ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか?   作:超高校級の切望

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第一次進攻①

 そもそもの話、闇派閥(イヴィルス)に勝ち目などない。リリウスを除こうと、フィンがランクアップしていなかったとしても、正義の派閥と勇者の確執が解消されずとも、本来なら【ロキ・ファミリア】で事足りる。その実力差を場合によっては覆せるのが地下勢力(クリーチャー)達。

 

 現在の闇派閥(イヴィルス)の戦力は彼女達に大きく依存している。つまり、闇派閥(イヴィルス)がどの程度の戦力になるかは全て橋渡し役であるディオニュソスの匙加減。

 

「あれは、混成種か…………」

 

 駆け抜けるベート達の前に現れる食人花と融合したコボルト。ミュラーの作品………試作品を卸していたのか、研究資料を提出していたのか…………性格的に未完成品を卸すようには思えないから、恐らく別の誰かが研究資料を持ち出したのかもしれない。どうでもいいが。潰して先に進む。

 

「るあああああああああ!!」

 

 響く(ベート)の咆哮に子犬(コボルト)がビクリと体を硬直させ、次の瞬間爆砕する。

 

 蹴り殺され踏み潰され通常の魔石と極彩色の魔石が転がる。数さえ揃えばLv.4にも通用する性能を有していようと第一級には及ばず、狼の牙を免れた者もアキの刃(猫の爪)に引き裂かれる。それすら免れても、後続の獣人の爪牙が彼等を逃さない。

 

 ベートを筆頭に獣人を中心に編成された部隊は優れた五感を持って潜む闇派閥(イヴィルス)構成員を事前に見つける。

 

 魔剣や魔法はべートの銀靴が喰らい無効化し、逆に自爆を魔剣と魔法で近付けさせず無効化する。

 

「後続先頭! 『柱』急ぐっす! 他はそのまま前進、アキ達を見失っちゃ駄目ですよ!」

 

 開かれた扉は後続が補強する。高くてLv.2がせいぜいの闇派閥(イヴィルス)幹部には破壊不可能な頑強な柱で破壊不可能な扉をそもそも閉じぬよう支えるのだ。

 

 今回の進攻は()()()()………同時に攻略戦。

 本番(メイン)は第二次進攻。だが敵の拠点に訪れ蹂躙しない理由はない。できる限りマッピングし、重要施設を破壊する。

 

 最優先目標は2つ。精霊の分身(デミ・スピリット)の発見、および敵首魁の確保。邪神タナトスと人造迷宮(クノッソス)の製作者にして支配者バルカの事だ。特に、バルカさえ押さえれば最強の手札を投入可能。

 

「でも何処にいるのかしら? やっぱり、最奥で玉座に座って『よく来たな勇者達よ』とか言うのかしら? ほら、この前のヘルメス様がやってただんじょんあーるぴーじーみたいに!」

 

 【ヘルメス・ファミリア】が莫大な予算を(ヘルメスの独断で)使用し作られたもう一つの人工迷宮を思い出すアリーゼ。まああれほぼ一本道だったが。因みに迷宮の最奥にはプレミアムジャガ丸くんで雇われたアイズ(Lv.6)かリリウス(世界最強)が魔王として君臨している。

 

「最奥たって、此処はまだ制作段階なんだろ? なら玉座の間も作られてねーんじゃねえの?」

 

 と、ネーゼ。因みに彼女も挑んでみたが中ボスの魔王軍幹部である2匹の猟犬のコンビネーションでリタイアした。

 

「魔王は兎も角、最奥にはリリウスも警戒する怪物が控えている事を忘れるなよ団長」

「ええ、この前の光の柱…………リリウスを地下から地上まで押し出したっていう竜でしょ? 今大人しいみたいだけど…………」

 

 

 

 

 人造迷宮(クノッソス)最奥。

 本来ならまだ作られていない領域に、鉄よりも硬い鱗で削り広げた空洞にて眠る竜は頭上の騒がしさに目を開く。

 

 絡みつく光の帯は精霊の封印。微睡を与える乙女の歌声に不快そうに目を細める。

 

 騒がしい。煩わしい。だが、時ではない。

 幾百の竜を混ぜ合わせた混成種…………を欠片のままただ一つに染め上げた遺骨。記憶はなく、ただ知っているのは人類は決して取るに足らぬ存在でないという事実。

 

 力が馴染んだ今なら封印を力任せに破ることも可能。そもそもこの封印を施す精霊の分身(デミ・スピリット)の本来の機能は別なのだ。それでも大精霊に匹敵する6体の封印は強固。無傷で破ることは不可能。

 

 万全で挑む。人類そのものは油断ならぬと認めても、それでも大半は敵ではない。敵は一人。故にその時を待ち、竜は再び目を閉じた。

 

 

 

 

「…………………………」

「リリウス?」

 

 第一次進攻は速度が命のため地上に残った新人組のセシルはふとリリウスを見る。

 あそんでー、と絡むユーフィの相手をしていたリリウスが不意に下を見つめ始めた。

 

「…………【偉大なる英雄の悟りを以て殲滅し奉る(オン・マカボダラ・ヴィーラ・ソワカ)】」

 

 唐突に唱えられる詠唱。膨大な魔力に【ガネーシャ・ファミリア】が何事かと振り返る。

 

「餓鬼道」

 

 臙脂色に髪が染まるリリウス。時喰みの指輪に保管していた保存食を大量に取り出す。

 

「……………セシル、お前の工房のドロップアイテムもくれ」

「なんで。あれ、結構集めるの大変だったんだけど…………」

「後で集める。少しでも強化しておきたい」

 

 成長促進機能はないからか、ザルドの方が強化幅が大きい。リリウスはモンスターの一部(ドロップアイテム)を食らっていく。

 

「解ったわよ。必要、なんでしょ?」

「ああ、間違いなく」

恒例、100話区切りの特別編

  • リリウス、グルメ時代に立つ(トリコ)
  • マクールの竜退治(幼年期の冒険)
  • 迷宮偶像(アイドル)
  • 平行交差(原作時空)
  • 問題児たちがオラリオに来るそうです
  • リリウスは使い魔(ゼロ魔)
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