私とあなたの恋愛道   作:カニ漁船

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某所で見たネタで思いついたやつ。


アオハル杯でGO!

 アオハル杯。トレセン学園で開催されるチーム対抗戦であり、複数人のウマ娘がチームを組んで様々な距離で競い合うイベントだ。トゥインクル・シリーズの存在もあってか、長らく開催されなかったもののあるウマ娘の提案によって復活。かなりの盛り上がりとなったので常設されるようになった。今ではトレセン学園の一大イベントの1つとなっている。

 このアオハル杯では5つの距離区分によって分かれている。短距離・マイル・中距離・長距離・ダートの5つだ。普通に仲の良いメンバーと組むだけでは勝つことは難しく、上位入賞を目指したいウマ娘は、普段関りのないウマ娘と交流することも大事になっている。このアオハル杯は、生徒同士の交流を深めるためのイベントにもなっているのだ。

 

 

 そして現在、一つのチームが順調に勝ち星を重ねている。

 

「よ~し、順調に勝ってますね!」

 

 スペシャルウィークを筆頭とした、<チーム・黄金世代>である。キングヘイロー、グラスワンダー、エルコンドルパサー、セイウンスカイ、ツルマルツヨシと普段から仲の良いメンバーで構成されており、全員得意とするレースがあることから、アオハル杯においても順調に勝ち星を重ねることができていた。

 

「いや~、スぺちゃんには助かってますよ~。セイちゃんと中距離と長距離をとっかえひっかえしてくれてるからね~」

 

 セイウンスカイは主に中距離担当。ただ、たまに長距離を走ることがある。

 

「エルもたまには芝を走りたいデース!誰か走ってくださいよー!?」

 

 エルコンドルパサーはダート担当。というのも、彼女以外はダートの経験がほぼないために、なし崩し的に彼女が担当していることになっている。それでも不満は溢れるもので、たまには芝を走りたいと直談判していた。

 

「諦めなさいエル。適性的にエル以外にダートは走れないから仕方ないでしょう?今度別の形でお返ししますので」

 

 グラスワンダーはマイル担当。エルコンドルパサーの芝を走りたいという言葉をバッサリと切る。ただ、グラスワンダー自身も申し訳ないと感じており、今度別の形で返す必要があると考えていた。

 

「それにしても順調だね!このまま目指せ総合優勝!だよ……ゴホ!ゴホッ!」

 

 ツルマルツヨシは主に中距離担当。病弱なために普段からイベントに参加することが少ない彼女にとっては、同期と一緒に頑張ることができるイベントだ。かなり気合が入っている。

 

「ほらツヨシさん、あまり気合を入れすぎないように。少し落ち着きなさいな」

 

 キングヘイローは短距離担当。<チーム・黄金世代>における影のまとめ役であり、メンバーに対する気配りも一流である。

 

「そろそろ次のチームとの対戦だね!よ~し、次もけっぱるべ~!」

 

 そしてチームのリーダー、スペシャルウィーク。主に長距離を担当しており、リーダーとしてみんなを引っ張る明るいムードメーカーだ。ここまで全勝できており、チームとしての強さが良く分かる。

 

「それにしても、ここまで全勝。総合優勝も夢じゃないんじゃな~い?」

「オーッホッホッホ!キングのチームは一流じゃないとね!勿論全勝で総合優勝よ!」

「エル達こそが最強のチームデース!誰が相手でも負けないデスヨー!」

 

 多少ながらも浮ついた気持ちになる黄金世代のメンバー。そんな雰囲気になっても、グラスワンダーがぴしゃりと締める。

 

「もう、あんまり調子に乗っちゃダメですよ~?次もその次も、しっかりと勝てるように常在戦場の気持ちで挑まなければ」

「グラスは固いデース!ここまで全勝なんだから、少し緩めても問題ないデスヨ!」

「全勝だからこそ、です。楽な気持ちで挑むのも大事ですが、こういう時だからこそ気を引き締めなければなりません」

「そ、そうだよねグラスちゃん!よ~し、頑張るぞ~!」

 

 勝ってもグラスワンダーが気持ちを引き締める役割を担う。そしてメンバーが不安な時は。

 

「大丈夫だよみんな!総合優勝したらBBQが待ってるよ!」

 

 スペシャルウィークが元気づける。元気づける方法が多少ずれているが、それもまた愛嬌というものだろう。

 

「別にBBQのためではないけれど……次も頑張りましょうか、みんな!」

「やる気だね~キング。んじゃ、私の分も頑張ってねい」

「スカイさんも頑張るのよ!私がスカイさんの距離で走ったら、誰が短距離走るのよ!?」

 

 黄金世代は今日も仲良しである。

 

 

 そして、黄金世代は次の対戦相手を待っていた。

 

「ところでスペシャルウィークさん?次の相手はなんてチーム名なのかしら?」

 

 まだ聞いていなかったキングが相手のことを聞く。スペシャルウィークは支給された端末から次の対戦相手を確認していた。

 

「え~っと……<チーム・にんじんプリン>だって!美味しそうだね!」

「に、にんじんプリン……」

「なにかしら、誰がチーム名を考えたのかすぐに分かったわ」

「まぁまぁ。微笑ましいじゃないですか」

 

 スペシャルウィーク達は、対戦相手に誰がいるのかがすぐに分かった。そして、その予想はすぐに的中することになる。

 

「あー!みんなだー!」

 

 走りながら近づいてきたのはハルウララ。キングヘイロー達を見て嬉しそうに駆け寄ってくる。

 

「次の対戦相手はスぺちゃん達なんだね!」

「ウララちゃん!……ウララちゃんのチームメンバーは?」

 

 駆け寄ってきたのがハルウララのみだったので、スペシャルウィークは辺りをきょろきょろと見渡す。どこにもメンバーらしきウマ娘はいなかった。

 

「えっとねー、もう少しで来るよ!スぺちゃん達はどんな感じ?」

「今のところ全勝よウララさん」

「全勝!?凄いね~!わたしたちも負けてられないぞ~!」

「いや~、癒されますな~」

「ですが勝負の世界は厳しいもの……エル達が勝たせてもらいマース!」

 

 エルコンドルパサーは相手が仲の良い相手であっても手を抜くことはしない。もっとも、それは全員がそうだが。

 

「ルドルフ会長に良いとこ見せるぞ~!頑張れツヨシ!」

「さて、相手は誰になるのでしょうか?」

「う~ん……ウララちゃんがチームリーダーだと、ちょっとイメージつきにくいよね。ま~大丈夫でしょ」

「──あ、みんな来たよ!」

 

 ハルウララがチームメンバーの下へと駆け寄っていく。スペシャルウィーク達はその姿を微笑ましく思いながらメンバーを見て──固まった

 

「ら、ライザンさん。私はいつでも代わりますので。我慢ができなくなった時はすぐに申し出てください。私が代わりに短距離を走ります」

 

 長距離代表。<絶対なる皇帝>シンボリルドルフ。

 

「──構わぬ。短距離で走るのも存外悪くはないし……それに、私以外に短距離を走れるメンバーもおらんだろう。お前はお前の成すべきことを成せ」

 

 短距離代表。<五冠の女神>カミノライザン。

 

「くだらん。これまでのレース全てがつまらぬ。これ以上余を退屈させるのはあまりにも不敬……次はマシな相手であろうな?」

 

 中距離代表。<金色の暴君>オルフェーヴル。

 

「あら?でしたらそのまま帰っていただいてもよろしくてよ。あなたの分まで私が走りますから」

 

 同じく中距離代表。<剛毅なる貴婦人>ジェンティルドンナ。

 

「──あなた達は、私を熱くさせてくれるかしら?これ以上つまらないレースはゴメンよ」

 

 マイル代表。<魔性の青鹿毛>メジロラモーヌ。

 

「ライザン様の命令である以上、私の勝利は必然。日本のウマ娘よ、その身に刻むがよい──ビッグ・レッドの走りを」

 

 ダート代表。<三代目ビッグ・レッド>エンタープライズ。ここにハルウララを加えたメンバーが、<チーム・にんじんプリン>のメンバーだった。

 メンバーを見て固まったスペシャルウィーク達。

 

「……き、緊急会議~!」

 

 スペシャルウィークの召集の下、黄金世代のメンバーは集まる。声を潜めて会話をした。

 

「ちょっと!これどういうことよ!?どういう伝手があったらあんなメンバーが集まるのよ!?」

「セイちゃんが知るわけないでしょキング!全員三冠にトリプルティアラじゃん!?ライザンさんに至っては五冠だし!」

「というか、1人明らかに違うトレセン学園の生徒が混じってるデース!?なんで三代目ビッグ・レッドがここにいるんデスか!?」

「お、おそらくカミノライザンさんの伝手でしょうけど……ルールには抵触してないとはいえ、なんでここにいるんですか!?」

「る、ルドルフ会長と戦うの!?私さすがに自信がないんだけど!」

「みんなないわよツヨシさん!相手が悪いなんてレベルじゃないわ!?」

「落ち着いてみんな!」

 

 てんやわんやしていた黄金世代のメンバー。慌てない方が無理なのだが、その中でスペシャルウィークはメンバーを一喝した。

 

「す、スぺちゃん?」

「どうしたデスか?」

「……」

 

 静かに目を閉じるスペシャルウィーク。並々ならぬ雰囲気を纏い──その口を開いた。

 

「全力でぶつかってこよう!全力を出さないと、相手に失礼だから!」

 

 自分達の全力を出そうというスペシャルウィークの言葉。その言葉に、さっきまで慌てるだけだった全員が団結する。

 

「……そうね、そうだったわね。誰が相手であっても、全力で当たってこそ一流の証!」

「ま~やれるだけやってみますかね~」

「考えてみれば、ルドルフ会長と戦える数少ない機会!頑張るぞツヨシ!おー!」

「……そうでしたね、スぺちゃん。よし、頑張りましょう!」

「う、う~……!相手が三代目ビッグ・レッドでも当たって砕け散ってやるデース!」

「砕け散るのはダメだよエルちゃん!?」

 

 こうして覚悟が決まった黄金世代のメンバー。にんじんプリンのメンバーを睨みつけて、宣戦布告をする。

 

「勝負です、にんじんプリンのみなさん!」

「私達の強さを見せてあげるわ!オーッホッホッホ!」

「お手柔らかにお願いしま~す……いや、本当に」

「胸を借りるつもりで挑ませてもらいます……!」

「頑張るぞ~、頑張るぞ~……!」

「エル、帰ったらデスソースをかけたご飯を食べるデース……」

 

 黄金世代の宣戦布告を受けて、<チーム・にんじんプリン>は──不敵に笑う。

 

「よろしくねー、スぺちゃん達ー!」

「皇帝の走りをしかと目に焼き付けるがいい!」

「ほう?それなりに骨のありそうだ。赦す、余を興じさせよ」

「少なくとも、今までの相手よりは楽しめそうですわね」

「熱く、楽しいレースにしましょう?」

「その意気やよし、女神の威光をその身に刻め!」

「全てを焼き払おう……我が走りをもってな!」

 

 こうして、<チーム・黄金世代>VS<チーム・にんじんプリン>の戦いが始まった。

 

 

 結果はというと。

 

「うん、まぁ。分かってた」

「な、なんで短距離適性外なのにあんなに強いのよ~……」

「三代目ビッグ・レッドを連れてくるのはあまりにも無法デース……」

「……」

「ツルちゃん?しっかりしてくださいツルちゃん!」

「ま、負けました~……」

 

 黄金世代の敗北である。それも全敗。ただ。

 

「フン。中々楽しめたぞ。その調子で励めよ」

「面白いレースだったわ。次も楽しみましょう?」

「これまでの中では一番マシでしたわね。私も少々、危うかったわ」

「ライザン様ライザン様!私勝ちました!褒めてください褒めてください!」

「えぇ、よくやりましたエンタープライズ。黄金世代のみなさんも、楽しいレースでした」

「す、すまないツヨシ……加減などできるはずもなかった。今度埋め合わせを必ずするから!」

「楽しかったねー!」

 

 にんじんプリンのメンバーは、とても楽しそうだった。

 

 

 

 

 

 

 後日。カミノライザンは嬉しそうな表情で保科総一に報告する。

 

「総一さん!私アオハル杯を勝ってきましたよ!褒めてください!」

「へ~凄いじゃん。ちなみにメンバーは?」

「え~っと、ウララちゃんにシンボリルドルフ、メジロラモーヌにジェンティルドンナ、オルフェーヴルにエンタープライズですね」

「蹂躙かな?」

 

 メンバーを聞いた保科総一は対戦相手となったウマ娘達に合掌した。




こんなメンバーに勝てるかよぉ!


エンタープライズ(Enterprise)

誕生日:3月11日

身長:211cm

体重:全てがビッグ

スリーサイズ(B/W/H):112/82/109

一言メモ
燃えるような赤い栗毛が特徴的なウマ娘。セミロングのウルフカットにしている。ビッグ・レッドの名を継承しており、三代目ビッグ・レッドと言われるその強さはまさに圧倒的。芝・ダート問わずに結果を残した。
普段は真面目かつ厳格な性格。周りを委縮させるような雰囲気を発しており、彼女と対峙したウマ娘は竦み上がるほど。ただ、家族のことが大好きであり、一族のウマ娘を前にすると人が変わったように甘えた態度を取る。その姿を見たものは口を揃えて大型犬のようだ、といっている。一族のウマ娘の中でも、カミノライザンと姉であるノヴァスターダストが特に大好きである。
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