ダンジョンで飯を食うのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
リリウスと相性が悪い世界
ブラブレ
リリウスと相性が良い世界
トリコ
他にもないかと考えたけど、無限に食料が湧くトリコ世界ぐらいだな。
トリコを久々に読んでふと思った。食べたものを完全に吸収して何も出さないネオとリリウスって似てるな…………。
毒の炎。
世界を紫に染める炎は触れればその身を侵し、何を焼こうと猛毒の煙を発生させる。
一対一や多対一の一になっていたならともかく、あまり乱用できる使い方ではないな。
「ギィィ!!」
毒に侵されたモンスターが咆えると毒が消える。精霊の奇跡だろう。だが、毒に満ちたこの空間では常に魔力の消費を強制される。
「……………!」
「逃がすか」
炎から距離を取ろうとしたモンスターだが、リリウスが風を推進力に追い抜き蹴りを放つ。
「………魔力を爆発させたか」
リアクティブアーマーだったか………過去、何処ぞの冒険者の二つ名にあったような気がする。
「ギィィイ!!」
「っ! 脱皮?」
モンスターの背中が裂け、中から甲殻が修復された姿で現れる。ただし千切れた背中の副腕は流石に再生していない。
傷が癒えたのはどうでもいい。問題は、毒消しの奇跡に使っている魔力が明らかに減っている事だ。
耐性を得た? 直ぐにでも脱皮しなかったことを思えば、そう簡単に行えるわけではないようだが。
「ギィィ…………」
モンスターもまた、未知の力に警戒する。
元よりリリウスに対策して生み出されたモンスターは硬い甲殻、素早い動きに、実はベヒーモス程の強さはなくとも全身毒という喰われないための対策はもちろんとして単純な強さでもリリウスを超える。
そこに間違いはないが、魔法耐性、捕食への抵抗等が主軸の進化をしている。それはリリウスが蠍の群の前で使った力が限られているからだ。それはつまり、モンスターはリリウスの力を十全に知っているわけではない。
「……………」
キチキチと音を鳴らす。モンスターが体を震わせる。何故に? 恐怖? いいや、これは高揚。
ただ一つの目的のために生まれた異質なるモンスター。母の役割を引き継がず、世界を滅ぼす怪物を超える世界を滅ぼせぬ器に与えられた役目。
その役目が果たせないかもしれないことが……………。
その感情を、言葉には出来ない。そこまでの知恵も情緒も手に入れてない。
「キエエエエ!!」
炎を突き破り、リリウスへと迫るモンスター。両腕と副腕が襲いかかる。
一つ一つがLv.6ですら屠る絶命の一撃。
リリウスは一つ一つ捌きながら、鈴の音を響かせる。
「インドラ」
「ギッ!?」
神経を焼く黒い雷。体内に流れる雷からも、毒が流れる。理屈など考えるだけ無駄だ。神に最も近き精霊の奇跡と、神殺しの怪物の力に理屈を求めるほうがどうかしてる。
「ギィ!」
「っ!!」
モンスターが痺れる体を動し、毒針をリリウスに刺す。高い対毒性を持つ筈のリリウスが一瞬侵される猛毒。
モンスターは痺れる体を、関節部で精霊の魔力を暴発させることで無理矢理動かす。
叩き込まれた拳には、先程のような威力はないが、それでも文字通りの怪物の一撃。おまけに、拳がぶつかると同時に魔力を暴発させるという手も使ってきた。
「キッキッ………キヒヒ!!」
モンスターは、攻撃で敵を吹き飛ばしたことよりも、あの一瞬の攻防で
己が生まれた唯一の理由。生まれる前より殺す事が決まっていた『敵』。それが、ここまで抗うことが、ここまで強いことが、世界に肯定されるよりも…………!
「…………?」
リリウスは怪物の歓喜を感じ取り、しかし理解出来なかった。簡単に倒せるわけでもない敵の存在を喜ぶ………リリウスにもないとは言わないが、それは
ただ純粋に殺すために生まれて、殺す対象が殺せぬ事に喜ぶ意味が解らない。解るのは………こいつと自分はどちらかが死ぬまで殺し合う、ただそれだけ。
「【傲慢なる悪意の王。血の河を啜れ、肉を貪れ】」
「ギッ!?」
「【ラーヴァナ】」
溢れる魔力にモンスターが警戒した瞬間、リリウスは既にモンスターの前に居た。拳が叩き込まれる。
「ギッ……!」
「ガッ!!」
同時に、モンスターの肘もリリウスの腹にめり込んでいた。
お互いそのまま拳や蹴りを放つ。一発一発が必滅の威力を内包したモンスターと、一撃の威力は劣れど獣の本能で先読みし確実な一撃をより多く叩き込むリリウス。
モンスターの拳が逸らされる度に大気がうねり、リリウスの拳が叩き込まれる度に大気が弾ける。
両腕の拳の乱舞に紛れ込む副腕の一撃が首の肉を挟み千切ろうと伸びれば、リリウスの牙が逆に噛みちぎる。
氷の刃を纏う手刀が放たれれば、モンスターの光線が至近距離で放たれリリウスを焼く。
毒の炎は、むしろ幸いだったろう。下手に彼等を目視できる距離に近付けば、Lv.5程度なら巻き込まれた事にも気付かれず消し飛ぶだろう。
モンスターの蹴りがリリウスの脇腹を抉り、リリウスは回転しながら受け流し踵をモンスターの肩に叩き込む。
右肩が完全に砕けた。右腕は使い物にならないだろう。月も何時のまにか山に隠れ、夜明けが近い。回復手段は、ない。
「…………オワリ?」
モンスターは、決着が近づいたことを感じ取る。
もうじきこの戦いは、勝者が決まり終わる。生まれた意味が消える。
産声一つ上げる間もなく敵と対峙したモンスターは、その事実にブルリと震える。
「…………こういう奴が多いな」
「キヒヒ。主様の人となりゆえだろうさ……」
或はこの千年で、モンスターがそもそも変質し始めているのか。
「それがお前にとっての飢えなら………食い扶持を奪い合うわけでもねえんだ。満たしてやるから、さっさと死ね」
「ギイイイイ!!」
モンスターが左手を突き出し、現れるのは三日月を象る弓。青白い月光は、モンスターの魔力に侵され紫に染まる。
「【地上遍ク汎ユル命ヲ狩ル
「【暴風を纏う破壊の化身。灰に塗れし再生の権能】」
2つの詠唱が紡がれる。リリウスの体から溢れた青い炎が右手に集まり形を作り出していく。
「【暁ト共ニ蘇リシ瞳デ月ヲ見ツメヨ。汝ガ運命ハ女神ヲ
「【
詠唱を紡ぎながらも、戦闘は行う。折れて短くなったマーダで斬りかかるリリウス。三日月の弓を刃のように振るうモンスター。
精霊の力を防御に回す余裕もなく、甲殻が斬られる。
ドゥルガーが持つ中でも最強クラスの力に思考が削がれ、モンスターの攻撃がリリウスを捉え始める。
「【月ヲ惑ワス英雄ヨ、太陽ノ怒リヲ知レ。命ヲ狩リ尽クス狩人ヨ、大地ノ罰ヲ知レ。此処ニ魔蠍ハ放タレタ】」
「【
「【
「【
天界最強の一つと称される月女神の矢の紛い物と、天界最強の一人である
光が世界を包む。音も何もかも消し去り、毒の炎が消し飛ぶ。
何もかもが消え去った空間に空気が流れ込み大気がかき混ぜられる。巨大な顎に食いちぎられたかのようなクレーターの中央、蹲る。
「…………もう動けねえ」
「流石にシヴァの力は、模倣でも主様には早すぎたな」
「…………………」
全身が焼け崩れそうなほど熱い。右腕は一部炭化している。【
古代の大精霊、その中でも特に強力なドゥルガー。
一柱の神の欠片でありながら、複数の神の力を宿す規格外精霊の、最高位の力。
「お前の大本、これ恩恵もない古代の人間に使わせる予定だったのか………」
「命と引換えに怪物を討つ英雄譚など腐る程あるだろう」
「それもそうか…………」
有名どころだと英雄カドモスか。読み聞かせたくせに、アーディはあまりこの物語が好きではないと言っていた。
「キィ………」
「………スパルナか。ちょうどいい、アフロディーテ達を呼んでこい」
「キュイ!」
空から降りてきたスパルナは一鳴きして飛んでいった。戦いながらだいぶ移動したから、来るには時間がかかるだろう。リリウスは疲れたので寝ることにした。
「大儲けね!」
地上にありながらダンジョン深層のものと比べても見劣りしない
リリウスは自分が倒した分だけで十分だが。
その中には神殺しの怪物であるアンタレス本体の甲殻もある。力の殆どを譲り渡したとはいえ、深層階層主のドロップアイテムよりも有用だろう。
「ありがとう、助かった。君がいなければ、私達は全滅していたかもしれない」
遺跡の封印を解けるのがアルテミスである以上、何れは【アルテミス・ファミリア】が戦うことになっただろう。そして、間違いなく全滅していた。
「十分俺達の糧になった」
【リリウス・アーデ Lv.7
力∶D587
耐久∶C699
器用∶D547
敏捷∶D504
魔力∶D539
捕食者C
悪食C
強食D
毒牙F
咆哮G
治力G
《魔法》
【ラーヴァナ】
・狂化魔法
・詠唱式【傲慢なる悪意の王。血の河を啜れ、肉を貪れ】
【ラーフ・シュールパナカー】
・変質魔法
・
・詠唱式【月を喰らい太陽を飲め暴食の化身。首となっても歯を突き立てろ。
《スキル》
【
・
・強者を食らうことによりステイタス成長速度向上
・食事による回復
・常に飢える
【
・嗅覚及び聴覚の強化
・
・
・
【
・魔力に高域補正
・魔力変換
・精霊種への特攻
・精霊種からの特防
・精霊種の
【
・猛毒生成
・黒風
・黒雲
・発展アビリティ耐異常を高域発現
・神性抵抗 】
【シャバラ Lv.3
力∶I94
耐久∶H145
器用∶I82
敏捷∶H186
魔力∶I58
騎獣H
耐異常I
《魔法》
【シャクティダラ・ヴェル】
・代理詠唱
・投槍魔法
・詠唱式【水晶の山を駆け抜けよ。雷帝は勝利を騙る。偽りの勝者の座す山よ、砕け散れ】
《スキル》
【
・騎乗者と『力』『敏捷』『耐久』共有
・『敏捷』に超域補正
【
・『敏捷』の低域補正
・一定範囲内の同恩恵保持者のアビリティ中域補正
─距離により補正域変動
・一定範囲内の同名スキル所有者アビリティ高域補正
・同名スキル所有者との共鳴 】
【シュヤーマ Lv.3
力∶I75
耐久∶I81
器用∶H142
敏捷∶H168
魔力∶H136
騎獣H
耐異常I
《魔法》
【アルーン・モーハナ】
・代理詠唱
・回復魔法
・範囲効果
・一定時間
詠唱式【太陽に先立つ光。夜闇は白ずみ、陽光が世界を照らす。目覚めよ、地に満ちる命。日輪の抱擁が我が身を消し去ろうと、新生の暁が生命を捧げよう】
【】
《スキル》
【
・騎乗者と『魔力』『敏捷』『耐久』の共有
・『敏捷』に高域補正
【
・一定範囲内の同恩恵保持者のアビリティ中域補正
・一定範囲内の同名スキル所有者アビリティ高域補正
・同名スキル所有者との共鳴 】
【スパルナ Lv.1
力∶H102
耐久∶I95
器用∶H141
敏捷∶H197
魔力∶I0
《魔法》
【】
【】
《スキル》
【
・騎乗者と『力』『敏捷』『耐久』の共有
・『敏捷』に超域補正
【
・炎の
・自動治癒 】
Lv.1のスパルナはもちろん、ランクアップしたてのシャバラ達も成長した。リリウスもステイタスが大幅にアップした。
アンタレスが最後に産んだモンスターの死骸。殆ど消し飛んでしまったが、それでもかなりの糧となった。
「ランクアップは保留でいいの?」
「ああ」
リリウスを殺すために生まれた怪物。それを逆に殺したのだ。偉業は果たされ、現下界最強の資格を手にしたリリウスはしかしランクアップを見送った。
ステイタスを極めておきたいからだ。
「で、次は何処に向かう?」
またアンタレスのように、リリウスの糧となるモンスターのいる場所に向かうのだろうが。或は、竜の谷の結界付近で強力な竜が飛び出してくるのを待つか……。
「次は……確か今年。今なら………」
「?」
「一先ず、オラリオを目指すわ」
「? 帰るのか?」
まあ、オラリオなら確実に強いモンスターはいるが………。黙って出ていった事をアミッドやアーディ、アリーゼ辺りに叱られそうだと面倒くさそうな顔をするリリウス。
「いいえ、途中ですれ違うであろうある場所に用があるのよ」
「…………場所?」
場所なのに、あろう? まるで移動でもしてるような言い方だ。
「リリウス、貴方はこれから……学区に入学しなさい!」
「……………何故?」
「だって、世界を救うために命を懸ける英雄が世界を何も知らないなんて、そんな残酷な英雄譚なんてないでしょう?」
「………お前は、それを残酷と言える神だったのか」
と、アルテミスは何処か嬉しそうに呟いた。
「天の炎、ヘスティアにも関係があるなら私とて無関係を貫くつもりはない」
「本当ヘスティア大好きねえ。ま、処女神の中では私も嫌いじゃないけど」
女神達の会話。眷族達は離れている。
リリウスはシャバラとシュヤーマ、スパルナの毛繕いをしながら蚤や壁蝨を取り除いている。
「……世界を知って、彼が世界を救いたがらなかったら、どうする?」
「…………さあ、ヘスティアに頼るしかないんじゃない?」
「っ!」
「古代の英雄達は自分の『世界』を守るために戦った。天の炎は、リリウスの『世界』もそうだけど、他の世界も焼き尽くす」
人が認識できる世界とは、結局はその人間の認識の範囲でしかない。世界を救わんとするオラリオの冒険者達がオラリオの外に目を向けないように、人の『世界』と本当の世界は大きさがまるで違う。
アフロディーテはそんな世界全ての命運を一人の少年に背負わせようとしている。
「世界の命運とか、好きでもないのに背負わせるなんて美しくないじゃない?」
「お前は………もしかして」
「私は下界を救わせるつもりよ。たった一人の運命なんて、知ったことじゃないわ」
「……………そうか。神の嘘は、解らないから何も言わないよ」
アルテミスの言葉にアフロディーテはムッと顔をしかめ、しかしそれ以上は何も言わなかった。
【
次にお前達は感想で
カーマ「私、関係なくないですか!?」と書く。
そろそろ100話。皆が読みたい情報の暴力は?
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英雄邂逅(ベル君との出会い)
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英雄堕落(アイズ達の前で異端児かばう)
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リリと勇者の会話(18階層)
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リリとアキの会話(異端児逃がすあたり)