ヒカルの傍観者   作:dorodoro

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第12話

お母さんより囲碁禁止令が発令した。

いや、ホント意味ワカンナイ。

 

 

またしても病院のベット。またしても倒れたらしい。

原因は恐らく囲碁にあるということを医師の先生が母に話したらしく。

なんでも碁会所に通っていたことについてもご立腹のようで。

あんな危ない人たちが集まる場所になんて。などいろいろひどいことを言っている。

確かに見た目はアッチ系の人が多いし、みんな良い人たちばっかりなのにいくら説明しても納得してくれない。

まあ、1番の原因は囲碁をして倒れることが多すぎるという点なんだけど。

今までは、趣味として熱中できるものがあったほうが良いだろうと見逃してくれていたようなんだけど、流石にここまでくると関係性を疑わないわけにはいけないらしい。

 

 

しくしく、しくしく。

なんか、新たな泣いてばかりいる幽霊まで出てきたし。

その幽霊は囲碁を打っている人を見るとうれしそうに、囲碁盤まで寄って行って扇子で碁盤を指したり何か話しかけようとしているのだけど、私も含め誰も聞こえない。

そのくせ、私には悲しいとか、うれしいとかの感情だけは直接伝わってくるからやってられない。

というか、この幽霊ひょっとしてずっと私についていたのだろうか。

それとも他の誰かについていたのに私に移ってきたとか?

 

 

 

部活のみんなに事情を話して、しばらく部活動を休むことになった。

とたんに手持ち無沙汰になる。気が付けばつい詰め碁をしたりしてしまう。

うーん、この後ろをパタパタ付いてくる幽霊のこともあるしどうしたらいいのだろう。

 

 

 

最近この幽霊、私が認識できていることが分かるのか、しきりに碁を打とうという感じで折りたたみの囲碁盤の周りをぐるぐる回ってみたりする。

見た目は、昔の中性的な顔立ちのかっこいい男性なのにやっていることは子供だ。

母に囲碁を禁止されてしまっているので、いろいろ説得しているのだけど困ってしまっていたので相手にちょうどいい。

なんか、どこか憎めない雰囲気を持っているんだよね。この幽霊。

囲碁を打ちながら、話しかけてみる。

うーん、反応悪い。というか話しかけながら打つのって何気にはじめてかも。

 

幽霊は私が打ち終わると打ちたいところに持っている扇子を指す。

今日だけで三局打ったけど勝てる気配がない。というかこれヒカルが良くやる指導碁だな。

というか、打ち方もヒカルに少し似ているなぁ。

 

幽霊と打つのが楽しすぎて、気が付けば夢中で打っていると。

 

バンッと扉の開く音がしてお母さんが

「ご飯だっていっているでしょう。後、今後は囲碁禁止だって何度言えば分かるの。」

と今まで見たことがない迫力で、怒られてしまった。

「先生は対局、それも1日に2局以上打つことまでしか禁止していなかったはずでしょう。」

「アカリ、何で分かってくれないの。私はただ、あなたが心配なの。またあなたが倒れたかと思うと・・・・・・・。」

「お母さんには関係ない。何で私の大切な時間を奪うの。」

「対局とか言われてもお母さん分からないし。とにかく・・・、これは没収。勉強でもしなさい。」

「やめて、まだ打っている途中なのに。」

必死に抵抗したんだけど、碁盤をもってかれてしまう。

正直、私もお母さんも取り乱しすぎて何を言ったか覚えていない。

いろいろあって私は疲れ果ててしまい、ご飯を食べた後も言い合いをしたが結局囲碁盤を取り戻すことは叶わなかった。

 

 

 




自分以外の魂二つも乗っけてりゃ、脳味噌オーバーヒートするのは当然ということで、しばらく倒れることはないと思います。
今の所、予定では後1回で倒れるのは最後です。

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