ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
「お〜い、お〜い…………」
「う、ううん…………」
ユサユサと体を揺すられ目を覚ますウィーネ。のぞき込んでいたノエルがニコッと笑う。
「あれ、わたし……………あ、あの怖いのは!?」
起き上がり改めて周りを見るウィーネ。無数の金属パイプや歯車が壁を覆い、さまざまな機械が並ぶ部屋。
「ここ、は?」
「悪い奴らの、ひみつきち、かな? リリがウィーネを守れって」
「ありがと、ノエル」
「うん」
2人は仲良し!
「あぁ…………やっぱり原因はこっちかぁ」
「「!?」」
微笑ましい幼女達に話しかける、神々に知られたらブーイング間違いなしの男の声。ノエルは慌ててウィーネにフードを被せる。正体を隠すためだ。
「
眼鏡を掛けた神経質そうな男は、本当に面倒くさそうにウィーネ達を見つめていた。
「打ちます! 下がってください、ベル!」
レフィーヤが言う前に既に後ろに向かい跳んでいたベル。
「【ヒュゼレイド・ファラーリカ】!!」
無数の火矢がベルの真横をかすることなく通り抜け融合体を焼き尽くす。
「倒した…………!」
「わほーい! やったニャア!」
「流石チートエルフもとい
「で、臀部は関係ないのでは?」
怪我人がいない事を確かめ、ベル達は情報を共有する。
仲間が拉致られて、それを追って、未開拓領域に辿り着いて、新種のモンスターが現れた。
「成る程…………うっっさん臭ぁ〜〜。面倒の香りしかしないニャ。ミャー達、もうトンズラこいていいニャ?」
「手伝ってくれるとすごい助かるんですけど………」
二人ともすごい強いし、と十分強いベルが言う。現在侵入した3組の侵入者の中で、一番アベレージが低いチームだがLv.4が3人もいる。
「白髪頭と
と、アーニャが視線を向けたのはレイ。
「ふぁ、ふぁっしょん! 神様達の言う『ファッション』というものです! 香水も使ったこのスタイルが、今年は流行ると!」
「……………………神様の言うことならしょうがないにゃ」
ただし相手がアホなら別だが。それでごまかせるんだ、とベルも苦笑い。
「うニャア〜。少年達はシルのお気に入りだし、見捨てたらリューに折檻されるし………解ったニャ、旅は道連れ、世は情けニャ。最後まで付き合うニャ。で、その誘拐犯もといこんな場所を塒にしているヤベー連中はどんな奴等ニャ?」
「
「の、残党………の、『雇われ』、ってとこかな、僕は。そうだなぁ。円滑な意思疎通のために、自己紹介、しとこうか」
敵意も悪意も無く、けれど親しさもなくただ作業のように男は告げる。
「僕はミュラー。オラリオでは何かと日陰者の『研究者』というヤツさ」
「けんきゅーしゃ?」
「そ。色々やらかしちゃったね、資金もなければ制約もあって、自由な研究ができない。だから
「わる、だくみ? わるいひとなの?」
ウィーネが怯えるように後ずさる。
「さて、今度は君達の話を聞いておきたいんだけど………」
ミュラーが後退るウィーネに一歩近づこうとした瞬間、慌てて駆けてくる足音。
「ミュラー様! 各侵入者、ヴィオラス変異種全て撃破しました! 進行を阻めません!」
「時間、ないみたいだねぇ。件の侵入者の情報、少しでも仕入れておきたかったんだけど。ん〜、どうしようかぁ…………よし、殺そう」
なんでもないかのようにミュラーは告げた。
「あ、訂正。
そこに暴力に酔った残虐性はなく、その言葉に他者をいたぶる喜びもない。ただただ淡々と告げる提案であり、策。
「実験は好きだけど、乱暴なのは僕、嫌いだから。後お願いねぇー」
「「はっ!」」
去っていくミュラー。入れ替わるようにウィーネ達に近付く彼の部下達。
「面倒だ、手足の腱を切ってしまえ。痛めつけるのは後でいい……」
「ウィーネ!
「え、えっと…………こう? えい!」
ドゴォ!
「ごああああああああああああああああ!?」
「な、なにぃー!?」
可愛らしい掛け声と裏腹にえげつない威力の体当たりが男を吹き飛ばした。
「ふっふっふ。リリのべんきょーかいに参加してたからね、しきは任せて、ウィーネ! みぎをなぐる! からの、うしろげり!」
「がああああ!?」
「ぐおおおお!」
ノエルの指示の下、ウィーネが殴り、蹴り、体当たり。戦い方はド素人。ただし
「おのれ、小娘、貴様ぁ!」
と、一人の男がノエルに迫り首を掴む。
「ノエル!?」
「動くな! でなければこの非力な小娘の首をへし折るぞ! ふん、こいつが指示してなければ貴様も恐るるに………ん?」
ビキパキと響く音。ウィーネからノエルに視線を戻せば、腕が凍りついていた。
「なぁ!?」
「えいや!」
「ごはあぁあああああああ!?」
これまた可愛らしい掛け声に見合わぬ蹴り。上位精霊たるノエルは子供のような見た目でも、普通に強いのだ。
「ウィーネ、逃げるよ!」
「うん!」
2人はその場から逃げ出した。
今のところトリコが優勢と言うことで、冒頭をどうぞ
リリウスの料理教室。
シルが頼み込み時折開催される料理教室だ。今回の生徒はデメテル、シル、リュー。
デメテルはとてもニコニコしていた。
「というわけで、今回できたのが野菜たっぷりパイの包焼」
デメテル作。
「消し炭」
「くっ…………」
リュー作。
「バークルンクゥアです!」
「「「バークルンクゥア!?」」」
シル作。
4本のトカゲの足みたいのが生えた球体に目が3つ。口(?)から国旗の並んだ糸が出ている。
「気合いれるほどによく分からないものが生まれるが、今日はまた一段と…」
「う〜ん。リューだけじゃなくデメテル様まで来てくれて、テンションが上がったからですかね」
「シル……」
「フレ、シルちゃん」
そこ、感動すんな。
「まあちゃんと食べれるはずですよ、たぶん」
「動く食い物とかどこの世界にあんだよ」
「あるわよ」
「…………ん?」
ギャンギャラクルクルと鳴き声を上げるバークルンクゥアを見つめ呆れるリリウスにデメテルが言う。
「別の世界では、動く食材や食べれる石なんかもあるのよね。確か、美食の神々が管理してたわね。下界におりる前は見かけなかったけど、それよりも前も。何時からだったかしら? ここ
なんだかおばあちゃんみたいね、と朗らかに笑うデメテル。
「リリウスちゃんも食いしん坊だから、きっとあの世界は楽しめると思うわ」
などというやり取りがあった料理教室の後ダンジョンへ潜ったリリウス。あ、因みにバークルンクゥアはリリウスが美味しくはないけどいただきました。
食材に溢れた世界。興味はあるが、異なる世界。世界なんてそうそう繋がるものじゃ…………繋がるもの………繋がるけど望んだ世界に行けるわけじゃない。
「………………?」
26階層。水の迷宮にてリリウスの足が止まる。
この階層にてリリウスの相手になるモンスターはおらず、モンスターだってリリウスに喧嘩を売ることはない。だが目の前に立ちはだかる怪物がいた。
八本足の巨大なワニ。全身に刻まれた傷は歴戦の証しであり、しかしリリウスは一度も見かけたことがない。
『ガララワニ希少種(歴戦個体)1000歳 捕獲レベル78』
「ギャオオオオオオオ!!」
「この階層で喧嘩売られるなんて何時以来だ」
ワニは巨体に見合わぬ俊敏さでリリウスへと襲いかかり………。
美味いものを食えば強くなる世界にて、千年間生き続け、狩りではなく戦いを行ってきたかわり者の個体。その強さは、同種の中でも格別な力を持つ。
「なんだこのワニ、うっま!」
そしてとても美味い。
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