私とあなたの恋愛道   作:カニ漁船

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ぶっちゃけこの作品、これを一番書きたかったまである。


好みのタイプを聞こう!

 さて、今日もライザン様に呼ばれたわけだけど。

 

「ホープ、今からあなたに重要な任務を与えます。心して聞くように」

「はい、絶対に完遂してみせます」

 

 なんとなく察しはついている。これ、恋愛相談だな?と。これでもそれなりの数受けてきたからね。なんとなく分かるよ。

 当のライザン様はというと……恥ずかしそうに顔を赤くしてもじもじしている。我らが当主様は今日も可愛いです。

 

「そ、その……えっと……そ、総一さんのことなのですが」

「大旦那様がいかがされました?」

 

 言うべきか言うまいか悩んでいるご様子。ただ、決心がついたのかその口を開いた。

 

「そ、総一さんの好みのタイプを!聞いてきてはくれないでしょうかッ!?」

 

 ……え、今更?

 

「大旦那様の好みのタイプ、ですか。それまた唐突ですね。というか、今まで知らなかったんですね」

「え、えぇ。恥ずかしながら、今まで聞くこともできず……ですが、知っておいて損はないと思いましたので、あなたに頼んでいる次第です」

「自分で聞けばいいのでは?」

 

 大旦那様なら答えてくれそうなものだけど。好みの女性ぐらい減るもんじゃないし。

 ただ、当のライザン様はそう思っていないみたいで。手をもじもじしているだけだ。

 

「そ、その……なにやらがっついているように見えるではありませんか?は、はしたない女と思われたら私、立ち直れなくなりそうなので……」

「はぁ」

 

 絶対そんなこと思わないと思うけどね、大旦那様の場合。それを抜きにしても、ライザン様が自分から聞きに行くことはないだろう。恥ずかしがって聞けなさそうだし。

 何はともあれ、やってみましょうか。

 

「分かりました。大旦那様に好みの女性を聞いてくればいいんですね?」

「ッ!え、えぇ!よろしく頼みましたよホープ!あなたにはとても期待していますから!」

「嬉しいこと言ってくれますねぇ。ま、その期待に応えてみせますよ」

 

 ライザン様の笑顔を見れるんだから、是が非でも頑張りたくなるよね。さて、早速大旦那様のところに行こっと。

 

 

 ライザン様からの依頼を受けて、早速大旦那様のとこにきたアタシ。ただ、大旦那様は明後日の方向を見ているから気づいていない。

 

(……い~いこと思いついちゃった)

 

 そこにアタシの悪戯心が働く。何か考え事をしている大旦那様を驚かしてやろう。慎重に慎重に近づいて行って……

 

「お・お・だ・ん・な・さ・ま~ッ!」

 

 思いっきり抱き着く!

 

「うわあっ!?」

 

 おっ、期待通りの反応してくれるね~。驚かせた甲斐があったってものだね。目の前にいる大旦那様は呆れた表情だけど。

 

「お前、ホープか……驚かせやがって。マジでびっくりしたぞ……」

「いやぁごめんごめん。ついやりたくなっちゃってね」

「つい、で人を驚かすなお前は。というか、毎回思うがなんだ大旦那様って」

「そこはほら、気にしな~い気にしな~い。アタシの驚かしと一緒で気にしないでくれると助かるかな?」

「どっちも気になるんだが?」

 

 大旦那様の言葉はスルーしよう。反省はしているけど後悔はしてないからね。

 

「まぁまぁ大旦那様。実はアタシ、大旦那様に聞きたいことがあるんだよね~。内密な話だからさ……二人っきりで話さない?

 

 わざと耳元で話しかけたりして。大旦那様は……う~ん、あんまり反応しないか。

 

「なんだお前、そんなことしやがって……俺のこと大好きか?」

「う~ん、好きではあるね。いい反応してくれるし」

「はいはい」

 

 話には付き合ってくれるのか、ついてくるように促す大旦那様。その後ろをアタシは歩く。

 少し歩いて、大旦那様のトレーナー室に着いた。キッチリと整理整頓されている……と思いきや、レース映像が出しっぱなしになってたりする。多分レース見てたな?これは。

 

「んで?なんだよ2人っきりで話したいことってのは」

 

 ジロジロと物色してると大旦那様から急かされた。おっとっと、本題を忘れないようにしないとね。

 

「いやね?実は……」

「実は?」

「大旦那様の好みの女性を知りたいな~って。アタシ思ったんですよ」

 

 大旦那様は呆れたような表情だ。ま、アタシの人柄を知ってるからこその反応だね。

 

「お前なぁ……俺の好みの女性像なんか知ってどうする気だよ?飯のタネにでもする気か?」

「いやいや、知りたい子は多いはずだよ~?なんてったって、大旦那様はライザン様のトレーナーだからね」

 

 実際本当のことだ。トゥインクル・シリーズ発足以来初となるクラシック五大レースの制覇。それを成し遂げたライザン様のトレーナーである大旦那様、保科総一。そんな人物の好みの女性像なんて知りたい人で溢れているだろうね。俗にいう、囲い込みするためにもね。

 アタシの言葉に大旦那様は納得の表情。そして。

 

「好みの女性像ねぇ……あんま気にしたことねぇからなぁ」

 

 うんうん唸って考え始めた。さてさて、どんな言葉が返ってくるかな~?

 ここで嬉しいのは、やっぱりライザン様に合致することだね。男性なんかは胸の大きい女性を好む傾向にあるってよく聞くけど、実際はその逆も然り。大旦那様はどっちのタイプなのかな?

 それと性格もだね。というか詳細に聞ければ聞けるほど嬉しい。これでライザン様と正反対のタイプだったら……説得するしかないね。ライザン様の喜びにのためにも、ね。

 どんな言葉が出てくるかな~?って待ちわびていると。

 

身長(タッパ)(ケツ)がデカい女がタイプです」

「アンタどこの呪〇師?」

 

 何その物体の位置を入れ替えれそうな術式使ってそうな呪〇師の言葉は。精一杯考えて絞り出したのがソレ?

 

(でも、これが本当なら……ライザン様は見事に合致している)

 

 ライザン様の身長は178cm、女性の中では高身長の部類に入るだろう。加えてヒップのサイズもかなりのもの。これより上となると、アケボノさんとかエンタープライズさんが思い浮かぶけど……というかエンタープライズさんはデカすぎるけど。でも大旦那様は会った時レースのことしか興味なさそうにしてたし。

 ということはつまり。

 

「いやスマン、一回やってみたくてな」

 

 やっぱり、ただのネタみたいだ。

 

「も~、こっちは真面目なんだからさ。ちゃんと答えてくれる?」

「悪い悪い。次はちゃんと答えるよ」

 

 それはそれとしてがっかりだ。もし本当に好みのタイプが身長とお尻の大きい女性だったら、ライザン様大勝利だったのに。

 またうんうん唸るけど、今度はすぐに口を開いた。

 

「そうだなぁ……」

 

 さて、今度はどんな言葉が出てくるかな?

 

「俺を女扱いしない女性が絶対条件だな」

「真顔で何言ってんの大旦那様」

 

 いや、マジで何言ってんの?一ミリも理解できないんだけど。え?大旦那様を女扱いしない女性がタイプ?

 

(……いやいや、大旦那様身長180超えてるでしょ?それを女扱いする女性っている?)

 

 本当に理解できない。どういうことなの?まさか暗号?アタシを試してるの?いや、暗号だとしても全然分かんない、大したものだよ。チェイスを呼んでこないと分からない暗号なんて。最早そういうプレイでしかやらないでしょ大旦那様を女の子扱いなんて。

 アタシが困惑していると、大旦那様は申し訳なさそうに頭を下げた。

 

「いや、悪いなホープ。そんなに困惑するとは思わなかった」

 

 ……ということは?

 

「まさか、これも冗談?」

「冗談……微妙に違うが、正確な情報でないことは確かだな」

 

 よ、良かった。正確な情報ではない、ということは別のタイプがあるのかもしれない。本当に良かった、もしこれが好みのタイプだとしたら、アタシはなんてライザン様に報告すればいいのか分からなかったところだ。

 とりあえず、覚悟を決めておこう。深呼吸をして、いざ!

 

「……じゃあ、大旦那様の好みのタイプは?言っておくけど、もう逃げないでよ?」

「分かってるよ。え~っと……」

 

 1つ手を叩いて、大旦那様は至極真面目な表情で答えた。

 

「俺にメ〇堕ち願望を抱かない女性だな!」

「余計酷くなってるんだけど!?どういうことなの!?」

 

 何、自分にメ〇堕ち願望を抱かない女性って!?本当にどういうことなの!?大旦那様の言ってることが一ミリも理解できないんだけど!何、最早そういう願望でもあんの!?

 分からない分からない!本当に分からない!

 

(大旦那様のことが全然分からないッ!?)

 

 と、とにかく!その経緯を聞かないと!何があったのかだけを、大旦那様に聞こう!

 

「そ、そうなんだ~……ち、ちなみにな「良いか、ホープ」あ、はい」

 

 肩をがっしりと掴まれて、アタシの目を真っ直ぐに見据えて、大旦那様はアタシに告げた。

 

「人にはな、触れちゃいけない痛みってもんがあるんだ。それに触れたら、後はもう命のやり取りしかねぇんだよ」

「お、大袈裟過ぎない?」

「大袈裟じゃねぇんだ……俺にとっちゃな」

 

 どこか遠い目をする大旦那様。本当に、この人になにがあったんだろう……?

 というか、これライザン様になんて報告すれば「まぁ強いて言うなら」な、なんだろう?さらに驚きの言葉が出てくるの?勘弁してほしいんだけど。もうキャパオーバーだよこっちは。

 

「胸の大きい女性なんか割と好みだぞ」

「……」

 

 はじめっからそれ言えよ!

 

 

 

 

 

 

 カミノライザンが自主トレをしているところに、カムイホープが帰ってくる。

 

「っ!お帰り、な……さい?」

「……」

 

 ただ、カムイホープはかなりやつれた表情をしていた。カミノライザンも自主トレを中断してカムイホープへと駆け寄る。彼女の肩を優しく抱き、なにがあったのかを聞いた。

 

「な、なにがあったのですか、ホープ?なにやら、大変疲れていますが……」

「……とりあえず、大旦那様の好みのタイプを聞いてきたよ。胸の大きい女性だって」

「そ、そうですか。ありがとうございます。ですが、何故そこまで疲れているのですか?」

 

 カムイホープは、ただ淡々と告げた。

 

「ライザン様……アタシは大旦那様のことが良く分からなくなりましたよ……」

「え、え?ど、どういうことです?ホープ?ホープ!?」

 

 カミノライザンの相談役、カムイホープ。保科総一の闇に触れた一件だった。




割とトラウマレベルで傷ついてる保科である。
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