【完結】楽園の名を持つ少女に惚れた俺は、彼女の為に命を懸ける   作:塊ロック

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14話

 

「あ、あ……ああ」

 

怒号。

歓声。

フロアに響き渡る勝鬨の声。

 

そんな中、俺は血を吐きながら横たわっていた。

 

からん、と音がした。

そちらの方を向く。

 

「………………リン?」

「だ、駄目だ!来るなサクラ!!」

 

目の前の光景に、呆然と声を漏らした人物。

サクラが、手にしていた刀を落とした。

 

「う、嘘じゃ……何故ここにリンが……お主等……何をして……」

「律者だ!」

「俺達は律者を倒した!」

「勝ったんだ!」

 

熱狂する兵士たちに、サクラの声は届かない。

俺とサクラ、二人だけがまるで世界から隔離されたかの様に浮いていた。

 

「リン……」

「サクラ、落ち着け」

「ガンズ……?何故お主もここに……?何じゃ、何がどうなっておる……」

 

俺は何とか立ち上がり、サクラに駆け寄る。

普段の姿が嘘のように、余にも力なくサクラはへたり込んでいた。

 

「とにかく……リンをこの場から……」

「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

「今度は何だよ……!」

 

兵士の悲鳴。

何だ何だと意識を向けると。

 

「う、うわっ、たすけ、なん、あ」

「な、なんだコレ……うわぁぁぁ!?」

 

黒い水たまりの様なものが、兵士たちの足元に広がっていた。

その水に触れた兵士が、突然苦しみだし……全身に崩壊汚染が広がっている。

 

「何だ、これ……?」

「リン……?」

「え……」

 

呆然と呟くサクラ。

リンに目をやれば……リンの倒れている場所から溢れている様だった。

 

「う、ぐ、ぁぁぁだぎかまらはさぃ」

 

黒い水に触れた兵士が声にならない叫びを上げ……。

 

ゾンビ化した。

 

「なっ……!?ゾンビ化した!?」

「や、やめるのじゃリン!」

「う、わ、あぁぁぁぁぁ!?」

 

兵士達が逃げ出そうとする。

その瞬間、黒い水がまるで実体を持つかの如く、鋭く兵士達に飛びがかった。

 

その水は針のように尖り、兵士達に突き刺さる。

 

「う、うう……ううううう!!」

 

リンが、悲鳴を上げた。

彼女の出血は致死量だった筈だ……。

既に死体となっているその身体が、哭いている。

 

「ころ、す……!貴方達……皆……!!」

 

……違う。

リンが絶命した事で律者が活性化したのか。

あれは既に、律者だ……!

 

「ひ、ひいいい!!」

 

また一人、兵士がゾンビとなりそのまま燃え尽きるように灰となった。

やばい、これが律者……!?

 

「サクラ!一旦逃げろ!」

「ガンズ、お主は!?」

「俺が、時間を稼ぐ……!」

「やめろ!お主は既に死に体、これ以上の無理は……!」

「サクラ!俺とお前じゃ価値が違う!お前は死んじゃ駄目なんだ!」

「なっ……!」

 

飛んできた黒い水を防壁を展開して防ぐ。

その瞬間。

 

「うっ……!?」

 

どくん、と心臓が跳ねた。

なんだ、おかしい。

防いだ筈なのに。

 

「ガンズ!お主の崩壊汚染が……!?」

「え?あ、く、が……!?マジかよ……!?」

 

まさか、防壁経由で俺自身を侵食してる……!?

 

「ガンズ!」

「触るな!くそ、どうする、どうする……!?」

「……ガンズ」

 

サクラが小さく呟く。

表情を見ることは出来ない。

 

「妾が……仕留める」

「なっ……何言ってんだ!アレは……」

「リンではない!アレは……律者じゃ……!」

「っ……!」

 

クソ、クソ、クソクソクソ!!

何なんだよ、何なんだこれは!

律者も、崩壊も、何なんだよ!

 

「攻撃と侵食は俺が受ける!サクラは俺を盾にして本体まで行ってくれ!」

「……すまぬ!」

「うおおおお!!!」

 

崩壊エネルギーをフル稼働させる。

防壁を物理シールドでコーティングして少しでも侵食の影響を薄くする。

 

「リン……すまぬ!」

 

斬、と音がした。

 

「……一人では、逝かせぬぞ」

「サクラ……!?おい、何を……ご、はっ!?」

 

……些末を俺が知ることはできなかった。

 

何故なら……この時点で俺は限界を迎えた。

 

 

侵食が心臓に達し……俺の生命活動はここで停止した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……この後、侵食の律者と名付けられたリンは処分された。

しかし、消滅までの間基地内のコンピューターを侵食。

基地に備えられていた核ミサイルが、人類が辛うじて残った都市へ発射される。

 

そうして、基地の外の人類は壊滅。

ここに残る者以外の人類は絶滅した。

 

人類は、崩壊に敗北したのだった。

 

 

 

 




2部までに完結したかったのですが、ちょっと無理でしたね……。

次回、古の楽園編スタートです。
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