ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
『本命の
「先に敵の拠点を押さえる!
「「はい!」」
フィンの号令に一斉に応じる【ロキ・ファミリア】。モンスターの壁を切り進みながら突き進む。
今いる階層、現在地から見える特徴をルルネに伝え、ルルネが場所を割り出し誘導する。
『……………あぁ?』
「ベート?」
『…………【ディオニュソス・ファミリア】だ。あの雑魚共、
「…………あ、あれ………?」
元【ディオニュソス・ファミリア】がはたと気付く。ここは、何処だ? 薄暗い通路。閉じられたオリハルコンの門。まさか、
「お、おい…………俺達、どうして………」
「外で待ってた筈、よね? でも、なんか………お酒の匂いが………」
ここまで来た過程を思い出せない。酒でも飲んだかのように頭に靄がかかる。
「と、とにかく戻ろう!」
「まて、ここまで来てしまったならディオニュソス様を探すべきじゃないのか?」
「そんなこと言ってる場合か! 約束を破った以上、【ロキ・ファミリア】はもう俺達を………」
「そんなことだと!?」
「だからこそ、もう迷惑をかけないと割り切ってもいいんじゃないか!」
「俺達に何が出来る!」
意見がまとまらない。彼等にはリーダーがいない。
Lv.1がほとんど、2が数名。故に己の意見を言い合う。
ディオニュソスに会い彼の真意を知るべき。お前達を危険な目に合わせられない。ただ怖いから帰りたい。
後少しで、この危険な環境で一を減らす愚行………すなわち意見が合う者同士で組んで分かれるという案が出そうになった瞬間、コツッと響く靴音。冒険者の高い五感が広い各々が構える。
「………………」
通の奥から滲み出る人影。その姿に、誰もが目を見開く。
「…………来てしまったんだね」
「……………ディオニュソス様」
「ディオニュソス様!?」
「ほ、本物!?」
困惑、寒気、警戒…………様々な視線にさらされながらディオニュソスは困ったように笑う。拘束されていた様子はなく、彼は今自分の意思で自分達に会いに来くれた。それだけの自由を許されている。
「……………本当に、
「お、おい!」
不敬だろ、とは続かなかった。聞かなければならないことだと誰もが理解している。
「…………そうだ。私は邪神の
「何故ですか!?」
かつて【ディオニュソス・ファミリア】は多くの上級冒険者を抱え、都市の平和のために戦った。しかし27階層の悪夢にて多くの有力な眷族を失った。
「この下界を是正するため。その為に、私は悪の衣をまとおう」
『神』の顔を持って告げるディオニュソスに、冒険者達は息を呑む。
「今の下界は不純だ。神々がいいようにのさばっている。本来のあるべき姿に戻さなくてはならない」
「あ、あるべき………姿?」
「知っているかい? 古代の英雄達は、恩恵などないままに、地上に進出したモンスターに立ち向かった」
英雄時代と呼ばれる古代の歴史。神々が降臨する以前の地上を、大穴より現れたる怪物達が蹂躙しあらゆる種族の領域を奪い、支配した。
「勇ましき彼等はいかなる神の加護もないまま、最初はモンスターに蹂躙された。しかし年月が経て対抗し始め、次第に異形の群生を押し返すようになった!」
『成長』したのだ。
精霊という奇跡こそあれど、英雄達は自らの力で『人』たる限界を超えていった。
「『器』の可能性を引き出す
それこそ怪物の海を超え、骸の王と単眼の門番を打ち倒し大穴へと迫るほどに。それは天界にて見守っていた神々も認める偉烈である。
自ら器という殻を砕きランクアップの如く更なる位階に駆け上がり、人を超えた神々を魅了する未知を見せつけた。
「あれこそが純然たる『英雄神話』! 私達が最も敬意を払わなくてはならない子供達の軌跡! だから、だからこそ! この下界に、神々は不要なのだ!」
世界に名を刻むことを許された英雄達。それを讃えんがために、ディオニュソスは神々の降臨の証であるバベルを、オラリオを破壊せしめんと豪語する。
「残酷、独善、邪悪などと言われてもいいとも! 構わんさ! 全てを利用してでも、冥府の扉は私が開く! 生が輝く死の境界を顕現させ、私があの良き時代を取り戻してみせる! 私が、神々の時代を終わらせてみせる!」
理解不能。
子供達を愛していると言いながら、過酷を強いるそのあり方を理解できる者は居ない。だが、理解してしまう。それもまた
「ならば、
神のあり方にのまれかけていた眷族達の心を戻す、威烈な声。オリハルコンの扉が融解し、一人の男が姿を現す。
「……………君は?」
「古代の残響……………ああ、そうか。知らぬと言うか。俺と共に戦った
現在を生きる人類で、現状唯一リリウスと渡り合える存在、エピメテウスはディオニュソスを嗤う。
「お前が見ていたのは、より悲鳴がある場所だろう?」
「貴様!」
エルフの男が思わずエピメテウスを睨みつける。彼にとっては、やはりディオニュソスは恩神であり、尊敬する神なのだろう。
「
「お前、ディオニュソス様の何がわかる!」
「いいんだ。そう思われても、仕方ない」
ディオニュソスが悲しそうに微笑むと元眷族達の何名かがエピメテウスを睨みつけた。
「…………ですが、やはり、間違っています」
「それは、そうですね」
「古代に回帰せずとも、この世界を救えるはず!」
「どうか今を生きる俺達を信じてください!」
「貴方の絶望を、払ってみせます!」
「………………お前達、そうか」
「俺達にできることなら何でもします! 貴方の願う英雄時代のために、何ができますか!?」
かつてダンジョンから逃げた、戦いを恐れた落伍者達。しかし彼等は、敬愛するディオニュソスの為に今一度立ち上がらんと叫ぶ。
「………………………エフ」
と、妙な音が聞こえた。
「カヒュ、ブフ………あひょ、かふっ!」
「ディ、ディオニュソス様?」
過呼吸になったかのようなディオニュソスに心配の目を向ける元眷族。ディオニュソスはすまない、と彼等を見つめる。
「…………………特にないな。お前達のような役立たずが、多少空気に酔ってやる気になったところで何が出来る。私を笑い死にさせたいのかな?」
「「「…………………え?」」」
何時ものごとく慈愛に溢れた笑みを浮かべたまま告げられた言葉に凍りつく。
「ああ、誰とも知れぬ前時代の残骸よ。褒めてやろう! その通り、私は英雄など興味はない! いいや、忌々しいとさえ思っていたさ! せっかくの
「お、オルギア…………?」
「怪物を前に喉が裂けんばかりに泣き叫び、子の骸を抱えて彷徨い、己が助かる為に愛した者を踏み殺すあの時代こそ、私が願う世界!」
ディオニュソスは『逸脱の神』。鬱憤や錯乱、神秘的な恍惚を爆発させ善良なる世界に混沌をもたらすことを至上とする。
「……………そんなお前が、一個人に拘る理由はなんだ?」
「ふっ。リリウスたんのことだね、わからないか? わからんだろうな、彼の魅力など」
ディオニュソスは神々の言う後方理解者面をしながらふん、と鼻で笑う。
「いいかい? 彼はな、一人だったんだ。信じられるかい? 勇者だ憲兵だ猛者だ正義だと子供達が誰かに希望を託す中、誰にも頼ろうとしなかった。もうこの時点で最高だ。まるであの楽しい時代に親から、街から逸れた子供を見つけたかのようだったよ! とても珍しいんだ、あれは。そんな存在が一人で最期に見せる泣き声はとても素敵でね」
「今の彼奴は違うがな」
「知っているとも。物事には順序がある。まずは私達の出会いからさ」
気持ち悪いしもう放っておいて地上に戻ろうかと思うエピメテウス。
「だが彼は何時しかオラリオでも有数の強者へと育った。私は思った、『彼を最強に育てよう』と」
「…………………」
エピメテウスの目がスッと鋭く細まった。
「誰もが知る世界最強の冒険者! そんな彼が戻ってきたオラリオを滅ぼした時、どうなると思う!?
ビクンビクンと己を抱きしめながら痙攣する
「ふぅ…………わかるかい? 永い永い時の中計画していたその動機は、元は世界そのものに向けて。しかし今は、強さをそのままにただ一人に向けて。この、愛の、重さが!」
「な、なら!」
と、眷族の一人が叫ぶ。
「俺達を手を差し伸べてくれたのは、何故ですか!? 役立たずというな、なんで!」
「ああ、リリウスたんが極上の悲鳴を聞かせてくれるまで、我慢できなくならないように発散の用のおもちゃだよ。後は、前座…………役立たずなどといったがね、一つ、私のためになる事はあるよ。ここで死ね、慕う私に裏切られて絶望してね」
次の瞬間、莫大なエネルギーが天への昇り、
因みにバルカは怪物化するもフィンの
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