【完結】楽園の名を持つ少女に惚れた俺は、彼女の為に命を懸ける 作:塊ロック
辺りには白い化け物……崩壊獣達の残骸が散らばっている。
瓦礫、岩、砂。
様々な物がそこら中に散らばり、その中心で一人の少年が荒い呼吸を繰り返していた。
「お、終わったぁー……」
そのまま脱力して、地面に大の字で横たわった。
いかにも疲労困憊と言った様子。
「片付いたか」
男性が一人、歩いてくる。
横たわる少年に手を差し伸べた。
「認めよう。今この瞬間から君は俺達の仲間だ」
「そりゃどうも……っと」
少年が男性の手を掴み、立ち上がる。
「さて、諸々の手続きは置いておいて……我々の拠点に招待しよう」
男性は高らかに宣言した。
「ようこそ、対崩壊組織、火を追う蛾へ!」
―――――――――――
崩壊。
それが俺達が抗っている相手。
様々な姿、形、あの手この手で人類を滅ぼそうとしてくる全ての事象。
人類が抗えば抗うほど、崩壊はより強大になって襲ってくるとされている。
それが、俺が知る崩壊というものだった。
「……遂に、辿り着いたんだ」
三年前、慣れ親しんだ街が火の海になった日。
俺の家族、友人を失い、命を落としそうになった日。
俺は、戦うことを選んだ。
あの日、俺を救ってくれた女性に会うために。
幸い、俺にも崩壊エネルギー耐性がそこそこ有り、岩石を操る能力を得た。
理由?
あの時至近距離で崩壊エネルギーを浴びた時にゾンビ化しなかったことや灰にならなかったから……としか分からない。
普通なら消し飛ぶか、耐性が中途半端にあるとゾンビ化するものらしい。
いやいやゾンビて……とは思ったものの、修行中に色々見た結果存在を認めざるを得なかった。
副作用で身体能力……馬力がとんでも無く上がり体術と岩系統の力を組み合わせて戦うスタイルに落ち着いた。
あの日殺されかけた戦車級の崩壊獣を素手でボコボコに出来てしまったときにはなんとも言えない気分になった。
しかし、これでようやくスタートラインだ。
案内された部屋に数少ない私物を置いて、組織の人たちと挨拶をする。
……時々、妙な格好の人がちらほら見えた。
ピンク色……ウサギの耳?を生やした女性。
角の生えた子供。
仮面で顔を隠した男性。
特に仮面の男性はこちらを見るなり殺気をガンガンに飛ばしてきたので慌てて逃げ出した。
死ぬってあんなん。
「……色んな奴が居るもんだ……」
これなら、あの人ももしかしたらここに居るのかもしれない。
そんな淡い期待を胸に進む。
「今回、新入りはお前だけだ」
「え、他に居ないのかよ」
「臨時の補充に、即戦力。そんな贅沢言ってらんない身の上でそこそこ戦えるやつが見つかった……他に居たらまっさきに抱き込んでるさ」
「……そういうもんか」
「ハァーイ、いらっしゃい」
……えっ。
目の前に、いつの間にかメイドさんが居た。
いや、何でメイドさん。
違う、思い出せ、この声。
急いで振り返る。
……忘れもしない。
ピンク色の髪、尖った耳。
「え、あ、あら?どうしたの?顔が怖いわよ?」
「やっと……やっと……会えた……」
「え?何処かで会ったかしら。そんなに私に会いたかったの?」
「……ああ」
「そうだったの。ようこそ火を追う蛾へ。私はエリシア」
「俺は……」