アンジュ・ヴィエルジュ 〜知らば輝く青玉の瞳〜   作:二面サイコロ

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EX.3 リゼリッタと一緒(中)

 

 『ーーーなあシン』

 

 フィールドの通信機越しに、カトルの声が聞こえる。

 

 「何だ」

 

 『何で俺まで駆り出されてんだ?』

 

 「ソフィーナとリゼリッタの起こすドタバタに、理由なんかつけられるか?」

 

 『……確かに。疑問に思った俺がバカだったらしい』

 

 「ま、そういうことだ」

 

 俺とカトルは同時にため息をつく。

 

 さて、今現在何が起こっているのかというと。

 

 「今日こそギタギタにして吊るしてやるわ、リゼリッタァ……」

 

 怒気丸出しでリゼリッタと相対しているソフィーナを見れば分かるだろう。

 

 俺達は今、ブルーミングバトルのフィールドにいる。

 というのも、ソフィーナとリゼリッタの激しい争いの上、これで決着をつけようという結論に至ったからである。このあたり、とっても青蘭学園らしいね。あーヤダヤダ。ソフィーナの踵落としの直撃を食らって一分間の気絶だけで済んだ俺の耐久力が今は恨めしいぜ。

 

 「……あー、んじゃいくぞ、リゼリッタ」

 

 「はぁい、ふたりでソフィーナをからかってあげましょ?」

 

 「少しは危機感持てっての。お前がボコられたら痛いのは俺なんだから」

 

 「はいはい」

 

 言いつつも、微妙にワクワクしている俺がいる。

 黒の世界の精鋭ふたりのバトルに参加できるんだ。向こうでも、俺と同じくカトルが少し楽しそうな顔をしているな。

 

 「カトル! 私に続きなさい!」

 

 ソフィーナが叫ぶ。

 

 「おうよ! シンにも日頃から恨みが山ほどあるしな!」

 

 あちらも平常運転だな。ソフィーナがキレてるとこ以外は。

 

 「お前こそだカトル! 先週の学食の唐揚げの恨み、今日こそ晴らすぞ!」

 

 「「αフィールドセットアップ!」」

 

 ーーーブルーミングバトル。

 異能をもつ少女達が行う模擬戦。

 αドライバー達が作り出すフィールド内で行うこの戦いでは、プログレスは一切の怪我を負うことなく、そのダメージは全てαドライバーにフィードバックされる。

 異能をもった少女達の真の力を引き出すαドライバー。この模擬戦は、彼女達に眠る可能性を引き出すと共に、それを世界の異変を解決するための手がかりとするためのものである。

 

 パッ、とカウントダウンを告げるランプが点灯する。

 

 ーーー3。ーーー2。ーーー1。

 

 ーーーゼロ。

 

 先手を打ったのはソフィーナだった。

 

 「炎の矢(ブレイジング・アロウ)!」

 

 ソフィーナが突き出した右手を中心に十本ほどの炎の矢が形成され、それらがリゼリッタに襲いかかる。

 接近戦になる前に敵を削る、非常にオーソドックスな戦術だ。

 

 「もうソフィーナったらぁ。もっと美しく戦いましょう?」

 

 対するリゼリッタはーーーひらり。くるくるり。

 ダンスでも踊るかのような動作で、両手に張った魔力で矢を的確に弾く。

 動きからして、日頃からソフィーナにやられ慣れてるのだろう。まるで焦りが見られない。

 

 そしてーーーひょいっ。

 いつも彼女が片手に提げているぬいぐるみ、それに刺さっていたピンを抜き、ソフィーナに向かって軽く放る。やはり、あれは魔力爆弾か何かだろう。

 だが、ダメだ。あんな使い方じゃあすぐに狙い撃ちだ。

 

 「そんな大きな的、外さないわよ!」

 

 案の定ソフィーナは炎の矢でそれを撃ち落としにかかる。

 ソフィーナの第二射、赤く燃え盛る矢がそれを貫いた瞬間。

 

 ピカッーーー! と。

 

 ソフィーナの目の前で、それは小さな太陽となった。

 おまけに、俺とカトルまで届くほどの不愉快な音が周囲に響く。

 閃光音響弾(スタングレネード)

 青の世界のそれは、アルミ、マグネシウム、その他複数の金属の混合物を瞬時に燃焼させ、凄まじい光と音エネルギーに変換するもの。それの黒の世界・魔力版だ。

 恐らくフィールド内は今、目が潰れそうな閃光と気絶しそうなくらいの不快音が満ちているだろう。

 

 リゼリッタの狙いはこっちか。ソフィーナが怒り狂って行動が単純になっていることまで計算に入れてやがる。割と考えて行動してるな、こいつ。

 

 「きゃっーーー」

 

 さすがのソフィーナでも本能にはあらがえず、元々ちびな体をさらに萎縮させ、小さくなる。

 その隙にーーー

 

 「こっちが本命よ。ふふっ」

 

 いつの間にかソフィーナの背後に回り込んでいたリゼリッタが、袖から取り出したもう一つのぬいぐるみを放る。

 

 「ソフィーナ! 後ろだ!」

 

 カトルが叫ぶが、もう遅い。

 振り返ったソフィーナはバリアを展開しようとしたらしいが、間に合わないと判断したのか、小さく舌打ちしてーーー

 

 ーーーッドオオオオオオオォォォォォォン!!

 

 リゼリッタの人形が、その大きさからは想像もつかない大爆発を起こした。

 

 あー、ありゃ直撃したら一撃で戦闘不能になるぞ。

 日頃の恨みがあるとはいえ、ダメージのフィードバックで死にかけてるかもしれないカトルを微妙に心配しつつ、カトルの方を見ると。

 

 「……って」

 

 カトルは僅かに顔をしかめているが、特に大きなダメージは見られない。

 防いだのか? あの距離からの直撃で?

 俺は目を凝らし、爆風で巻き上った煙の中からソフィーナを探す。

 

 ーーーまでもなく、ソフィーナが出てきた。

 

 爆風に乗せられて木の葉のように軽々と吹き飛んだソフィーナは、フィールドの逆側、つまり俺の方に向かって脚を振るいーーー

 

 バスンッ!

 

 αフィールドの内側に、鞭のように振るった足裏での蹴りを当て、自身の運動量を全て逃がす。

 フィールドを破壊されかねない威力の蹴りに顔をしかめ、しかし俺は違うことに驚いていた。

 

 (あいつ……あの距離からの爆風を無効化したのかよ!)

 

 ソフィーナは恐らく、リゼリッタの爆弾が爆発したその瞬間、爆風と等速で飛んで受け身をとったのだ。

 もちろんそれだけでは逆側の壁に叩き付けられてダメージは必至。それを俺がよく使う受け身術を見よう見まねでパクって使いやがったんだ。

 なんという機転。さすがはソフィーナだ。

 

 どしゃ。

 

 壁を蹴ったままの姿勢で無様に地面に墜落したソフィーナは、それでもすぐさま起き上がりリゼリッタを睨む。

 俺の方に、ソフィーナ。カトルの方に、リゼリッタ。

 はじめとは逆になった位置で、両者が再び対峙する。

 

 「リゼリッタェ……よくもバカにしてえ~~~!!」

 

 ……機転は利いても頭に上った血は下りないらしい。舌の巻き過ぎで発音がおかしい。

 

 「カトル! エクシード・リンクよ!」

 

 「おうよ! 行くぜソフィーナ!」

 

 ソフィーナとカトルがそれぞれ突き出した手が、黒紫色に輝く。

 

 

 「「ーーーエクシード・リンク!」」

 

 

 ソフィーナから、まるで爆発でもしたかのように魔力のオーラが漏れ出る。リンク成功だ。

 彼女から溢れ出た魔力は、やがてひとつの実体を形成する。あれはーーー

 

 「闇の界断剣(ダークネスセイバー)ーーー!」

 

 巨大な、剣だった。

 持ち手も合わせれば長さは三メートルを優に超えるだろう。独特な形状に呪文らしき文字が刻まれたそれを、ブゥン、と音を立ててソフィーナが軽々と構える。

 

 (今度は剣か。毎度毎度、面白いもの見せてくれるぜ)

 

 通常、無計画なエクシード・リンクはブルーミングバトルにおいて悪手とされる。それはチームの連携を乱したり、下手を打てばプラスどころか逆にチーム全体のバランスを崩し、マイナスとなりかねないからだ。

 だが今回は、一対一の変則バトル。正面きっての一騎打ちとなれば、戦術もへったくれもあったものではない。おまけにそれを使っているのは、あの理深き黒魔女・ソフィーナだ。エクシード・リンクひとつで、バトルの決着がつくレベルの火力である。

 

 しかし、こちらも黙って見ている訳ではない。今の数瞬の間に、いくつもの対応策が頭を巡る。

 こちらもエクシード・リンクを使うべきか。それともーーー

 

 「ーーーリゼリッタ! 今は凌いでくれ!」

 

 果たして俺の選択は、リンクは今はお預けにする、だった。

 ソフィーナは今、冷静さを欠いている。リゼリッタに散々からかわれたり、見事な不意打ちを食らったりと、プライドの高いソフィーナをブチギレさせるには十分すぎる条件だ。

 おまけに今回の彼女の武器は剣。これだけの条件であれば、リゼリッタならその大火力の攻撃を防ぎきってくれる。

 チャンスは、その後ーーー!

 

 「了解よ、シン。ソフィーナおいで。一緒に遊びましょ?」

 

 「言われなくてもぉ!」

 

 言いつつ、もの凄い勢いでリゼリッタに向かって突っ走りーーー

 ソフィーナがリゼリッタに向け大きく剣を薙ぎ払うのを、リゼリッタは軽く跳躍して躱す。続いて振り下ろし。轟音と共に振り下ろされた剣の横っ腹を、リゼリッタが軽く拳で叩いて軌道を逸らす。

 地面に叩きつけられた剣がさらに予備動作無しで跳ね上がったのを、上体を反らしてやり過ごす。僅かに掠めた剣がリゼリッタの大きな胸をムリヤリ被うブラウスのボタンに小さな傷を入れる。

 

 やはりだ。冷静さを欠いたソフィーナの行動は非常に単調になっている。ここはソフィーナが消耗するまで凌いで、そこから反撃に移るのが得策だろう。

 

 「くっ……この……当たりなさいよっ!」

 

 「おーにさーんこーちら、てーのなーるほーうへ♪」

 

 剣を振るうソフィーナだが、それでもその黒い刃はリゼリッタを捉えることができない。それがさらにソフィーナにプレッシャーを与え、命中率はますます下がる。

 

 いい調子だ。見れば、ソフィーナの剣から上がっていた燃え盛るような黒いオーラはいつの間にか無くなり、代わりに鬼火のような弱い光が揺れるだけとなっている。このエクシードを使えるのはあと少しなのだろう。

 

 「はっ!」

 

 リゼリッタの足元目がけて突き出された、恐ろしく鋭い、しかし軌道がミエミエの突きをジャンプして避ける。

 そのまま剣を跳ね上げーーーいや、剣ごと一回転して、体重の乗った回転斬りを繰り出す。

 やはり軌道が読める。大きな剣を出したのは失敗だったな、ソフィーナ。剣がデカけりゃ、それだけ動作が遅くなるし、なにより剣の軌道が振り下ろしや薙ぎ払いなどの単純なものに限定される。おとなしく美海のやつくらいにしときゃ良かったものを。

 

 そこで、僅かな違和感を感じた。

 

 ーーーいや、本当にそれはソフィーナのミスなのか? 今の剣だって、いちいち振らずにさっきみたく跳ね上げればリゼリッタに当たったかもしれないのに。

 まるで、当たらないというより……当ててない?

 

 だとすれば、それには何の狙いが? そもそも、わざわざ大きな剣を引っ張り出してきた意味は?

 

 その瞬間、俺の視界にあるものが見えた。

 注視しなければ分からないような、その程度の小さなもの。

 だがそれは、このバトルの結果を左右する決め手ーーー!

 

 ソフィーナの回転斬りを躱そうと動いたリゼリッタに、慌てて呼びかける。

 

 「リゼリッタ避けるな! 受け止めろ!」

 

 「!?」

 

 俺の忠告に気づいたリゼリッタが慌てて避けるのをやめて防御に移る。

 しかし、俺の忠告が遅すぎた。リゼリッタは完全な防御の姿勢をつくることができずに、剣を受ける、というよりはほとんど吹っ飛ばされるような形で空中に弾かれる。

 

 「惜しかったわね、リゼリッタ」

 

 ソフィーナが笑う。

 あれは、勝ちを確信した笑いーーー!

 

 「後ろだ!」

 

 慌てて叫ぶが、間に合わない。

 

 吹き飛ばされたリゼリッタ、ちょうどその背後にあるのはーーー

 

 「さっきのお返しよ」

 

 先にリゼリッタが使用したものに酷似した、魔力爆弾!

 

 そこで全てが繋がった。

 

 恐らくソフィーナは、とっくに頭は冷えて冷静になっていたのだ。

 それでもまだ頭に血が上っているフリをして、俺達を油断させた。

 そしてリゼリッタの爆弾を受けて吹き飛ばされる、その刹那の瞬間に、ソフィーナは爆弾をセットした。

 それからはブチギレたフリをして、わざとリゼリッタが避けきれるような攻撃を仕掛け、誘導してーーー

 

 パチン、と、ソフィーナが指を鳴らすと。

 

 リゼリッタの背後にあった、影を圧縮したような真っ黒な球体が、凄まじい勢いで膨張する。

 そして、暴走したあらん限りの魔力を、リゼリッタの背中にぶつけた。

 

 先にも説明したが、αフィールド内でのプログレスのダメージは、αドライバーに全てフィードバックされる。

 つまり今リゼリッタがもらったダメージは全て、αドライバーである俺の還元される訳で。

 

 「ぐおおぉっ……!」

 

 見えない巨人の張り手でも食らったかのような、凄まじい痛み。視界が涙でにじみ、息が詰まる。

 さすがソフィーナお手製の魔力爆弾。破壊力は折り紙つきだな。

 などと感心している場合ではない。

 

 ま、まずい……! αフィールドを維持できない……!

 

 膝から力が抜け、立ち上がっていられなくなる。

 αフィールドを維持できなくなり、俺とリゼリッタの敗北が見えた。

 

 ーーーそのときだった。

 

 バチッ!!

 

 

 ソフィーナの眉間に、弾丸のような勢いで飛来した「それ」が、直撃した。

 

 

 ……えー、一口では説明不能なので、ちょっと長くなる。

 

 皆さん、跳ね返り係数という言葉をご存知だろうか?

 多分、中学校か高校の物理で習うと思うが、物体の衝突において、衝突前の互いが近づく速さに対する、衝突後の互いが遠ざかる速さの比だ。

 つまり、普通に考えれば通常時に跳ね返り係数が1を超えることは無いと考えられる。外部からの力がかからない限り、エネルギーが増える訳がないからだ。

 だが、見かけ上の跳ね返り係数を1以上にする装置が存在する。

 ゴム製のスーパーボールを大きい順に並べ、串のような棒で突き刺した道具である。これを大きいボールを下にして落とすと、大きいボールから順々に小さいボールに運動エネルギーが伝達され、一番上の小さいボールだけが弾丸の如く跳ね上がる。

 

 さて、なぜいきなりこんな説明をしたのかというと。

 今起こった現象が、それに酷似しているからである。

 

 魔力爆弾による爆風が、リゼリッタの背中を叩き。

 リゼリッタの胴体から、スーパーボールのように弾力をもつ、ふたつの球体ーーー平たく言えば(いやある意味平たくはない)、胸にそれが伝達され。

 最後に、さらに外側にある、彼女の胸とは比較にならないほど小さい物体ーーーブラウスの第二ボタンに伝達され。

 先ほどのソフィーナの剣により若干傷がついていたのにも助けられ。

 

 ーーーボタンが、飛んだのである。

 

 爆風の追い風も受け、殺傷能力があるのではないかという程の勢いで射出されたボタンは果たして、ソフィーナの眉間に直撃した。

 そして、俺がダメージによりαフィールドを維持できなくなるのと同時にーーー

 

 「な……ぁ……」

 

 「ぐはぁっ!」

 

 ソフィーナとカトルがシンクロしつつ、後ろに倒れた。

 ビィーーーっと、バトル終了を告げるブザーが鳴る。

 

 『両者同時戦闘不能により、引き分け』。

 

 同時に、αフィールドが消失する。

 

 「ふう……」

 

 背中の痛みが嘘のように消えるのを自覚しつつ、痛みのあまり滲んだ涙をぬぐい、リゼリッタに声をかける。

 

 「あー、ナイスファイト? だったぞ。リゼリッタ」

 

 「……えーっと、これは私達が勝ったと思って……いいのかしら?」

 

 リゼリッタが、非常に微妙な表情で苦笑し、背後を指で示す。

 彼女が示した方、ソフィーナとカトルを見ると。

 

 「ま、まさか……胸で……ボタンがとれるなんて……」

 

 「リゼリッタの……胸が……我が生涯に、一片の悔い無し……!」

 

 バトルは終わったってのにまだソフィーナとカトルはのびていた。

 どうやら、ソフィーナは主にリゼリッタとの格差(バトルについてではない)を見せつけれた精神的ダメージ、カトルは……鼻血による失血状態にあるな。

 まあ放っといても大丈夫だろう。こいつらだし。

 

 「それはそうとぉ」

 

 すぐ傍で上がった甘ったるい声に、俺の本能が警報を鳴らす。

 

 「ソフィーナが散々やってくれたおかげで、ボタン飛んじゃったわよぉ。どうするの」

 

 よく見れば……いや、当たり前なんだが、第二ボタンが飛んだリゼリッタの、メロンのように巨大な胸の、上半分が露出してしまっているぞ。

 

 「……さっさと寮戻って着替えてこいよ。ボタンくらい自分で縫え」

 

 今回は催眠術はかけられなかったようなので、微妙に名残惜しい気分になりつつも、目を逸らして流す。

 対し、リゼリッタはにひひー、と笑った。

 

 「もお。本当は嬉しいんでしょ? さあシン。早く行くわよ」

 

 「行くって、どこにーーー」

 

 「新しいブラウスを買いに、よ。元はといえば、シンのせいで壊れたんだから」

 

 「ボタンが壊れたのが俺のせいだと思うんなら、精神科か脳外科へ行くことをおすすめする。というかボタンくらい自分で縫えって」

 

 「つべこべ言わないの。殿方はレディーの誘いを断っちゃいけないんだからぁ」

 

 がっしと、リゼリッタに強引に腕を組まれる。

 ……っておい、これはまずいだろ。

 第二ボタンが無くなったせいでさっきよりもダイレクトに、途方も無い柔らかさが俺の腕にーーー

 

 ーーーゴゴゴゴゴゴゴゴ。

 

 そして今度は後ろから、マグマのような怒気がひしひしと伝わってくる。

 次の瞬間何が起こるのか、大体予想がついていた俺の視界がーーー

 

 「闇の岩石落とし(ダークネス・バックドロップ)!」

 

 くるっごしゃっ!

 

 前後上下反転し、脳天から地面に叩きつけられた。

 

 リゼリッタごと。

 

 




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