ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
それがなければ、後半年ぐらいはバレずに生きられたのに。
感想にもあったので、リリウスの声は沢城みゆきをイメージすることにしました。凶暴なモードレッドと思ってください。
エランの森。
あまり知られていない事だが、誓樹ウォールナットや、新生した黒のマーダにも使われている勇鉄という超希少素材が採れる場所でもある。
表向きに知られているのは
フィアナ騎士団の生まれ故郷とも呼ばれている。
学のないリリウスが知ってる理由はフィンに
リリウスは目を閉じ葉擦れの音を聞き、日向の温もりを感じる。腹が満たされる感覚とはまた異なる………感慨とも違う…………望郷とでも言おうか。
満たされる、とでも言うような感覚を場所で味わうのは初めてだ。
「………………………」
今、少し寝ていた。
体を伸ばしコキコキと体を鳴らす。
向かうはエルリア。そのためにも、まずは
「……………」
獣の声が聞こえた。この辺りが縄張り? そういう匂いはなかった。争いの音、モンスターの匂い………動物がモンスターに追われてたまたまここに逃げてきたのだろう。
リリウスは少し不愉快に感じモンスターは血が出ぬよう魔石砕いてぶっ殺して、動物は今日の飯にでもするかと決めた。
ルー・ガルーと呼ばれるモンスターがいる。
その姿を簡単に言うと、人間と狼の中間。二足歩行の狼だ。
その凶暴性は多くの村や国を襲い、その姿故に一人歩きした噂は
襲っているのは、2匹の大犬。狼と見紛う大型犬。
「ガアアア!」
「ガウ!」
「バウバウ!」
2匹の野犬は傷だらけだったが、ルー・ガルーも決して無傷とは言えない。というか本来、ルー・ガルーは地上において狼のように群で活動する。
道具を多少使える知能は、弱体化した地上繁殖個体であっても健在で、本物の狼よりよほど巧みな狩りを行う。
それが、一匹。群れから追い出されたのではない。
2匹の野犬に殺された。
元々人などよりよっぽど高い身体能力を持っていて、塞がれたばかりの海と違い千年の月日で弱体化したとはいえ、神々からみても「またまたご冗談を」と笑うような見事な戦いぶりだ。
だが、もう無理だ。限界に近い。
兄弟達の中で体が大きく、恐れられ追放され2匹で生きた野良犬の
「ガアアアアァァァァ、アギャ!?」
と、ルー・ガルーの首に小さな影が飛び乗り首をへし折る。ガクガク痙攣したルー・ガルーはそのまま倒れた。
小さな影はルー・ガルーから飛び降りると数秒見つめ、胸を強く踏む。ルー・ガルーの体が灰となり、ダンジョンのモンスターならば、その体躯にしてはあり得ない小石のような魔石が混ざっていた。
野犬達は知らぬことだが、小さく見つけようとすると胸を開いてこの地を血に染めることになるかと鎧通しのような踏み込みで砕かれたのだ。
「………………」
助けてくれたのか? 困惑と共に乱入者を見る野犬は、しかしその目に思わず飛び退く。あれは違う。騒がしい獣を殺して、自らの飯にする、強い獣が弱い獲物に向ける目。
せめて妹だけでも守ろうと兄が前に出て唸る。
「…………………」
「………………?」
何を思ったのか、獣は踵を返して去っていく。兄と妹は互いに顔を見合わせ、その獣の後を追った。
「なんでついてくるんだてめえ等」
大柄な野犬達は、助けてもらえたとでも思ったのかずっと付いてくる。比較的に怪我の少ない兄が狩りに向かい妹と、何故かこちらにも渡してくる。
獣の群れのボスが真っ先に飯を食えるのは、その群れを統治し知能、或いは力で群を守るからだ。
この犬共は、獲物を与える代わりに庇護を求めているのだろうか?
昨今の獣は道理を弁えているのだな、と少し感心。
「やあ、リリウス君」
と、そろそろメレンが見える距離まで来たリリウスにかけられる声、羽飾りのついた帽子を被った青年神………ヘルメスがいた。
特に話したこともない神なので無視して横を通り過ぎるリリウス。野犬達もいいのかな? とヘルメスと、共にいたアスフィの横を通る。
「ちょ、ちょっとまってくれ! ウラノスから届け物を頼まれたんだ! なんなら、メレンでご飯だって奢るぜ!」
「何をしている神ヘルメス。早く行くぞ」
「えぇ…………」
アスフィは何だこいつ、と言いたげな目でリリウスを見る。と、そこでリリウスはふと足を止める。
「お前等、ポーション持ってるか?」
「え、ええ、まあ」
「買うから犬共に使え。元気になりゃ縄張りに帰るだろ」
「………この犬達は?」
「………………犬」
「…………ていうか、お金持ってきてるんですね」
「
オラリオに向かう途中モンスターに襲われていたテリー………旋盤ですとかそんな名前の奴から貰ったものだ。
恩返しと、オラリオの外にも名を轟かせるLv.6の白髪の
「結構地位のある奴のみたいだね。だけど、それで払えるのは
「なんだゴミか」
彼処と繫がる店など宝石だの装飾品か、高級料理とかいう値段の割に食う量の少ない店に決まっている。
なのでリリウスにとってはゴミ。そもそもメレンでは使えない。
「ま、まあまあリリウス君。何かの時に使えるかもしれないぜ? てか、金もないのにメレンに行ってどうするつもりだったんだい?」
「泳いでエルリアに向かう」
「わー、さすが最上級の冒険者」
「だがまあ、ここにバイキング付き旅船のチケットが丁度よくある」
「そうか、じゃあそれとウラノスの届け物受け取ってやるから帰れ」
「連れないなあ。俺は君をもっと良く知りたいのに」
ヘラヘラ笑うヘルメス。
ハラハラしてるアスフィ。
リリウスはLv.7。怒らせでもしたら、近くで待機している【ヘルメス・ファミリア】全員……というかこの場にいない【ヘルメス・ファミリア】総動員しても勝てない。
なのに何をヘラヘラしてんだこの神は。明らかに警戒されてるじゃないか。ぶん殴ってやろうか、というアスフィの殺気を感じたのかヘルメスはコホンと咳をする。
「と、兎に角、俺が渡されたのはこれさ」
ピアスだ。それも魔道具。リリウスの体質にうっかり食われないよう処置も施されている。フェルズの作品だろう。
「……………」
とりあえず耳につける。
「それ、どんな魔道具なんだい? アスフィも取り敢えず危険はないってことしか分からないみたいでね」
『通信機兼発信機だよ。離れすぎると通話は出来ないけどね』
と、フェルズの声が聞こえた。
「……………
「そっか………」
神の力に対して抵抗力を持つリリウスは、つこうと思えば神に嘘をつける。正確には嘘か本当か解らなく出来る。
ヘルメスは答える気はなさそうだと肩を竦めた。
アスフィはハラハラしながらも野犬達にポーションを飲ませてやる。傷が完全に癒えた野犬はリリウスにすり寄る。
「それとこれ。『
「なら、ヘルメス」
おや、早速かい? と笑うヘルメス。リリウスのステイタス、特にスキルはぜひ見たい。
「このわんころ共に恩恵を与えろ」
「…………………へ?」
「…………………は?」
ヘルメスとアスフィはポカンと固まる。
「できるだろ? こいつ等も、神の子だ」
「あー、まあ………で、出来なくはないけど、なんで?」
「付いてくるつもりらしいからな。恩恵与えときゃ、非常食としても味が上がるだろ」
「連れてくのですか?」
「恩恵与えりゃ馬代わりにはなるだろ」
因みに名前も決めた。兄がシャバラ、妹がシュヤーマだ。
さて、そんなリリウス達を遠くから見つめる者が居た。
それはずっと、エランの森で眠っていた。人類は気付けず、神も起きる気配がないそれを放置していた。
だが、それは起きた。恋い焦がれた魂の気配に目を覚ました。
「キヒヒ………」
まだ気付かれていない。もうしばらく、生まれ変わった彼を眺めることにした。
因みに現在リリはリリウスがオラリオから出たのは町の連中が拒絶したからと思って、リリウス馬鹿にする冒険者も自分と同じ足手纏いのくせにリリウスを詰る民衆も嫌い。
リリウスがいなくなって喜んでるオラリオなんて笑えなくなればいいのにと思ってる。
特に勇者とか勇者とか勇者が嫌い。