前回までの僕のガッチャアカデミアは!
緑谷出久が八百万家の屋敷の地下にある巨大研究施設にて
八百万家現当主、八百万創造とガッチャンコ!そして彼は
この施設を案内されるのだった。
八百万創造さん。この人は僕はカっちゃんのいる所へ案内してくれた。
その道中僕はこの人から現在の錬金術師の現状を教えてもらう。
「現在この世界にいる錬金術師はここの施設に身を置いている者以外
ほとんどいない。もしここがなくなれば錬金術の歴史は消えてしまうだろう」
「············確か超常黎明期にとあるヴィランの出現でほとんどの錬金術師が
滅ぼされてしまったんですよね?」
「ほう。そこまで知ってるのか」
「クロっち·········いやクロスウィザードからその歴史は聞きました」
「なるほどあの偉大なケミーに。ではそのヴィランはどんな奴か知ってるかな?」
「いやそこまでは·········」
彼女はあまりそこら辺は教えてくれなかったな。錬金術師の歴史を変えてしまった
恐ろしいヴィラン。どんな奴なんだ?すると創造さんはヴィランのことを話す。
「奴の名前はオールフォーワン。他者の個性を奪い我が物とし、そして
他者に個性を与えることができる個性をもつ者だ」
「ひ、人の個性を奪う!?」
僕はあまりにも規格外すぎるその個性の内容に目を見開き口を抑えて驚いた。
なるほど。それじゃあ敵なしなのも納得だ。
「奴はその圧倒的な力と悪のカリスマ性で日本の裏社会を支配し
そしてこの世界を恐怖に陥れた。そして奴は自分の力では奪えない
我々の錬金術に脅威を感じたのか、錬金術師の根絶やしにしようとしたんだ。
その結果大量の錬金術師たちが命を落とした。そして生き残った者たちは
奴から逃れるために名前を変えたり錬金術を放棄したりしたんだ」
「な、なんて奴だ」
「我々八百万家の本当の家名は九堂だ。だが奴から逃げるために
我々の先達たち名前を捨てるしかなかったんだ。しかし奴を打ち倒す者が
この世界に現れたんだ。そう平和の象徴オールマイトだ」
オールマイトの名前が出た瞬間この人から聞いた話とクロっちから
聞いた話の点と点がつながった。
「オールマイトは致命的な傷を受けながらも勝利しこの日本に平和をもたらした。
それは我々錬金術師たちの逃亡の歴史を終わらせるものでもあったんだ。だが
奴は生き残っていた」
「え!?じゃあ奴は今も!?」
「いや。奴はオールマイトとの勝負の後、先代の当主。私の父が
奴にトドメを刺した。そして奴の亡骸は誰にも渡らないように現在はこの施設の
更に地下にある施設に保管されている········おっと着いたぞ。ここだ」
錬金術師たちの歴史について話しながら歩いていた僕たちは気が付くと
大きな鉄の扉の前に辿り着いていた。創造さんが指輪をかざすと
その扉がゆっくりと開いた。そして僕たちは部屋の中にはいる。
その部屋の真ん中には鉄格があり部屋を二等分に分けていた。そして
その鉄格子の向こう側に彼はいた。
「カっちゃん········」
カっちゃんは鉄格子の向こうに置いてあるベットの上で眠っていた。
その毛布の上から数本の鎖が巻かれており拘束されていたのだ。
「創造さん、彼は一体どんな状況なんですか········?」
「彼は今我々の錬金術によって昏睡状態になってもらっている。
そうすることで彼の体にある黒い炎を抑制している」
「黒い炎って一体何なんですか?」
「········実は我々もその実態は完全には把握できてない。何故ならこの炎を
身に宿してしまったものは錬金術師の歴史の中でも一人しかいないからだ。
それも何世代も前の話。我々に残されている記録もほんのわずかだ」
「そ、そんな········」
「確かなのはこの炎は宿主の負の感情に深く反応しそれを膨張させ
宿主に大きな力を与えるということだ。彼がもし今目覚めたら
またマルガムになってしまうだろう」
僕はその言葉に絶望した。じゃあ彼はもう········。
「だがまだ希望はある」
創造さんはそう言いながら指輪をかざす。すると指輪が光り輝き
僕たちの目の前に謎の物体が錬成される。すると僕たちの目の前に
謎のベルトが出現し宙に浮いた。
「こ、これは?ガッチャードライバーに似ている」
「ヴァルバラドライバー。かつての偉大な錬金術師の一人
黒鋼スパナが使用していた変身ツールだ。このドライバーには
黒い炎を操作する機能が付いている」
「じゃ、じゃあそれを彼に着ければ·············」
「ただし、これを扱えるのはA級相当の熟練度を持った錬金術師だけだ。
君のそのガッチャードライバーと違ってこれは上級者向けだ。
彼に錬金術師の知識は皆無。それではこのドライバー扱えない」
「う········じゃあ一体どうすればいいんだ!」
僕は希望が見いだせず頭をかかえてしまう。
『あ。それなら僕が何とかできるかも』
「え?」
その時聞き慣れた声が部屋に響いた。それと同時に彼女が
ケミーカードから飛び出してきた。そうクロっちことクロスウィザードが。
「あ、あなたは········偉大なるレベルナンバー10のケミー、クロスウィザード!」
「クロっちなんとかできるってどういうこと?」
すると僕の問いに彼女はこう答えた。
「僕人間に夢をみせることが出来るんだけど、その夢の中に
数人限定で連れて行くこともできるんだ」
「ほう········それで?」
創造さんはクロっちの言葉に少し驚きながらも冷静に次の話を聞く。
「そして夢の中では時間の概念が結構あいまいなんだ。僕はその辺も
ある程度コントロールできる。だから················えっとね········」
そういって彼女はうーんとうなるように指でなにか数え始める。
「だから例えば一週間で数年間分の経験を夢で与えることもできるよ」
「「!」」
その発言で僕たちはクロっちの提示しようとしてる案の全容を理解した。そうか!
その方法があったか。それに夢の中で彼と安全に接触できるかも。
「なるほど。では彼の夢の中で彼に錬金術を教えること出来る者が
必要というわけか。ではこっちから何人か協力者を」
「待って。それはまだいいや。まずは僕と出久で彼の夢に入り込むよ」
そういってクロっちは僕の手を掴む。そして僕のことを真剣な眼差しで見てきた。
「出久。君には彼を救う前にやるべきことがあるだろ?」
「クロっち········そうだね。カっちゃんには········いろいろ言いたいことがあるから」
「ではこれを持っていきなさい」
創造さんが僕に2枚のカードを渡してきた。それはジャマタノオロチと
エンジェルリードのケミーカード。
「きっと役に立つだろう」
「ありがとうございます!じゃあよろしくね!ジャマタノオロチ!
エンジェルリード!」
『ジャマー!』
『エンジェル!』
「じゃあ出久行くよ!」
「うん!」
その時クロっちが魔法を発動させる。すると僕とクロっちの体が光り輝く。
そして僕たちは光る粒子となってカっちゃんの中へと入っていった。
「着いたよ。ここが彼の夢の中だ」
僕はクロっちの言葉を聞いて閉じていた目を開ける。するとそこは
見慣れた地元の商店街が広がっていた。
「ここは·······僕の地元?」
「そうみたい。今こいつが見ている夢はここでの出来事みたいだ。
じゃあ適当に歩いてみよう。そうすれば彼ともすぐ会えると思う」
僕たちは街の探索を開始した。ここは夢の世界だというのに街の
騒音や通行人が現実と変わらないくらいリアルだった。
そしてしばらくして彼はすぐに見つかった。
「ギャーーー!!??」
「死ねこのクソヘドロヴィランが!!」
カっちゃんはヒーローコスチュームを着て一年前のヘドロヴィランを
持ち前の個性、爆破で追いつめていた。そして何回も奴に爆破を奴に食らわせる。
すると奴は力尽きその場に倒れた。カっちゃんは倒れた奴の体をふみつけ
高らかに笑う。
「アッハハハハ!!どうだこれが俺様の力だ!!テメーみたい
ゴミクズは俺の足元にも及ばないんだよ!!」
本当に彼はヒーローを目指しているのだろうか?改めて思うが
彼の言動と行動はもうヴィランにしか見えない。とても気持ち
良さそうにこの夢を見ているみたいだけど··············残念ながら
ちょっと覚めてもらおう。
「カっちゃん!!」
「あ·······!?デク··············なんでテメーが··············!?」
僕の声を聞き僕の方を見た彼の顔から笑顔が消え去る。目が
怒りで真っ赤になり顔の血管が怒りで浮き出る。けど僕は
そんな彼の元へと静かに歩いていった。
「カっちゃん。僕と勝負しようよ。準決勝の決着ここでつけよ?」
僕の言葉に彼は唸るように叫び始めた。
「上等だ·······上等だ·············!このデクが!!今度こそぶっ殺して
二度と俺の前に現れないようにしてやる!!」
彼がそう叫ぶと黒い炎が彼の体を包み込んだ。そして彼はウィールマルガムに
変身する。その瞬間僕たちのいた世界の背景が変わった。商店街から
雄英高校体育祭の決勝ステージへとこの空間が変化する。僕は
ベルトを腰に巻いた。そしてカードを装填する。
『HOPPER1』
『STEAMLINER』
「変身!!」
『ガッチャンコ!!スチームホッパー!!』
姿を変えた僕たちはお互いを睨みあう。そしてほぼ同時に僕たちはお互いの所へと
走っていった。
「うおー!!カっちゃん!!」
「デクー!!」
その時僕たちがくり出したのはなんの変哲もないストレートパンチ。互いの拳が
互いの頬に突き刺さった。
「グァ!?」
「く!?」
僕たちは一瞬怯む。だがお互いにすぐに反撃に転じようと動いた。
そして一歩はやく僕の蹴りが彼の体に当たる。そして僕はそのまま
連撃を繰り出した。
「グ!?グァ!?クソぶっ殺して············」
「カっちゃん!いい加減にしろ!!」
「グァ!?」
僕の怒りの右ストレートが炸裂し彼は少し吹き飛んだ。そして
僕は彼に対する不満を叫ぶ。
「簡単に殺すとか言うなよ!!君はそのつもりじゃないんだろうけど
言われた方は本当に傷つくんだぞ!?なんで人の気持ちを考えられないんだ!?」
「うるせえ!!ゴホ!?」
僕は彼の腹に蹴りを叩き込み追撃する。
「それになんで人のことをモブとか没個性とか馬鹿にするんだ!?
君は人のことを馬鹿にできるくらいそんなに偉いのかよ!?」
「ッ!黙れ!!」
「グ!?」
彼のするどい腕が僕に振り下ろされる。僕はその攻撃をもろに受けてしまった。
僕の装甲が火花を上げながら彼の腕に切り裂かれてしまう。
「お前は一体何だよ!?弱え癖になりふり構わず誰かを助けようとして!
どんだけ傷ついてもへらへらして笑って!気持ち悪いんだよ!!」
更にカっちゃんは僕の首を両手で掴んだ来た。呼吸が遮られ
苦しくなり僕は必死にもがく。
「デクのくせに!デクのくせになんで俺の邪魔をするんだ!?」
「そんなの············知る············かよ!!」
僕は彼の拘束をとき彼の顎を思いっきり蹴り上げた。彼の意識が一瞬だけ飛ぶ。
僕はその隙をついて彼に体当たりし彼を押し倒した。
「僕は舐めるな!!僕だってヒーローになるために努力してきたんだ。
英寿さんやケミー達の協力があったからだけど僕は成長したんだ!!
もう僕をデクってバカにするのはやめろ!!僕は大きな夢を追い求める錬金術師。
緑谷出久で····································仮面ライダーガッチャードだ!!」
「く、クソー!!」
彼は僕腕を何回も振り下ろす。しかし僕はもう冷静に戻っていた。
だから僕は全ての攻撃を見切りよけ続ける。
その時彼の頭によぎったのは幼かった時の記憶。川に落ちてしまうも
自力で何とか出来るとカっちゃん思っていた。しかし幼かった僕は
彼を助けようと手を差し伸べた。
(クソ!クソ!!アイツに心配されるなんて············なんて屈辱だ)
「俺は強いんだ············!!誰かの手なんて借りなくても
俺はナンバー1になれ························!!」
「一人で偉大になった人なんてこの世にいるわけないだろ!!
いい加減自分の力を過信するのはやめろよ!!」
「ッ!?」
「いい加減に目を覚ませカっちゃん!!」
『ガッチャンコ!』
『スチームホッパー!!フィーバー!!』
「ハアーーー!!!!」
「ギャーーー!!??」
僕は渾身のライダーキックを放った。僕のライダーキックを食らったカっちゃんは
人間の姿に戻りその場に倒れる。そして僕も着地した後変身を解除した。
変身解除した僕はクロっちの所へと向かった。
「お疲れ出久」
「うんありがとう出久。じゃあ僕現実に帰っていいかな?」
「え?もういいの?」
「うん。言いたいことは全部言ったから」
「····················そっか。それじゃあさ。帰す前にカード何枚か貸してくれる?マッドウィールと
ガッツショベル、ゲキオコプター、ダイオー二、ジャマタノオロチ。そして
エンジェルリードを」
「別にいいけど····················クロっちは帰らないの?」
「うん!僕もちょっとアイツと喋りたいことがあるからさ」
「··············わかった。じゃあ先帰ってるね」
その瞬間僕の体が光り輝きカっちゃんの夢の世界から消えていった。
「うう··············ここは」
先ほど緑谷出久との戦いに敗れた爆豪勝己の目が覚める。そこは
彼の実家にある自分の部屋のベットの上。爆豪はベットから体を
起こし周りを見渡す。
(ここは俺の家か?おかしい··············俺はさっき···········う!?クソ!!)
爆豪は先ほどのことを思い出し怒りで拳を握り締め壁を殴った。
その後彼はのどの渇きを感じ下へ水を飲みに行こうと部屋を出て
階段を下る。すると一回のキッチンから料理する時の音が。
(なんだババアが料理でもしてるのか?)
爆豪がキッチンの扉を開く。そこにいたのは。
「ん?ああ、おはよう。よく眠れた?」
エプロンを付けて料理しているクロスウィザードだった。
彼女は今フライパンを振りながら米を炒めている。
「おい!なんでテメーが俺の家にいやがる!?」
爆豪は声を荒げながら威嚇するが彼女は表情を変えずに
フライパンで炒めてた米を器によそる。
「ここは君の家じゃないよ。君の夢の中さ」
「は!?何を言って··············」
「それより僕お腹すいちゃったからご飯にしよ?だから
さっさと席に座って」
彼女はそう言いながらキッチンの隣にあるリビングに
あるテーブルの上に料理を置いた。これはクロスウィザード特製の
チャーハンである。
「おい!ふざけんな!!どういう意味かさっさと教えて··············」
「だから!早く座りなよ!じゃなきゃ説明してあげないよ!?」
「ク!?クソが··············!!」
爆豪は悪態をつきながらも渋々席についた。そしてチャーハンを
食べ始める。
「んん~。我ながらいい出来だ」
「何がいい出来だ!?味薄すぎだろ!?お前塩しか使ってねーな!?」
「え?ああ、そうだけど。なんか文句ある?」
「ふざけんな!俺は辛党なんだよ!こんな味薄いの食えるか!」
「出久と引子はそのくらいの味付けが好きなの。文句あるなら
自分で作ったら?」
「クソが待ってろ!!」
爆豪は一気に彼女のチャーハンを平らげた後キッチンで料理を始めた。
素早く油や卵をフライパンにいれさらに米を入れて炒め始めた。
そして数々のスパイスを入れながら具材を投入する。しばらくして
彼はチャーハンを完成させた。
「ほら!食ってみやがれ!!」
「どれどれ?パク。お~すごいね。香辛料がちょうどいいぐらいに
味を引き立ててる。ちょっと辛いけど··············それを差し引いても
おいしな。出久が前作ったのと大違いだ」
「あ!?俺の料理がデクに負けるわけ··············」
その時彼の頭に緑谷出久の顔浮かびあがる。そして彼の
胸が締め付けられた。
「ま··············負けるわけ···········」
「ん?どうしたの?」
「な、なんでもねぇ!!俺の俺の料理がデクに負けるわけねえだろが!!」
その後クロスウィザードはご機嫌な様子でチャーハンを平らげた。
そして彼女は魔法でとあるものを作り出す。
「ねえ。食後の頭の運動としてチェスでもやろうよ!」
「おい!いい加減に···········」
「ん?なに僕に負けるのが怖いの?」
「ああん!?ふざけんな、やってやるわ!!」
彼はクロスウィザードの挑発を受け勝負を受けてしまう。
しかしそれから数十分後彼は彼女に完勝した。
「すごいね君。出久といい勝負かも···········」
「ああん!?俺がデクに負けるわけ···········」
『一人で偉大になった人なんてこの世にいるわけないだろ!!
いい加減自分の力を過信するのはやめろよ!!』
その時彼の頭をよぎったのは緑谷出久にぶつけられたあの言葉。
(あれ?俺がアイツに負けるわけないよな?·········そうだよな·········?)
爆豪は言葉を詰まらせてしまう。何故か自信をもって彼に
勝てると言えなくなっていたのだ。
「ハアー君さ。自信を持つなとは言わないけどそろそろ反省することを覚えなよ」
「あ?」
「大体さ。君って中学生の頃出久をいじめてたじゃん。人格否定とか
ノートを燃やすとか。これ立派な犯罪だよ?」
「な、なにが言いてえ?」
「これさ出久がもし学校やら教育機関に相談してみ?君さ雄英どころか
他のヒーロー科のある高校にも行けなくなってたよ?」
「う·········」
「出久なんだそんなことしなかったかわかる?それは君の将来を潰したくなかったからだよ。
出久はとてもやさしいから·········その優しさのおかげで君があそこにいられるのまだ
わからない?」
「う、うるせえな!だからなんだよ·········」
「··················そんな君がヒーローになれると思う?誰かを想う心を持たない
力なんてただの暴力だ。今の君は力をいたずらに使うただの
ヴィランだと僕は思うよ」
「ッ··················!」
その言葉に爆豪は何一つ言い返すことができなかった。先ほど突き付けられた
緑谷出久の本心。そして自分は彼のおかげであそこにいられるという事実。
その瞬間彼の支えていたものが壊れていく感覚が彼の頭をよぎった。
(俺は·········俺は·········デク·········いや·········出久の情のおかげあの学校にいれる?
俺は·········ヒーローにはなれない?)
「クソがーー!!!」
彼は怒り狂いながらテーブルをひっくり返し周りにあるものを地面に投げつける。
彼はしばらく叫びだ続けた。今頭に溢れる負の感情を発散するように。しかし
その行動もただ虚しいものと彼は理解していた。故に彼はしばらくして
落ち着きを取り戻しその場にへたり込んでしまう。そしてすべてがどうでも良くなったのか
彼は自傷気味に笑い始めた。
「ハハハ············俺なんか大したことねぇんだな················で、いや出久········
にもうとっくに追い抜かれていたんだな················。多分俺は生涯あいつを
超えられねぇ················!クソが········!」
爆豪は悔し涙を流しながら拳を床に叩きつける。
「俺は········昔から特別な人間だと思ってた。だから俺はオールマイトを超える
ナンバー1ヒーローになってみせるって思ってた。だがもういい·······」
「ん?」
「もう雄英を辞めてやる。俺はもうヒーローを目指さない。
俺のいじめの件。公表するなりなんなり好きにしろ」
「フーン················あっそ」
クロスウィザードは爆豪の言葉を肯定も否定もしなかった。彼女は
ハッキリ言って彼のことが大嫌いだ。故にやめるなら辞めてしまえばいいと。
公表も本当にしてやろうかと。そんなことを考えていた。
『あら?あなたのプライドはそんなものだったのですのね』
その時クロスウィザードが緑谷出久から借りていたケミーカードの
一枚が突然クロスウィザードの懐から飛び出し爆豪の目の前に
飛んだ。そのカードはマッドウィールのケミーカード。
「あ?なんだテメー?」
「別に········私はただのケミーですわ」
「ラケちゃん。それじゃ喋りにくいでしょ?」
クロスウィザードはそう言いながらマッドウィールに魔法をかける
するとマッドウィールは光り出し爆豪の視界を奪う。視界が
戻った彼の目にうつってきたのは黒い装束のような
もの身に纏った女性。
「フフ········懐かしい姿ですわね♪」
その女性はくるりと回りながら自分の姿を見て軽く微笑んでいた。
「ハア················何なんだよこれは」
「ゴホン········失礼いたしましたわ。私はラケシス。冥黒の三姉妹の一人ですわ」
「·············厨二くせぇ奴だな」
その言葉を聞いたラケシスの顔が屈辱的な感情により顔を真っ赤にする。
「ハ、ハア!?なにを言うんですの!?そんなこと言うなら
あなたのあのヒーローコスチュームだってセンスのかけらもありませんわ!」
「んだと厨二野郎が!!」
「そちらが先に煽ってきたんでしょ!?」
それから数分間彼らの口喧嘩が続いた。ギャーギャーと叫ぶ
2人をクロスウィザードは見てられず読書を開始する。
それからしばらくして二人は疲れて息を上げた。
「ハアハア········んだよこの女は」
「ハアハア········もういいですわ。そんなことよりあなた。
本当にヒーローになるのをやめるんですの?」
「あ?なんだよお前には関係ないだろう」
「いいから!あなた本当にあきらめてしまうのかって
私は聞いてますわ」
爆豪ため息をつきながら目を逸らしてその質問に答えた。
「ああ········もうやめる········俺はナンバー1になるために
ヒーローを目指したんだ········それが叶わないなら········」
「あら。せっかく自分の過去を改めだしたというのに········
もったいないですわね」
「あ?」
「まあ別にそれは好きにすればいいじゃないんですか?······でもあなた
それで終わった本当にいいんですの?」
「················うるせぇ········俺は········もう········」
もう爆豪はすべてがどうでも良くなっていた。自分の思い描いて
未来を見ようともしなくなっていたのだ。見ても辛いだけだと、
虚しいだけだと感じていたのだ。その時ラケシスがフッと笑いながら
彼に言葉をかける。
「じゃあ私があなたに違う未来を示しますわ」
「あん?」
「今のあなたは言わば夢を失った空っぽな器。それなら
私がその器を満たして差し上げます」
「················」
「まあどちらにしろ、あなたはここで錬金術を学ばないと
現実世界に帰ることはできません。ですのであなたが例え嫌だと言っても········」
ラケシスが大剣、ヴァルヴァラッシャーを片手に錬成する。そしてそれを
不気味な笑顔でそれを両手で鞭のように持つ。
「あなたに美学を叩き込んで差し上げますわ。覚悟しくださいね?負け犬さん♪」
その後クロスウィザードは彼女にカードを何枚か渡して現実へ帰還。
こうしてラケシスと爆豪の数年にわたる彼の精神世界での生活が始まるのだった。
ここはとあるヒーロー事務所。雑居ビルの地下室にある
狭くもおしゃれさを感じさせる事務所で5人のヒーローが
くつろいでいた。
「クソー!雄英の職業体験だれもウチにこないじゃいないか!」
「まあ指名を入れた生徒たちはみんな色んなとことからも
指名を沢山受けてるからきっとうちが目に入ってこなかった
でござるな!」
「仮に目に入ったとしてもウチに来てくれるわけなくね?」
「まあまあ総帥。仕方がないのでもう諦めま···········」
「そうだ!!こより!!」
「ホニャ?」
「例の薬を使って緑谷出久をこの事務所に連れて来るんだ!!」
「ちょっと総帥!そんなことしたら問題に···········」
「やってやってやって~!!」
「「「「ハァー··········」」」」
次回、職業体験開始!しかし緑谷出久にとある魔の手が!?
ただ緑谷が文句を言いまくるだけの戦いになってしまった。
ていうか出久は彼にこれぐらい言っていいと思っちゃう。けど
それをしないのが彼の魅力の一つと言えるのかもしれませんね。