私とあなたの恋愛道   作:カニ漁船

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最初はトレーナー視点から。また、この作品は【俺と邪神のクラシック五冠道】の続編のようなものです。ただ、前作を御覧じゃなくても楽しめるように頑張ります。


転生、時々邂逅

 我が名は保科総一!様々な苦難を経てついにウマ娘世界へ転生を果たしたものだ!

 いや、マ~ジで苦難だったな。前世が前世だけに……いや、もう思い出すのはよそう。楽しくなかったといえば噓になるし、なんなら楽しい記憶の割合の方が多いがそれ以上に思い出したくない記憶の要素がデカすぎる。そんな私の前世は競走馬でござい。

 え?ならウマ娘に転生しないのかって?これには山よりも高く海よりも深い事情があってだな。まぁそんなことはどうでもいいとして。

 

「目指すはトレーナー!間近でウマ娘を見るために!」

「あんた大きく出たね~。願望が邪だけど」

 

 ウマ娘世界に転生したとなればやることは1つ!トレーナーになることっしょー!ヤバいな、テンションが上がりすぎて変な性格になってる。直さねば。

 

 

 ウマ娘。前々世の世界では大人気を博したアプリゲーム。史実に沿ったストーリーから史実を乗り越えたIFのストーリーまでなんでもござれ、魅力的なキャラ多数のコンテンツだ。勿論俺もやってた。エンジョイ勢だけど。

 ここはそんな世界。人に混じってウマ娘の姿もちらほらと見かける。最初見た時はテンション上がったね。

 

「俺、マジでウマ娘の世界に転生したんだな~……ッ!」

 

 感極まって泣いたせいか姉と親に変な目で見られたけど。

 こっちに来てからはレースの世界にどっぷりよ。毎週末はほぼ欠かさずトゥインクル・シリーズのレースを観に行くし。平日はさすがに学校あるからいけないけど。どの娘が勝つとか色々と予想を立てて観るのが面白いんだなコレが。

 

 

 後、俺を転生させたクソ神がくれた特典だってあるしな。なんでクソ神かって?そのクソ神が俺を競走馬にしたし、アイツのせいで大変な目にあったんだ。というか思い出したくない記憶というのもそいつが深~く関わっている。俺にしてきた所業を考えたら当然だ。特典くれたからまぁいいけど。

 特典自体も単純。ありふれたステータスの可視化だ。集中すればウマ娘の調子やスキルすらも分かるこの能力、かなり重宝している。お陰様で楽しいことだらけよ。ウマ娘世界をかなりエンジョイしておりますよっと。

 

 

 さて、話は横道にそれたが、俺が目指しているのはトレーナーだ。アプリや漫画ではかなり取るのが難しいとされていたが……ま~なんとかなるっしょ!なんてかる~い気持ちで勉強を始める。

 その結果。

 

「だるっ!むずっ!は~あ!?やってられるかこんなの!勉強なんて大嫌いだバーカ!」

「ちょっと!あんたがトレーナーになってくれないと私の玉の輿作戦が頓挫するじゃない!トレーナーやってる人はイケメンでお金持ってるって聞いてるのに!」

「うるせぇババア!大体お前も高給取りだろうが!」

「誰がババアですって~!?私はまだ20代よ!」

「イダダダダダ!?止めてくださいお姉さま!人の身体はそちらには曲がりません!」

 

 クッソ難しすぎて諦めそうになりました。いや、この後姉に頭下げまくって大学とかの合格のために頑張ったんですけどね?おかげで学生時代の青春どぶに捨てたけど。

 

 

 飛び級で卒業して、トレーナーライセンス取得のためにいざ会場へ!そんな俺の結果はというと……

 

【不合格】

 

 ……まぁ落ち着けよ。これにはちゃんと理由(ワケ)があるんだ。

 言い訳がましく聞こえるかもしれないが、俺は昔っからプレッシャーに弱かった。学校の催し物はトイレに籠りっきりなのが当たり前、入学式や卒業式は緊張しすぎて体調不良、なんなら高校や大学の受験は腹痛との戦いだったぐらいだ。それくらいプレッシャーに弱い。

 そんなプレッシャーに弱い俺が、今後の人生を左右するような試験に挑んだらどうなると思う?そう!

 

「腹痛でトイレから出られず試験受けれませんでした……」

「あんた本当に昔っからプレッシャーに弱いわね。我が弟ながら情けないわ」

「反論できぬ……」

 

 試験を受けることすら叶わず、俺の1回目のトレーナーライセンス受験はほろ苦い思い出となって消えましたとさ。ちなみに、同期で仲良かったヤツは普通に合格してた。優秀だったし当然か。俺が落ちたと知って凄い驚いていたが、理由を聞くと納得した表情で。

 

「君が落ちる理由なんてそれぐらいだろうな」

 

 慰められましたとさ。それはそれとしてアイツの合格祝いに寿司を奢ってやったわけだが。喜んでた表情が今でも思い出せるぜ。

 

 

 一度目の受験は不合格。しかし!次は同じ過ちを繰り返さないようにしっかりと挑まねばならぬ!流石に2年連続でトイレに籠りっきりというのは勘弁したい!あまりにも情けなさすぎる!なのでプレッシャーを感じないようにさらに勉強を重ねた。途中また参考書をぶん投げそうになったけど。難しすぎんねんライセンス取るの。

 あっという間に1年が過ぎてやってきたぞ2回目の受験!今回も腹痛との戦いだったがなんとか試験を受けることに成功!後は筆記が受かることを座して待つだけ。その結果はっ!

 

「ヨッシャァァァァァ!合格だぁぁぁぁ!」

「よくやった弟よ!これで私も玉の輿!」

「いや、俺が合格しても姉が結婚できるわけ「ふんっ!」止めろ止めろ!実の弟に関節技を極めようとするな!」

 

 筆記試験を無事パスした!ま、この後面接が待ち受けてるんですけどね。再度絶望に叩き落される俺である。

 

 

 面接はまぁ、普通のことしか聞かれてないから普通に答えた。

 

「質問ッ!何故トレーナーになろうと思った!」

「ウマ娘のレースが好きだからです!」

「ウマ娘のためならば君はどれだけやれる!」

「たとえ火の中水の中嵐の中でも輝いて突き進む覚悟です!」

「ところで、どうして先程から顔が青いのでしょうか?もしかして、体調が優れないとか……」

「大丈夫です!緊張で吐きそうになっているだけなので!」

「それは世間一般では大丈夫ではないです!?」

 

 こんな感じの受け答え。時間にして15分ほど、俺からしたら1時間ぐらいには感じた面接は終わり。今度こそ受かるかどうか待ちの時間である。

 

 

 そして時は流れて、受験の合否通知が来る日だ。緊張で朝からトイレの住人になっている俺。ようやくトイレから抜け出してくると母親が茶封筒を持ってきていた。

 

「来たわよ総一!アンタの試験結果!」

「き、きたか……!緊張で手が震えるぜ……ッ!」

「ここまで来たら腹を括りなさい総一。後は神様にすべてを委ねるだけよ!」

 

 クソ神(アイツ)にすべてを委ねるとか勘弁願いたいんだが?それはともかく母親が茶封筒を渡してきたので早速開封。さぁ、結果は!?

 

「……だっ」

「え?何?もうちょっとデカい声で言いなさいよ」

「合格だぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 中に入っていたのは合格を報せる通知!つまりこれで、俺はトレーナーライセンスを取得したのである!

 これには家族も諸手を挙げて大喜び!ちょっとしたお祭り騒ぎになっていた。

 

「やったわね弟!私も勉強を教えた甲斐があったわ!」

「その節は本当に助かった!ありがとう姉!」

「頑張ったわね総一!今夜は豪勢に行くわよ!」

「やったやった!マジでやったぁぁぁぁ!」

 

 これで俺もトレーナーとしての第一歩だぁぁぁぁ!頑張ってきてよかったー!

 

 

 

 

 

 

 それが数ヶ月前の出来事。今の俺は中央トレセンに籍を置くトレーナーだ。門の前で、感極まっている。

 

(俺もついに……ここまで来たのか!)

 

 スーツでバッチリ決めて、トレーナーバッジをつけて!中央のトレーナーとしての生活が始まるんだ!やべ、ちょっと泣きそう。

 初めはチームトレーナーの先輩の下について、トレーナーの心構えを教えてもらった。

 

「良いか、新人。一番大事なのはウマ娘とそういう仲になってはいけないということだ」

「え?どういうことですか?」

「成人男性であっても、ウマ娘に腕力で勝てるはずがない。これは分かるな?」

 

 やたら神妙な顔つきでそんなことを教えられる俺。いや、トレーニング理論云々の前になんでまずはウマ娘との付き合い方なんですかね?

 

「まあ、分かりますけど。ウマ娘のパワーって凄いですもんね」

「そうだ。だからこそ付き合い方は慎重に考えなければならない。相手はウマ娘と言えど思春期の少女達だ、万が一になれば……負けるのはこちらだ

 

 万が一……そういうことか。確かにそれは大事だな。一歩間違えて力加減を誤った結果、俺達が怪我をする可能性がある。そうなればウマ娘達に罪悪感を抱かせてしまう、だからこそ付き合い方は考えなければならない、ってことか!勉強になるなぁ。

 

「良いか?絶対に気を許してはいけない。年頃の娘に接するような感覚で付き合うんだ、分かったな?」

「はい!分かりました!」

「良い返事だ!これ以上トレーナーの数を減らしてはいけないってお達しが来てるからな。こっちも今より数が減るのは勘弁してほしいし

 

 小声でなんか言ってたけど聞こえなかった。1ヶ月ほどこの先輩トレーナーの下について勉強させてもらった。

 

 

 そしてついにやってきました選抜レース!ここでウマ娘をスカウトする!……のだが。

 

(ま~新人の俺につくわけもないし。面白そうな子を見て勉強しますかね)

 

 スカウトはぶっちゃけ諦めている。今回は様子見だ。伸びしろがありそうな子を見つけてはノートに書き出して、自分ならどんなトレーニングをさせるかを考える。これがま~楽しいんだわ。

 

「精が出るな、総一。チームトレーナーの下を離れたら即スカウトとは」

「あ~……いや、ぶっちゃけレース観たかっただけ。スカウトはハナからするつもりはない」

「レースを観に来ただけ、か。いかにも君らしい」

 

 そんな中で元・大学の同期、現・トレーナーの先輩であるアイツと出会った。アイツは今更先輩なんて止めてくれ、と言ったから大学時代の呼び方で呼ぶことにした。

 この1年は勉強だ。勉強して、来年くらいに1人はスカウトしたいな~と思いつつレースを観る。いや~、やっぱ生のレースは最高!選抜レースと言えど侮れないレベルだし、中央のレベルって凄いんだなと実感する。

 

(最高の環境だ!転生して頑張ってよかった~!)

 

 これから先のことを想像するだけでもニヤニヤが止まらん!ウマ娘達が繰り広げる熱いレースを、俺はトレーナーとして観ることができる!俺のバラ色トレーナーライフが幕を開けるんだ!楽しみだな~!

 

 

 

 

 

 

 そんなことを考えていたある日のこと。俺はとあるウマ娘と邂逅を果たした。

 

「まずは自己紹介を。私は──カミノライザン。これから私のトレーナーとして、共に歩むものとして……よろしくお願いします」

 

 俺じゃねぇか。




出会っちまったよ。
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