【完結】楽園の名を持つ少女に惚れた俺は、彼女の為に命を懸ける 作:塊ロック
俺は楽園の地下に飛ばされていたらしい。
そのままの意味ではなく、概念的に楽園の下にある空間と言われたが良く分からなかった。
それはそれとしてエデンに渡された肉球のマークが付いた鍵を握りしめる。
パルドも……逝ってしまった。
これは、弔合戦でもある。
時間稼ぎが目的ではあるが……攻撃を加えるなとは聞いていない。
「さて……」
問題は、律者からの侵食をどう防ぐか。
触られたら勿論終わり、楽園のコンピューターから弄られたら更に詰み。
しかし……。
(……楽園内を掌握出来ているなら俺の場所も即座に分かったのでは?)
やつは、楽園のコントロールを掌握出来ていない。
思っているよりも絶対の力を振るう訳では無さそうだ。
「……あら、逃げたと思ってたのに」
エリシアの顔をした律者が、楽園の市街地で待っていた。
……市街地は、既に瓦礫の山と化している。
空も……まるで巨大なドームの中の様に天井が見えている。
……侵食の律者は……最初に見た時よりもかなり焦燥している様に見える。
「ねぇガンズ。皆おかしいの。皆死にたくない筈なのに……命なんて要らないみたいに挑んできて……死んじゃった」
「………………」
「貴方も、死にたくないわよね?貴方も、あたしの事好きなのよね?ねぇ、どうしてなの?」
「………………」
正直、見ていられなかった。
いつもあれだけ自信満々で、輝くような笑顔を振りまいていた少女の顔。
目の前のものに貼り付けられた顔は、悲しみと困惑に染まっていた。
「皆、あたしの事を好きじゃないの!?」
「ああ」
バットを律者に向ける。
いつもの様に、瓦礫や岩を纏わせ、ギター型のハンマーを作り出す。
「皆が愛してるのはお前じゃない。エリシアだ」
「私はエリシアよ!!」
「違う……お前は、エリシアじゃない」
「貴方まで私を否定するのね……ガンズ・ロック!!」
「俺が愛したのはお前じゃないからだ!」
律者の持つ弓がこちらへ向けられる。
俺は相棒を握り締め、走り出した。
「貴方も……私の一部にしてあげる!」
「このっ……!」
ハンマーを振り回す。
威力だけは保証されているのを向こうも理解しているので当たってはくれない。
ただ、攻めている間は向こうも攻撃に転ずるのは難しい。
外れた攻撃が瓦礫を、地面を破砕する。
「本当になんて馬鹿力!」
「喰らえっ!!」
「えっ……ぐっ……!?」
律者が後方へ大きく飛び退る。
その着地点に小さな、それでいて気付かれないように砂を集める。
それは流砂の様に律者の足を絡め取り動きを止めた。
そこへ、渾身の力を込めたフルスイングが律者をくの字に折り吹き飛ばした。
「会心!」
「……なんてね」
「……なん、だと……!?」
吹っ飛んだ律者は、まるでダメージなど感じさせない様子で立ち上がる。
身体に付いた埃を落としながら嗤う。
「さて、第2ラウンドと行きましょうか」
「オイオイマジかよ……」
これ俺時間稼ぎすら出来ないんじゃないのか……?