ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか?   作:超高校級の切望

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異界の蛇使い(ストブラコラボ)

 【ソーマ・ファミリア】は探索・商売系の派閥だ。

 元々ソーマが酒造りの為に金を欲して眷族に頼み、それでも足りぬと売ったりしてた。

 

 ザニスが支配していた頃は酒造りに必要以上の金銭を集めさせられていたが、それが落ち着いた今でも派閥としての方針は大きく変わっていない。

 

 現団長のチャンドラは頭がいいわけではない生粋の冒険者だったので探索を続け、酒を求める昔ながらの顧客にとりあえず売る。

 

 個人の金の稼ぎで見れば大きく減っている。が、そもそもがザニスの私欲のために稼ぎすぎていたので酒造りには問題なく、眷族達も自由に使える金があった。

 

 しかしここで問題が起きた。リリウスの帰還である。第一級を超え世界最強にして最高位階。所属するだけで派閥の等級(ランク)はあがり、ギルドへの課税が増える。

 

 そして等級(ランク)D以上の派閥には定期的に強制任務(ミッション)が課せられる。無視したり失敗すると上納金が増える。無視しなくても等級(ランク)が上がるほどに課税額は増えるのだが。

 

 よりダンジョン深くへ潜り強くなれというくせに、遠征に何よりも不可欠な金を奪う。ギルドの豚は阿呆なのだろうか? 魔石の独占だけで十分に稼げるだろうに。

 

 まあ敢えてそういった課税を課すことで、減税を餌に非常時に命令を通しやすくするという効果もあるのだが。とはいえ【ガネーシャ】はそんな事しなくても非常時に動くし【ロキ】は団長が名声に利用するし【フレイヤ】は罰則(ペナルティ)なんて気にしない。意味あるのだろうか、このシステム。

 

「とはいえ金を払う必要があるのは変わらない。で、ここだ」

 

 『月夜の盃』………娯楽都市(サントリオ・ベガ)より出向したテリー・セルバンティスが経営する高級酒場。そのテリーが個人的に雇った護衛として【ソーマ・ファミリア】の名を貸す。

 

 治外法権とされる賭博場(カジノ)のトップとの契約となればギルドも強く出られない。

 

「しかし店員まで借りてくるとはな」

 

 それも美姫ばかり。昼間は普通の飲食店として経営している。冒険者の街であるオラリオにおける飲食店の稼ぎ時は本来夜だが、美姫目当てに多くの客が通っている。

 

「ああ、ここの店員は一応俺持ち」

「一応?」

「話すと長くなるから端折るが…………拾った」

「端折りすぎだ」

 

 エピメテウスが呆れたように言うので仕方なくリリウスは説明する。

 

「あれはそう、「フレイヤ誘拐大作戦」の次の日」

「何をしているんだお前は」

「神々の娯楽」

 

 その翌日に、リリウスの下に老紳士が現れた。後ろの馬車には娯楽都市(サントリオ・ベガ)の証文。カジノで騒ぎを起こした件かと思えば、まさかのオラリオの賭博場(カジノ)のトップが出てきて、お久しぶりですと挨拶。リリウスは「誰だっけ?」と挨拶を返した。

 

「暗黒期も終わった頃、こちらの調整も終わって本国から有能だけど死んでもいい人員ではなくちゃんと有能な人員に交代する為に移動中だったここのオーナー、馬車に乗ってた照り焼き旋盤を、俺がモンスターから守ってたらしい」

「テリー・セルバンティスな………」

 

 そういえばなんか金を立て替えてくれるのもらったなあ、と思い出したリリウス。まあ結局何時の間にか無くしてたのだが。

 

 さて、そのテリーがリリウスに接触してきた理由は、とある依頼。なんでもモンスターに襲われた際に馬車が壊された場所から身分を示すいくつかの物品が崖下に落ち、どうやらそれが勝手に使われていることが最近解ったらしい。

 

 その下手人の捕縛を依頼してきた。

 できれば秘密裏に。管理の甘さが露見する前に、とのことだ。

 

 何故このタイミングかといえば、どうやら下手人がこちらを暗殺して成り代わろうとしているという情報を掴んだから。

 

「移動式賭博(カジノ・キャラバン)を偽って各地を転々としてたみたいでな。なんかオラリオ騒がしいから、今ならやれんじゃねと思ったらしい」

 

 テリーは『ただの間抜けですな』と笑ってた。

 

「ふむ。知己とは言え、お前に頼むような依頼か?」

 

 そもそも覚えられていなかったような関係だし。

 

「なんか有名な暗殺者と賞金稼ぎを雇ってるらしくてな」

 

 そこで世界最強のリリウスに白羽の矢が立った。

 報酬に世界中の客に合わせて各国から仕入れた珍味美味を渡すというので受けたリリウスは大賭博場(グラン・カジノ)でテリーの護衛に扮した。

 

「なんかその時のVIPエリア、その、なんだっけ………て、てぇ………まあその男の息が掛かってる奴等が集まってたらしくてな。ゲームを提案してきたんだ」

 

 ゲームを提案された以上カジノの人間として断る姿を客に見せると面倒、と忌々しげな顔をするテリーの横にいたリリウスは知るかと頭をもぎ取った。ついでに偽物の息が掛かっていた連中も捕縛。

 

「ただ、事態が大きくならなかったからそのまま揉み消そうとしたんだよ。そのドワーフの所業」

 

 もちろん各国のVIP達には息が掛かった者は脅してそうでない者には金を…………問題は男が連れていた美姫達だ。

 

 どうにも賭け事………時には護衛の男達の強さを盾に各地から攫ってきた女達らしく、娯楽都市(サントリオ・ベガ)として『商品』に出来るならそのまま売りたいというのが本音。

 

 が、リリウスが報酬の変更を要求。美姫達を報酬にした。

 

「各国から食材や料理人が集まっていようと食えるのが一度だけじゃな。なら色んな国の連中そのまま雇った方が何時でも食える」

「ふっ。そうか………」

 

 テリーはニコリと微笑み承諾。ある程度稼いだら『旅行』にもつれて行ってやるそうだ。

 

「何人かはソーマの恩恵刻んだ。何かと物騒だしな………」

 

 主にオラリオに残る選択をした者達だ。形はどうあれ家族に賭けの商品にされたのだ、帰りたくない者だっている。後エルフ。穢れたこの身は〜、とか言ってた。

 

「で、開店したはいいが、どうにも舐められてんだ、俺」

 

 【世界最強所属派閥(ソーマ・ファミリア)】の庇護下にある『月夜の盃』の、見目麗しい美姫達に手を出そうとする奴等が後を絶たない。主に神。

 

「アンナが『それなら顔を出す頻度を増やしてください』って………」

 

 ちなみにアンナはオラリオに住んでた美女だ。なんか冒険者に絡まれていたところを目撃したリリウスが目障りな冒険者をぶっ飛ばした恩を返したいと応募してきた。

 

「む、この味…………少し変わってるが、あの国の系譜か? そうか、滅びきってはいなかったのだな」

 

 運ばれてきた異国の料理にエピメテウスがふっと微笑む。運んできた少女の頬が朱に染まる。リリウスはおかわりを欲求した。

 

「実際効果はあるな。俺とお前がいる場所で問題を起こすのは自信のある馬鹿か物を知らねえ馬鹿だけだ」

 

 と、リリウスがそこまで言ってエピメテウスと同時に振り返る。

 

「へぇ、んだよ。わけわかんねぇとこに来たかと思えば、いい女が揃ってるじゃねえか」

「現れたな。馬鹿が」

「Lv.4といったところか?」

「高く見積もりすぎだ。ありゃ3だろ………冒(・)険(・)者(・)な(・)ら(・)な(・)」

 

 とはいえまだ嫌な視線を向けるだけ。問題を起こしそうなだけで問題を起こしたわけじゃない。

 

「お前でいいか。おい、この街案内してくれよ」

「えっと、私はまだ仕事中でして」

「いいから。ほら、な?」

「こ、困ります」

「こいってんだよ獣人風情が!」

 

 と、乱暴に掴んだ手首を踏み砕き、そのまま顔面を蹴りつける。店の外に吹き飛んだ男は街灯にぶち当たる。

 

「な、何しやがるクソガキ!!」

「頑丈だな」

 

 立ち上がり叫ぶ男にエピメテウスは素直に感心。弱体化故に加減を誤ったとしても、あの速度で吹き飛び元気なものだ。

 

「ここは俺の店だ。女欲しけりゃ夜まで待って歓楽街で金落とせ」

「あぁ!? ずにのんな、ちびがぁ!」

「……………?」

 

 白髪の小人族(パルゥム)相手にこの態度。世間を知らないにしても妙な反応にエピメテウスが訝しむ。

 

「鱗颶(りんぐ)!!」

 

 現れたるは剣のような鱗を持つ暴風を纏う巨大な蜥蜴。

 

「意思持つ魔力の塊!? まさか、中位精霊だと! この様な卑俗に力を貸す精霊などいるのか!?」

「聞こえてんだよ! 纏めて吹き飛べ!」

『シャアアアアアア!!』

 

 男の叫びに反応するように竜巻を纏いリリウスへ迫る大蜥蜴。店員達が悲鳴を上げる中、リリウスは口を大きく開けた。

 

「あー………ん」

 

 蜥蜴の半身がごっそり消えた。

 

 残った半身も解けるように消え、呆然としている男の腹にリリウスの拳が叩き込まれ、そのまま凍りついた。

 

「…………やりすぎではないか?」

「俺が折った腕が直ってた」

「なに?」

「治癒スキル……? 兎に角、拘束が妥当だろ」

 

 【ガネーシャ・ファミリア】でも呼んで……………念の為もっと凍らせておくかと完全に氷漬けにするリリウス。と……

 

「いやぁ、いいね。吸血鬼の眷獣をものともしない強さ。実に良いものを見せてもらったよ」

「「!?」」

 

 現れた男にリリウスとエピメテウスは目を見開く。風下とはいえ、リリウスとエピメテウスに察知させずにこれ程の強者が。

 

「いやね、先程『上級冒険者だ』と僕を威嚇してきた男達は、大したことなくてね。君は最上級だったりするのかな?」

「だとしたら」

「遊ぼうか」

 

 巨大な蛇がリリウスへと迫る。こちらも魔力の固まり。上位精霊…………それ以上!

 

 大精霊級の怪物。

 

「炎蛇(アヒ)」

 

 煌煌と燃え盛る炎の身を持つ蛇が大海の海流の如き蛇とぶつかり合う。魔力を喰らい飲み込むリリウスの力の化身たる炎蛇(アヒ)が水と火の関係を無視して勝利した。

 

「やるね。なら、摩那斯(マナシ)、優鉢羅(ウハツラ)」

 

 2対の蛇が現れ絡み合う。顕現した力は純粋に足した以上。大精霊以上の膨大な魔力。

 

「っ! 場所考えろ!!」

 

 放たれる咆哮に舌打ちしながら蛇殺しの雷を纏うリリウス。街の一角を吹き飛ばしかねない竜の咆哮は弾かれ空へと吹き飛ぶ。

 

「…………!」

 

 リリウスの片腕が消し飛んだ。炭化した肉を骨が貫き、肉が絡み突き皮膚を纏う。発展アビリティ「不死身」の効果は精神力(マインド)および体力の永続回復、そして損傷(ダメージ)を癒し続ける再生効果(リジェネレーション)。

 

 ランクが低く名前通りの完全なる不死身には程遠いが、体力が万全なら四肢の1つ2つ新しく生やせるようだ。

 

「へぇ、君も不死身なのかい?」

「…………も、か。ならくたばれ」

 

 加減はいらぬとばかりに高速接近。からの蹴り飛ばし。音速を超える速度で吹き飛んだ男に追いついたリリウスが体勢を立て直そうとしていた男を地面に蹴り飛ばす。

 

「跋難陀(バツナンダ)」

「!?」

 

 追撃が刃の如き鋼の鱗に遮られる。

 

 此奴、何体の大精霊級の使い魔を飼ってる!!

 

「ああ、素晴らしいね! こんなに美味しそうな子に出会えるなんて、数奇な運命に感謝を!」

 

 蛇を操る金髪の貴公子を前にリリウスは炎の蛇を出しながらバチバチと紫電を走らせる。

 

「思わぬ『寄り道』で、摘み食いなんて端ないとは思うけどね。君のような極上の食事を前に無視するなんて、それこそ失礼だろう?」




ちなみに現在遊んでます。弱体化してなかったら本気出してオラリオがヤバい。
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