ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
因みに沼の王の元の種族は漫画版と同じウォーシャドウ。
まあアステリオスは厳密にはブラックライノスの亜種だしジャガ丸はペルーダかスカルシープの亜種だし、次の種族がどうなってもおかしくないけど
リリウスの蹴りが沼の王の頬に放たれ、眼窩の目玉が零れ落ちる。
「ギィ!」
傷は治る。しかし、明らかに速度は落ちている。
このまま削りきれるか?
「ギィアアアアアア!!」
「そう容易くはいかねえか」
ベルテーンを飲み込んだ沼が消えていく。不必要にまで膨らんだ部位を捨て、維持できる肉体を残して治癒を優先しているのだろう。
甘露な毒を魔石、源泉近くで取り込んでしまったからか、毒に侵された部位を捨てれていないようだが。
「コ ロス! コロ ス!」
「それほど憎いか、欲しかったものを簡単に手放していた彼奴等が。今更手に取る彼奴等が」
沼の王。そう呼ばれる前のモンスターは、何処にでもいる普通のモンスター。
バベルが建設され、ダンジョンから新たなモンスターが地上に現れなくなり、モンスターの弱体化が始まったばかりの時代。
地位や名声がオラリオに行かずとも得られた時代で、地上のモンスターを殲滅し人類の住める土地を増やそうとする、何処にでもいる神の眷族がモンスターと戦う時代。
そのモンスターは確かに何処にでもいる人類の敵だった。
とあるリザードマンの様に赤く輝く夕日に魅せられる事もなく、とあるハーピィのように何処までも続く空に思いを馳せることもなく、とあるセイレーンのように抱き締め合う恋人を羨むこともない。
自然を壊し、人類を殺すモンスター。神の眷族に敗れるのも、良くある話。
逃げ出すのも良くある話。逃げた先が、秘境だっただけ。
陽光を反射し輝く泉。葉々の隙間から溢れる光の雨。
泉の中央に置かれた石碑の文字など読めないが、綺麗だと、モンスターは思った。
ボロボロな体を引きずって、モンスターは泉に向かう。どうせ死ぬなら、ここがいいと思って。
朽ちる体がこの綺麗な景色の一部になれれば、そんなことを思いながら。
だけど死ぬ事はなく、傷が癒えた。水の湧き出す場所に繋がっていれば、無呼吸の苦しみすら無い。
そのまま泉から上がることもなく、数週間、或いは数日。人間がやってきた。
それも沢山。人間に殺されかかった彼にとって、関わりたくもない生き物。泉の底から、此方に気づかぬ事を願いながら観察する。
手を合わせ静かに泉に浸る姿は、『祈り』である事を彼は知らない。
小さな個体を抱える雌が『母』である事を彼は知らない。
人間について何も知らず、ただ隣に誰かがいる光景を羨ましいと思い、手を伸ばしたら、潰れた。
沼の王。恐ろしき怪物。何時の間にか泉に住み着き、澄んだ水は濁り生物を傷つける。
どうしてそうなったのかは、本人も知らない。何せ彼はただ泉に潜っていただけで、穢す気など微塵もないのだから。
もう一度あの綺麗な泉を見たくて、探す為に自分を増やして、誰かと繋がりたくて伸ばした手は簡単に命を潰してしまう。この身は命を取り込んでしまう。
怪物の本能は沼の王の憧憬を上回り、食うのを、殺すのをやめられない。
ある日、とても美味そうな物を見た。取り込んで、食って、死にかけた。泉の力で癒す。傷付く。また繰り返す。
人間を観察していた沼の王は解る。あの女達は食われるために来る。他の者達は、それを知りながら何もしない。
どうして、そばにいる誰かを簡単に手放す?
触れれば潰れてしまうような命を、守りたいから?
沼の王は、初めて憧憬とは別の感情を抱いた。それは、人類が嫉妬と呼ぶ感情。
自分が手に入れないものを手に入れてるくせに、手放す者達への嫉妬。
ああ、なら、いいんだな? ならば自分はそうあろう。お前達を苦しめるものであろう。お前達から奪うものであろう。お前達を、穢すものであろう。
「イマ サラ! イマサラアアアア!!」
「お前もヴェーラと同じか」
失望したのだろう。ベルテーンの民に、あってほしい形があったのだろう。そもそもベルテーンの民がそうなったのはお前のせい、などとは言わない。選んだのは彼等だ。
「俺の知ったこっちゃねえがな」
「ギィ!?」
体の半分を破壊するも、再生。魔石は、やはり沼の底か。
「タルヴィ」
と、リリウスはタルヴィの横に立つ。
「あの魔法をもう一度使って沼の王を引き剥がせ」
「え?」
【ベルティナ・ウィッカーマン】で強化した魔法は沼の王に効く。そして、あれは毒であると同時に結界魔法。強化し範囲を広げれば、沼の王を源泉から引き剥せる。
「おい貴様!」
「勘違いするな。生命力なら俺のを貸してやる」
「………なに?」
タルヴィを助けたくせに死ねというのかと叫ぶウスカリに、リリウスは面倒くさそうに答える。
「あの魔法、俺からも少し生命力を持っていきやがった。燃焼対象は
リリウスという
「なら、それは俺達がやる」
「リダ──お兄ちゃん!?」
「俺達が、やるべきだ。そうだろ、皆!」
「「「おう!!」」」
リダリの言葉に、ベルテーンの民が応える。リリウスはそうか、と返すと迫る沼の王の触手を切り裂く。
「ならさっさとしろ」
そのまま沼の王に向かっていった。
「皆…………」
「お嬢……
「どうか我等の力をお使いください、姫様!」
「覚悟は、とうに出来ています!」
「この程度で、贖罪になるとは思いませんが………!」
ああ、やっぱり、好きだなあ。皆、大好き。
「少しだけ、力を貸して………!」
「「「はい!!」」」
「ああ!」
「【燃え盛る木の巨人。編み込まれし
「【大地を照らす光よ、巨人の瞳よ。三千大千世界を照らせ】」
紡がれる2つの詠唱。沼の王はベルテーンの民を睨み、しかしリリウスを優先した。
「【炎よ、陽光と成れ。遍く大地を照らし、豊穣を齎せ】」
「【一天四海に慧日を齎せ。光彩陸離が闇を破し、清浄世界の秩序を示す】」
「【贄の
「【ベルティナ・ウィッカーマン】!!」
タルヴィの魔法が発動する。木々の檻がベルテーンの民ごと包み込み、炎を焚べる。
少しだけと言う通り、炎の色は薄いが、勢いだけは当然一人で行うより遥かに上。
「ガアアアアア!!」
「【解き放て血の縛鎖。来たれ、冬の天秤】」
「【黄金の鎧を纏う化身。
「【踊れ雪の
沼の王の体や触手の各所に口が現れ、生き物を腐食させる沼とは違う、消化液を吐き出す。
【アルテミス・ファミリア】の魔導士達がそれを焼き、それでも消せなかった消化液から上級冒険者の耐久で無力な民達を守る。
「【閉ざせ、楽園の名の下に! 夢想よ繋げ! 明日へ至りし
「【ベルテーン・トロイメライ】!!」
生み出される『毒の結界』が沼の王を捕える。
全身を毒で侵しながら、再生も増殖も許さず本体を源泉から引き剥がした。
「アアアアアアアアア!?」
源泉と完全に剥がされ、肉体が更に崩れる。取り込んだ精霊の軍勢の力と、後付された大精霊の力の欠片を使い維持しようとするも70
「ギィ、ギイイイ───ア」
ベルテーンの民を忌々しげに睨む沼の王は再び源泉に向かおうとして、固まる。
そこには、本来の美しい姿を取り戻した生命の泉があった。
「オレ ノ……オ レノモノ…」
「【雷帝の謀りを跳ね除けよ。陽光を施せ。この身は英雄。汎ゆる悪鬼を焼き尽くす】」
「ッギ!? グギャアアアア!!」
残る全ての精霊の力を絞り出し、混魔の魔槍を生み出す沼の王。
「【バースカラ・ヴァイカルタナ】!!」
殺戮精霊の放つ、太陽神の力を模倣した破壊の光。闇夜を切り裂き、大地を溶かし、山をぶち抜いた。
破滅の光を前に沼の王は、刹那にも満たぬその光景に見惚れていた。
「……………」
数百年物の強化種の魔石も消滅し、崩れ行く体から溢れるのは灰と『沼の王の心臓』。泉の力を全身に巡らせるためのポンプは、精霊の力の利用にも使われたのか色濃く精霊の力が残っている。
「アグ」
それを確認した瞬間、リリウスは逡巡もせず食べた。
ダンメモではおふざけ全開の学園イベントがあったとふと思い出した。
学校の上の連中が人気者を留年させて他の生徒も自主留年させ学費を搾り取るというツッコミどころ満載の作戦を立ててるやつ。
神も神じゃないっぽくてリヴェリアのおじいちゃんがウラノスでガネーシャはシャクティと婚約してる奴。
ナァーザが生徒と教師だから交際できないというミアハに若返り薬を飲ませようとして、それがなんやかんやあってアイズ達が飲む話。
因みに人格も違い
薬で小さくなった奴等
アイズ→二言目には戦おう
ベート→口は悪いが原作より素直
レフィーヤ→ほれっぽい
ベル→変わらない
リヴェリア→家の権力使う
小さくなってないロキ、フィン、ガレスは若返り薬を利用し永遠に留年させようとか考えてる。オッタルは用務員。果物を握り潰す。
此処にリリウスを足すなら………
新人教師アルフィアと調査しに来た子供スパイかな。ルノアと被るけど。
因みに卒業生(つまりフィンより年上)
アルフィアとの会話は
「調査とはいえ、校則を破るようなことをすればめってするぞ」
「滅するの間違いだろ。で、目的は若返りかばあさん」
「【
因みにザルドは食堂で働いている。
学校繋がりで学区の一幕。ちょい出し情報
「好みの異性?」
なんで答えなくちゃならねえと、訝しみながらジャガ丸くんグランデチョコレートチップエクストラコーヒーミルクキャラメルフラペチーノウィズチョコレートソーストッピングトリプルを食うリリウス。
「き、気になるんです」
リリウスは面倒くさいと感じつつも奢られたので、と考える。好み、良く解らないが………一緒に居てもいいかと思える異性。
薬くれる心配性な女、英雄譚が好きな女、高慢な魔女………取り敢えず浮かんだ3人の共通点………。
「灰色に近い髪の──」
「!?」
「っ!」
ナノが涙目になり、聞き耳を立てていたルークが勢いよく振り向き………。
「──似合う女」
「「「…………女?」」」