ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
リリウスのサーヴァント適正クラス
ランサー 前世のマクール。
セイバー ドゥルガーを連れている。酒と月の神の加護を持つ。
アーチャー ドゥルガーを連れている。酒と月の神の加護を持つ。
ライダー 2匹の猟犬連れてる。美の女神の加護と月女神の技術を持つ。
アサシン 獣特性の相手には気配遮断のランクが上がる。殺戮の女神の加護を持つ。
バーサーカー 無辜の怪物。人々の恐れを押し付けられた半人半魔の神殺し。
アルターエゴ 厳密には悪辣竜ベヒーモス・オルタのサーヴァント。竜成分が純化し、サーヴァント・ベヒーモスとして足りない部分をリリウスが【獣王化身】で補うオルタナティブ。本質はベヒーモス・オルタなので性格がとても悪い。リリウス成分が霊基の殆どを乗っ取ってなかったらどう有っても人類の敵。
ビースト 自分にとってたった一人の『人間』を幸せにする箱庭を作るために人類を滅ぼす獣。死神との契約者であり、冥府より他の魂を追い出した後、現世と冥府を反転させるのが目的。
セイヴァー 本人曰くたまたま一度救っただけ。逸話を元に炎の類は一切効かない。神に対しても耐性を持つ。海より生まれた女神の加護を持つ。
ライダー2 犬ぞりに乗ったサンタ。プレゼントは食い物のみ。周囲に食べれる甘い雪が降ってる。何故かミニスカ。サンタなのに海から生まれた女神の加護を持つ。本人曰くサンタの資格をもらった後『新しい服の時相談する相手に会った』との事。
子供にお菓子ばかりあげるのでナイチンゲールサンタに警戒されている。
ルーラー 水着。男なのに水着霊基。無辜の怪物で再臨前は神時代のフィアナとしての側面を強く出され性別が変わる。本人は霊基再臨を望んでいる。サングラスつけた雄犬と帽子被った雌犬を連れている。バレンタインは2つくれる。武器はバーベキューの串か拳。
マスター アサシンの場合静謐(毒繋がり)、ジャックちゃん(親の愛を受けなかった子供繋がり)。他はインドかケルト。
仲の良いサーヴァント 子供系。インド系。
好きなサーヴァント 料理人系。
本人曰く苦手なサーヴァント 母親系。
訳が分からないサーヴァント 姉系。アストレア。アルテミス。
会わせたら色々面倒事が起きるサーヴァント ヴリトラ。
まずはワイヴァーンの群すら追い立てるモンスターを討伐するべきだ、と方針を決める。
リリウスからすればダンジョン外で得られるかもしれない貴重なご馳走の可能性があるのだ。
「で、なぜお前等もついて来る?」
リリウスはワイヴァーンが飛んできた方角を遡ることにしたのだが、何故か【アルテミス・ファミリア】もついてきていた。
「ワイヴァーンを追い立てるほどのモンスターを放置は出来ない」
「? でもお前等に何も出来ないだろ?」
あのワイヴァーンの群が逃げ出す以上、敵はあれ以上の数と戦い勝ったか、あの数では絶対に勝てないと思わせるだけの強さを持つかだ。
そのどちらの場合でも、【アルテミス・ファミリア】の手に負える相手ではない。
「だってお前ら、弱い」
「なっ!」
「うっ……」
その物言いに思わず反論しそうになるが、事実としてリリウスより弱い【アルテミス・ファミリア】は言葉を飲み込む。
神時代となり神の恩恵を得た眷族達は昔日の英雄にも迫る力を得たが、
例外といえば『ナイト・オブ・ナイト』だろう。リヴァイアサンの討伐に
だが彼は本当に例外中の例外。最近、現存する3人目のLv.7に至ったとか。
「だけど、村人の避難を手伝う程度はできる」
「…………………」
「弱い事を理由に、民を守らない者はここにはいない」
【アルテミス・ファミリア】団長、レトゥーサの言葉に他の団員達の目にも覚悟が宿っていた。
弱さを戦わぬ理由にしない乙女達…………やはり【アストレア・ファミリア】に何処か似てる。
「なら、せいぜい死ぬなよ」
「……………」
「…………?」
「今のって、もしかして危ないからついてくるなって意味だったの?」
「何故俺がお前等の心配なんてしなきゃならねえ」
あれ、違うの? と彼の女神に視線を向ける【アルテミス・ファミリア】。
「なあに? 美しい私に見惚れたかしら? 仕方ないわねえ」
と、シュヤーマの上ではポーズを取り始めるアフロディーテ。性格はあれだがやはり見惚れるほど美しい。
「私の
「ぴいっ!?」
アルテミスが睨むと涙目で怯え尻を押さえる。尻を引っ叩かれた事があるのだろうか?
翌朝、早朝。リリウスは自分を抱き枕代わりにするアフロディーテを起こさぬように天幕から出る。
シャバラとシュヤーマもリリウスの気配を感じ起きてきた。欠伸をする兄を叱るように妹が鼻先で小突く。
「おや、早いな」
と、アルテミスが声をかけていた。早いなと言う割にはすでに自分も起きているアルテミス。
遅ければ昼間まで寝た挙げ句酒を要求する何処かの駄女神とは大違いだ。
「ちょうど良かった。君の猟犬を貸してほしい」
「…………だとよ」
「クゥ」
「ワン!」
アルテミスの言葉に、二匹はアルテミスへとすり寄る。人嫌い、とは言わないが人懐っこいとも言えない二匹が警戒心なく近付くのは珍しい。
何か小鳥とかも肩に止まりだすし。
陽光を浴び輝く朝露に装飾された木々の前で動物と戯れるアルテミスの姿は、人によっては美しいと思うのだろう。
リリウスはそんな事気にせず、何か無警戒に寄ってきた鹿の脊髄を噛み砕く。
「バウ!」
「グアア!!」
他にも寄ってきていた狼や熊が逃げ出す。リリウスは即座に襲いかかり喉笛を噛み千切る。
「……………」
「そんなに見てもやらん。これを分けるのはアフロディーテとシャバラ達だけだ」
「食べるのか…………いや、我々も狩猟派閥だが。少なくとも私にすり寄ってきた動物を狩るのは君が初めてだ」
「近付いて来る
「まあ、道理だが……………」
不意打ちだったが狩猟というのはそういうものだ。何よりアルテミスは食うための狩りを否定するような性格でもない。
「で、シャバラ達を借りて何がしたいんだ?」
「朝食だ」
夜行性の獣が寝静まり、代わりに活動を始める昼行性の動物達。
鹿などは人々には夜出るイメージがあるが、それは人間を警戒して昼は姿を見せないようにしているからだ。人に慣れた鹿なら昼に姿を見せる。
森の中では普通に昼に活動している。
モシャモシャと若芽を食べる鹿。他の仲間達も周りにいる。つまりは、運がない。
「ピィッ!」
ドッ、と喉を貫く一本の矢。
頸動脈どころか脊髄を貫く。本来首に矢が刺さった程度では動物は案外死なず、結構暴れるのだが脊髄を射抜かれれば動けず死ぬ。
「ピイィ!」
「ピイ!」
仲間がやられ、慌てて逃げ出す鹿の群。襲いかかる2匹の猟犬。鹿肉が増えた。
「………お前の矢、何故当たる?」
鹿はまだいい。動物だし。
だが昨日は上級冒険者以上の身体能力を持つ翼竜にも当てていた。
「矢を射てばそれは必中だろう」
何いってんだこいつ。
いや、鍛冶神が神の力を使わぬまま至高の領域の武具を打てるのと同じ理屈なのだろう。極まっていれば理解出来る、と思っていたリリウスをして理解出来ない。
凡人並みの身体能力しか許されぬまま
「簡単な手解きならしてやれるが………」
「…………教えてくれ」
「あ、朝から豪勢ですね〜」
たくさん積まれた獣の死骸を見てランテが引きつった顔で声を漏らす。
「幾つかは干して保存する。道具を貸そうか?」
「何いってんだ。全部朝飯に決まってんだろ」
鹿とか狼とか熊が五体満足のまま、幾つもあるんだけど、と困惑する【アルテミス・ファミリア】。
「成長期か? 良く食べなさい。命を無駄にしてはいけない。食べられなかった分は、森に還して………」
「んぐ?」
熊の毛皮も頭蓋も噛み千切り、噛み砕くリリウスにアルテミスも言葉に詰まる。もぐもぐ食事を続けながら、ああ、と内臓を取り出すリリウス。
森に還した。
「リリウスちゃん、骨とかも食べちゃうんだ。どんな歯をしてるの」
「スキルの影響が肉体に出てるからな。ほえ」
と、口の端を掴み口を開けるリリウス。前歯はどんなものでも噛み千切れるよう鋭い牙が並び、奥歯は磨り潰すために臼型。肉食寄りの雑食の歯をしている。
「お〜。でも小さくて可愛い歯」
「ランテ、あまり異性の口を覗くのは感心しない」
「え、異性? 何言ってるんですかアルテミス様」
「だから、子供とはいえ女が男の口をまじまじ見つめるなと言っている」
「リリウスちゃんが男? またまた〜」
「え?」
「「「えっ」」」
「…………?」
「ワフ?」
「ワゥ?」
アルテミス様も冗談言うんですね、と言うように返したランテにアルテミスは困惑し、その態度から冗談ではないと察した【アルテミス・ファミリア】が骨髄をシャバラ達に分けてやっているリリウスに視線を向け、リリウス達は視線に気づき首を傾げた。
「起きろ。起きろアフロディーテ………起きろ駄女神」
「駄女神じゃないわよ! 完璧完全絶対無敵の美の女神!」
飯を食い終えたリリウスはアフロディーテが居ないことに気付き起こしに行く。アフロディーテはリリウスの罵倒に飛び起き、血でべっとり汚れたリリウスを見てうわぁ、と顔を顰める。
「起きたかアフロディーテ。お前の分の食事だ」
「あら、気が利くのね。寝過ぎたからリリウスに用意させる必要があると思ったわ」
「私はお前が嫌いだが、だからといって子供じみた嫌がらせはしない」
仲は、悪いのだろう。嫌いと言ってるし。でも大嫌いではないようだ。
「ごちそうさま。さて、それじゃあリリウス。その血を落とすわよ。確かあっちに川が……………」
「まてアフロディーテ! お前、その子と水浴びする気か!?」
「しょうがないでしょ。この子私が言わないと滅多に体洗わないんだもの」
血の匂いに気付かれた程度で、獲物を逃がすことのないリリウスは基本的に体を洗わない。何なら、洗ってくると言って砂に体を擦り付けて垢を落とすという野生動物さながらの砂浴びをして砂だらけで戻ってきて洗ってきたという始末。
「だからって一緒に!? 破廉恥だ、節操を知れ!」
「あんたこそ、こんな子供にまで男女の〜なんて節操知りなさいこの
リリウスを抱き寄せべ〜、と舌を出すアフロディーテ。アルテミスの顔に青筋が浮かぶ。
「…………アルテミスは男が嫌いなのか?」
「ん? ん〜………まあヘルメスとかはともかく、男全部汚らわしい! なんてキャラじゃないわよ」
「じゃあ何故?」
「こいつは『貞潔』を司る女神。男女の交わりそのものが嫌なのよ」
つまり頭の硬いエルフと同じという事だろう。神なら、或いはエルフ以上? でも尊敬されるべきハイエルフの英雄だか聖女だかに純潔を望んでおきながらハイエルフに純血の子孫を求める種族より上の生き物なんているのだろうか?
いや、生き物というか
「は〜、やだやだ、恋の一つでもして『ダーリン♪ 浮気したらお仕置きなんだから☆』ぐらい言えないのかしら」
「それはもう私ではない…………私ではないが、そこはかとなく感じる既視感。これは一体?」
「知らないわよ。
「とにかく、男女の水浴びなど私の目に届く範囲では許さん!」
「
喧嘩しだした2柱の女神。リリウスはシャバラとシュヤーマを連れ水浴びに向かった。ドゥルガー(♀)も付いて来ているが、残念ながら誰も気付かなかった。
「助かりました。本当に、本当にありがとうございます!」
その日の夜。
立ち上る煙に気付き駆けつければモンスターの群れに襲われる村があった。直ぐに鎮圧し、幸い死者はいない。
ただし怪我人は多く居る。
村長は【アルテミス・ファミリア】に感謝しながらも、差し出せるものはないと恐縮している。
「シュヤーマ」
「アン!」
リリウスの言葉に屋根に登り耳や鼻をピクピク動かし警戒していたシュヤーマが降りてくる。リリウスはシュヤーマの背に乗る。
「【太陽に先立つ光。夜闇は白ずみ、陽光が世界を照らす】」
シュヤーマの足元から展開される
「【目覚めよ、地に満ちる命。日輪の抱擁が我が身を消し去ろうと、新生の暁が
「【アルーン・モーハナ】」
「アオオオオオオン!!」
モンスターの爪に傷つけられた女が、毒により蹲っていた戦士、腰痛に悩まされていた老人、火傷を負った男……
『賢者』の
光の届く範囲の傷も、毒も、病いも、呪いも、全てを癒す。癒せぬとしたら生来抱える疾患ぐらいという迷宮都市の聖女にも劣らぬ規格外の治癒魔法。
【
『森に落雷が落ちモンスター達が逃げてきた』。
村人達の証言を元に森へと向かう。死者が出ていなかったのは、脅威からモンスターが逃げていたからなのだろう。
「…………確かに落雷の跡にも見えるな」
「だが、雷雲なんて見かけなかったぞ?」
「魔素が残留している。人の物じゃねえ、モンスターだ」
「雷のモンスター………サンダー・スネークか?」
「いや、竜だな」
と、破壊痕を見ながら推理するリリウス。
「何故そう思う?」
「降ってきたんなら上から来たんだろ。何より、派手な襲撃でモンスター襲っといて逃げたモンスターは追いかけもしねえ。力への自信と、食うに値する相手を選ぶある種の誇り……蛇にゃねえ、竜の思想だ。狙いは魔石で、近くの村には興味もなし…………力しか求めてねえな」
だからといって人間にとって安全ではない。モンスターを追い立て結果として今回のように村が襲われるし、目障りという理由で人の集まる街を破壊する可能性もある。
「探せそう?」
「雷の匂いがまだ鼻につく。そうでなくても飛んでんだろ。だが、俺達はワイヴァーンの飛んできた方向に遡ってこの村を見つけた」
ワイヴァーンを追っていたなら、この村はとっくに滅ぶか今更襲われていないかの二択。
「ワイヴァーンの住処をそのまま拠点にしてる可能性が高え。さっき村でもらった周辺の地図に、それっぽいところを見つけた。其処に行くぞ」
【アルーン・モーハナ】
詠唱の元ネタは女神ウシャス