機動戦士ガンダムSEED ETERNAL SPIRITS 作:MIDNIGHT
VTO氏が同HPで執筆していましたが、生活環境の変化と心境的な面から執筆活動が困難となり、作品を停止していたものを、譲り受けたました。
同HPが現在管理人不在のため、いつHPが閉鎖するか分からない状況が続いているため、作品の消去も考えたそうですが、付き合いのあった私が作品を引き継ぐことになりました。
現在HPで公開していた分とその後の話数を一部、設定集と全体のプロットなどを譲り受け、公開とリメイクもOKということで代筆することになりました。
そのため、原作をVTO氏、執筆を私というカタチで作品を公開していくことになりました。
自分もクロスアンジュをはじめ、作品を持っていますが、自分もクロスアンジュや他の作品を書く際に大いに影響を受けた作品だけに、このまま消えていくのは忍びなく、作品を譲り受けました。
当面は、元々HPにあったものを誤字や一部内容の変更を行いつつ、公開していきます。
映画「SEEDFREEDOM」の内容も加えつつ、執筆していきますので、よろしくお願いします。
――――――永遠
言葉にすればたった二文字……でもそれは…不変のもの………
始まりも終わりもないもの………
私はただ…この世界を彷徨う……
知りもしない…知る必要もない…この世界を………
世界は私を離さない――――
――――私は世界を逃さない
私は…ただ霞のごとく……虚構のなかを…ただ……彷徨う………
――――――私は…この世界に…何を見出すのだろう…………
機動戦士ガンダムSEED ETERNAL SPIRITS
PHASE-00 LOST MEMORY
無限に続くかと思われる漆黒の宇宙空間。そのなかで一際蒼く、そして美しく輝く惑星。
―――――地球
生命を生み出せし母なる惑星の周囲では、幾条もの光が煌き、迸り、そして咲き誇る。
その輝きを生み出すのは鋼鉄の巨人達――MSと呼ばれる人間と同じ四肢を持ちし兵器が繰り広げる戦い。
―――――C.E.71 10.3 地球 衛星軌道上
MSが戦う相手は白き翼を持つもの。見た者は言うだろう――天使、と……
天使との戦い――まるで御伽噺や神話のなかのような現実味のないもの…だが、それは紛れもない現実。激しい戦闘が繰り広げられるなかで舞う幾体ものMS達。そして、そのなかでも激しい戦いが繰り広げられる空間があった。
蒼き翼を持ちし2体の白きMSが真紅の竜を携えたMSと交錯する――――『自由』・ 『勇敢』・『暴竜』
真紅と黄金に輝くMSが純白のMSと刃を交わす――――『正義』・『暁』・『邪悪』
赤く映えるMSと純白のMSが激しい砲火を浴びせあう――――『軍神』・『水天使』
白と銀のMSが互いに機動ポッドを展開し、幾条もの火花を走らせる――――『真理』・『天帝』
重装甲同士…高機動を誇る機体同士……黒と疾風の機体と死神の成り損ないが互いに譲 らずに戦う――――『砲撃』・『厄災』・『盾』・『強襲』・『電撃』・『疾風』・『禁断』
蒼き風と稲妻が吹き荒れる――――『竜巻』・『稲妻』
騎士と駆ける流星のごとく飛翔する2体は純白の破壊神へと立ち向かっていく―――― 『騎士』・『流星』・『地天使』
2体の黒と黒のMSが純白の天使へと向かう――――『堕天使』・『消滅』・『飛天使』
黒衣の騎士が振るう刃と純白の天使が振るう刃がぶつかり合う――――『進化』・『炎天使』
それは戦いの記憶。ANGEL WARSと呼ばれる生を求めるものと滅びを求めるものの壮絶な戦い――――――
C.E.71――――地球側地球連合軍とプラント側ザフト軍の間で勃発した戦争は、誰もが予想しえなかった結末を迎えることになる。
悲劇の発端となったユニウスセブンを舞台に繰り広げられた戦いは、GUNDAMと呼ばれるMSを駆る若者達によって終結へと向かう。
漆黒の堕天使が羽ばたかせる真紅の翼と純白の天使が羽ばたかせる白銀の翼が宇宙を舞い、2体の天使は刃を交えあう。
―――――――『無限』と『破滅』――――『堕天使』と『神天使』
そして……堕天使の繰り出した刃が純白の天使のボディを貫いた瞬間、全ては終わりを告げた―――――
それで…終わったはずだった…………
―――――――だが……
闇――――――
それは飽くなき永劫に続くかと思しき闇のなかだった。
その闇のなかに浮かび上がる一つの光。モニター映像と思しきウィンドウには蒼く輝く地球に降り注ぐ流星雨が映し出されている。
そして、映像が途切れて再びノイズのなかから映し出されたのは漆黒と純白の交錯――それを見据える人影がボソッと吐き捨てた。
「フン…天使の王は堕天使の手によって堕ちたか」
映像に映っている機影は無限の堕天使:インフィニティと破滅の神天使:メタトロン ―――それは、ANGEL WARSの最期の戦いであった。
ユニウスセブンの破片が砕け、地球へと降り注いでいく様を再度一瞥すると、映像が途切れる。暫し静寂が漂うなか…声を発した女と思しき人影が再度一人ごちる。
「天から降り立つ使徒などもはや偽りでしかない。禍がいものに敗れるが末路―――これからは、人の手によって神への道が開ける……」
どこか惚然を漂わせるように女性が笑みを浮かべ、傍らに立つもう一人の人影は無言のまま佇み、2人はそのまま歩み出し、薄暗い闇のなかを迷いもせずに進む。
そして、その足が止まる。
「そして――神の寄り代により、新たなる世界が築かれる……」
2人の視線が向けられる先には、2体の巨大な影が佇んでいる。だが、闇に覆われたその姿を確認することは叶わない。微かに差し込む光に浮かぶ機影は、白と黒に映えている。
視線が動き、巨人の足元に向けられ、そこに固定されるカプセル。ガラスの向こう側には、人の影……表情を俯かせ、カプセルのなかで眠るように座る人影に女性は醜悪な笑みを浮かべた。
「貴方こそ寄り代。神が生まれ出づるためのね…ねぇ――――」
囁くように放たれた言葉は闇のなかへと消えていく。
不気味な静寂が空間を支配する。闇よりも暗く…夜よりも深い……そんな光さえ差し込 まぬ空間のなかで、佇む白と黒の巨人の瞳が不気味に光を発する。
それに呼応するように―――カプセル内で人形のように微動だにしなかった人影がピクリ と動く。
微かに上げられたその瞳は、何も宿さない…虚ろなもの。だが――――――
――――――口元だけは、歪んだ笑みを浮かべていた………
誰に見られることも…聞かれることも……知られることもなく………
喧騒が飛び交う場所。多くの人が作業する場所には、ジャンク屋組合を示すエンブレムが作業服などに刻印されていた。
月周辺のジャンク屋組合の擁する作業ステーション――補給や整備、また仕事の請負などを行う交流場所として設けられている。そこには、作業用のワークスジンなどに混じってミストラルやレイスタなどがジャンクとなった機械をサルベージし、再利用作業に従事している。
その一画――作業員用に割り当てられた整備区画では、各々が所有するMSやMAのメンテが行われている。その内のレイスタの一機のコックピットでは、一人の少年が作業を行っていた。
黒髪に黒い瞳を持つ少年はOS用のボードを引き出し、機体の状態を確認しながらコンソールを叩いている。やがて、その作業が終了したのか、一息つくと背をシートに凭れさせ、その眼がコックピットウィンドウに張られた一枚のフォトへ向けられる。
フォトのなかでは、一人の男とその下には幼い男の子と女の子が写っている。幸せそうに笑う彼ら…どこにでもあるような一家庭の写真だ。その笑顔を向ける彼らに少年はやや苦笑じみた笑みを浮かべ、肩を竦めていると呼ぶ声にハッとした。
「おーい、マコト! いつまで機体整備してやがる! 早いとこ作業に戻りやがれ!!」
怒号に近い呼び掛けにやや表情を引き攣らせ、マコトと呼ばれた少年は慌てて答え返す。
「すいませーん、すぐいきますっ」
素早くキーボードを戻すと、少年「マコト・ノイアールディ」はコックピットを出ようとして今一度動きを止め、フォトに振り向く。
「カスミ、親父…俺はちゃんと生きてるぜ」
そう呟き…マコトは身を翻して無重力のなかを跳び、作業に混じっていく。物資の搬入作業がが一段落すると、マコトは作業リーダーに呼び出された。
「マコト」
「何ですか、チーフ?」
「新しい依頼だ。3日後にポイント5-VP-Xに来てくれだとよ」
その言葉にマコトは首を傾げる。
「内容はそれだけなんですか?」
「ああ、それだけだ。依頼主はお前を名指しにしてきたんだよ」
ますます訳が分からず、首を傾げる。渡された依頼書に眼を通しても、依頼人も不明で依頼内容も不明。ただ指定したポイントに来いというだけ。ジャンク屋家業というのはキナ臭い商売だ。それこそ時には命が危険に晒されることも少なくない。そういったリスクとリターンを覚悟しなければやっていけない。
その上、マコトはフリーのコントラクター――つまりは厄介事などの請負をするなんでも屋だ。だからこそ依頼内容が不明というのもあるが、問題は依頼人が自分を指名してきたということ。自分は特に名が売れているような大きな実績などない。特に指定されるような覚えはない。
「けどこのポイント――例の最近頻発しているミッシングポイントの近くですね」
気になった点はもう一つ――指定された場所は月面裏側に程近い場所。ここ最近、月面の裏側周辺で行方不明事件が相次いでいる。
月の裏側は未だ開拓されていないテリトリーが多く、事件の解明は進んでいないらしい。そんな場所へ行かねばならないというのはあまり気が進まないが、名指しで依頼された以上は無碍にはできない。
ここで断れば、せっかくの指定をふいにしたということで今後の仕事にも響く。そこが頭の痛いところだ…マコトはやや大仰に溜め息をつき、不意にステーションの強化ガラスの彼方に浮かぶ月を見やった。
いつもは何とも思わない月が…その時は何故か嫌な感じが過ぎったのを、無意識に抑え込んだ。
とあるコロニー――プラントなどにも属さない小さなコロニーの空に夜の映像が映し出され、静寂に満ちるコロニーのとある一画に在るホテル。その一室のバルコニーで、一人の女性が佇んでいた。
風すら吹かないコロニー内の夜空を見詰める女性の持つ銀に輝く髪からは微かな水滴が零れ落ちる。黒いアンダーシャツに漆黒のズボンという姿ながら、佇むその姿は儚げなものを感じさせる。
そして、薄暗い部屋からは声が響いてくる。
《姉さん、チケットは取れたわ。明日の便でアーモリー・ワンへと向かう。明日、港で落ち合いましょう。それと、一応MSは用意しておく》
一方的に話し掛けてくる女性の声を背中で受けながら、苦笑にも似た笑みを浮かべ、肩 を竦める。
女性の名は、レイナ=クズハ―――ただ、それだけの存在。彼女は身体を向きを変え、背中を預け、左手で髪を掻き上げる。その左手の薬指に嵌められた髪と同じ銀色に輝く指輪が微かに光る。
レイナはそのまま無言で表情を傾けていたが、やがて瞳に微かな陰りを帯びさせて顔を上げた。
「―――綺麗ね…綺麗過ぎて不気味なぐらい………」
後ろに垂れた首とその真紅の瞳に映る月に、皮肉を込めるように呟いた。
コロニーの外壁を通して映る月は蒼白く輝き、幻想的なものを醸し出している。それは、確かに見るものの大半は美しいと答えるだろう。だが、レイナにはそう感じられなかった。綺麗過ぎて…恐い―――胸の奥が微かにざわめく。
「まだ――運命の輪は続くのかな…私の………」
嘲るように呟き、レイナはただ静かに見詰めていた――蒼白く輝く月を………その奥に感じるを闇を見据えながら―――――
蒼く輝く地球と対のごとく存在する月―――共に生まれ、共に在った片割れ………
その蒼を反射するかのごとく輝き…世界に降り注ぐ月光…………
―――――それは…新たなる運命の始まりを静かに告げるように………
マコト・ノイアールディとレイナ・クズハ――2人の運命の歯車が回り始める―――――
クルクル…クルクル……と―――――