中学3年の1年間で何があったかをいろいろ語った野村。それを聞いた大野は、
「そうか、お前もいろいろあったんだな」
「あぁ、だからワイにとってGLはどうしても見返すべき相手やねん」
「なるほど、オレもGLの奴らには逃げた臆病者とでも思われてるからなぁ」
「せやろ?やったらさ、河学に行った結果ここまで強くなったこと見せつければええやん」
「だな」
「お、せっかくやしあんたのボールを受けてみたくてな、どうや?」
「よし、やるか」
用具室に駆け込んだ野村はマスクにプロテクターを装備してキャッチャーミットを大きく開けて構えた。
「さぁ、どれだけのものかは打席で見てきたけどこうして受けてみるのは初めてや。投げてみぃ!」
「いくぞ!」
そういって顔の前で構えた大野はストレートをミットめがけて投げ込んだ。構えられたミットはど真ん中。
ズバンッ!と音を立ててミットの真ん中に吸い込まれていった。
(おぉ、うちのジュニアチームでもここまでストレートの強いピッチャーはおらんかったで…)
「やったらここはどや?」
そう言った野村はミットを斜め下側に動かした。右打者にとっては外角低め。コントロールを測るうえでは重要な場所だ。
大野はそれを見てまたストレートを投げ込む。これは少しボール球になるかと思われた。しかし、大野のストレートはホームベース上で浮き上がるかのように減衰せずまっすぐ進んでいき、野村のミットの中に入った。
(これはすごいでぇ…アウトコース低めのボール球がストライクに吸い込まれよった)
「あんたのストレートはすごい。ほかにも投げられる変化球は…っておお、お前も来てたんか!?」
「誰のこと?」
振り返ると色黒で図体の大きな癖毛の強面巨漢がそこにはいた。
「ノムサン!同ジ学校ニキテイタンダネ!」
「ああ、お前も受かって何よりや」
「えっ!?ひょっとして知り合いなのか?」
「おう、ワイと同じチームのリードオフマン、ハルク・パワードや」
「アッ、モシカシテ大阪鶴見ノエース大野君ジャナイカ?」
ハルク・パワード。堺中央ジュニアでは1番打者を打っていた身体能力に優れた外野手だ。彼との対戦成績は4打席2安打1四球。そのうちの安打1本から盗塁を許して野村に同点ホームランを打たれている。
「せや、ここで会ったわけや。1打席勝負しようや」
「おぉ、悪くないな」
「ウン、ヤッテミヨウ!」
そう言ってバットを構えると左打者のバッターボックスに立った。
(よし、まずは真ん中のストレート行ってみるか?)
(あかん、あいつは際どいボールやと見逃すスタイルや。せやったらアウトコース高めのストレートがえぇ)
なるほどとサインにうなずくとアウトコース高めにストレートを投げ込む。ハルクはこれを見逃したがストライク。
(続いては、何にする?カットボールやSFFなら自信があるんだけど)
(せや、アンタの武器はそれやったな。せやったらインコース低めのスローカーブはどや?)
サインにうなずくとインコース高めにボールを投げ込んだ。しかし、曲がりが良すぎる。
(コレハ少シ外レルヤツダネ)
このスローカーブはゾーンから外れてボール。
(これは…結構厳しいな)
(せやろ?こいつの出塁能力はうちのチームじゃトップクラスや)
(だったら、どうする?)
(ここはひとまずインコースに食い込むカットボールで勝負してみるで)
今度はインコースの腰あたりに食い込むカットボールを投げ込む。これも外れるかと思われたが、野村はミットを横にしてビタ止めフレーミング*1を仕掛けてストライクになった。
(おっと、危ないところだった)
(あぁ、少し反応が遅れとったらボールやったでぇ)
(さぁ、ここからどうしようか)
(ここでSFF、アウトコース低めに投げ込んでみるか)
そして改めてアウトコース低めにSFFを投げ込む。
(コレハギリギリ外レルカ?)
しかし、こればかりは外れることなくストライク。見逃し三振だ。
「はぁ、際どいやつはしっかり見送ってくるとは…」
「せやろ?こいつは出塁させると厄介な奴なんやで」
「ソレデモヤッパリ大野君ハスゴイヤ。アノカットボールハ誰デモ腰ガヒケル」
ハルクは負けたというのに感服したような表情をしていた。
お互い笑いあえる勝負をしてお互いの絆が深まりあえた。
さて、初めての打撃勝負はいかがでしたか?今回もチャイロメガネさん考案のハルク・パワード君に登場していただきました。
活動報告においてはキャラクターを募集しています。まだ、投手が誰もいないのでほしいです。もう一つ、アベレージヒッター持ちの選手も募集しています。
ちなみに、左投手・右投手1人ずつを想定しています。