日本一の野球部を目指して   作:メカニッカー

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今回は前の回で初登場した暁君のオリジンストーリーです。大阪桐陽の監督やシニアの仲間たちとの出会いや、兵庫県内のライバルたちとの勝負を描いていきます。


オリジンストーリー⑧ ~暁刹那~

俺の名前は暁刹那。周りの人たちからはアッキーとかセッチャンと呼ばれてる。他にはシアからはナッチャンと呼ばれていたな。アマチュア野球の雑誌においては『兵庫の若き皇帝』という別名をつけられて特集が組まれていたんだ。

 

俺が野球を始めたのは小学5年と周りの人たちと比べれば遅い部類に入る。なにせ、ソフィから誘われたことがあったけど、あの時は野球に興味がなく断っていた。

だけどその年の春、大阪桐陽の監督…東谷浩二(ひがしやこうじ)さんがめぼしい中学球児のスカウトの際に夕食でうちの居酒屋に立ち寄ったのだ。その人とキャッチボールに付き合ってもらったんだけど、俺が投げたボールになにか腕に電流でも走ったような衝撃を受けた。

(この球筋は何や…⁉ここまでキレのいいストレートは取ったことがないぞ!これ、いずれは大阪桐陽のエースになれるんとちゃうか⁉)

だから俺に対してこう聞いてみたんだ。

「よかったら、おじさんと大阪桐陽で野球をやらへんか?」

あの時はまだ興味がまだ薄かったのもあって考えるって言ったんだけど、その日の夜の試合で二刀流エースが躍動している試合を見て野球を始めて、大阪桐陽のエースになりたいですと答えた。

 

それで、神戸の中堅シニア『西神明石シニア』に入部した。最初のうちは野球のルールを学ぶため、監督の横で座って試合を見ることになった。そのシニアで出会った仲間たちは本当に素晴らしかった。

双子の妹である緑川翡翠(ヒーチャン)は俊足を生かしたベースランニングと広大な守備範囲を併せ持ったセンター、姉の緑川琥珀(ハクチャン)は普段はおとなしいが正確性もボールを飛ばす力も両方併せ持った強打のキャッチャーだ。主将である彼女の俺の持ち味を生かすリードは本当に助かった。また、黒崎賢二(クロニン)も忍者のような遊撃守備、バントや盗塁にバスターといった小技のうまい選手だったし、二遊間の相方である春咲アゲハ(春ちゃん)にも守備走塁といった面でかなり助けられた。幼馴染のアナスタシア・ベルレフォール(シア)は昔から俺の家の手伝いをしていたこともあってハクチャン以上の長打を飛ばした。また、一塁守備でも柔らかいハンドリングで一塁を踏ませなかった。また、俺を野球に誘ってくれたソフィア・シャルロッテ(ソフィ)も勝負強く広角に打てるバッティング、また、守備においては強肩で相手走者の生還を許さなかった。

そんな仲間たちに恵まれた俺は3年次の初戦、『神戸須磨シニア』戦で藤堂銀河(とうどうぎんが)をはじめとした打者を三振に打ち取って完全試合、打線も6・7回に爆発したこともあって9-0と大勝利を収めた。この試合の活躍ぶりから俺は「まるで皇帝のようだ」と、謳われるようになった。

また、3回戦の『宝塚レディース』戦では黒崎と同等かそれ以上の守備を誇る姫咲愛(ひめさきあい)と勝負した。4回戦では前回大会の兵庫県大会優勝チーム『たつのシニア』の伊坂勝哉(いさかかつや)もシア・ハクチャンをノーヒットに仕留めるなど優秀な選手だった。

そして決勝戦。『川西池田シニア』戦で精密機械エース・不知火零(しらぬいれい)に強打の1番打者青宮雄介(あおみやゆうすけ)らと勝負した。その時、俺が左打者に弱いことを知られていたせいで彼女のアドバイスを受けた犬神蘭(いぬがみらん)に先制タイムリーヒットを打たれてしまった。一応逆転勝ちを収めたのだが先制されたのは反省点だった。

そして全国大会初戦、あの『大阪鶴見シニア』と勝負することになった。そこのエース、大野についてははっきり言って大したことないなと思っていたが、いざ試合に挑むと彼は6回までに9奪三振に3併殺と剛柔一体のピッチングをした。だが俺とて負けるつもりはない。13奪三振を記録して緊迫する投手戦を展開したのだが、7回にハクチャンが力尽きた甘く入ったカットボールを打ち先制2ランホームランを打った。ここで大野は降板したのだが、その大野の後輩投手相手にシアが八つ当たりのピッチャーライナーを打った。もしムキになっていなかったらホームランになっていたはずだった。

だがこのイニングの終わりで俺は降板を言い渡された。どうやらこれから試合はある。だから体力温存を図っての作戦だったんだろう。しかし、継投先が問題だった。なにせ抑えは元々メンタルの弱い井吹順平(ジュン)だったからだ。みんなこれには猛反対。俺を続投させる…またはジュン以外のリリーフを抜擢すべきだとハクチャンは主張したのだが結局受け入れられなかった。これにシアはキレて拳を握り締めて監督を殴り倒そうとしたのだ。結局俺が折れたこと、ハクチャンが宥めたこともあってその場が収まったのだが。結局この試合は村中・宮津と連続タイムリーを浴びてサヨナラ負け。みんな監督の継投失敗に不満が募る負け方だった。俺は大野の凄さをと思い知り、これまで戦った球児同様に連絡先を交換することにした。

その試合後、改めて東谷監督から挨拶を交わし大阪桐陽に進学することになった。もっとも、ヒーチャンも大阪桐陽に進学するってなったのはびっくりした。

他のみんなも兵庫県の学校からスカウトは来ていたのだが神戸にいたら監督とまた顔を合わせる…そう思ったのかみんな他県に進学していった。

そんな進学を前に控えていたある日、俺はSNSで見覚えのある顔を見つけてしまった。GLでも他県の強豪でもない学校に大野が入っていく姿だ。嘘だろうと思ったのだが、東谷監督に聞いても

「あいつ…GLの厳しい上下関係が嫌で進学を辞めたって話があるみたいや。金沢のマリヤって子も進学を辞めたようやで」

それを聞いてショックを受けた。あいつは…俺との勝負を逃げたのか?のほほんと野球をして甲子園に出場…あえて言えば優勝できるほど世の中甘くできていないのはわかっているはずだ。それなのにか?

大野、改めていう。絶対に這い上がって来い。その時は本気で勝負しよう。




今回のオリジンストーリーはどうだったでしょうか?暁君のシニアの敗因はいろいろあると思いますけど、そのことについてコメントしていってくださいね。
さて、活動報告では各地の選手・生徒たちを募集しています。このリンクから飛んで参加してもらえたら幸いです。
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