やはり年末年始から今の時期は忙しくなりますね。もっと計画的にならねば。
しかも今回の内容は短くて短くて、本当、申し訳ないです。
ある映像がアメリカ合衆国の秘匿性の高い全ての特殊部隊に公開された。
それは先日、最重要警戒兵器として
映像の最後に、
付近を航海中であったニミッツ級空母はそのポイントに音波照射を開始。ポイント直下の海底に特殊合金を用いた建造物が存在していることが判明している。
アメリカ大統領は一連の報告書を見ながら小さくため息をついた。
そのため息は、決して連日の事件の処理による疲労から漏れ出たものでない。
これはチャンスなのだ。それもこの世の全てを握る最大のチャンスだ。
この二つのオーバーテクノロジーを手に入れれば、拮抗している現状を打ち砕くどころか操作することさえできる。
サテライトキャノンさえ必要で無くなるほどの明確な力の塊を、アメリカが手にするのだ。
大統領はこの惑星を完全に統治する雄大な未来を想見した。口角がいやらしく上がるのを止めることができない。
「……大統領。ご命令を」
「決まっている。残存ISをすべて叩き込め。
「篠ノ之束博士は?」
「殺せ。用済みだ」
仄暗い。
あの時と、生まれた時と同じ感覚だ。
この世界の中に、言葉と景色と懐かしい感触が噴出しては俺にこびり付いていく。
荒廃した都市。機械人形が空を駆ける。山のように聳え立つ巨大兵器。そして――、
あの人の横顔。
多分、大切な何かだったこの人は、もうどこにもいない。
いないものが頭の中を燻る虚しさほど、辛いものはない。
でも、それでも。
俺の中に、いてくれるなら。それが例え、虚像であったとしても、いてくれるなら。
――なあ、セレン。
あ、また、分岐した。また。
また、また、また、また、また、また。もう彼は私のものだ。あなたのじゃない!!
あなたがしゃしゃり出れば出るほど、彼は苦しむんだ。分かってるの!!? 残飯の欠片の繊維の一部の粒子みたいな存在のあなたが、何で私に逆らうんだ!!!!
……死なせない。絶対に死なせてたまるもんか。ここまでは順調なんだ。順調、そうだ順調だ。成長速度も、くだらないストーリーも、何もかも予想を上回る成果なんだ。
この子には、この子には、私が必要なんだ。私には、この子が必要なんだ。そうだ、そうだ、そうだ、そうだ――
「……博士」
暗い世界の中で、彼女を呼ぶ。
いや、ここはもう違う。現実だ。
カチカチと機械がせわしなく動き、博士も何かを喚き散らしながら真剣な表情でモニターを操作しているのが見えるのだから。
俺はその横で眠っていた。頭には何かのデバイスが装着されている。
デジャブだな、と思った。
「あ――何で、意識が」
「もういい。博士」
「でも……、私は」
「いいんだ」
生まれたときは、状況に負け、博士に負け、記憶の奔流に負けた。
だが今は違う。この体は俺のものだ。記憶もきっと。
だから、動ける。
「ッ! 止めて!! まだデフラグは終わってない!! 君のOS、いや自我は3つに――」
「そうだ、終わっていない。奴らは、すぐそこにいる」
体にまとわりついているコードやパッチを無視し、ベッドから起き上がる。いくつかの機器の接続が途絶え脳からエラーをいくつも吐かれるが、今はどうだっていい。
よし……頭が冴えてきた。五感も戻ってきている。あの時とは、何もかもが違う。
「ここはもう、割れてる。奴らの本当の狙いはここだ」
「そんなこと私だって分かってる!! でも、君は戦えない!! ネクストとリンクすることさえ――」
「できるさ」
身に着けていた腕時計に意識を集中させると、腕時計から浅緑の粒子が漏れ始めた。針が高速に回転し、粒子が体に纏まりはじめる。
「あ……、駄目。駄目、駄目、駄目、ダメダメダメだよ!!!!」
博士は必死にモニターを操作し、ネクストの展開を阻止しようとしている。
俺には何故か、酷く哀れに見えた。博士はきっと、俺を愛してくれているのだろう。
でも俺には、こいつしかない。こんなに空虚なんだ。
「この馬鹿息子!! 反抗期!!! 何で、何で私の言うこと聞いてくれないんだぁああああああああああああああああああああああ」
一際まばゆい光が放たれると、博士の前に、俺の体に、ネクストが展開された。
博士は俺の姿を見ると、遂にボロボロと泣き崩れた。
「博士」
「死んじゃう……。死んじゃうよぉ……。私の、私のものが。あんな、凡人どもにぃ……!」
「……もし、俺を救いたいなら。本当に全て自分の思い通りにしたいと思うなら」
「泣き虫博士。何とかしろよ」
ようやっと暇な時間ができるようになったので、まったり更新していけたらな、と思います。