ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか?   作:超高校級の切望

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泥棒猫

オラリオコソコソ噂話

 

リリウスは妹のリリはもちろん命の恩人であるヘイズやアミッド、アーディ、フィアにはかなり甘い。強さが欲しいというヘイズに『育成』の効果を説明し時折鍛える約束をしてる。

満たす媒者達(アンドフリームニル)』はなんでこの人ウチの団長じゃないんだろと割と本気で思ったとか。でも残念、フレイヤはリリウスとの相性E+程度なんだよね。

 


 

「はぁ、はぁ……………おや? レイ、自称探偵のお二人が追ってきていません!」

 

 暫く走っていたフィアが後ろを振り向き気付く。

 

「遥か彼方で、足を止めて…………交戦している? 二人の相手をしているのは………!! あれはまさか、フェルズ!?」

「それに、リリと春姫、リリのお兄さんのリリウスだぁ!」

 

 

 

「この泥棒猫! 兄様の妹の座は渡しません!」

「ニャニャ!? ち、違うのニャ! 確かにちょっと兄様に似てるとか、髪をクシャッとされる撫で方が小さい時の兄様みたいとか思ってるけど、もっと撫でて欲しいとか少ししか思ってないニャ!」

「兄様はリリの兄様なのに………【剣姫(けんき)】様といい、そんなに兄様に甘えがいがあるとでも!?」

「あるんじゃないか?」

 

 と、フェルズ。

 

「リリウスちゃんは、異端児(ゼノス)の皆のお父さんだものね〜」

 

 と、エウロペ。

 

「す、少なくとも頼り甲斐はあると思います」

 

 春姫もベルの師であるリリウスはそう評価している。

 

「兄様に甘えていいのはリリだけです!」

「……………………」

 

 フレイヤの暇つぶしのコンカフェだけでなく、その後猪肉の丸焼きを報酬に【フレイヤ・ファミリア】の『満たす媒者達(アンドフリームニル)』を手伝った後、何人か頭撫でてやったと教えたら怒られそうだな、と思うリリウスであった。

 

 因みにヘイズにはその際首を絞められた。まあLv.4の後衛職の細指などリリウスの血管も気道も圧迫出来ないのだが。それを自覚した上でやっているからリリウスも気が済むまでやらせた。

 

「泥棒猫死すべし慈悲はない! 見敵必殺、凍りつけええ!」

「ニャニャア!? あのロリやっべー!」

「ふにゃあああ!?」

 

 Lv.4の中でも上位であろうアーニャとLv.3なりたてのサポーターであるリリ。いくら大精霊の力で強化されようとも元とはいえオラリオでも対人特化の強靭な勇士(エインヘリヤル)であったアーニャに駆け引きで負けている。

 

「しかもチクチク攻撃してくるローブも強いニャ! なんか消えたり現れたりしながら、匂いもしないし!」

「肉と皮を失った身だ。そりゃ体臭とは無縁だろうさ!」

「まあ、骨だし」

「お骨でございますし…」

「骨だものね」

「骨骨言うな外野ぁ! 悲しくなる!」

 

 気にしてたんだ。

 

「というかリリウス様が相手すれば良いのでは?」

「まあ、今回は殲滅でなく足止めだしな」

 

 と、その時リリウスがピクッと肩を揺らす。

 

「ちょっと! 貴方達、何してるのよ!」

 

 新たに現れた3人の女性冒険者。猫人(キャットピープル)、エルフ、ヒューマン。何やら怒っている。

 

「まだ見つからないわけ!? ジョンに色目使った不届き者は!?」

「しびれを切らして来ちゃったわよ!」

「そしたら…………こんなところで油を売って! どういうつもりよ!」

 

 発言からして依頼者。

 自身で向かわず依頼を出すあたり、彼女達にとっては本来この階層は適正階層より深いのだろう。だが、狙っている雄にチョコを渡した謎の雌に対する怒りからこの階層まで足を運んだらしい。

 

「おおっ! このモブっぽい冒険者達はもしや!」

「ウニャ? おミャーら、誰ニャ?」

「って、おミャーがわかっとらんのかーい!? 思い出すニャ! ミャー達がどうしてここにいるのか!」

「? チョコ強盗のためじゃないの?」

 

 エウロペは割と本気で疑問に思った。

 

「ああ! ミャーに依頼したメス猫どもニャ!」

「猫はお前達では?」

「「「誰がメス猫じゃあ!?」」」

1人だけ(お前は)猫だろ」

 

 リリウスはマイペース。リリも毒気が抜け暴走が止まる。

 

「────!! ニャフフ………閃いてしまったニャ! ミャーの灰色の脳細胞が!!」

 

 と、クロエが叫ぶ。そして、依頼者達に向かい叫んだ。

 

「おミャーら! ミャー達は油を売っていたわけじゃないニャ!」

「「「え?」」」

「この5人が、おミャー等の男にチョコを配っていた一味なのニャー!」

「「「ええええええー!?」」」

「あらあら」

 

 フェルズ、リリ、春姫が叫びエウロペは困ったわね、と微笑む。

 

「そして、今も色目を使って略奪する気満々なのニャ!」

「そ~いえば………さっき、チョコ配るとか、きゅるるんとか言ってたニャ?」

「なぁ!?」

「天然発言ナイス、アーニャ! そう、此奴等がオス略奪の犯人ニャー!」

 

 リリウスはゾワッと毛を膨ませた。

 

「え、に………姉様が、何かに怯えてる? 姉様が!?」

 

 あのリリウスが、と驚愕するリリ。その猫みたいな反応怯えてるんだ、と思うクロエ。

 

「姉様、大丈夫ですよ。リリがついてますからね〜!」

 

 リリが慌てて駆け寄る中、女冒険者達の視線は偽チョコ配り犯人一行に。まずはエルフ。

 

「そ、そう言えば………あの狐人(ルナール)、私よりキレイ………! 引っ込むところも引っ込んでるしぃ! おっきいところもおっきぃし! ギリィ!」

「こんっ!?」

「素直にそう認められる貴方は、とても素敵な女性ね」

 

 続いて猫人(キャットピープル)

 

「あの小人族(パルゥム)姉妹、ちんちくりんだけどあざといわ! 姉が妹より背が低い胸がないところが神々の言うコダワリを感じる! ジョンがロリコンだって知って姉妹百合で誘惑する気ね! 許せない!」

「知りませんよ、そんなこと!?」

「まあ、まあ。それでも諦めたくないと、一途に思えるなんて素敵ね〜」

 

 そしてヒューマン。

 

「あの全身ローブ、きっとフードを脱いだら超絶美人なのよ! 私知ってる、顔隠してる奴が一番の強キャラだって! きっと、女神級の美貌の持ち主なのよ!!!」

「いや、それはない」

「骨ですし」

「お骨ですし」

「骨だな」

「だから外野ァ!!」

「何より、あの服! バレンタイン(バレンタインではない)にかこつけてあざとい格好!」

「「「間違いなくギルティ!!」」」

 

 女の嫉妬が向けられる。エウロペは私は? と少し悲しそうに首を傾げた。エウロペはなんかもう色々強すぎるのだろう。

 

「ひっ!?」

「なんですか、この修羅場待ったなしな状況は!」

「…………………」

 

 リリウスは女の嫉妬が解らぬ。解らぬ感情にどう返せばいいのか解らずただただ嫌がる。恩人であるヘイズ辺りなら何をされても受け入れるのだが。

 

「にゃはははははははっ! ざまぁだニャ! ミャー達の邪魔をするからこうなるニャ! この美少女探偵クロエを敵に回した事を後悔するのニャー!」

 

 探偵にしてはやけに小物臭いというか悪党っぽいというか…………。フェルズはそんなクロエを無言で見る。因みに2人の格好は、バレンタインムードに目をつけたミアによりこれまたフリフリの格好だ。

 

「………………………因みに、我々と、そこの猫人(キャットピープル)が揉めていたのは誰がジョンを誘惑するかで意見が分かれた為だ」

「「「えっ!?」」」

「ニャニャニャ!? ちょ、おま、なにを!?」

 

 クロエが慌てるが遅い。フェルズは言葉を続ける。

 

「見ろ、彼女達も君達の言う十分あざとい格好をしている。気に入ったオスがいれば、あるいはという………そんな漁夫の利狙いの『泥棒猫』だったのさ!」

「「「な、なんですってー!?」」」

「ゲゲーーーー!? 流れが変わったー!?」

 

 今や敵意は2人にも向けられている。

 

獣人(きみ)の鼻なら解るだろう! チョコの匂いは我々よりも、その探偵の方がつよいのが!」

 

 そりゃあれだけチョコを食いまくっていたのだからチョコ食ってないリリウス達より匂いも濃くなるだろう。

 

 猫人(キャットピープル)の女冒険者はスンスンと鼻を鳴らす。

 

「そ、そういえば………! チョコの匂いはこの人達ばっかり!」

「その探偵はあろうことか、男の為に君達雇い主を裏切っていたんだ! これを泥棒猫と言わずして何と言う!!」

「全身ローブ、てめー!」

 

 流石元賢者。悪賢いことこの上ない。

 虚言、弄言の類の舌戦はやり慣れているのだろう。

 

「はニャ? ほニャ? 何がどうなってるニャ……………?」

 

 アーニャだけは現状を理解出来ていない。

 

「ミャー達がハメ返されたニャァ! ちったあ頭使えニャー!」

「許さないわよ、あんた達…………」

「この女も、あの女も………!」

「ギルティ、ギルティ………」

「「「ジョンは私だけのものよ!!」」」

「「全員ジョン狙い!?」」

 

 フェルズとクロエが同時に叫んだ。流石突っ込み担当。

 

「「「どおりゃああああああああ!!」」」

 

 来いよ! 詠唱(まほう)なんて捨ててかかってこいとばかりにエルフすら杖で殴りかかる物理で訴えてくる集団。

 

 

 

 

「「…………こわい」」

 

 遠くで眺めるレイとフィアは女の恐ろしさに戦慄する。

 

「???」

 

 ウィーネだけはよく解らず首を傾げていた。

 


次回予告(大嘘)

物語の世界での役目も終え再び消えるはずだったマクール。気がつけば森の中に1人立っていた。何故か弱体化は解けている。

 

暫く森の中を彷徨っていると空から何かが飛んできた!

 

「お前、ワタシと似ている気配がするなあ? さては怒りっぽいな!」

「……………ああ?」

 

 あの時代、如何なる英雄も怪物も自分以上だと思ったことがないマクールが初めて感じる自分以上の存在。弱体化した状態で見たニーズホッグですらまだ勝ち目があると思える圧倒的な怪物を前に、目が疼く。

 

 『()()の魔槍』が共鳴するかの如く震える。

 

「よし、お前、ワタシの弟になるのだ! 今からスライムの街へ向かうぞ!」

「え、嫌だけど」

 

 こうして始まる、奇妙な関係。『瞋恚の魔槍』と『憤怒之王(サタナエル)』を持つ姉弟は、世界に何を齎すのか。

 

 『物語終わっても話が続いた件』2027年4月1日公開未定!

 

ミリム

憤怒之王(サタナエル)』の所有者。瞋恚の魔槍と共鳴した。

「ワタシが鍛えてやるのだ〜!」

 

マクール

瞋恚の魔槍の所持者。『憤怒之王(サタナエル)』と共鳴した。

「強くなったところで、何を守ればいい…………」

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