日本一の野球部を目指して   作:メカニッカー

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今回は第2弾、野村君のオリジンストーリーです。
「河学野球の申し子」野村達也のバックボーンに迫ることができるお話です。


オリジンストーリー② ~野村達也~

ワイの名前は野村達也。大阪府「堺中央シニア」を初のベスト4に導いた強肩強打のキャッチャーや。

 

「入られて…もうたか…」

 

中学の準決勝ではサヨナラ負けしてもうたとはいえ、あの大野から同点の2ランホームランを打ったわけやし、強豪からスカウトは来るはず…そう思っていたんや。

実は、ワイには5歳年上の兄貴がいてな、兄貴はGL学園で4番エースとして甲子園に出場し、いまは欧亜大学(ゆーらしあだいがく)でプロになるために進学している。その兄貴に憧れて野球をはじめ、兄貴のようにGL学園に進学して甲子園に出場してプロになる。それが夢やったんや。

 

せやけど、GL学園はおろか、大阪桐陽にも応徳学園にも、龍王大平安にも智念和歌山にもスカウトは来なかった。考えられへん。そう思ってGL学園に電話してみたんやけど、信じられへん回答が返ってきたんや。

 

「すまない。君の実力はよく知っているよ…ただ」

「ただ…何ですか?」

「君の身長がネックとなってね…とりあえずは見送ることにしたんだ」

「はぁ!?」

 

嘘やろ…いくら身長がコンプレックスとはいえ、それはない。プロではどのスポーツ関係なく小柄な選手が活躍しているのは知らんのか?それで何とか泣きの1打席勝負をしてもらえたんやけど、向こうの1年生投手に三振して終わってもうた。向こうは大柄だったものだから見下ろして投げることができたんやろう。三振された時のしたり顔が忘れられん。

 

「分かっただろう?君の体格ではGL学園を生き抜くことはまず無理なんだよ」

「そんな…」

「分かったら受験勉強しに家に帰ることだな」

 

あの高笑いしながらすたすたと去っていった監督の後姿はワイにとっては一生もののトラウマや。

 

それで、その帰り道のファミレスでなけなしの貯金はたいてやけ食いしとったら知らない女性が横の席で大量のメニューをやけ食いしていたんや。1枚のプリントがはらりと落ちたんで拾ってみると二重線で引かれた名前と多くの強豪シニア・ボーイズの有力選手の名前やった。

 

今村義明 京都伏見シニアの安打製造機

大久保哲夫 葛城ボーイズの1番ショート

西山剛士 奈良ボーイズの世代No.1スイッチヒッター

石田守 豊中ボーイズの本格派投手

 

どれもワイが知っている有力選手やないか。それで、その女性に返そうとしたら、話しかけられた。

 

「君は、確か堺中央の4番キャッチャーだった野村君かな?」

「はい、野村達也といいます」

「様子を見たところ、君もやけ食いしていたところかな?」

「はい、お恥ずかしながら…自分、GL学園の入部テストに落ちたもんですから…アハハ」

「そう、私も有名な中学生選手のスカウトで連戦連敗だったから、ついやけ食いしてしまってね」

「そうなんだ…けど、ここで会ったのも何かの縁。新しくできる河学に進学してみない?」

「はい…河学って確か、来年新設されるところでしょ?」

「うん、そこで野球部を作って私たちを馬鹿にしたやつらを見返してやろうって」

「おお、それはいいですね!ぜひ、自分も入れさせてください!」

「よし、じゃあ君が初めての野球部員内定だね!」

 

こうしてワイは受験で合格することに成功し、晴れて河学に入学することに決まったわけや。

さあ、さんざんワイをコケにしてくれたGLの監督さん、首洗って待っといてくれや。




いかがでしょうか?今回のオリジンストーリーは名門から低身長が原因でどこにもスカウトされず、ハブにされた少年がいかにして河学野球の精神「平等野球」の申し子になったかを描いたエピソードです。

活動報告においてはキャラクターを募集しています!河学は男女差別も外国人差別も部落差別もない平等野球のチームなので野村君みたいな差別嫌いの選手は大歓迎です!よかったらぜひ参加してください!
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