ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
『BUMOOOOOOOO!!』
大地が鳴動するような咆哮を上げる。赤熱した大地が隆起し飛び出す溶岩の槍。最早柱だ。
即座に固まり物理的な破壊力と尚も放つ熱を備えた凶悪な武器。しかも魔力により生成されたマグマではなく、純粋な物理的攻撃。
「間抜け」
だが、人の理から外れた冒険者からすれば足場が増えただけ。
駆け抜ける白い影。高熱のはずの溶岩の杭に足が焼かれないのは、熱が伝わる前に跳ねているから。
駆け回る弟子に翻弄される牛頭魔神をリリウスは嘲弄した。
『BUUUUUUU!!』
ならばと固体化させず踏みようのない液体のまま襲わせる。赤熱し融解した溶岩の津波に、ベルは足を止めない。
「【【終末の前触れよ、白き雪よ。黄昏を前に
響く
「【閉ざされる光、凍てつく大地。吹雪け三度の厳冬──我が名はアールヴ】」
「【ウィン・フィンブルヴェトル】!!」
突き進む厳寒の吹雪。急激に冷やされた溶岩の柱が大量の黒曜石の柱と化し自重で砕ける。環境の急激な変化程度、打ち合わせなどなくとも冒険者は止まらない。
されど、猛牛もまた世界最強とされる第四真祖の眷獣。即座に次の行動に移る。
新たに溶岩を作り出す。場所は、天井。広大な地下空間故に可能な技。振り注ぐマグマの雨に対してリリウスは氷の障壁でラ・フォリアを守る。
一方本体は身の丈を超える巨大な戦斧を振り下ろし……
「【ヴィア・シルヘイム】!!」
翡翠色の聖域が戦斧を阻む。ただの一撃で軋み、亀裂が奔る。圧倒的な物理破壊力。耐えきれず砕ける障壁。幾分か威力の落ちた戦斧が階層全体を震わせる。周囲を警戒するリリウスだったが、哭かない。
「おおおお!!」
戦斧を避けるも衝撃で浮き上がったベルは宙に浮かぶ瓦礫を足場に駆け回る。リンリンと響く鈴の音が、カランと鐘の音に変わる。
『BUMOOOOOOO!!』
その脅威を察知したのか溶岩の壁に籠る猛牛。壁の向こうで斧を構え、防御と同時に散弾による攻撃を行おうとしているのだろう。
「【アルクス・レイ】!!」
レフィーヤの魔法が壁を穿つ。
「ウオオオオオ!!」
狙いをベルへと変えようとして、リドの炎が視界を覆う。
「道は作りました。行きなさい、ベル。そして見舞いなさい、その魔剣の力を!」
「
放たれる魔剣の始祖たる血統のみに許された
「綺麗に片付けちまった。すげぇな、ベルっち!」
「わ、私だって、その気になれば、あれぐらいできますから!」
「俺も出来るぞ。本体が」
「まあ、私も出来なくはないが………」
流石世界最強と最強の
「ふふ、お見事です、ベル。まるでお伽噺の
「………………」
「…………? どうしたのですか? 嬉しくないのですか?」
バキンと音を立て役目を終えた魔剣が砕けた。
「…………リドさん達、後はヴェルフの力を借りて、何とか勝てました。
「まあ、アルデアル公と渡り合っていましたからね」
あれで弱体化とは、つくづく規格外。そんな存在が身近にいれば、なるほど自分を低く見てしまうというもの。
「だから、次は………自分の力で勝てるように。今の眷獣にも、あの『
だが、折れない。
今低くいるなら、駆け上がってみせると、強い眼差しで己のナイフを握る拳を見つめる。リリウスは笑う。レフィーヤは当たり前です、と鼻を鳴らす。
「…………『オックス・スレイヤー』」
「へ?」
「竜殺しではなく、差し詰め『猛牛の決闘者』と言ったところでしょうか。一角の英雄とは、こうして育まれていくのでしょう。貴方は良き『出会い』を果たしたようですね。それがたとえ、人知を超えた強大な存在であったとしても」
それが怪物との異質な繋がりであると察しながらも、ラ・フォリアは戦士を高みへと至らせる為の出会いを否定せずに微笑む。
「もし機会があれば教えてください。貴方が繰り広げた、『冒険』というものを」
「………はい!」