【完結】楽園の名を持つ少女に惚れた俺は、彼女の為に命を懸ける   作:塊ロック

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最終回です。


最終回「親愛なる貴女のために」

 

その少女は、何事もなく律者に向かって歩く。

 

なんの変哲もない瓦礫の山が、さながら彼女の為のステージの様にさえ思える。

 

「エリシア……何で貴女が」

「どうしてでしょう?美少女に不可能はないの」

「貴女の為に皆が命を投げ捨てた……なのに、貴女がここに来てどうするの?皆の犠牲が無意味になってしまうわ」

「そうかしら?でも、貴女はあたしを取り込めば……完全に勝利を収められる」

 

ぴくり、と律者の耳が動く。

それだけ、この戦いの勝利は欲しいのか。

 

「……エリ、シア……」

 

俺は既に首から下までゾンビ化が進行し、喉もやられかけ声を出すのもやっとの状態だった。

 

「ガンズ……お疲れ様。貴方のお陰で、あたしは最高の舞台に間に合ったわ」

「そう、か……そいつは……何よりだ」

 

エリシアが手を差し伸べてきたので……その手を取ろうと腕を上げる。

エリシアと手が触れた瞬間、左腕が石灰になりばらばらと崩れ落ちた。

 

「……カッコ悪いとこ、見せてるな」

「いいえ。カッコ良かったわよ」

「そう言ってもらえて……嬉しいよ」

「今日のガンズは随分と素直ね?」

「そうか……?そうかもな」

 

自分で立ち上がろうとして踏ん張るも、右足が石灰化してうつ伏せで倒れた。

……もう、どうしょうもないな。

何とか仰向けに寝転がる。

 

「俺は……もう駄目みたいだ」

「………………」

 

珍しくエリシアが黙りこくった。

律者はつまらなさそうにこちらを見ている。

 

「最期に会えて……良かったよ」

「……最期に言う事、それで良いの?」

 

エリシアがいたずらっぽく微笑む。

……この女は、最後まで。

 

「分かったよ……言うよ……」

 

ああ、腰から下ももう感覚がない。

右肩も今ごっそりと無くなった。

 

左眼から景色とエリシアが消える。

もうちょい空気読んで保ってくれよ。

 

 

 

 

「好きだ。エリシア」

 

どうにか、絞り出すことが出来た。

 

「……そう。ありがとう、ガンズ・ロック」

「これまでも、これからも……俺は、アンタって光に引き寄せられるんだろうな……」

「……あたしはもう次の代として現れないけど、貴方は……また、世界に生まれられるわ」

「……?」

 

どういう、と言おうと思ったが声が出なくなった。

喉が遂にやられたらしい。

 

「……少しずつ死んでいると言うのに。お気楽な人」

「良いのよ。この子はこういう子なんだから」

 

最後の最後に、子供扱いかよ。

 

「愛しい人類(あなた)。次の人生に幸福があることを……さよなら、ガンズ・ロック」

 

ああ……やっぱり。

侵食の律者(こんなやつ)よりずっと……ずっとあんたは美しい。

 

 

……さよなら、エリシア。

 

俺の意識は、ここで潰えた。

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

「で、エリの姉ちゃんには言えたの?」

「……ああ」

「そっか。じゃ、許してあげる」

「何をだよ」

「べっつにー。さ、帰ろうガンズ。私達の昨日にさ」

「……ああ、パルド。帰ろう」

「うん」

「あ」

「……どうしたの?」

「……キスをねだるの忘れてたな」

「じゃ、私がしてあげよっか?」

「………………」

「冗談だってば。行こう?」

「応」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悲しい夢を見た気がする。

そんな気分で目が覚めた。

 

……ただ、明らかに起きた原因はそれではない。

 

携帯に残りまくった着信履歴。

家のドアを叩きまくる音。

そして。

 

「おはよー!朝だよ!起きて起きて!」

 

妙に甲高く感じる活発な声。

僕は寝台の近くに置いた眼鏡を手に取りかける。

 

「……おはよう、セナ」

「おはよう!夢追い人!今日はどこで動画録る……あれ?どうしたの?」

「え?」

「夢追い人……涙の跡が」

「……本当だ」

 

洗面台の鏡で見ると、確かに泣いていた跡が残っていた。

 

「怖い夢でも見てた?」

 

普段活発なイメージのある彼女が、珍しく心配そうな声音で尋ねる。

 

「……覚えてないや。ただ」

「ただ?」

「君に会えて良かった。そう思うよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――完

 

 

 

 




ここまでお付き合い頂きありがとうございました。

崩壊3rdと言う設定まみれのコンテンツで小説を書こうかと考えていたのは実は三年くらい前なのですが、結局こんな時期になりました。

2部も始まり、7周年を迎え、崩壊3rdも転換期を迎えます。
ですが、激動の一年を駆け抜けた十三人の火追者達のことも思い出してくれると幸いです。

最後に、俺は君の事を忘れないぞエリシアー!!


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