【金こそパワー】無能と追放されたけど【IT】スキルでベンチャー起業して金の力で魔王を撃破!   作:月城 友麻

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17. 斬ってヨシ!

 ジェラルド王子も有無を言わせぬオーラを放つが、アントニオはそれとは次元の違う暴力を背景とした圧倒的なオーラだった。

 

 オーラに威圧されたタケルはカタカタと震えてしまう。

 

 だが、今さら陣営を乗り変えるなどとてもできない相談である。

 

「で、殿下のご意向に背けるはずはございません。ですが、その前に恐れながら、殿下の描く国政の方針をお聞かせ願えますか?」

 

 タケルは絞り出すように震える声で言った。

 

「は? 俺がこの国をどうしたいかって? そりゃ圧倒的な武力! 力こそ全てを解決するパワーだ。我が王国を大陸随一の軍事大国としてこの大陸を統べるのだ!」

 

 ガン! とアントニオはテーブルをゴツいこぶしで激しく叩く。

 

「な、なるほど、素晴らしいですね。ですが、軍事力を強化するにはまず国が豊かにならないと難しいのでは?」

 

「そんなのはお前らの仕事だ! お前はガンガン金を稼いでわが軍を支えろ!」

 

 タケルはキュッと口を結んだ。稼ぎを収奪し、全て軍事侵攻の費用にするつもりなのだろう。もちろんタケルも稼ぎで魔王軍を打破していくつもりではあるが、他国を侵略するつもりなどない。人間同士の殺し合いなどたくさんなのだ。

 

 とはいえ、断れば死である。窮地に追い込まれたタケルは活路を求めて言葉を紡ぐ。

 

「王国のために経済的支援をするのは王国民として当然の務め。ですが、我が稼ぎを軍事に使うのであれば、わたくしめも軍師として作戦の立案などに携わらせてもらえますか?」

 

「は? お前のようなモヤシ小僧が軍に関われるはずなどないだろう! お前は金稼ぎ担当! なんか文句あるか?」

 

 タケルはキュッと口を結んだ。人殺しのための金を稼がされ、使い方にも関与できないなどまっぴらごめん。大きく息をつき、覚悟を決めた。

 

「殿下、わたくしは商人です。見返りのない一方的な利益供与は長くは続けられません」

 

 勇気を振り絞ってアントニオをまっすぐに見つめるタケル。

 

「ほう……? 貴様、死を選ぶ……か?」

 

 アントニオはピクッとほほを引きつらせ、ゆらりと立ち上がると腰の幽玄の(エーテリアル)王剣(レガリア)に手をかけ、スラリと引き抜いた。シャリーン! という金属音が静かな室内に響き、赤い刃紋の踊る美しい刀身が不気味にギラリと光る。

 

「で、殿下、いくら『斬り捨て御免』とはいえ、わたくしはジェラルド殿下の知己であり、説明は求められますよ?」

 

 タケルは冷汗をたらりと垂らしながら、のけぞった。

 

「ふん! 死人に口なしだ。理由などいくらでも作れるわ!」

 

 王剣を振りかぶるアントニオ。

 

「理由は作れません。なぜならすべて筒抜けだからです!」

 

 タケルはここぞとばかりに試作品のスマホをポケットから取り出し、アントニオに向けた。

 

『兄上、お話は聞かせていただきましたよ? それでは父上も納得しないと思われますが……』

 

 スマホからジェラルドの声が響き、画面には顔が映っていた。

 

「き、貴様、な、何だこれは……?」

 

 初めて見るビデオ電話にアントニオは動揺が隠せない。

 

「『斬り捨て御免』とは言え、引き抜きに失敗したから我が親友であるグレイピース男爵を手にかけたとあれば無事ではすみませんが?」

 

 畳みかけるジェラルド。

 

「うぬぬぬぬ……。怪しい魔道具を使いやがって!」

 

 真っ赤になるアントニオ。

 

「まぁ、私としても、あなたが彼を斬ってくれれば父上の同情を稼げますからね。斬りたければどうぞ? くふふふ……」

 

 方便とは言え、『斬ってもいい』というジェラルドの言葉にドクンと心臓が高鳴った。結局この人たちにとって人の命などコマにしか過ぎないのだ。

 

 くぅぅぅ……。

 

 アントニオは王剣を力いっぱいテーブルに叩きつけ、一刀両断にされたテーブルが飛び散った。

 

 ひぃぃぃ!

 

 慌てて跳びのくタケル。

 

「まぁいい。俺が王位についたらお前ら覚えてろよ?」

 

 アントニオは血走った目でにらみつけながら野太い声を響かせ、ドカドカと足音を響かせながら出ていった。

 

「危なかったね、タケル君……。くふふふ……」

 

 ジェラルドは楽しそうに笑うが、タケルはいちいち命のやり取りになる事態にウンザリしてガックリとうなだれた。

 

「もう、勘弁してくださいよぉ……」

 

「何を言ってるんだ、まだ始まってもいないぞ? ふははは」

 

 タケルは楽しそうなジェラルドの顔をジト目でにらんで、ふぅと重いため息をついた。

 

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