ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
詠唱を止めようと迫る戦士達の得物を躱し、流し、切り返す。止まることなき詠唱に焦れ始めるも、全員が合図なくその場から跳ぶ。
魔導師達が詠唱を完成させたのだ。聞こえたわけではない。知っていたわけでもない。彼等彼女等ならこのタイミングだという、信頼。
殺到する数多の魔法はたとえ第一級冒険者であろうとも無事ではすまぬ破壊の嵐。
「寂静浄土────【
紡がれる
酸素を轟々と飲み込む炎の声も、礫に裂かれる大気の悲鳴も、氷結していく水の唸りもその一言で消え失せる。
「何を揃って阿呆面を晒している。冒険者であるなら、未知を見た程度で動きをとめるな。ましてや、これは予想もしてなかろうと既知だろう」
目を細め心底呆れたような左右色の異なる双眸が【ゼウス】と【ヘラ】を睥睨する。灰色の髪が風に靡く。
「………………アルフィアちゃん、何時子供産んだの?」
「黙れ」
「! お母様とお呼びしても!?」
「殺す」
「あ、すいません! ぎゃわあ!」
「何をくだらない茶番をしている」
と、アルフィア達を見つめるリリウスの背後から斬りかかる男。見もせず弾くが、男は笑う。
「魔力がアルフィアを可愛いと錯覚するレベルで上がってるが、敏捷が少し、力がだいぶ落ちている!! アビリティの総値に変化はないか少ない」
「ほう………」
リリウスの【サンサーラ・マンダラ】は強化魔法ではない。魔導師、前衛、治療師などアビリティの値は変化するが、魔力の数値が増えればほかの何かが減る。それをただの一撃で見抜くとは。
「だが聞き捨てならんな。アルフィアは錯覚するまでもなく美少女だろう。何より、
迫る前衛達にリリウスはただ冷めた目を向ける。
「【
全方位音撃。破壊の音波がリリウスを中心に広がる。
壊滅の音階。全てを等しく破壊する衝撃に、戦士達は全身の穴から血を噴き出しながら
「!!」
耐久強化の自己魔法、支援魔法、スキル、さらに回復魔法も受けながら突破してきた。
「【
スペルキーを唱えるが何も起こらない。周囲の魔素が消えている?
と、一人、明らかに異様な魔力の高まり。魔素を吸収するレアスキルか。
「
「まるで理不尽なアルフィアだな」
「つまり何時ものことだな!!」
闘志は衰えず、リリウスへと挑む英傑達。何名かはアルフィアから目を逸らすためのようだが。
「うおおおお!」
「しぃ!」
ハルバードと鎌を躱し、反撃。超短文詠唱である【サタナス・ヴェーリオン】を使わせる気はないらしい。
力と耐久が著しく下がったこの激闘では少々面倒だな。
「……………厭世弥勒如来……………【轟け残光。すなわち雄たる十二席】」
因みに【サンサーラ・マンダラ】で発動したエンチャント、強化魔法はマンダラを切り替えても継続されるよ。
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