ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
「あぁ、リリウス! 今日も素敵よ。もっと笑って、怒って、泣いて、狂って、楽しんで、叫んで、囁いて、嘆いて、手に入れて、与えて、噛んで、感じて、傷ついて!」
「喜んで、失って、奪って、傷付けて、苦しんで、壊れて、引き裂いて、狂わせて!」
血の匂いが鼻に付く。獣人程の嗅覚を持たずとも、昇華を果たした神の眷族たるその身は美しい少女達から悍ましい死をいつも感じ取る。
親に愛された経験のない娘が母となり、愛し方が分からず子を壊すように繰り返す。愛されないことを認めず
「死ねばいいのに」
「みてたわ、貴方の一善! うんうん、こうやって誰かが正義をなしてくれれば、私達も安心して悪と戦えるってものよ!」
「そうだよ! そうやって、正義は巡るの!」
正義を探す者、正義を成す者。闇が力を増す時代においても笑ってみせる少女達。間もなく訪れる、破滅の時を知らずに。
「託した相手を間違えたなどと今更後悔するなよ。傲慢だな、最恐。自分達が残るべきだったなどと思い上がるなよ。怠慢だな、最強」
「正義も悪も知ったことか。
ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? IF外伝ディース姉妹√『オラリオに狂気を振りまくのは間違っている』五百話かエイプリルフールに公開予定(あくまで予定)
「
「虹色の光剣を持ったニンゲン?」
現れたるは鎧に身を包んだ女。
炎の翼を持ち浮き上がる眷獣から感じる魔力は獅子や龍蛇にも劣らない。
「あれは
「あー、なんか神々がたまに触手がどうこう言ってるあれか。
「リリウスくん。その神様達に、もう関わっちゃ駄目だよ」
お姉さん(年下)として無垢な少年(年上)にしっかりと注意しておく凪沙。リリウスはよく分からないが頷いておく。
「雷の獅子に続き、まだこれほどの眷獣を…………」
激しくぶつかり合う2体の眷獣。鮮烈な魔力の光が階層を照らす。
空間すら食らう蛇の大顎。因果さえ切断する戦乙女の斬撃がぶつかり合う。
「やはり、相手の眷獣と力は互角………リリウスさん!」
「やめておけ」
弱体化中のリリウスではあのレベルの眷獣を相手には出来ない。ヴァトラーの蛇を食い力を回復させれば勝てるだろうが、そうなれば数分動けない。
まだ眷獣はいるし、黒幕の強さも不明だ。例えばヴァトラーなどは、眷獣全て潰されても本人が眷獣並みの殲滅力を持つ。黒幕も『そう』な可能性もあるのだ。
「だから、やれヴェルフ。動きをとめる程度はしてやる」
トン、とエピメテウスの肩を軽く蹴り飛び出すリリウス。
「借りるぞ」
『──!?』
“
「残光」
『!!』
奔る光の斬撃が“
「あれも魔法か、スキル?」
「ふむ………
続ければよかった、と肩を竦めるヴァトラー。
「でもリリウス君どうしたんだろ? 全然休んでても大丈夫だったよね?」
「……………どうにも眷獣に興味があるようだが」
凪沙の言葉にエピメテウスはリリウスの背中を見つめる。
リリウスの最強の技たるブラフマーストラは黒竜に通じない。威力の問題ではなく、相性の問題。他の攻撃手段を得るのはたしかに有効だが。
(……どうにも、眷獣の力よりも在り方を調べているように見えるな)
魔力で構成された体を持つ存在………精霊に似通った眷獣。その性質を考えれば莫大な魔力があれば人間でも似たようなのは作れるだろう。というか自立式の
「いけえええええ!!」
斬撃の豪雨に押さえつけられていた“
「…………もう嫌な感じはしないよ。でも………ヴェルフ君の魔剣、砕けちゃった…………」
「…………しょうがない。ああ、しょうがないんだ。こういうものだからな」
申し訳なさそうな凪沙に気にするなとヴェルフ。
「それよりも、次に行く必要があるんだろ? 敵が古城と同じ眷獣を持ってるんだとしたら」
「ええ、第四真祖の眷獣は十二体。一体倒したところで、油断はできません」
「凪沙に探ってもらいながら………後は
移動する一同。リリウスは再びエピメテウスの背中にしがみつく。去りゆく背中に見ながら、ヴァトラーは熱い視線をヴェルフに向けた。
「本当に、大したものだよ。眷獣をも脅かす威力。まるで『カイン』の封じた『あの力』の様じゃないか………だが、足りないな。まだ足りない。さて、どうすれば彼は僕の好奇心を満たしてくれるかな…………そして」
視線を移せばリリウスと目が合う。それってつまり、リリウスがヴァトラーを睨んでいると言うわけで。ヴァトラーは警戒を解かずこちらを敵と認識したままのリリウスに喜びの笑顔を向ける。
「彼は…………ふむ、どうするかな……………」
現状、この世界で出会った中では2番目の強さ。ただ、本来は一番強いエピメテウスとは互角らしい。弱体化しており眷獣などを喰らえば一時的に力を取り戻せる。
恐らく、他に手段があるだろう。今使わないという事は時間制限付き。今回の黒幕に使ってしまえば、自分が味わうことは不可能。いっそ今ここで………
「おっと………」
チリチリ逆立つ髪。リリウスの雷が狙いを定めている。ああ、やはり良いなぁ。
ヴェルフの力は脈々と受け継がれる血に刻まれた力。
エピメテウスの力は自分達に近い。悠久の時で己に刻んだ時の力。
そしてリリウスは、そんな2つの力を凌駕せんとする執念の力。経験を積み、試練を超えるほどに強くなるという冒険者。どれだけの試練を超えてきたのか………興味が尽きない。
「いけないなぁ、世界の外にこんなに素晴らしい出会いが待っていたなんて。寄り道が寄り道でなくなりそうだ」