「…………探偵は、強盗だった?」

「モンスターよりも、悍ましい」

「あのひとたちも、チョコ、ほしいの?」

「もはや欲しがるなどという次元ではない気が………」

 

 そうこうしている間にケダモノ共はこの辺りのチョコを持つ冒険者を襲撃し終える。

 

「ピキーーーーン! そこニャー!」

「新たなチョコ(証拠)の匂いニャー!」

「「って、こっち来たー!?」」

 

 スンスンと鼻を鳴らし向かってくる2匹のケダモノ。そこそこ距離があったのに気付かれた。

 

「ウィーネ、フードを被りなさい!」

「う、うん!」

 

 レイの言葉にウィーネはフードで顔を隠す。

 

「クッ、疾い!」

「やはり手練れ、このままでは!」

 

 Lv.6のレイ1人ならどうとでもなるが生まれたばかりのウィーネを連れていては振り切れない。ましてや今この階層にはチョコを求めておりてきた冒険者が多く、不用意に姿を晒せない。

 

 木々を蹴りながら前方に移動したケダモノ共はレイ達に襲い掛かるが回避された。

 

「ニャンと! ミャー達のぶんどる攻撃を躱すとは!」

「けど、これで間違いないニャ! 此奴等が黒幕ニャー!」

「チョコの匂いがプンプン詰まった袋、そして見える部分だけでも紛れもない美女美少女………チョコの精霊で間違いないニャ! 結局数撃ちゃ当たる戦法だけど結果オーライ!」

「さぁ、そのチョコを全て渡すニャー!」

 

 犯人を追い詰めた探偵(強盗)。レイはウィーネを背後に隠しながら歯噛みする。

 

「クッ、もはや犯人探しですらない……!」

「レイ! この地上の方々、怖いです! これまでの冒険者やリリウスとも違う! コレが未知との遭遇!」

「未知というか、ただ食欲の権化のような気がしますが………!」

 

 怯えるフィア。呆れるレイ。されど現状はピンチであることにかわりなく。

 

「何をゴチャゴチャ言ってるニャア! そら、さっさとジャンプするニャー!」

「ピョンピョンして、チャリンチャリンするニャー!」

「ただの不良だった!」

 

 と、そんな不良達にトテトテ近付くウィーネは二人に尋ねる。

 

「………チョコ、欲しいの?」

「ん? なんニャ、おミャーは? …………………んニャ? なんだか、ミャー達と肌の色が違うような……?」

 

 白とか黒とかではなく、蒼い? フードから除く僅かな肌にクロエが疑問を抱く。

 

「それに、チョコのせいでよくわからないけど…………匂いも、ミャー達とは違う気が……」

「ッ!! 2人とも、逃げますよ!」

「「あ、待つニャー!」」

 

 逃げ出す三人を慌てて追いかける2人。辺りに残されるのはチョコを失い絶望する男達。

 

「くそっ、ひでぇよ………あんまりだあああ!」

「これが人間のやることかよ、うわああああああ!!」

 

 そんな彼等を見つめるのは、チョコの匂いを追ってきたリリウス達。

 

「………先程から、何故か泣き崩れている殿方が散見されるのですが」

「しかもガチ泣きです。一体この階層で何が起こっているのですか………」

「あらあら、どうしたの貴方達? 元気を出して。チョコレートはないけれど…………ほら、飴をあげましょう」

「クンクン…………チョコの匂いが唐突に消えた。奪われ食われたな。争いに発展する間もなく」

「すこぶる嫌な予感がする! 早くウィーネ達を………!」

「……………………」

「「待ちやがれニャー!!」」

「「「!?」」」

 

 と、その時。リリウスはほかの皆が声が聞こえる前にそちらを向いていた。

 

「彼奴等、意外と足速いニャ………」

「しかし無駄ニャア! 名探偵の鼻は何処までも追跡するニャーーーー!」

 

 猫人(キャット・ピープル)が誰かを追いかけている。その誰かは…………

 

「ウィーネ様達!」

「追われている! 間に合わなかったか!」

「って、雇われたハンターってアーニャ様たちですかー!? 何やっているんですか、あの人達!」

「は、早く助けて差し上げなくては!」

「分かってます! 相手が知っている方なのは不幸中の幸い、行きますよ!」

 

 言うが早いが駆け出す三人と一匹。エウロペはパワーブルに乗っているとして、それでも1人足りない。

 

「もう大人しく観念するニャー! このままミャー達は地の果てまで追いかける所存!!」

「だから全部証拠(チョコ)寄越すニャー!」

「そこまでだ」

 

 と、レイ達を追いかけるクロエ達の前に割り込むリリウス。

 

「にょ? おミャーは!」

「リリウス!」

「………………俺が解るのか?」

 

 認識阻害はどうした認識阻害は、と思うリリウス。

 

「あったりまえニャ。ミャーが極上のショタ(おミャー)を忘れる筈ないニャ!」

「…………………そうか」

 

 どうやら一方的に好感度が高かったらしい。

 

「リリウス、見るがいいニャ! ミャーはまた、名探偵としてチョコゆーわくゆーかい事件の犯人を追い詰めたのニャ! かんぺきな推理、頭をなでるがいいニャ!」

「チョコの匂いに襲撃かます推理(物理)だったけどニャー」

「ああ、道中泣き崩れていた男達お前等の仕業か」

「フニャ〜」

 

 アーニャの頭を撫でながら呆れるリリウス。その光景に追い付いたリリがジェラる。

 

「ノエル!」

「ん〜? ふぁ、なぁに、リリ」

「あの泥棒猫を氷漬けです!」

「よく、わからないけど…………わかったあ」

 

 リリの中で寝ていた寝起きのノエルが欠伸をしながら槍に変身し………

 

「だ、駄目ですリリ様!?」

「放してください春姫様! 兄様に頭を撫でてもらっていい妹はリリだけ! というか兄様より年上のくせにちょっと自分の兄が甘えさせてくれないからと甘えるババアぶっ殺す〜!!」

「ああ、リリ様がバーサーカーに!」

「ええと、どういう状況ニャ…………」

 

 クロエがツッコミ(仕事)に戻った。

 

「あ、そ、そうだ! わ、わたくし達は!」

 

 その言葉に春姫もこの場にやってきた理由を思い出した。

 

「実は、わたくし達がチョコを配っていたのです! きゅるるん☆」

「はっ! そ、その通りです! 真犯人は、リリ達です! きゅるるん☆」

「皆が幸せになれるよう、たぁくさんチョコをあげるわ〜。きゅるるん☆」

「「…………………………………………………」」

「な、なんですか? その道端の蟻を見るような無慈悲な眼差しは!」

「……………どうした急に? って、ああ…………そっか。チョコを配っていたのは俺達だ。きゅるるん?」

 

 突然の奇行に首を傾げていたリリウスは来た目的を思い出し無表情で何時もの声色。フェルズはやってない。発案者のくせに。

 

「──ふっ、笑止!」

「チッチッチ。そんな嘘じゃ名探偵は騙せないニャ!」

「「!?」」

「あら〜」

「おミャーらからは、チョコの匂いがこれっぽっちもしないのニャー!」

「代わりに臭ぇ! こいつは臭ぇ! 嘘の匂いがプンプンするニャー!」

「くっ、何時もはアホなのに妙なところで鋭い!」

 

 というか匂いって名探偵関係ないのでは?

 

「リ、リリ様! このままでは!」

「…………魔砲手(マジックイーター)

「「ひでぶ!?」」

 

 と、その時見えない攻撃がハンター達を襲う。

 

「虚空から衝撃波が!?」

「透明状態から撃った!? フェルズ様、意外に外道!!」

「手段は選んでいられない! 誤魔化せないと言うなら、レイ達が逃げる時間を稼ぐ!」

「ふにゃあああああああ!! 証拠(チョコ)探しの邪魔する奴には容赦しないのニャー!」

「覚悟するニャー! 具体的にはその尻弄られても文句はいわさねー!」

「この、兄様に邪な視線を向ける泥棒猫!! 兄様、リリの後ろに!」

「ニャニャ!!」

 

 兄の前に立つ妹の姿にアーニャが一瞬動きを止める。

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