ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか?   作:超高校級の切望

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その頃の地上で

因みに時系列は

 

指輪騒動から帰還→リドからフィアがやらかしたと聞く→まあそのうち戻るだろと里で一休み(ベル達もホームで休息)→翌日になってなんか思ったより騒ぎになってた→フェルズがリリ達を連れてきて解決に動く

 


 

「ふふふ、ふっかーつ!」

 

 異界の精霊との出会いがあった『指輪事変』の翌日。

 一眠りして元気を取り戻したアーディは元気良く叫ぶ。

 

「おー、アーディちゃん。昨日はなんか疲れてたけど大丈夫なのかい?」

「肉屋のおじさん! うん、英雄譚を読んで寝たら、もう元気だよ!」

「アーディちゃん。今日も素敵な笑顔ね、また今度、店の手伝いをしてくれないかしら」

「花屋のおばあちゃん。今度ね!」

「アーディちゃんがまた花屋を手伝うって!? よぉし! その日の俺が全部買っちゃうぞー!」

「いいですけど、眷族(ファミリア)の皆に迷惑かけちゃ駄目ですよ、男神様」

「俺が、ガネーシャだあああああ!!」

「あ、ガネーシャ様」

 

 彼女が現れれば笑顔が咲き、彼女が笑えば笑顔が返る。『友達になりたい女冒険者ランキング』『恋人になりたい女冒険者ランキング』『お姉ちゃんになりたい女冒険者ランキング』不動の一位、アーディ・ヴァルマ。

 

「アーディ、ダンジョンへ向かってほしい!」

「え、いいんですか?」

 

 都市の憲兵たる【ガネーシャ・ファミリア】の主な仕事は街の警邏。だが荒くれ者ぞろいの冒険者が集うオラリオにて力なき言葉に意味はない。故にダンジョンに潜りステイタスやレベルを上げる。当然都市の警邏は欠かせぬのでローテーション。アーディは昨日向かったばかりだ。なんやかんや大冒険でステイタスもだいぶ上がった。

 

「実は、ダンジョンでバレンタインチョコが配られているのだ!」

「………………バレンタイン?」

 

 今、時期ではないような。コテンと小首をかしげるアーディにガネーシャはうむ、と頷く。

 

「チョコを求めて男達がダンジョンの適正階層以降に潜り、一部が帰ってこない!」

「何やってるの!?」

「さらに意中の相手にチョコを渡した女を捕まえようと、女冒険者が同じく適正階層より深くへ潜る!」

「何やってるの!?」

「そして一部の女冒険者はあの恐ろしき派閥(ファミリア)を想起させる気迫を…………アーディ、やはり今年こそはあの厄祓いに出て欲しい!」

「何言ってるの!?」

 

 季節外れのバレンタインのチョコの話題からどうしてあの話に。

 

「やはりアーディこそが出るべきだ!」

「ええ、でも…………だって、あの服って…………お、お嫁さんみたいで………なら、最初に見てほしい人がさ、いるわけでね………」

 

 両手の指を合わせてモジモジと目を下に向けるアーディ。銀の腕(アガートラム)ではない方の指先まで真っ赤だ。

 

「「「俺のことかな?」」」

「黙れ神々! アーディのお嫁さん姿を最初に見るのはこの俺、お父さん(ガネーシャ)だああああ!!」

「着付けの人じゃない?」

「「「そこはノーカン!!」」」

 

 アーディ、路行く女神、女性達が叫んだ。女の共通認識らしい。

 

「って、それよりガネーシャ様。そのバレンタインを、どうすればいいの? 後、なんで私」

「フィアが絡んでいる」

 

 その名前に多くの者はガネーシャの派閥の誰かかな、としか思わなかった。アーディはあ〜、と頭を押さえる。

 

「それ、私のせいですよね〜……………はい、止めてきます」

「うむ! とはいえ作りすぎたチョコはアーディで食べてもいいぞ! フィアのだいほんめーチョコはリリウスのぶんらしいがな!」

「だいほんめー…………」

 

 いや、でもフィアだし。仲のいい人にあげるチョコを全部ほんめーと呼んでるだけかも……………でもリリウスのぶんって名指しかぁ。

 

「私もあげたかったなあ………」

 

 バレンタインじゃないのにチョコあげるなんてズルい。そんなの不意打ちみたいなものじゃないか。

 

「ん? バレンタインに、フィア………リリウス?」

 

 ふと何かが引っかかるアーディ。何かあったような。なんだっけ?

 

『そんなフィアに、特別に特別な本命チョコの渡し方を教えてあげるわ!』

『おお、特別!?』

『こう、口に咥えて。口移しでチョコを食べさせるの。一番好きな相手にしかしちゃ駄目よ』

『解りました! リリウスにしかしちゃ駄目なんですね!』

『え? ちょ、待ってフィア? え、リリウス!? リリウスにするの?』

『ありがとうございます、アリーゼ!』

 

 …………………あ。

 

「行ってきます!」

「おお、急にやる気!」

「このままじゃリリウスの唇が危険で危ない! 私が先にゲブンエフン、リリウスの唇は私が守る!」

 


 

アーディ参戦

 

リリウスとアーディの小話

 

何時も笑顔で今でこそ敵のいないアーディも、暗黒期という人の心に陰のさす時代、『笑顔がムカつく』『大派閥だからって調子乗ってる』『男に媚を売ってる』『一晩中抱き枕にして匂いかぎたい(by女神)』『とても綺麗な魂よね。ガネーシャには勿体ない』『別にそんなに可愛くない』『私の方が能天気な彼奴より上』など心無いことも言われていた。

ちょっとしたいざこざはありつつもリリウスと仲良くなると決めたアーディが関わりに行ってると噂を聞いたアーディアンチが当時の狂犬じみて、かつ最年少Lv.4到達者のリリウスに擦り寄ったりもした。

実は近くにいたアーディは鬱陶しがられてるし、悪口言われるかなぁと思っていたがアーディの悪口を言う女に対してリリウスは「嫌な奴? 何処がだ。誰かを笑顔にしようと何時も必死に駆け回って、子供って理由だけで俺みたいな奴に関わる。文句だけはいっちょ前に自分より強い誰かに肯定してもらおうとする浅ましいお前の何処に、あの女を蔑むだけの魅力がある」と言った。当時はまだ鼻もそこまで良いわけでなく、人の匂いの多い町中で風下のアーディに気付かなかったリリウスはその後なんかスキンシップが増えたなと思った。

恒例、100話区切りの特別編

  • リリウス、グルメ時代に立つ(トリコ)
  • マクールの竜退治(幼年期の冒険)
  • 迷宮偶像(アイドル)
  • 平行交差(原作時空)
  • 問題児たちがオラリオに来るそうです
  • リリウスは使い魔(ゼロ魔)
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