ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
27階層。
案内役の
「……………分身ってことだけど、ちゃんと強いの?」
「本体と違って強化は出来ないけど魔法は使えるしそこそこ強い」
そう答えるのは
「まあ俺が弱体化しているからな。それなりに力を込めた分身の俺もLv.5程度」
「それってすごいの?」
5と聞くと低そうだと異世界人の
「冒険者の大半はLv.1で人生を終えるよ。引退とか、別の理由でも。その大半を乗り越えた人達もLv.2のままなんて、珍しくもない」
「3ともなれば大派閥と称される規模のファミリアの団長を務めていてもおかしくありませんわ」
「その大派閥の上澄みでもLv.4。5なんて、上澄み中の上澄みだよ」
ナァーザとアリシアの説明になら、とエウロペの頭に体重を預けるリリウスの分身を見る。
「弱体化した状態で作られてるっていう彼奴もオラリオだっけ? そこに住む冒険者で勝てる奴少ないの?」
「オラリオというか…………世界で見ても、でしょうね。少なくとも私は勝てません」
「ステイタスは低くても技量とかは据え置きらしいしね。武神の手解きも受けてるって噂」
「………………」
そんな3人の会話を胡乱に見つめるレイ。
「…………? じっと見つめてるけど、私達の顔に何か付いてる?」
「…………いえ、外見ではなく………皆様の声が非常によくにていて、混乱してしまって」
リリウスは本体の記憶も共有しているので喧しい槍使いと妹と同じ声の受付嬢を思い出す。そういえば士道も陰険眼鏡に声が似ていた。似ているというか同じだった。
この3人も、セイレーンのレイや五感に優れたリリウスの耳をして同じ人物が別の口で喋っているような感覚だ。
「そうでしょうか? 自分ではよくわかりませんが………」
「まぁ、こうして聞くと確かに私と…………アリシアさん、だっけ? 私達は似ている気がするわね」
「似ているというか………全くの同じというか。同一人物が声を発しているように聞こえるというか………」
「世界には自分とそっくりの人が3人いるらしい………
「お前もな」
「リリウスちゃんにそっくりな子もいるのかしらねぇ? そしたら、ご飯たくさん作ってあげなきゃねえ。仲良くするのよぉ?」
「………………」
「あっ、あ、こしょばゆい!」
あらあらうふふ、と笑うエウロペ。リリウスは恥ずかしかったのか角をジョリジョリ舐める。歯が牙に変化しているように、リリウスの肉体はスキルにより変質している。リリウスの糸状乳頭は任意で硬くなり骨から肉を削ぎ落としたり骨を削ったりできるのだ。関係なくバリバリ食うくせに。
そこもしっかり再現された分身に神経の通った角を舐められひゃああ、と震えるエウロペ。
「………………」
さすがに見過ごせなっかたのかタロスがヒョイとリリウスをつまみ上げる。舌をしまったリリウスは暫しタロスを見つめ、左肩に乗った。
「すごく小動物」
「聞いた話によると、地上よりダンジョンで過ごす時間の長い幼少期を過ごしたらしいのです。このような言い方であれですが、情緒の成長は見た目にそぐ………そぐわ………あら?」
10になった頃から第一級となり成長は鈍化し、
「……
と、不意にナァーザは
「な、なによ? 急に改まって。眷獣のこと?」
「そんなことはどうでもいい」
「どうでもよくはありません………」
どのみち対応はさして変わらないしどうでもいいのでは、とリリウスは思った。
「私が聞きたいことは一つ。
「は、はぁぁぁ!? な、何を言ってるわけ! どうしてそうなるのよ!」
「恋する乙女の香りが漂っている………」
「恋する乙女の香り!?」
レイが反応する。そういえば恋愛小説とか好きらしい。後、とある少年との今後について、他の恋愛経験者から聞きたいことがあるのだろう。
「するわけないでしょー!」
「………………」
してるんだよなぁ。
「なんで私があんなド変態吸血鬼のこと好きにならなきゃならないのよ! 私はただ、雪菜が心配なだけ!! そうよ、暁古城なんて全然好きじゃないんだから! スケベだし変態だし女の子を手籠めにしようとするし!」
あ、発情した匂い。まあ、とは言っても健全な意味で抱きしめられるとかそういう感じの妄想してる程度だが。他には、リリウスに噛まれた時のフィルヴィスと同じ匂いがする。
「たまにカッコよくて私のことを守ったり、お姫様抱っこなんかしてくるけど、全然ドキドキなんてしてないし、他の女の子と一緒にいるとつい目で追いかけちゃうけど…………暁古城のことなんてぜんっぜんっ好きじゃないんだからね!!!」
(これは、自白しているよつなものでは………?)
(彼女はとても残念なヒューマンだったのですか?)
レイとアリシアが可哀想なものをみる目で
「なんでこの手の女達は嫌いなふりするんだ? 好きな事実は変わらないのに」
「知らない」
タロスはまだ恋愛したことがない。
「そのくせ自分の気持ちに気づいてくれないのをヤキモキして、言葉にしないくせに他の女と仲良くするのが嫌だと絡む。素直に言わないくせに自分の本音に気付いてほしいと思ってる。すごく面倒」
「いやに具体的ですわね。心当たりでもあるんですの?」
「あそこまで攻撃的じゃないけど、
しかも相手は超一途。その点古城って凄いよな。伴侶が12人ぐらいってさ。
「
「違うんですけど!!!! ぜんっぜんっ違うんですけど!!!!!」
「そんな
「のうさっ!!? あ、あなた、さっきから何を言ってるのよ!」
「何を隠そう、私も超絶空前絶後レベルの鈍感かつ誰彼構わず異性を勘違いさせるウルトラ天然ジゴロを好きなってしまった女………!」
「う、ウルトラ天然ジゴロ?」
「しかも、私の場合は神」
「あっ………(察し)」
ナァーザの主神は、それはもういろんな意味で有名だ。
「
「誰彼構わず取り絶えず助けるだろうからな。そのくせ恩着せないから感謝が好意に変わるタイプとみた」
「……………………」
「なんだその目は?」
「た、確かにあの男の周りには雪菜の他にも藍羽浅葱や叶瀬夏音とか可愛かったり綺麗な女の子がいっぱいいるけど………!」
「やはり…………
そりゃ好意を伝えないくせに好意を持ってもらえるなんて、自分にどんだけ自信があるんだって話だもの。
「誰がツンデレじゃあ! い、嫌よ! 絶対に嫌っ! 私が暁古城に告白なんて、絶っっっ対にしないんだから!!!」
『俺がなんだって?』
不意に聞こえる古城の声。それってつまり、こちらの声も向こうに聞こえるわけで。
「うぎゃあああああああああああああ!!? あ、あ、あああああああ暁古城!?!!!??」
『うおおっ! うるせえな、なんだいきなり!?』
「きっ、聞いてた!? 今の話、聞いてた!?」
『今、通信したばかりなんだから聞いてるわけないだろ。聞かれたらまずい話でもしてたのか?』
どうせ悪口なんだろ? と言いたげなその言葉は、古城が
「す、するわけないでしょう! どうして私が貴方の話なんか! 本当に自意識過剰のうえ破廉恥なんだから!」
『破廉恥は関係ないだろ………』
「………あー、すいません、戦闘中だったものでドタバタしていて。どうかなされたのですか?」
『ああ、俺達の方は眷獣を一体倒した。そっちはどうなったかと思ってな』
「
「どういう設定よそれ!? だからやらないって言ってるでしょ!」
ナァーザの提案に
「ちょっと暁古城! 私達の心配より自分の心配をしなさい! というより、雪菜に傷一つでも付けたら許さな────」
「暁古城! 好き! 大好き! 結婚して!!」
「「『はあぁ!?』」」
「暁古城のことがぁ、とーっても、と〜〜〜っても好きなのぉ! ううん、もうしゅき! 大しゅき! チュッチュしたい!」
『き、
「いやああああああああああああ!? 何言ってんのよアンタぁぁぁぁ!?」
と、己と同じ声を持つアリシアに詰め寄る
「わ、私ではありません!? というかあんな憤死するような恥ずかしい内容、口なんてできません!?」
「じゃあ一体誰が言ったって言うのよぉ!?」
リリウスは
「何時も素直になれないけどぉ、私ホントは暁古城のことを見ててぇ、何時か恋人になってちゃんと夫婦になりたいなって…………」
「ってお前かああああああああ!!?」
「仕方ながないことだった。私は
「余計なお世話よぉぉぉぉぉぉ!!」
これ以上の通信はさせまいと迫る
青春ね〜と見守るエウロペ。欠伸をするリリウス。
「私だけ、戦って…………誰も、援護もしてくれない………」
一人階層のモンスターを切り裂いていたアイズは寂しそうに呟いた。