アンジュ・ヴィエルジュ 〜知らば輝く青玉の瞳〜   作:二面サイコロ

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第十一弾 ヒトを目指した少年は

 俺はーーーあの後、引き返すことはしなかった。

 そうすれば俺は……俺は後戻りできなくなってしまうような、そんな気がしたから。

 

 ぼんやりとした意識の中、俺は携帯を引っ掴んで電源を点けた。

 時刻は…正午。もうそろそろノアを乗せた船が出航する所だろう。

 門(ハイロゥ)を通過するのになぜ船なのか、初めは誰でも疑問に思うだろう。これは、門が島の真上にありすぎて普通の航空機だとそこまで飛び上がれないためだ。

 島を出てグルグル回って高度を稼げばいいじゃん、と思うだろうが、真っすぐ門に飛び込まないと通過に色々問題があるらしく、それだったら船で一旦沖に出て、そこから艦載機のようなシャトルで一直線に向かった方がコストが安くついたらしい。

 

 あれから俺は、ノアのことを忘れようとさっさとメシを食って制服のまま寝床についてしまったのだが……朝方まで全く眠れず、こんな時間に起きたようだ。

 

 「……?」

 

 携帯に着信があった。

 Dr.ミハイルからだ。

 メッセージが録音されている。ついさっきのものだ。

 聞くだけ聞いとくか。

 俺はメッセージを再生した。

 

 『あーもしもし、風紀委員かね? え、違う? おやおや、どうやら私は間違い電話をしてしまったようだ。青の世界の端末は扱いづらくてね』

 

 は?

 何が言いたいんだ、この人は。

 

 『あー、間違い電話ついでに独り言だがね。この前東雲君を襲ったスパイダーと同じ電波が検知された。もしかすると、またノアを襲いにきたのかもしれない』

 

 襲撃者、という単語に俺の耳が反応する。

 また……ノアに襲撃者が来たのか。

 

 『困ったなあ。風紀委員とかの治安維持組織はいっつも忙しくて連絡があまりつかないし。その場に誰かが居合わせて、速攻で解決してくれればありがたいんだが』

 

 その手には乗らねえぞ。もう俺は部外者なんだ。俺は、絶対、動かん。

 

 『ちなみに我こそは、という者には海岸にヘリを一機用意しておいたから、今すぐ行けば船に追いつくのも容易いだろうな。それじゃ』

 

 『ああそうそう、言い忘れていたが、ノアの奴、寮の部屋に忘れ物をしてないかね? 誰か届けてくれると嬉しいんだがなあ』

 

 そこで録音は途切れた。

 

 俺はベッドに身を沈めて、深くため息をついた。

 俺は何も聞いてない。忘れろ、俺。

 そうすれば、何もかも、全部終わる。

 そうだよ俺。思い出してみろ。ノアなんて面倒事ばっかり持ち込む爆弾じゃないか。いなくなって良かったじゃないか。

 ノアの忘れ物とやらだって、ミハイルの所に配達しときゃいいだろうが。

 そう思って、俺はノアの部屋のドアを開けた。

 元々私物はほとんど無いノアが忘れ物とは、一体何を忘れたのだろうか。

 だが、探すまでもなく、俺はそれを見つけた。

 

 「…………」

 

 それは、この前美海達と行った服屋。そこで服を買った後に美海に携帯を渡されて撮ってやった、写真だった。

 高解像度で印刷され、シンプルな額縁に入れられて、部屋の壁に掛かっていた。

 写真の中のノアは、いつもの無表情ではなく、僅かに顔を赤くして俯き加減で写っていた。写真に慣れてないようだ。

 それはまるで、ひとりの恥ずかしがり屋な少女、いや、それそのものだった。

 

 ……ちくしょう。俺は今、何を考えている? 

 

 やめろ。やめるんだ。それ以上、考えるな。

 

 自分に、言い聞かせる。

 

 ノアがーーー危険が去って、せいせいこそすれ、何で俺はこんなに暗い気分なんだ?

 可愛い女の子の涙で…心変わりしたってか? アホか。やっすいドラマかってんだ。

 

 そうすればするほど、ノアが最後に見せた笑顔と涙がフラッシュバックしてくる。

 

 ノアは………独りだった。

 ブラックボックスとか、悪の組織とか、全部一人で背負い込んで、心を閉ざして、あっちこっち飛び回って。

 お前は……お前は、それでいいのかよ。

 そんな人生で、満足かよ。

 

 ノアは、自身を独りだと言った。

 それで、いいのかよ。

 もっと、泣いて、笑って、遊んで、勉強して、戦って、辛い思いもして、それを乗り越えて、また笑って、そういう風に生きたくないのかよ!

 最後に見せた笑顔が、涙が、あんな形でいいのかよ!

 

 良い訳ねえだろ。

 

 「そうだろ、ノア」

 

 ひとりごちると、俺は額縁から外した写真をポケットに入れた。

 

 そして、拳銃と剣をホルスターに収め、狙撃銃を引っ掴んで部屋を飛び出した。

 

 ノア。頭の悪い俺だが、ひとつお前に教えてやる。

 一般人はな、ピンチのときは、友達を頼るもんなんだよ。

 一般人歴の短い俺にだって、そんくらいは分かるんだ。

 

 

 「はあっはあっはあっはあっ……」

 

 バスを待っている暇もないので、俺は銃を肩にかけたまま走った。

 10キロ以上もある大型狙撃銃のスリングが肩に食い込んで痛んだが、それでも走った。

 HCモードでもない俺は、もう息が切れ切れだ。脳が酸素を欲して暴れ、全身が重くなる。

 それでも、止まっちゃいけない。

 止まっちゃダメなんだ。

 俺は。

 正義の味方も、悪の組織も、権力の犬も、イヤだ。それだけは変わらない。

 バカでもいい。弱虫でもいい。クソ野郎でもいい。

 俺は、正義にも悪にも、権力にもなんにも従えない、中途半端野郎だ。

 

 でもなーーー!

 

 ーーー目の前で泣いて、助けを待っている女の子ひとりも救ってやれない、そんな 生 物 失 格 野 郎 には、なりたくねえんだよ!!

 

 そうだ。

 迷いたがる、弱い気持ちなんてーーー捨てちまえ!

 

 待っていろ、ノア。

 今、俺が助けてやる。

 

 一般人になる、という目標が無くなった訳じゃない。ここを卒業したら大学にでも行って、一般人になるんだ。

 だけどな。

 ならばせめて、この学園にいる間だけでも。

 

 俺が、お前の味方になってやる!

 

 ノア!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 海岸にたどり着くと……一機のヘリがプロペラを回して待機していた。

 俺はそれに飛び込んで、運転席に座ってる奴に言った。

 

 「はあっはあっ……は、早く…げほ、出してくれ……」

 

 くそ。カラカラに渇いたノドと息切れのせいで、上手く言えねえ。

 

 「発声ができてませんよ。お水をどうぞ」

 

 なぜか目の前に差し出されたコップを受け取り、中身を飲み下す。

 

 「東雲慎さん、で間違いありませんね? お待ちしてました」

 

 運転席の奴が問うてくる。

 

 「そうだ。早くヘリを出して、船を追ってくれ!」

 

 「かしこまりました~」

 

 バラバラバラバラ…と、ヘリが地上を離れる。

 とりあえず一息つけた俺は、運転席の奴に話しかけた。

 

 「お前、ミハイルのとこのアンドロイドだよな。ヘリの操縦なんかできるのか」

 

 「はい! タイプHU-50、ニナと申します! 青の世界のこの手の機械は操作系統が単純ですので、これくらいお手の物ですよ」

 

 ……ああ、どこかで見た事あると思ったら、たまに学園やミハイルの部屋を掃除してるメイド風アンドロイドだ。ニナって名前だったのか。

 

 「見えました。あの船ですね。距離2000です」

 

 ニナが示した方向を見ると……空母をまるっと小さくしたような船がありーーーその上に、ヘリコプターが二機、飛んでいた。

 

 「船の上のヘリはどこのデータにも無いものです。敵の無人ヘリで間違いありません」

 

 ……あいつが。

 

 ノアを。

 

 ドクン、ドクン、と。

 

 俺の全身に力が漲る。

 

 (……?)

 

 だがそれは、燃えるようなHCモードと違い、まるで心拍数が上がっていた頭に氷を入れられたかのように冷静になるものだった。

 こんな感覚は初めてだ。

 視界が明瞭になる。あるのは、俺、船、そしてヘリ。それだけだった。

 

 ……よく分からないが、これはありがたい。今なら普段のHCモードより、全然戦える、そんな気がする。

 

 「……狙撃する。ヘリを斜めにしてくれ」

 

 俺がさっきとは段違いに殺気立ってるのに気づいたらしいニナは「はっはひいいいぃ!」と実に頼れる返事をよこして運転に集中した。

 銃で撃てるよう、ヘリを斜めにしたまま真っすぐ飛ぶなんてデタラメができる技量はさすがとしか言えないが。

 

 俺は担いできた狙撃銃・M82を立て、ハッチを開けた。

 そして、自作していた炸裂弾を込めたマガジンを差し込み、じゃき、と音を立ててコッキングハンドルを引いた。

 スコープを覗き、ヘリのプロペラの付け根を狙う。

 だが……撃てない。

 ヘリは今、船の真上を飛んでいる。撃てば墜落したヘリが船にぶつかるかもしれない。

 

 ……いや、待てよ? 壊れたヘリが必ずしも真下に落ちると、誰が決めた?

 

 俺はスコープの照準を、ヘリの尾翼に定める。

 HCモードの明瞭な頭が、どこをどう破壊すればいいのか、それをコンピューターのように計算して俺に知らせる。

 ちょうど、バランスを崩したヘリが、船にも、既に出ていた脱出艇にも当たらないように堕とす方向に。

 

 ーーー今だ。

 

 ガアアァァンッ!

 

 雷鳴にも似た対物ライフルの発射音が轟き、音速の二倍で飛翔する巨大な.50BGM弾がーーーヘリの尾翼にブチ当たる。

 そして、弾頭の先端を形成するプラスチック部が割れ、銅と鉛の二層になっている銃弾が潰れ、裏返る。

 裏返った瞬間、弾頭の中の雷管が弾け、中の爆薬に火がつきーーー

 

 ーーーッッッドオオオオオオォォォン!!!

 

 炸裂、した。

 尾翼をごっそり抉られたヘリは、バランスを崩して斜め下に落下し、海に墜ちて動かなくなった。

 

 なぜだか知らないが、今回のHCモードは強烈だ。ヘリの一部を壊してバランスを崩させ、思った方向に墜とすなんて、もう人間業じゃないぞ。それもヘリの上から、2000メートル先の。

 

 とーーー

 

 ぐらり、とヘリが揺れた。

 俺はニナに文句をつける。

 

 「おい、揺らすなよ」

 

 「っっででででも、おおおおお音が、びびびびっくりしちゃって、はわわわわ」

 

 ニナは、俺の狙撃銃が立てた音にびっくりして混乱しているようだ。

 白の世界の銃はそんなに静かなのかよ。

 って、思い出したぞ。ニナは、何でもできるメイドを自称しておきながら、紅茶に砂糖と間違えて塩入れるわ、掃除中にコンセントに足引っ掛けて転んで床へこませるわだった、駄目イドじゃないか!

 

 ーーーなあミハイル、何でお前そんなの派遣したんだ?

 

 ぐらり、ぐらりと、ヘリの揺れはおさまらない。

 

 「くっそ……もういい! 揺らしてもいいからもっと近づけ!」

 

 「ははははいいいいいぃぃぃ!」

 

 ヘリが揺れながらもなんとか真っすぐに飛び、船に接近していった。

 それに気づいたらしい相手のヘリが、装備された機関銃ごとこちらに向き直る。

 どこまでも黒い銃口が、哀れな獲物を弾かんとばかりにこちらを見据えた。

 それを見たニナが悲鳴をあげる。

 

 「わわわわわ、じゅじゅじゅじゅじゅ銃がこここここっちに!」

 

 「落ち着け! そのままだ」

 

 俺はSTIを抜いてセレクターをフルオートに替えつつニナをたしなめる。

 

 俺は、相手のヘリの銃口を見据えた。

 さあ来い。

 

 次の瞬間。

 

 パパパパパパッ、と、銃口が連続して瞬いた。

 こちらに迫ってくる、無数の銃弾。それをーーー

 

 「おおおおおおお!」

 

 ガガガガガガン!

 

 バチバチバチバチッ!

 

 全て、STIによる銃弾撃ちで防弾する。

 ハリウッド映画を見て真似したのがはじまりのこの技だが……我ながら恐ろしいね、この作業。

 

 通常、STIの.45ACP弾より、機銃に使用する5.56mm弾の方が運動エネルギーで勝る。

 なので俺は、.45ACP弾でそれらを全て掠める形で弾の軌道を逸らしたのだ。この、揺れるヘリの上から。

 自身のやった事に驚愕する。なんていう精密さだ。

 ついでに、こちらに迫ってきたせいで船の上から外れたヘリを狙って狙撃銃を構え直し、発砲する。

 

 ドオオオオオオォォォン!

 

 今度こそヘリは、炸裂弾にプロペラを根こそぎ壊されて海に墜落する。ざまあみやがれ。

 

 「え? ……あれ……?」

 

 運転席で頭を守るポーズをしていたニナは、銃弾がこちらに当たらなかったことに驚き、きょとんとしているようだ。っていうかこら、ちゃんと操縦しろ。

 まあ、ニナがヘリを揺らしてくれたのはある意味良い方向に働いたかもな。今回のHCモードはそれくらい強烈だって、確認できたし。

 

 「や、ややりましたね! シンさん!」

 

 「いや、まだだ。何だか様子がおかしい」

 

 俺はスコープの倍率を上げながら言う。

 どこか致命的な部分を壊されたのか、少しずつ沈んでいってるように見える船。その甲板に、誰かいる。

 あれはーーー

 

 「ノア!?」

 

 つい、声に出してしまった。

 なぜ、ノアは脱出しない。

 船が沈むまで目算だがあと20分もないぞ。

 ーーーいや、脱出できないのか?

 何かしらの仕掛けで、脱出できないように仕向けられたのか!

 助けなくては。

 

 「ニナ! 俺をあの船に降ろせ!」

 

 「え、でででも、あの船はもうじき沈」

 

 「いいから!」

 

 「ははははいい!」

 

 バラバラバラバラ……と、いい加減少しは冷静になったらしいニナがヘリを動かし、船の真上に着いた。

 見れば、襲撃者を撃墜した謎のヘリをぽかんと見上げていたノアだが、ハッチから飛び降りた俺を見て、次第にその目を驚愕に見開く。

 

 「シンさん……」

 

 「ようノア。昨日ぶりだな」

 

 足で衝撃吸収技・二撃分散を放ち、なんとか無傷で船の甲板に降りられた。

 ノアはなぜ俺がここにいるのか、理解できない様子だった。

 

 「シンさん、なぜここに……」

 

 「俺は一般人になりたいんだが……どうやら一般人というものは、友達がピンチだったら助けるのが常識みたいでね」

 

 俺は軽く言って、ノアの手をとる。

 

 「さあ、脱出するぞ。ノア」

 

 「駄目です」

 

 ノアが、俺が握った手を払って言った。

 

 「さっきあのヘリをけしかけた犯人らしき者からメッセージが来ました。白の世界の暗号キー……地球でいう、モールス信号です。『甲板の上に来い、さもなくば他の乗客を皆殺しにする』と。向こうの狙いは私です。私はここから動けません」

 

 おのれ……誰だか知らんが、せこい事しやがる。

 だったら……ノアを狙ってやってきた犯人を半殺しにして縛り上げ、学園にレポートと一緒に提出してやる。

 

 「分かった。恐らく犯人はお前を回収しにここに来るはずだ。そいつを、俺とノアで倒す。武装はしているな。リンクするぞ」

 

 「はい」

 

 ちゃき、とビームハンドガンを取り出し、もう片手で俺の手をとろうとするノア。

 だが俺は、ひょいと自分の手を引っ込めて、ノアの手を避けてやった。

 

 「シンさん?」

 

 不思議がるような目を向けてきたノアに、俺は優しく語りかけた。

 

 「こんなにも来るのが遅くなってしまって申し訳ないがーーーノア。俺はな、ノアを助けに来た。友達を助けるのは、人としての責務だからだ。ノアは俺のことを友達だと思うか?」

 

 一瞬面食らったノアだったが、すぐに答えは返ってきた。

 

 「はい。私はシンさんの友達で、シンさんは私の友達です。いえーーー美海さんも、ソフィーナさんも、カトルさんも、みんな、みんな友達です」

 

 「そうだノア。友達を助けるのは人としての責務。でもな、自分がピンチになったときに友達に助けを求めるのもまた、人としての責務なんだ」

 

 言葉ではなく、心で語りかける。

 ノアのサファイアのような瞳を、じっと見つめながら。

 

 「ノアにはその相手がいる。ノア、お前はもう独りじゃない。友達が、すぐそばにいるんだ」

 

 ノアの瞳が揺れる。

 

 「さあ、言ってごらん。お前には、その権利が、義務がある」

 

 「シンさん………」

 

 どれだけ経っただろう。瞳を震わせていたノアだったが、やがて顔を上げて、震える声で、小さく、しかしはっきりと、言った。

 

 

 「………私、怖いです。……助けて、ください……!」

 

 

 「よく言った!」

 

 俺はノアの手を握った。たとえ地球がまっぷたつになろうが絶対に離れないくらい、しっかりと。

 次の瞬間、俺の腕を通してノアに力が流れ込んだ。のが、分かった。

 だがーーーこちらの俺なら、全く疲労感などは無い。リンクなんて、プールからコップ一杯の水を出すようなものだ。

 

 「やれるか。ノア」

 

 「はい」

 

 ノアの戦いは、そのビームハンドガンと科学剣を使用した半径5m以内の接近戦だ。俺も同じく、拳銃の有効射程内での接近戦を得意とする。

 ノアもそこそこ強いし、俺はましてやいつもとは違う、謎のHCモードだ。二人掛かりでやれば、倒せない奴はいない。

 

 と。

 

 「しっかり務めを果たしてくれたようだな。シン」

 

 どこからともなく、声がした。

 

 「ッ!!」

 

 振り返ると、そこには。

 

 「何で……何でアンタがここにいるんだよ………」

 

 一人の、ある人影があった。

 

 驚愕のあまり、声が震えてしまう。

 何で、お前は死んだんじゃないのか。

 何で、今になって現れた。

 

 「シンさん?」

 

 俺を心配するノアの声がどこか遠く聞こえる。

 

 ああ。今俺は、混乱している。

 

 俺が見ているのは亡霊だろうか?

 

 何で。なんで。ナンデ。

 

 ナゼ、オマエガ。

 

 ーーードウシテ、ココニイルンダ。

 

 

 「ーーーーーーーーー兄さん」




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