ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
先程の戦闘で服がボロボロになったヴェルフは古城の服を借りた。何でも、彼等は旅行先に向かう途中だったらしい。ちなみにナァーザも
声が似てると服のサイズも似るのだろうか? 因みにナァーザも胸がある。アリシアも。
「おー、速い、高い!!」
「怖いか?」
特殊な訓練を受けた雪菜、吸血鬼の真祖である古城、他冒険者達のチームに巫女の霊能力と
「ていうかお前も走れよ!」
「腹減るからやだ」
古城の叫びにリリウスはツンと返した。
「此奴はスキルの影響で常に飢餓に襲われている。脚がある時は余計な運動をさせる必要はないだろう」
「そうはいっても………凪沙と近くないか?」
「安心しろ。俺もお前と同じで、いい女に恵まれている」
だからわざわざ手を出したりしないというリリウスに古城はでもなぁ、と何か言いたげにエピメテウスの左右の肩から妹と顔をのぞかせるリリウスを見る。
「って待て! 俺と同じってなんだ同じって!」
「? 旅行してたのはお前の番だろ?」
「つがい?」
「つが!? ち、違います! て、訂正してください!」
「そうだよ、リリウス。吸血鬼はこの場合、血の伴侶というのさ」
「お前の伴侶だろ」
「ちげぇよ!」
「
叫ぶ古城。顔を真っ赤にする雪菜。リリウスは不思議そうに凪沙に説明を求める目を向けた。
「あはは。まあ、雪菜ちゃん達との関係はともかく、思われてはいると思うけど。なんで分かったの?」
「匂い。恋愛した時の匂いとか………雪菜が一番コジョーが好きで、
「え、
ここに本人がいれば間違いなく顔を真っ赤にして暴れるだろう。
「銀のアイズは、一番親しげなくせにあの中じゃ一番コジョーを好きじゃないな。好きではあるけど」
「なんか恋愛ゲームのお助けキャラみたいだね。ちなみに、古城君に形はどうあれ一番好意を向けてるのは?」
『凪沙』と言われたら、ちょっと恥ずかしいなぁ、と思う凪沙。
「ヴァトラー」
「──へ?」
「ヴァトラー」
「お、おい?」
「当然だろう、古城。僕は君が生まれる前から、第四真祖に焦がれてきたんだ。知り合ったばかりの彼女達に、想いの強さで遅れを取る気はないよ」
「と、ところでこの『魔剣』って、どう使うんだ!? 名前みたいのを叫べばいいのか?」
ヴァトラーからの
「いや、『魔法』と同じ要領で魔力を込めればいい。お前達が使う場合は、そうだな………力を入れながら振るえばいいと思うぞ」
「何だかテキトーだねぇ。じゃあ名前を叫んでいたのは気合みたいなもの? そういえば『魔剣』に名付けているのはヴェルフ君なの?」
「お前は本当に話題をコロコロ変えるし、まくし立てるな………とりあえず、魔剣に名付けたのは俺じゃない。俺はもっといい
リリウスは関わりたくないというように顔をエピメテウスの肩の後ろに引っ込めた。
「そうなんだ? さっきのでも十分に格好良かったけど! じゃあ、もともとどんな名前だったの?」
その言葉にヴェルフはよく聞いてくれたと言わんばかりに得意げな笑みを浮かべた。
「
「「「「えっ?」」」」
吸血鬼が、女子中学生が、
「他には
「「「「えっ?」」」」
「な? いい名前だろ?」
「「「「…………………あ、はい」」」」
凪沙はヒソヒソとエピメテウスと隣の肩のリリウスに声をかける。
(………ねぇ、ヴェルフ君は本気で言ってるの? 本気と書いてマジで言ってるの?)
(本気なんだな、あれが)
ある意味ヴェルフが神に恋をしたのは良かったのかもしれない。あんなネーミングセンスの親に名付けられる子はいないのだから。
(彼奴はつまり、その…………ネーミングセンスっていう奴が壊滅的な奴なのか? そっち方面が残念な奴なのか?)
(い、いや、私も知らなかった………いや、本当に、マジで。今も爪が震えるぐらいに動揺している………)
(ベルさん達が名付けたのも、ヴェルフさんの名誉を守るための苦肉の策だったのでは………)
(ちなみに初代クロッゾは?)
(風の噂だが、相当あれだったらしい)
(血の宿命か……)
ヴァトラー以外の一同が戦慄し、リリウスとエピメテウスが呆れる中、ヴェルフは周りの反応に気付かず笑いかける。
「おーい、何をコソコソ話しているんだ? 俺の
「え、あ、うーんと…………そうですね。非常に前衛的というか、ワイルドでシュールといいますか発想が違いすぎるといいますか」
「なんで丁寧語になっているんだ?」
と、その時、モンスターの咆哮が響いた。どうやら階層のモンスターに見つかったらしい。
「あっ! モンスターっ、モンスターが出ましたよ!! 早く倒しましょう!」
「そ、そうだな! 今はモンスターの方が先決だ!」
「おい、何か有耶無耶にしようとしてないか? おい、おーい?」
何故か積極的な雪菜達に古城が慌ててモンスターに向かって行き、その態度に疑問を持ちながらもヴェルフも続く。
巨大な蛇がモンスターの群れを吹き飛ばし、高速で駆け回る獣がモンスターの命を刈り取り死体を一つの場所に投げ集める。
「18階層より下には降りたが、この
「もう元気じゃねえか。面倒くせえやつ………もぐもぐ」
真祖程とは言わずとも不死と謳われる吸血鬼。その旧き世代たるヴァトラーは既にピンピンしていた。リリウスもモンスターを喰って順調に体力を癒し力を蓄える。
「面倒だから相手しないほうがいいぞ」
「……………なぁ、そのことなんだが、あいつ、前からずっと俺やリリウスのことをみてないか?」
古城の言葉にヴェルフは時折感じるネットリした視線を思い出しながら古城に訪ねた。
「フフフ………」
「あ、本当だ。今にも舌舐めずりしそうというか、ヴェルフ君と一緒に並んだら薔薇の花が咲き誇りそう。あ、リリウス君も一応男の子だったね」
「一応…………」
「何言ってんだお前!? 冗談だよな、おい! 冗談だよなあ!?」
「そういえば、アルデアル公は先輩のことをずっと狙って、隙あらば『食べよう』としていました」
「それってつまり物理的にボリボリいただくって事だけどな。確かに、お前の血肉は美味そうだ」
その身に刻まれた呪いごと喰らい有限を廃した無限の負の魔力と12匹の眷獣を手に出来れば、黒竜との戦いでも役に立つだろう。
「ええ、リリウス君も古城君を狙っちゃうの!?」
「いいや?」
「あ、そうなの?」
「そりゃ彼奴食えば力が手に入りそうだが…………単純な話だ。1引いて1000を救うより、1001を救う方が凄いしかっこいいだろ? それに、コジョーは客人だ」
よその世界の人間である古城を殺してまで、黒竜討伐に向かう気などリリウスにはサラサラない。
「コジョーをいただきたいのはヴァトラーだけだ」
「誤解を招くような言い方すんな! でも、そうだな。
「持って帰れ」
「や、そうは言っても、彼奴俺達の世界からも出ていったわけで………」
そういやそんな話を聞いた。更なる闘争、さらなる敵を求めて
「だからって俺の安心が脅かされてたまるか!! だいたい、どうして異世界の吸血鬼が俺なんかを………」
「ふふっ、それは僕が君達に惹かれて、興味津々だからさ」
「うおぉ!? く、来るな! それ以上近づくんじゃねえ!」
「眷獣を相手にするより怯えているぞ」
近寄ってくるヴァトラーから距離を取るヴェルフ。ただし後ろは絶対見せない。
「まぁ、正確には君が持つ『力』にかな?」
「な、なに?」
「君も僕達と同じ、血にまつわる強大な力を持っているってことさ」
「……!! お前、一体何が言いたいんだ!」
ヴァトラーの言葉に叫ぶヴェルフ。リリウスと凪沙が同時に振り返る。
咆哮を上げ、現れるは全てを飲み込む暴食の大蛇。
「あれは………“
「でやがったな! 話は終わりだ、行くぞ!」
「くそっ!」
古城が飛び出し雪菜とヴェルフも続く。リリウスもエピメテウスの背から飛び降りた。
「
「ああ」