6回裏、渋田高校の攻撃は4番の高田はシングルヒットを打つが、5番の佐々木がセカンドゴロを打たされて併殺に倒れ、6番の葛城を三振に仕留めることに成功した。
7回表、河学の攻撃の際、渋田は2番手投手の三上に交代した。左腕の彼はスローカーブ・スクリュー・スライダーを武器に最速130㎞のストレートを速く見せることに長けた技巧派投手だ。
1番の小原がサードゴロに封じられてしまったが、2番のハルクが右中間のツーベースヒットを打つことに成功した。3番の孤崎がライト方向に流し打ちにしたのだが、セカンドの千葉がジャンピングキャッチに成功したためにセカンドライナーに封じられてしまった。4番の野村はスローカーブ・スクリューに翻弄されてしまい、三振に終わってしまった。
7回裏、梶原監督は投手交代を決めた。
「大野君、お疲れさま。6回2失点は悪くない結果だよ」
「ありがとうございます」
「さて、2番手は金華さんよ」
「えっ、私ですか?分かりました」
7回裏の攻撃は7番の千葉。2球で追い込むと3球目、野村は大胆なサインを出したのだ。
(えっ…ナックル…ですか?)
彼女はナックルボーラー*1だ。しかしながら中学時代は取れる捕手が全くいなかったがため使うことはなかった。しかしそれを使うのはどれだけ久しぶりなのか…そう思ったに違いない。
(ナックルですか…久しぶりに投げますけど、大丈夫でしょうか?)
(あぁ、ワイはここぞで使うつもりでいるからな、体で受け止めたるから安心して投げてこい!)
(分かりました…さて、行きますわよ!)
このサインに縦に首を振った金華はアウトコース低めに投げ込んだ。ナックルボールはやはり着弾点がわかりにくい。案の定、千葉は空振りしてしまったが、肝心のナックルボールは野村は後逸することなく胸元で受け止めていた。これすなわちアウト。8番の田中は初球のカットボールに手が出てしまったが、流し打ちで太の頭上を越えてしまいツーベースヒット。9番の野村はナックルを使わずとも2ストライク2ボールからから高めのストレートを振らせて三振に仕留めることに成功したし、1番の坂田はセカンドゴロに倒れてしまったが田中は三塁に進塁。2番の水戸も2ストライクからのナックルを振らせて三振に仕留めたのだ。
8回表、渋田は3番手の投手・鈴木に交代した。彼は最速132㎞のキレ味あるストレートとスライダーを中心にシュート・シンカーを投げるサイドスロー投手だ。中学時代には全国大会に行けなかったものの炎上したことのない安定感あるリリーフエースだ。
河学はというとスライダーとシュートの横の揺さぶられ、5番の鈴木が外角低めのシンカーに手を出して三振に倒れてしまった。6番の一本も高めのストレートをセンター返しで打ったもののセンターの佐々木のグラブに収まってしまった。そして、7番大木はアウトコース高めのスライダーを真芯でとらえることに成功し、ライト方向へのスリーベースヒットを打つことに成功したのだ。
ここで8番の柴吉がシンカーを打ったまでは良かったが前進守備の網に引っかかってしまいショートゴロに倒れて無得点に終わった。
8回裏、河学は金華を続投させた。彼女は相手が強打者でも強気に内角を攻めていき、3番の塚口・4番の高田と連続で三振に仕留めると5番の佐々木・鈴木の代打である江原に連続ヒットを打たれてしまったが7番の千葉にシュートを打たせてセカンドゴロでチェンジになったのである。
9回表、渋田は4番手に大石を送った。彼も最速138㎞のノビのいいストレートに切れ味ある縦横のスライダーを操り、奪三振力に優れた速球派投手だ。
河学はの先頭打者は金華であるがここで梶原監督は代打を出した。野球初心者の壬生路だ。けれども、野球初心者である彼に大石の初球のVスライダーはあまりにも強すぎた。ボール球を振ってしまいあっさりストライク。連続でVスライダーを空振りしてあっという間に2ストライクに追い込まれてしまった。
「姉さん、ここで代打出す意味あったん?」
「ごめん…私やっちゃったかもしれない」
梶原監督は自分の采配ミスに野村に謝っていた。次は小原だ。彼女に期待するしかない。そう思っていた矢先のことだった。3球目のスライダーをジャストミートしてライト方向に流し打ったのだ。
「え?」
壬生路はぽかんと口を開けていたが走れ走れと促されると全力でグラウンドを走った。ライトの野原がクッションボールの処理に手間取っている隙に二塁まで走り抜けた。これが壬生路にとっての初ヒット。
小原はVスライダーの威力に空振り三振。ハルクはストレートをレフト前に流し打って1塁3塁のチャンスとしたものの、孤崎はボール球となるVスライダーに手を出してしまい前進守備の網にからめとられしまった。もちろん、孤崎はセーフにはなったものの本塁はフォースアウトで得点に失敗してしまった。野村も外角高めのスライダーを打ち上げてキャッチャーフライに倒れてしまった。
9回裏、河学は投手とレフトの守備を固めることにした。投手には芦澤・レフトには手伝が入ることとなった。
(いやぁ、このマウンドに立つのは久しぶりだなぁ…)
芦澤は中学時代は主にライトを守っていたが本職は投手である。奈良の公立・天原中学時代、堺原が捕手を務めていたが芦澤の剛速球を受けきれなかったこともあって沖浦にエースの座を譲り自らは7番ライトとして中学野球の奈良県大会を優勝した実績を持つ。そして進学先はバラバラになってしまったが「そこでライバルとして戦おう」と宇野道・沖浦と約束しあったのだ。
こうして8番の田中をバッターボックスに迎える。田中は初球から積極的にスイングしていき5球目でフルカウントに持ち込んだ。6球目内角高めのストレート。これがわずかに外れてしまい、まさかの四球を与えてしまったのだ。同点のランナーを出してしまった。そして迎えたは9番の野原。彼も下位打線とはいえ普通なら4番を打ってもおかしくない実力者。初球のストレートを高めに投げ込む。野原は力いっぱいのフルスイングを試みた。初球からスライダーを振ってストライク。2球目も低めチェンジアップを空振って2ストライクと簡単に追い込んで見せた。
(よし、ここは最後、外角低めに抑えてワイらの勝利や!)
(うん、わかっているよ!)
こうしてサインがあった3球目は外角低めいっぱいのストレートを選んだ。しかし、相手はストレートキラーの多い渋田高校。無情にも芦澤の渾身のストレートは野村のミットに届かなかった。そればかりか、打球は手伝いの頭上をグングン通り越していってスタンドに入ってしまった。
逆転の2ランホームランでサヨナラ負け。
河学3-4x渋田
悔しい船出になったとはいえ、梶原監督はというと実力あるライバルと戦えたことが良かったと思える結果になったのだ。
「すごかったなぁ。こんなにもいい選手が集うのは、さすが大阪公立の雄なだけはあるね」
「せやな、姉さん」
「大野君も芦澤君もまさか自分の自慢のストレートがまさかホームランになるなんて思ってなかったんじゃないかな?」
「はい…全く」
「すいませんでした。俺がフォアボールさえ出さなければ…っ」
悔しそうな芦澤。でも、
「それはそうとして、高校野球生活はまだまだ長い。勝負はまだ始まったばかりだよ」
「せやで。ここで泣いとったらアカンで!」
「あぁ、オレたちが戦う相手は山ほどいるんだ。これからもよろしく頼むぜ!」
「うん…改めてよろしく」
みなさん、今回は結構長くなりましたが楽しめたでしょうか?
今回は葛城君以外の投手3人を紹介します。
三上秀郎 投手 左/左
球速130㎞ コンF スタC スライダー2・カーブ3・スクリュー3
対左打者E・ノビB・勝ち運・球持ち・四球
鈴木晃 投手 右/右
球速132㎞ コンB スタE スライダー3・Hシンカー2・シュート2
対左打者E・対ピンチC・ノビC・クイックB・回復B・調子安定
大石晶文 投手 右/右
球速138㎞ コンB スタF スライダー1・Vスライダー5
ノビB・クイックF・回復B・奪三振・リリース○・球持ち○・調子安定
さて、活動報告では他校のライバルキャラを募集しています。参加してもらえたら幸いです。