日本一の野球部を目指して   作:メカニッカー

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これは、前回のお話の続きです。前回、いきなり先制点を奪うことができたのですが河学打線はまだ止まりません。視覚のバグでストライクゾーンがおかしくなってコントロールが面白いように定まることができなくなっていく映像をお楽しみください。


ストライクゾーンがぐちゃぐちゃ

いきなり先制を食らった興邦ナイン。3番打者の孤崎がバッターボックスに立つ。先ほどのハルクが身長192㎝だったのに対して孤崎は158㎝くらいだ。ここでまたしても凸凹打線による視界のバグが発動する。ストライクゾーンの高さが一定ではないがゆえにストライクゾーンが定まることを知らないのだ。巨深のコントロールはもちろん定まりづらい。

孤崎は野村に

 

「うちの打線は凸凹打線やから打てると思ったらバットを振りぬいてくれや。まぁ、相手はもう定まりにくくなっているやろうから打てそうなやつが来なかったらバットを振らなくたってええで」

 

そうアドバイスをしていたのだ。巨深の1球目、2球目と連続でたたきつけるようなストレートを投げたのは良かったがなかなかストライクが入らずボール球の連続。3球目は絶好球だったのだが球威が思った以上に強かったのか差し込まれた。しかし、球威が強すぎて打球速度がついてしまったせいで高スピードで後ろに飛んで行ってファール。これに動揺したのか4球目・5球目も高めのボール球となり、バットを振らせる暇も与えることなく四球を与えてしまったのだ。これには孤崎は苦笑いしながら一塁へすたすたと向かっていった。

 

(いやいや、確かに球威は抜群だったけど…ここまでコントロールが定まらないとは。野村君、これを狙っていたというの?)

 

ノーアウト1塁3塁という絶好のチャンスで4番の野村を迎えてしまうという最高の状況。巨深はワインドアップで大きく振りかぶり、初球をたたき付けるような感覚で低めへと投じる。球速は143㎞と2年生にしては確かにオンボロ古豪の中でも剛速球と言ってもいいくらいだと思われる。しかし、そんな剛力を以てしても野村を抑えることは不可能だった。

 

(あんたはもう、KOにしたる)

 

小さくつぶやいた野村はガツンとバウンド寸前のストレートを掬い上げ、右中間へ打ち上げる長打を放ったのだ。打球が宙に浮いている間にハルクが生還。そして孤崎も鍛えぬかれた脚力で駆け抜けて一気に生還する。野村はライトに向かった打球を目で追いながら二塁まで到達していったのだ。

これで止まるかと思ったら大間違いの河学打線。5番の鈴木には初球の内角高めのボールを派手に引っ張りライトスタンドに入る2ランホームランを打つことに成功した。まだノーアウトだけれどそれでも5得点。興邦側のスタンドのヤジがうるさくなるころだろう。

 

「何やってんだー!」

「てめぇの巨体は見掛け倒しなのかぁ!?」

 

バンカラ応援団の怒号が響く。巨深のメンタルはがたがただ。ただでさえアウトが取れていないのにもう5失点を食らっている以上、KOと言ってもおかしくない状況なのだ。

そんな状況下で6番の一本を迎える。

ここまでメンタルが弱った状態で一本のストライクゾーンに投球が収まらず、ここで四球をまた与えてしまう。7番の大木だが、3球目の外角のストレートを芯で捉えたもののこれは球威が勝ってしまいライトフライに倒れてしまった。しかし相手打者が身長188㎝の大木から153㎝に柴吉に変わったことでまたしても視界のバグが発動した。ストライクゾーンが変幻自在に変わることで視界が限りなく歪みきってしまった。案の定というか、柴吉には4球連続でボール球を投じることしかできず、このイニングだけで3つ目となる四球を与えてしまったのだ。

 

「あらら、相手ピッチャーの視界がめちゃくちゃだね」

 

梶原監督も思った以上に点とれているだけでなく、四球が嵩んで相手の守備の時間がだいぶ間延びしていくのを見ていて楽しそうな表情をしてみている。

 

「姉さん、そりゃぁ身長があそこまで凸凹やったら確実にどこかで躓くものなんやで」

 

野村はにやにやしながら今の状況を教える。

そんな中で9番の大野が打席に立つ。興邦バッテリーが選んだ策は『いつもどおり、巨深の力技でねじ伏せる』という考えだ。しかしまだ1アウトしかとれておらず、しかも本塁打を含む被安打4・与四球3でもう5失点しているのになぜそんな考えに至るのかが謎すぎる。それに、大野は投手としては十分に打てるタイプであること、下位打線にいるのは打撃にかまけて投球をおろそかにしないような配慮があるということも知る由もない。だから下位打線故に相手を低く見積もっているのだろう。

初球から強気に内角を攻めていく。これはGLから逃げた不埒者・大野相手に対する怒りなのだろうか。体に当たりそうだと判断すればバットを出さずに躱す。その直後の2球目。内角に投げたボールが甘く入ってしまった。これを見逃してくれる大野ではない。

 

「いっけぇ!」

 

その声と同時に鋭く引っ張った打球はサード頭上を越えてレフト前でバウンド。一本が生還して6点目となるタイムリーヒット。

1番の小原相手には内角厳しいところを突いたはずだったがすっぽ抜けてしまい、腰に当たって死球を与えてしまったのだ。

 

「女の子に死球とかひどいぞ…」

「おい、さっさと謝れやこの野郎!」

 

スタンドにいる大人たちは死球を与えた巨深相手にヤジり倒す。まぁ、女子に死球を与えるなんていくら参加してから5年たったとはいっても狙ってやったわけでなくてもヤジにさらされるのも無理はない。こんな状況下で1アウト満塁の状況下でハルクが打席に立つ。先の打席で恐れをなしたのか外角一辺倒の配球になった。そんな配球を続けていたらどうなるか…

3球目の外角低めのボールを捉えてライト方向に流し打ち、柴吉が生還した。3番の孤崎は初球からいい当たりを見せたとはいえ、サードライナーでアウト。4番の野村には低めの配球をしたうえでいきなり外角高めに投げて見逃し三振を奪うことに成功した。しかし、河学打線は1回表だけで打者13人・7得点(ハルク/野村/鈴木2打点・大野1打点)。河学スタンドの興奮は昂ぶり、興邦スタンドは意気消沈することになった。

 

1回表終了

河7        0

興         0




さて、まだ1回表なんですけどもうコールドゲーム寸前の状況になってしまいました。いきなりここまで滅多打ちになってもなお降板しない巨深君の意地がすごいと思います。それにしても、ここまで投げさらす必要はあるのでしょうかね。

さて、活動報告では各地の選手・生徒たちを募集しています。このリンクから飛んで参加してもらえたら幸いです。
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