ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか?   作:超高校級の切望

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大樹の迷宮で

「来年来たら、またもらえるって言ってたよな〜」

「ぜってー来る! 来年こそは、美女のご尊顔を拝見するぞ! って、あれ………モルドは?」

「ん、そういや…………さっきまで一緒に………」

 

 チョコを受け取った男達はホクホク顔で帰る途中、ふとモテない男達を率いていたモルドがいない事に気づく。

 

「まさか、あいつも例の失踪事件に巻き込まれたか? ハハハハ!」

「失踪事件? 何だよ、それ? 聞いたことねぇーぞ?」

「噂だけどなぁ。ダンジョンから帰ってこなかった連中がまだくたばってねえって情報が出回って………」

 

 等と軽口で立ち去る冒険者達。彼等自身その噂を信じてはいないようで、探そうとしない辺り、一応はモルドの実力を信じているようだ。

 

 そんな彼等が立ち去った後、ヒョコっと茂みから顔を出すリリとリリウス。一度この階層の隠れ里に向かってから再び下を目指すためにルートを歩いていたのだ。彼等がまだいた理由は喜びの舞の感謝の祈祷をダンジョンでしてたから。馬鹿なのか? 馬鹿なんだろうな。

 

「冒険者が行方不明………? そんな情報はリリも耳にしていませんが…………」

「冒険者がダンジョンから帰らないこと自体は珍しくないからな」

 

 だから噂になるのが遅れたのだろう。

 

「リド達も、何も言ってなかったよ?」

「……その情報自体はギルド上層部にも報告が上がっている。どうやらロイマンが独断で処理しようとしているようだが」

「ギルド長自ら? なんですか、汚職が関わっていて、自分の手で揉み潰そうとしているとか、そういう話ですかぁ?」

「いや、あの豚は金銭で汚職に関わっても人の命が関わることで汚職はしない」

「そのあたりはルバートにも見習ってほしかったな」

「…………汚職はなさっているのですね」

 

 リリの言葉をリリウスとフェルズが訂正するが、人の命に関わらないだけで汚職はしていたらしい。

 

「それでもあの男にも『矜持』がある。迷宮都市に対する愛着、あるいは使命感と言ってもいい」

 

 『悲願』を求められるオラリオの立場を、ロイマンは良くも悪くも理解しすぎている。だからこそウラノスは彼をギルド長に任命したのだ。

 

 まあ、そのオラリオの現在の代表的な派閥のうち一つは『知るか、主神(めがみ)が優先だ』とギルドの言うことは聞かないが。それでも【ロキ】と【ガネーシャ】は従ってくれるだけましだろう。なお世界最強は『まあ、彼奴には多少苦労かけてもいいな』と思っている。

 

「…………? よくわかりませんが、情報が伏せられているのは事件を極秘に調査しているから、ということですか?」

「実は私も判断しかねている。先程のウィーネも言った通り、リド達が該当するような事態を感知していない」

 

 異端児(ゼノス)ほどダンジョンの異変に敏感な存在はいない。リド達が把握していない以上は異常事態(イレギュラー)ではないのだろう。

 

「…………そのギルド長という方は、何か感じるものがある、ということですか?」

「かもしれない。私も君達異端児(ゼノス)を信頼するあまり、楽観視していた節がある。今度ウラノスと情報を共有し、見解を尋ねておこう」

「曖昧な噂、でございますか…………直接は関係なくとも、それらしい騒ぎはなかったのでしょうか?」

「いえ、そのような騒動は……………………………あ」

 

 レイはふとフィアとの会話を思い出す。

 

『はっ! そう言えば最初、逃げる冒険者を執拗に追って、目隠しして連れ去ってチョコを渡していました!』

『ほぼ犯人じゃないですか!?』

 

「フィア!」

「…………ふぇ?」

 

 レイがフィアに振り返るとフィアはぽんやりとした顔で己の頬を翼角でムニムニしていた。どうやら話を聞いていなかったらしい。

 

「あ、いえ! 違うんです! さっきのリリウスの舌が、なんか凄くてまだ感触が………ではなく! な、なんでしょう?」

「この騒動、貴方の誘拐もどきが原因ではないのですか?」

「……………あ。た、確かに誘拐の真似事をした事実が………! まさか、あの一件が歪みに歪んで伝わって!?」

「そんなオチですか!? どれだけ厄介事を起こせば気が済むんですう!」

「え、えーっと……………テヘ☆」

「可愛く言っても無駄ですからー! というかどこで、そんなあざとい仕草覚えるんですか!」

「アリーゼだな」

「アリーゼ・ローヴェルだろう」

「アリーゼです!」

 

 アリーゼを知る者達の脳裏に親指を立てバチコーン☆とウィンクするアリーゼの姿が浮かぶ。

 

「…………情報の真偽はともかく、噂の出所が異端児(ゼノス)であるなら問題もすぐに解決するはず──」

「面白そうな話、してんじゃねえか。テメェら」

「「「!?」」」

「………………」

 

 リリ、フェルズ、春姫が慌てて振り返る中リリウスは聞こえた声に特に動じることなく視線を向ける。

 そこに立つのはベートとガレス、そしてセレニア。

 

「【ロキ・ファミリア】!?」

「儂等も、その行方不明事件とやらを追っていてな。詳しい話を聞かせてくれんか?」

「第一級冒険者の方々……………!」

「…………そういうことか。ふざけた格好しているから分からなかったが、この匂い、覚えているぜ」

「どういうことだ、ベート」

「地上で騒ぎを起こした『武装したモンスター』ども………あの時、散々嗅いだ匂いだ。そこの3()()、ヒトじゃねえ」

「「「!!」」」

 

 ギロリと琥珀の瞳がウィーネ達を見据える。

 

「皆さん! 逃げましょう!」

「リリルカ・アーデ! 君達はウィーネを連れて里に戻れ! ここは私達が時間を稼ぐ!」

 

 ウィーネと共に駆けていくリリと春姫。リリウスはその背中を見つめ首を傾げた。

 

「……………話ぐらいなら聞かせてやってもいいんじゃねえか」

「いやリリウス!? 今、そういう状況では!」

「そういう状況だろ。今は停戦中。そっちのリーダーが決めたことだ」

「お主ついこの前、そのリーダーを誘拐したがな」

「………………………壁は越えたろ」

 

 フィアとレイはどうすればいいか分からず困惑している。セレニアと目が合う。互いにペコリと一礼。

 

「もう、ベートが睨むからだよ」

「「別に睨んじゃねーだろ」」

 

 目つき悪い組がん? とお互いを見た。

 


 

マクールとマルディ(ロイマンの前世)

マクールはコーマックぶち殺せたら王国はゴォールを玉座に添えて国政はマルディに回させようと思っていた。その際苦労かけることになるから、嫁に胃薬の作り方を教わってた。それはそれとして『まあ、彼奴には多少苦労かけてもいいな』と思っている。

マルディはマクールにめちゃくちゃビビってたけど国にとって有用だしあの時点で聖域に籠る大英雄を除き世界最強なのでフィアナの時同様王から庇っていたが毒婦と愚王のせいで胃薬が届けられることはなかった。

恒例、100話区切りの特別編

  • リリウス、グルメ時代に立つ(トリコ)
  • マクールの竜退治(幼年期の冒険)
  • 迷宮偶像(アイドル)
  • 平行交差(原作時空)
  • 問題児たちがオラリオに来るそうです
  • リリウスは使い魔(ゼロ魔)
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