【完結】楽園の名を持つ少女に惚れた俺は、彼女の為に命を懸ける   作:塊ロック

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25話「彼女の為に捧げる命」

 

神の鍵とは。

火を追う蛾が融合戦士達に誂えた武器だ。

 

討伐した律者のコアを使い、擬似的にその権能を扱う事ができる。

……律者の力を使う。

 

つまり、

 

「ぐっ……あぁぁぁぁああぁぁ!!?!!」

 

星海の階調を手にしていた右腕が一瞬で崩壊汚染が進行。

崩壊獣の様に真っ白な腕になり、汚染痕が痛々しく走っている。

 

「……ガンズ。貴方も……死ぬ気?」

「はぁ……はぁ……起動は、出来たな……」

 

どうにか起動だけでゾンビ化はしなかった。

だが、定格出力まで使えるかこれ……?

 

その前に俺が燃え尽きてしまいそうだ。

 

この星海の階調は岩の律者のコアが埋め込まれている。

能力は重力操作。

岩と言う共通点のお陰で俺は起動出来たのだろう。

 

ただし、崩壊エネルギーのフィードバックが凄まじく使い続ける事は不可能だ。

 

 

だが、

 

(今は……これで充分だ)

「何でそんなに、死にたがるのよ!!」

「神の鍵、出力解放ッ!」

「グッ……アッ……!?」

「疑似黒洞……!」

 

超重力……詰まる所ブラックホールを生み出す武器。

これで相手を捕らえてしまえばどうする事も出来ずに倒すことが出来る。

 

「っ……!?げほっ……う……思ったよりやべぇ……!」

 

吐血。

この神の鍵の欠点は……使用者に凄まじい負担を要求する事。

エデンなら融合戦士のフィジカルで余裕で耐えられる。

だが……俺は、多少耐性があるだけのただの人間。

 

耐えられる訳が無い。

だが、俺の命を燃やし尽くしてでも時間を稼がせてもらう。

 

「へ、へへ……!あいつ……エデンめ!澄ました顔で随分と多喰らいだな……!良いぜ、くれてやるよ……!全部!!」

「本当にッ……!いい加減にしてッ!」

 

あまりの重さに、律者が片膝を着く。

逆に、俺ではこの程度が関の山と言うこと。

 

(厳しい……!本当にもう保たない……!!)

 

辛い。

逃げたい。

辞めたい。

こんなことしたくない。

 

……死にたくない。

 

今まで押し殺してきた感情が溢れそうになる。

駄目だ。

これを溢れさせたら、俺は戦えない。

 

何で俺はこんな事をしている。

何で俺は戦ってる。

何で俺はこんなにも命を懸けられる。

 

………………そんな事、

 

 

 

 

「そんな事、今さら聞くな!!」

 

あの時の、あの日の!

あの花の様に美しく咲き誇る無瑕の少女に報いたい。

今度は俺が彼女を助ける番だ。

 

そして……。

 

「エリシアに、もう一度……会うんだ……!!」

「ぐ、うぅ……私が、私を!私はエリシアなんだ……!」

「お前が、俺の憧れなんかじゃ無い……ッ!!」

 

左腕もゾンビ化している。

四肢は既に汚染が回りきった。

 

もう、保たない。

 

だから、

 

「星が砕け散る様を……見届けろ!!」

 

星海の階調、第一定格出力最大解放―――――ッ!!

 

「喰らえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

『ごめんね、ガンズ。今度は私が先に逝っちゃった』

 

……気にすんな。

一回目は俺が先だったし。

 

『そんな捻くれた事言わなくてもさー!で、どう?私の最後の商品は』

 

ああ、最高のサプライズだったよ。

 

『へへ、ボスに提案したのは私なんだ』

 

そうだったのか。

 

『じゃ、お代はどうしよっかなー?』

 

勘弁してくれ。

今手持ちは無いんだ。

 

『仕方ないな―。……ま、ガンズが今まで稼がせてくれたし、特別にタダにしておいてあげるよ』

 

……悪いな。

 

『ふふ、良いよ。それじゃ……先に行くね』

 

……ああ。

俺もすぐ行く。

 

『あんまり早く来すぎないでよ!エリの姉ちゃんがまだなんだからさ』

 

……分かったよ。

エリシアに会ってから、そっちに行くわ。

 

『……うん。待ってるから』

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……本当に、信じられない」

 

地に倒れ伏す俺に、青いシルエットが近付いてきた。

 

「息も絶え絶え……九割九分崩壊汚染が回ってるのに。こんな悪あがきをして」

「…………………」

「もう喋れないの?つまらないわね」

 

侵食の律者の手が俺に向かって伸びてくる。

でも、もう俺は動けない。

 

「さよなら」

 

手が、俺の顔に触れ――――――

 

 

 

 

「ハーイ、ガンズ。そんなにあたしに会いたかったの?」

 

 

 

 

「……遅せぇよ」

 

 

 

 

瞳から、涙が溢れてくる。

だってそうだろう?

あれ程焦がれた少女が、昔と変わらずにそこに立っているんだから。

 

「……会いたかったよ」

 

 

 

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